愛犬に与えるドッグフードを選ぶ時、材料に何が使われているのか、身体に悪いものが入っていないかなど飼い主さんの基準はそれぞれです。しかし、愛犬の健康を守るドッグフードがどのような工程で製造されているかを知っている人は少ないでしょう。大事な愛犬に与えるドッグフードなので、製造過程を知っておくのも犬の健康を守るために重要なことです。
愛犬の健康を守るドッグフードの基礎知識
ドッグフードとは肉類や魚介類、卵、野菜などを機械を使って犬用に製造したものです。または、天日干しなど簡易的な方法で製造した犬用の食料のことです。
ドッグフードの4タイプ
ドッグフードの製造について知る前に、ドッグフードにはどんなタイプやどんな種類があるかを知っておきましょう。
まずドッグフードは4種類のタイプに分けられ、その分類はフードに含まれる水分量で変わります。
- ドライフード
- ソフトドライフード
- セミモイストフード
- ウェットフード
水分が10%以下のドッグフードをドライフードといいます。ドライフードの特徴は、開封後の保存期間が長くてコストパフォーマンスがよいことです。加熱発泡処理されている固形物で、一般的に言う「カリカリ」です。歯に歯垢がつきにくいので、虫歯になりにくいメリットがあります。
水分含有量が25~35%のドッグフードをソフトドライフードといいます。ドライフードよりもしっとりしていますが、このしっとりした食感は湿潤調整剤という添加物を使っています。
水分含有量はソフトドライフードと同じ25~35%のドッグフードをセミモイストフードといいます。ソフトドライフードと違う点は、製造の過程で膨らませることをせず、柔らかい食感だということです。時間が経つと水分が飛んでしまうので、保存に注意が必要です。
水分含有量75%程度のとても柔らかいドライフードをウェットフードといいます。肉や魚を原料としたもの、野菜を加えたものなどが存在します。レトルトパウチや缶詰で売られていることが多く、未開封であれば長期保存が可能ですが、開封後は傷みやすいので注意しましょう。
ドッグフードの種類
ドッグフードは目的別に異なるフードを与えます。犬の「食事」として栄養を摂る目的で食べさせる主食と、おやつのような目的で与える副食があります。
- 総合栄養食
- 副食・間食
このフードと水だけで犬の健康を維持できるような栄養バランスがあるフードです。この総合栄養食は犬の成長に合わせて与える量や成分が異なり、その量は袋に表記されています。
また、販売するには「ペットフード公正取引協議会」が決めた分析試験と給与試験を行い、それがパスすれば総合栄養食として売ることができます。
副食は総合栄養食とは栄養の成分が異なり、これだけでは健康維持ができないフードのことです。総合栄養食と一緒に与えるか、おやつとして食事の合間にあげます。
また、「間食」はおやつとして捉えるので、しつけのときのご褒美にしたり、飼い主さんと飼い犬のコミュニケーションとして使われることが多いです。
間食も副食も与えすぎると栄養を摂るための総合栄養食を食べなくなってしまうので注意しましょう。
犬を飼っているなら知っておきたい!ドッグフードの製造過程は?
次に、実際ドッグフードはどのように製造されているか、その製造工程を解説していきます。
工場で原料を細かく粉砕して混ぜる
大規模な工場では原材料である肉粉や穀物を1トンという単位で仕入れます。そして加工されるまでの間、貯蔵施設に保存しておきます。
複数のハンマーを持った粉砕機で、乾燥原材料を小麦粉の少し粗い程度の大きさになるまで細かく砕きます。粉砕の目的は「原材料の大きさを均一にする」「加熱処理しやすくする」「水が絡みやすくなる」「食べたときの消化率を高める」などです。
そして粉砕した複数の原材料が均一になるように混ぜ合わせます。撹拌機で原材料をすべて混ぜ合わせ「ドライミックス」と呼ばれる生地の元になるものを作ります。
前調整
次の工程は、添加物や水をドライミックスに加えて水分量を高める前調整です。調整が正しくできないと、必要な栄養素が均一でなくなることがあるため機械でしっかりモニタリングしながらこの工程を行います。
押し出し成形
前調整された材料を加熱、加圧、成型、切断する製造過程のことを「押し出し成型」といいます。この過程は、ドライフードとセミモイストフードを作るための加工方法として知られています。
機械で加熱・成型
次に行うのは加熱と成型です。加熱の目的は、微生物の死滅と栄養成分を低下させる酵素の働きを抑えることです。34~37という高い気圧の中で、80~200℃の温度を加えて行います。
成型では原材料をカットしてペットフードの外観を作ります。フードの形はさまざまですが、一般的に売られているドッグフードは丸型や魚型、骨型などの形があります。
乾燥
成型でできた原材料の水分を減らす過程を乾燥といいます。乾燥は低い温度から少しずつ高い温度にして水分含有量を減らしていきます。急激に乾燥させると外側だけ乾燥してしまい、水分を内部に閉じこめることになります。こうなるとフードの表面にひび割れができてしまします。
コーティング
最後の工程は、原材料の表面にフレーバーや油をつけるコーティングです。機械の中に原材料を入れて回転させながら表面をコーティングしていきます。この後は細菌やカビが繁殖しないように温度を下げていき、充填・包装へと回されます。
ドッグフードの製造販売するために安全性を守る決まり
ドッグフード製造会社は安全を守る義務がある
日本国内で売られるペットフードは、原材料の名前すべてをパッケージに記載することがペットフード安全法によって定められています。ペットフードを製造する会社にはペットの安全を守る義務が課せられているのです。
ドッグフード製造の基準と規格
ペットフードを生産する工程で、農薬や異物などが混入する恐れがあります。このような汚染を避けるために、2006年「安全なペットフードの製造に関する実施基準」をペットフード協会が設けました。
また、2010年から「ペットフード安全管理者認定制度」を開始し、農林水産省は「ペットフードの適正製造マニュアル」をメーカー向けに公開するなどして、ペットフードの安全に取り組んでいます。
そのペットフードの基準と規格は以下の通りです。
【製造方法の基準】
- 有害物質や病原菌を含んだ原材料を使用してはいけない
- 加熱・乾燥をする製品は病原菌が繁殖しないように製造しなければならない
- プロピレングリコールを使用してはいけない
- ペットフードの名称
- 原材料名
- 賞味期限
- 製造業者・輸入業者または販売業者名と住所
- 原産国名
【表示の基準】
以下の5項目を日本語で表示しなければなりません。
ドッグフードの製造工程を知って愛犬が安心できるフードを買おう
大切な愛犬に食べさせるドッグフードがどのように作られているか、お分かりいただけたでしょうか。ドッグフードにはいろいろな種類があり、目的別に選ぶことができます。ペットショップやホームセンターにはたくさんの種類のドッグフードが売られています。それらがどのように製造されたのか、知識があると選び方も慎重になって、犬の健康を考えて良いものを選んであげられるのではないでしょうか。