飼い主様のちょっとした隙を盗んで愛犬が体に害のある危険な食べ物や、食べ物では無い物を食べてしまう誤飲。この誤飲は子犬の時期に起こってしまう確率が高いと言われていますが、状況によっては成犬にも起こってしまう可能性があります。
万が一、愛犬が誤飲をしてしまった時に飼い主様が冷静に対処出来るように誤飲の症状と対策を知っておきましょう。ここでは愛犬が誤飲をしてしまった時の症状や対策をご紹介していきますので、ぜひご覧ください。
誤飲は大きく分けて3パターンあります
飼い主様のちょっとした隙を盗んで愛犬が体に害のある危険な食べ物や、食べ物では無い物を食べてしまう誤飲ですが、ひとえに誤飲と言っても大きく分けると3つのパターンがあります。飼い主様は「愛犬の誤飲とはどんな状況のことを言うのか」を知っておいて、しっかりと予防策をたてなければなりません。まずは大きく分けた3つの誤飲のパターンをご紹介していきますので、もしも時のために覚えておきましょう。
犬の体に害があるものを食べた
まず1つ目は、食べると中毒症状を引き起こすといわれている物を食べてしまうパターンです。
人間が日常的に食べている食品でも、犬にとっては猛毒になってしまう恐れのある食材というものがあります。一番代表的なのが玉ねぎ等のネギ類で、他にもチョコレートや生の卵白などが危険な食材です。また、人間用の薬を食べてしまって愛犬が中毒症状を起こしたというケースもあります。
人間が口にしても問題がないものだからといって愛犬に害がないとは限りませんので、絶対に油断しないようにしましょう。
食品ではないものを食べた
プラスチック製の犬用のおもちゃをそのまま飲み込んでしまったり、おやつ欲しさにビニールごと丸呑みしてしまったり、唐揚げについている爪楊枝を飲み込んでしまったりと、食べ物以外の物を飲み込んでしまうケースがあります。
このパターンの誤飲で一番多いのは、ひも状のものだと言われており、犬の体内で絡まってしまうと、窒息や腸閉塞などの危険な状態を引き起こしてしまいます。
また、散歩中に小石やタバコを拾い食いしてしまうこともあり、特にタバコは強い毒性がある危険な物ですので注意が必要です。
害はない食材だが危険な大きさ・量のものを食べた
犬が食べても問題のない食材であれば、勝手に盗み食いをしてしまったとしてもあまり気にしない飼い主さんも多いでしょう。このようなパターンは大きな問題がないように思えますが、その犬にとって食材が大きすぎたり硬すぎたりすると、実は非常に危険なことがあります。
その犬にとって食材が大きすぎた場合、食品ではない物を食べてしまったとき同様に窒息や腸閉塞を起こしてしまう可能性があります。さらに生野菜などの硬い食材だった場合は内臓を傷つけてしまう可能性もありますので、傷口から細菌による感染症にかかってしまうリスクも高まるのです。
また、塩分や糖分過多で犬の健康を害してしまう恐れもありますので、たとえ犬にとって安全な食材だとしても、与えるつもりがなかった物を愛犬が食べてしまわないように注意してください。
犬が誤飲しやすい年齢やタイミングって?
盗み食い・拾い食いのしつけがきちんと行われていない犬であれば、どんな犬にでも誤飲による事故が起きてしまう可能性がありますので、必ずしつけを行いましょう。また、特定の年齢やタイミングで誤飲による事故が起こりやすいと言われていますので、その頃には特に注意して愛犬を観察する必要があります。愛犬に苦しい思いをさせないためにも、犬の誤飲はとんな時に起こりやすいのかを知って起きましょう。
誤飲が起こりやすいのは0歳から1歳の子犬
子犬の時期はとても好奇心旺盛で、何でも口に入れて呑み込んでしまうことが非常に多いです。そのため、特に誤飲が起こる確率が高いと言われているのは0歳~1歳の子犬とされています。
好奇心旺盛の子犬の時には、飼い主様も驚いてしまうような大きなものまで口に入れてしまうことがありますので、犬の口に入りそうな物を犬が届く場所に置かないように細心の注意を払いましょう。
犬が誤飲しやすい時間帯は?
犬が誤飲をしてしまって病院に駆け込むケースは、夜間が多いとされています。
これは、夕食の準備中や後片付けの際、飼い主様が目を離した隙に残り物を食べてしまったということが原因の多くを占めています。また、時期として一番多く誤飲の報告が挙げられているのは、年末年始などのバタバタしがちなイベントごとがあるタイミングだと言われています。
飼い主様が忙しくて子犬から目を離す場合は一旦子犬をケージに入れることや、人間の赤ちゃんへの対策と同じように口に入れてはいけないものは低い場所に置かないなどの予防をして、日常的にしっかりと注意を払う必要があります。
誤飲ってどんな症状が起こるの?
愛犬が誤飲をした場合、呑み込んだものが愛犬の体内のどこに詰まってしまっているかで誤飲の症状が変わってきます。もしも誤飲してしまった場合は、どんな症状が出ているかをみることで、誤飲物がどこに詰まっているのかを判断できるようにしておきましょう。
呼吸が苦しそうなら喉で詰まっている可能性大
犬が飲み込んだものは通常食道を通って胃に運ばれるため、呼吸器に侵入することはありませんが、嚥下しきれずに喉に引っかかってしまうと呼吸困難に陥ってしまう危険性があります。完全に気道を塞いでしまうと数分で窒息死に至ってしまう恐れもあるため、誤飲が引き起こす事故の中で最も危険な状態です。
呼吸がほとんどできていないようであれば、急いで動物病院に向かっている間にも刻々と危険度が増して行くことになります。一刻も早い対処が必要となるため、動物病院に連れて行く前にご自宅での応急処置が必要になる場合もありますので気をつけてください。
咳き込んだり吐こうとする仕草が見られたら食道かも
誤飲したものが食堂で引っかかっていると、異常に咳き込んだり、何かを吐き出そうとする仕草を見せたり、よだれが止めどなく溢れてきたりといった症状が見られます。なお、咳やよだれが止まらないのは他の病気が関与している可能性もありますので、様子がおかしいと感じたら早めに動物病院につれていくことをおすすめします。
また、食道に引っかかっていても基本的には呼吸はできるのですが、誤飲したものがその犬にとって大きすぎる場合は、隣接する気道を圧迫して呼吸困難に陥ってしまう恐れもあります。苦しそうな呼吸をしているようであれば、応急処置が必要な場合もあるということを覚えておきましょう。
胃まで到達すると嘔吐や吐血などの症状
硬いものや鋭利なものを飲み込んだ場合、胃の粘膜を傷つけて荒らすことになりますので、激しい吐き気を催すことがあります。吐瀉物に血液が混ざっているようでしたら、誤飲物が胃を傷つけているか食道に刺さっているかの状態だと考えられるでしょう。
愛犬が誤飲したものが体に害がない食品なのであれば、胃である程度のサイズまで消化されるため一安心なのですが、飲み込んだものが食品以外で腸に詰まる可能性があるサイズものであれば、腸に到達する前に内視鏡や切開手術で除去することになります。
腸で詰まると腹痛や激しい嘔吐に襲われる
誤飲物が小さなものであれば便に紛れて排出される場合もありますが、大きなものや長いひも状のものであれば、腸内に引っかかって腸閉塞を起こしてしまう危険性があります。異物が腸まで到達しているにも関わらず排泄されないのであれば、開腹手術が必要な場合もあります。
腸閉塞になると腹痛に襲われ、激しい吐き気や便秘などの症状が見られ、長期間放置してしまうと腸が壊死して死に至るケースもありますので、できるだけ早めの対処が必要です。
誤飲した際の処置の仕方とは?
飼い主様は愛犬が誤飲してしまったと分かっている場合や、愛犬に誤飲の疑いがある場合などはすぐに動物病院で適切な処置を受ける必要があります。しかし、愛犬に窒息死の危険性がある場合は飼い主様が冷静かつ迅速に処置をしなくてなりません。
愛犬が誤飲をしてしまった際に出来る、正しい処置の仕方についても覚えておくことは、愛犬の命を助けることに繋がりますので、ぜひご覧ください。
窒息の危険性があるときは異物を取り除く
※愛犬が苦しんでいる原因が窒息ではない場合、下手に吐かせようとすると逆に吐瀉物が喉に引っかかるリスクがありますので注意してください。
愛犬が誤飲してしまった物が喉につかえると、窒息死の危険性があります。飼い主様は直ちに愛犬の気道に詰まった異物を取り出す嘔吐処理を行い、出来る限り迅速な気道の確保を行うようにしましょう。
ここで誤飲物を吐き出させる処理の手順についてご紹介します。
- 愛犬が呼吸をしているか確認する。
まずは愛犬が本当に窒息状態にあるのかを確認しましょう。
体内に酸素が回っていないと、舌が紫色に変色してきます。この状態をチアノーゼと言いますが、チアノーゼになっていると非常に危険な状態ですので、すぐに吐き出させるようにしましょう。
愛犬が苦しそうにしていても普通に呼吸できているのであれば、苦しんでいる原因は窒息ではないということになります。誤飲物が胃に刺さっていたり、腸で詰まっている場合は、下手に吐かせようとすると吐瀉物が喉に引っかかってしまい、逆に危険な状態になってしまう恐れがありますので注意してください。 - 愛犬の口を開けて懐中電灯などで照らし異物を確認する。
愛犬の喉を覗き込んで異物を目視できた場合、引っ張ることで取り出せるかもしれません。尖ったものを飲み込んだのであれば、喉を傷つけてしまう可能性もあるため、ピンセットなどでゆっくりと異物を取り出してください。 - 逆さに持ち上げて背中を叩く。
小型犬で持ち上げられるのであれば、逆さまに持ち上げて異物を吐き出すように促してください。大型犬で逆さに持ち上げることが出来ないと判断した時は、横向きに寝かせて肋骨の下をグッと押し上げるようにすると、咳込んで異物を外へ吐き出すことがあります。 - 愛犬が異物を吐き出さない場合は押し込む。
どうしても異物を吐き出さないのであれば、細い棒を使い喉の奥に優しく押し込んだ方が良い場合もあります。押し込むと異物が胃に入ることになりますが、窒息は時間が経つほど危険度が増してきますので、とにかく呼吸が出来るように気道を確保することが重要です。
誤飲してすぐならオキシドールで応急処置できる
※この方法は愛犬の体に負担をかけてしまいますので、緊急時以外は絶対に個人の判断で行わないでください。
犬が危険なものを誤飲してしまった場合、1時間以内であれば愛犬にオキシドールを飲ませることで胃の中にある異物を吐き出させることが出来ます。1時間以上は誤飲物が胃を通過してしまうので、この方法をつかっても吐かせることが出来なくなりますので注意しましょう。
ただし、オキシドールは生物の体内に入ると酸素に分解されるため比較的安全とは言われているものの、愛犬の体に負担をかけてしまいますので、この処置は緊急時しか行わないようにしてください。
この方法を行うべき状況とは、例えば殺鼠剤などの毒物を誤飲してしまった場合や、ネギ類などを誤飲して危険な中毒症状が現れてしまっている場合です。
すぐにでも嘔吐させないと危険な場合は早急に応急処置を行うべきですが、もし余裕があるのであれば動物病院に電話をして、獣医師に今行うべき応急処置の指示を仰いだ方が良いでしょう。
また、大きめの食材や中毒の危険性があるものを飲み込んだ場合でも、愛犬がいつも通り元気そうにしているのであれば、オキシドールによる応急処置は必要ありません。もしかするとその食品への耐性が強くて平気な場合もありますので、様子をみながら動物病院へ連れて行くようにしてください。
愛犬にオキシドールを飲ませた場合、胃の中のオキシドールが胃酸に反応し、酸素ガスに変わります。体に害のない酸素ガスが胃の中に大量に溜まることで嘔吐が誘発されるという仕組みです。
こちらの方法はあくまでも応急処置です。オキシドールで異物を吐いた後は、多少胃が荒れることがありますので、こまめな水分補給をさせつつ、動物病院で適切な治療を受ける必要があります。
それでは、もしも愛犬が体に有害な食べ物を誤飲してしまった場合の、オキシドールの飲ませる応急処置の手順を説明します。
- オキシドールを水で3倍に薄めた希釈液を作ります。(体重1kgあたり1~2ml程)
- 口の端からスポイドやシリンジなどを使って少しずつ飲ませます。
- 異物を吐くまでは3回ほど繰り返します。
よくある誤飲物と誤飲による危険性
愛犬達に起こる誤飲は家の中に普段置かれているものがほとんどです。飼い主様が愛犬の口に入らないように日常的に気を付けることで危険な誤飲を防げます。ここでは愛犬によくある誤飲物と誤飲による危険性があるものを、まとめてご紹介していきますので、ぜひ予防に繋げてくださいね。
ひも・タオル
犬の誤飲として非常に多いのが、ひも状のものです。ビニールひもや靴ひもで遊んでいるうちに誤って飲み込んでしまうというケースが多く、また内臓に絡みつきやすい形状のため、飲み込んでしまうと非常に危険な物の1つです。
また、大型犬であればタオルや靴下をそのまま丸呑みしてしまうこともありますので、犬が飲み込めるサイズのものを、犬が触れられる位置に置いておくのはやめるようにしましょう。
ひも状・布状のものは胃の中に長時間留まっているケースもあり、数日経って「うんちに混ざって出たかな?」と安心しかけた頃に、腸閉塞になって犬が苦しみはじめるということもあり得ます。犬が誤飲してしまった場合は糞便のチェックを毎日行い、誤飲物が全て排出されるまでは気を抜かないようにしてください。
プラスチック
プラスチックは、ぬいぐるみの顔のパーツに使われていたり、ペットボトルやボールペンなどの愛犬が悪戯をしてしまいがちなものに使われていますので、誤飲による事故が起きやすい素材です。
小さいものであれば消化されずにそのまま糞便に混ざって出てくることもありますが、ペットボトルのキャップくらいの大きさであれば体内に引っかかってしまう可能性もありますし、噛んで割れたプラスチック片を飲み込んでしまうと内臓を傷つけてしまう恐れもあるため大変危険です。
ペンなどの小物類は愛犬が届く場所に置かないのはもちろんですが、飲み込めないような大きなものでも、愛犬が破壊してしまう危険性があるものは、できるだけ愛犬の側には置かないようにしましょう。
ゴム
輪ゴムやヘアゴム、消しゴムなど、小型のゴム製品を愛犬が飲み込んでしまったという報告も多いようです。
ゴム製品は柔らかく、自由に形を変えることができる製品も多いため、内臓に引っかかって詰まらせてしまう恐れがあります。
また、特に消しゴムは歯ごたえがあって、犬はおもちゃ感覚で噛み付いてそのまま飲み込んでしまうことがあります。小さな消しゴムでも小型犬の消化器を詰まらせるには十分な大きさなので、床に転がった消しゴムを放置したりしないように気をつけてください。
竹串・つまようじ
唐揚げに刺してあった爪楊枝や、焼き鳥のくしは、犬の誤飲事故の中でも上位に挙げられる事故件数になります。
焼き鳥をそのまま愛犬に与えているという方はあまり多くないとは思いますが、人が美味しそうに焼き鳥を食べているのを見ていた犬は、竹串がゴミ箱に捨てられるところまで見ていることがあります。竹串についたタレは犬にとっても美味しく感じるものですので、そのまま丸呑みしてしまうことがあるのです。
爪楊枝や竹串は先が尖っているため内臓を傷つけてしまう危険性があります。誤飲したと分かった場合はすぐに動物病院に連れて行きましょう。
愛犬がゴミ箱を漁って誤飲をしてしまうというケースは非常に多いため、ゴミ箱に蓋をつけたり、首が届かない高さのものを選ぶことをおすすめします。
果物の種
犬の味覚は甘味を一番感じやすい構造になっているため、果物の種が落ちていれば喜んで舐めるでしょう。種は丸みがあるため、舐めている最中に丸呑みしてしまう危険性があります。喉に詰まりやすい大きさである桃や柿、アボカド、プルーンなどの種には特に注意が必要です。
また、犬が食べても大丈夫とされている果実でも、葉や種には毒性のある物質が含まれている場合があります。犬が丸呑みしなかったとしても、中毒症状を起こしてしまう恐れもありますので、果物の種を誤飲してしまった場合はしっかりと経過観察を行い、様子がおかしいようであればすぐに動物病院に連れて行きましょう。
薬や医療品
子ども用の甘い粉薬や、錠剤の周りには甘いコーティングがされている物は、犬にとっても美味しく感じるので喜んで食べてしまうことがあります。しかし、人間用の薬は犬にとって毒となってしまう恐れもありますので絶対に食べられないように気をつけてください。
イブプフェンなどの人間が日常的に使う機会が多い薬に含まれる成分でも、実は犬にとっては中毒症状が出てしまう危険な成分ということがあります。また、犬に害がある薬ではなかった場合でも、大量に食べてしまった場合は動物病院に連れて行くようにしましょう。
煙草
散歩中に誤飲してしまいがちな煙草ですが、煙草に含まれるニコチンにより、非常に危険な中毒症状を引き起こすことがあります。
人間の子供で1/2本、大人でも2本食べると致死量だと言われおり、さらにニコチンが水に溶け出していると吸収が早いため、灰皿がわりに使っていた空き缶の水を誤飲してしまった場合は5分程度で死に至るという報告もあります。
非常に危険な物質なので、もし誤飲してしまった場合、必要な場合は自分で応急処置も行い、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
まとめ
飼い主様のちょっとした隙を盗んで愛犬が体に害のある危険な食べ物や、食べ物では無い物を食べてしまう誤飲は愛犬の命に関わることがあります。
非常時こそ飼い主様が冷静に対処する必要があります。落ち着いて愛犬の状態を把握して正しく対応することが愛犬の命を繋ぐ最善の手段です。愛犬に誤飲の症状が現れた場合、動物病院に連れて行くべきか、自宅ですぐに処置を施すべきか、冷静に判断してください。