犬の顔をマッサージしたことはありますか?
ただ「よしよし」「いいこ」と愛犬の頭を撫でるだけでなく、少し本格的なマッサージを行うと気持ちがよくて、犬の方からもっとやってと催促がくるかもしれません。
今回は犬をリラックスさせる顔のマッサージについてご紹介します。
犬の顔マッサージ前に!状態チェックを忘れずに
犬の顔をマッサージするには、犬の顔まわりを触るので、嫌がる犬に無理に押さえつけて行うことはやめましょう。
犬が落ち着いていて、撫でるのを許してくれるようであれば、顔のマッサージに入る前に犬の状態のチェックを行いましょう。
目、耳、歯、鼻、リンパ腺の他にも、顔まわりの触ってわかる範囲にできものやしこりがないか、痛がる部分はないか触ってチェックを行い、問題がない場合は顔のマッサージに入っていきます。
目の状態チェックポイント
目が傷ついていないか、充血していないか、目やにの量、白目の色など、目の状態がいつもと変わりないかをチェックします。
耳の状態チェックポイント
耳の耳垢の状態と炎症を起こしていないか、触って痛がるところはないか、臭いがいつもと同じかをチェックします。
歯の状態チェックポイント
口周りを触ることができる犬は、口と歯の状態をチェックしましょう。臭い、歯石、歯茎の炎症、歯茎と舌の色が健康かをチェックします。
鼻の状態チェックポイント
鼻がツヤツヤしているか、がさついていないか、異常な鼻水が出ていないかをチェックしてください。
リンパ節
犬にも人間同様にリンパ腺があります。
耳の付け根、顎、首回りを触ってみて犬が嫌がってのけぞる、違和感があるかをチェックします。
リンパ腺が腫れる腫瘍もあるので注意が必要です。
犬の身体をチェックすることが目的ですが、マッサージを受け入れやすくするために緊張をほぐす意味合いもあります。
ゆっくりと優しく緊張をほどくように、飼い主さんもリラックスした状態でチェックしてあげるとマッサージに入りやすくなります。
さっそく実践!犬の顔マッサージのやり方
準備ができたらできるだけ静かな環境で犬の顔マッサージをやってみましょう。
寝かせて行う、仰向けにする、座らせて行うといった方法はさまざまです。
無理やり寝かせる、押さえつけるといった方法は、犬が恐怖を感じるだけで顔マッサージの意味がありません。
飼い主さんと犬がリラックスすればよいので犬が落ち着いていられる体勢で行います。
犬のマッサージは人間の指圧とは違うので、力を入れると筋肉を痛める可能性もあります。
力は入れず犬の毛の向いている方向に向かって手の指と手のひらを使って、ゆっくりと優しく撫でてください。
犬が眠そうな顔をしはじめたらリラックスしている合図です。
じわーっと両手で撫でてもよいですし、くるくると軽く小さな「の」の字を描きながら顔を撫でていく、ジグザグと細かく指を動かし刺激を与えるのも効果的です。
中央から外に向かって毛が流れているので、この流れにそってマッサージする方法がわかりやすいです。
犬の顔に存在するツボのご紹介
犬の顔マッサージは絶対こうしなければならないと決められた方法はありません。
犬がリラックスでき、毛の流れにそって力を入れずにゆっくりと撫でる。
この方法に加えて、顔にあるツボをマッサージしてあげるとより効果が期待できます。
頭百会(あたまひゃくえ)
頭百会は目と目の間からまっすぐ上に上がり、骨の谷間をすぎて頭頂部分にあるツボで、不安や緊張でストレスを感じた犬に最適です。
犬もマッサージを受けるときに緊張している可能性もあるので、緊張をほぐすように目と目の間から上に向かって親指か3本の指程度で優しく撫でると効果的です。
風府(ふうふ)
風府は頭頂部の頭百会から、そのまままっすぐに背骨の方に向かって撫でると、頭蓋骨が終わる場所を指で感じることができます。
ここが風府になります。少し筋張っていると感じるかもしれませんが、グリグリと押すのは絶対にやめましょう。
頭蓋骨から頚付近の神経を痛める可能性があるのでソフトに撫でましょう。
攅竹(さんちく)
攅竹は目の上にある、ヒゲと同じ少し固めの毛が生えていて、人間だと眉毛と呼ばれる部分です。
緊張をほぐす効果があり、犬をリラックスさせることができます。
眼球を押さないように気をつけながら、少し盛り上がっている眉毛の部分を、親指で毛にそって優しく撫でていきましょう。
口周辺は触れちゃダメ!
ここまで犬が動き回らず、嫌がらずに触らせてくれている場合は、犬がリラックスしている証拠です。
ここで注意したいのが、マッサージに慣れていない犬は口周辺に触ることはやめましょう。
信頼関係ができている犬で、犬が嫌がらないのであれば頬の上から歯茎をクルクルと優しく刺激するのもよい方法です。
無理に触ると噛まれてしまう可能性も
普段顔まわりを触られていることに慣れている犬は、大好きな飼い主さんに撫でてもらうことで喜び、安心、リラックスをします。
しかし精神的に問題を抱えていたり、口や顔まわりを触られたことのない犬の場合、犬同士が権力を示すために服従させるボディーランゲージであるマズルコントロール(強いものが口周りを噛んで押さえつけること)と捉えて、首を後ろに抜いたり、暴れて逃げようとしたり、攻撃してくる可能性もあります。
十分に注意しながらマッサージしてあげましょう
普段から日常のルーティーンとして歯ブラシやブラッシングを行っていると、この可能性が低くなり、スキンシップで信頼関係をより高めておくと、身体のどこを触られても受け入れてくれるようになります。
犬の顔のマッサージ中は、顔だけでなく全身の力の入り具合、目の動きを常に観察して、犬がリラックスできているか、嫌がっていないかをチェックして十分注意しながらマッサージを行ってください。
まとめ
犬のマッサージは正しく行えば、飼い主さんと愛犬の距離を縮めることのできるコミュニケーション方法の一つです。
普段犬の頭や顔を撫でる延長線の1つとして、顔のマッサージを取り入れることをおすすめします。
道具は必要ないので、できるだけ静かな環境を作り、飼い主さん自身も犬のマッサージをしながらリラックスしてください。