人間の主食の1つであるパン。食べているといい匂いにつられて愛犬が食べたそうにこちらを見つめてきますよね。そんなパンですが、愛犬に与えても大丈夫なのでしょうか?今回は犬にパンを与えていいのか、また与えてしまった場合どうなるのかをまとめました。
犬はパンやパンの耳を食べても問題ないの?
犬にとってパンはあまり良くない食べ物
パンは基本的に犬に与えるのを禁止するほど身体に害を及ぼすものではありませんが、パンの種類によっては犬の健康を害するものもあるので注意が必要です。犬に与えてはいけないネギなどの食材を使用したパンは食べさせてはいけません。
そしてパンは比較的カロリーが高いため、カロリーの摂りすぎになってしまう恐れがあります。食べるとお腹の中で水分を含んで膨らむので、それだけで満腹になりドッグフードを食べなくなってしまう恐れがあります。
人間は自分自身でカロリーの摂取量を調整できますが、同様に愛犬のカロリーの摂取量も気にしてあげることが大切です。
体重が3kgの犬と60kgの人間では、1日に必要なカロリーに15倍ほどの差があります。そのため、人間と同じ量のカロリーを摂取してしまうと肥満につながる恐れがあるので気をつけましょう。
市販のパンを犬にあげる場合は無添加の物で少量をあげる
市販のパンの中には、犬が食べてはいけない玉ねぎなどのネギ類やチョコレートが入っているものもあり、気づかぬうちにあげてしまうことがあります。
また、ペストリー系やバターロールは油脂が多くカロリーが高いため肥満につながる場合があります。
市販のパンをあげる場合はなるべく無添加の物で、少量をあげるようにしましょう。
あげるなら手作りや犬用のパンをあげるのが安心
どうしても犬にパンをあげたいという飼い主さんがいるのなら、手作りや犬用のパンがおすすめです。
手作りする場合は通常のパンと同じように作りますが、糖分や油を極力加えないように気つけましょう。もしも作るのが大変だと感じたら、ホームベーカリーなどがあれば簡単に作ることができます。
そして最近ペットショップには犬用のパンが売られているのをご存知でしょうか?犬用のパンは少々高価な物が多いですが、与えるならこちらを選ぶ方が安心できますね。
犬にパンを与えてはいけない7個の理由
小麦粉が消化を悪くする
犬は人間と違って、小麦グルテンを消化するのに必要なアミラーゼという酵素をわずかしか持っていません。そのため小麦グルテンを消化することができず、そのまま排出してしまうのです。
犬の消化器官は短く、高タンパク質の食事に適応し、タンパク質を効率よくエネルギー源として摂取し、使用することができるような構造になっています。そのため、小麦のようなタンパク質のない食事はそのまま排出されてしまうのです。
パンに含まれる小麦グルテンが犬の歯周病の原因に
パンを食べているとたまに歯にくっつくことがありますよね。これはパンに含まれる小麦グルテンという、とても粘り気が強い成分が原因です。
犬もパンを食べると犬の歯にパンがへばりつき、歯周病の原因になってしまいます。将来のためにも犬にパンを与えないことをおすすめします。
人間用のパンには食塩が含まれている
健康な犬の場合は過剰摂取した塩分を体外へ排出することができます。
しかし、心臓や腎臓が悪い犬はうまく塩分を排出できないことがあり、血液検査などを行っても、数値上は心臓や腎臓が悪いなどの判断は難しいとされています。
そのため、全体的に犬へは食塩が多く含まれているパンを与えない方がいいでしょう。
マーガリンが健康を害する恐れがある
マーガリンにはトランス脂肪酸が入っていて、過剰に摂取した場合、健康に悪影響を与えるとされています。このことについて農林水産省は十分な証拠はないとしています。しかし、犬にとって必ずしも必要な食材ではないので、与えるのは控えた方がいいでしょう。
そして、マーガリンはコレステロール値も高いため、肥満の原因にもなりやすいです。
糖分の摂り過ぎで糖尿病や肥満につながる
パンには糖分がたくさん含まれていて、犬の肥満を引き起こしてしまうとも言われています。
肥満はさまざまな健康被害の原因につながります。ダイエットで犬にストレスを与えてしまったり、体調を崩し長期的な治療が必要になったり、いいことはありません。
また、肥満から糖尿病を発症する場合があります。糖尿病は一度発症すると長期的な治療が必要になります。
犬の糖尿病はインスリンというホルモンの1種の働きが悪くなることで、血中の糖が多くなって起こってしまう病気です。インスリンはすい臓から分泌されており、血中のグルコースという糖を細胞内に取り入れる働きを持っています。糖分を摂りすぎてしまうと、本来細胞の中に入るはずだったグルコースが血中に残ってしまい、血液中の糖の濃度が高くなってしまいます。これが糖尿病の原因なのです。
症状としては、
- 水を大量に飲む
- 食べる量が増える
- 体重が減少する
- 尿の量や回数が増える
- 腹部の肝臓部分が膨れる
- 目が白くなり白内障を起こす
- 嘔吐・下痢・昏睡などが起こる血糖病性ケトアシドーシスになる
があります。
調理パンに含まれる添加物は犬の健康を害する物が入っている可能性が高い
調理パンには大量生産をしつつ見た目や風味の良さを出したり、保存性を高めるために、実にさまざまな食品添加物が使用されています。
その代表として塩化アンモニウムやリン酸カルシウムなどが挙げられます。これらに嘔吐や下痢の症状を引き起こす恐れがあるので注意しなければなりません。
また、トランス脂肪酸という成分が製造の過程で含まれている場合が多く、これらには心疾患や脳梗塞、老化を早める、ガンになるリスクを上げる、免疫機能に異常をきたすなどの症状が現れることがあります。
そして、調理パンの中には犬が食べてはいけない食材が入っている場合もあります。
下記は一例なので、他にも犬が口にしたらダメなものを事前に調べておくといいでしょう。
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- ネギ類
犬にとって玉ねぎなどのネギ類が危険ということは知っている飼い主さんも多いと思います。
ネギがダメな理由としては「有機チオ硫酸化合物」という物質が原因です。この物質は人間やサルなどの霊長類には問題ないですが、その他の動物には毒物になります。
有機チオ硫酸化合物が体内に入ると溶血が起こります。溶血とは血液中の成分である赤血球を酸化し、壊してしまうことです。ネギを食べることでこの溶血が起こってしまい、貧血になるのです。
この有機チオ硫酸化合物は加熱しても変性しにくいため、加熱されている調理パンなどでも溶血が起こる恐れがあります。
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- チョコレート
犬にとってチョコレートは命を落とすこともある危険な食べ物です。チョコレートの原料となるカカオ豆に含まれるテオブロミンは、犬が中毒症状を引き起こす成分です。
テオブロミンは利尿薬や血管拡張薬に使われる成分で、人間の世界では医療や医薬で役立っています。しかし、人間と比べると犬はテオブロミンを分解する力が弱く、上手に排出できないので長い時間体内にとどまっていることになります。
この毒素を体外へ排出しようと下痢や嘔吐の中毒症状のほか、頻尿になったり脈がおかしくなる、痙攣を起こす、身体の震えが止まらなくなる、ふらつく、ぐったりして昏睡状態になる恐れがあります。そして、テオブロミンが心臓の鼓動を激しくさせたり、大脳を興奮させる作用があります。
犬がチョコレートを大量に食べた場合、テオブロミンを大量に摂取することになるため、ひどいときは6~24時間以内に命を落とすことがあります。
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- 焼きそばパンやホットドック等の味が濃いもの
焼きそばパンやホットドック、ハンバーガーなどは人間にとっては非常に美味しく感じられるものです。
しかしこれらは、調理する過程で油分や塩分、調味料などをたくさん含みます。どれかしらの調味料でアレルギーや危険な成分が含まれている可能性が高いので、これらを犬に与えるのは避けましょう。
パンで下痢・嘔吐などのアレルギー症状がでる恐れもある
パンの小麦粉に含まれているグルテンという成分を、犬は分解することができません。そのためアレルギーを起こすことがあります。
犬のアレルギーの中で一番多いとされているのが、小麦アレルギーです。症状としては、下痢や嘔吐、皮膚の痒み、目の腫れ、腸炎、肉球を噛むなどです。他にも継続して食べ続けることで毛の艶が徐々に減ってくる場合もあります。
愛犬がパンを勝手に食べてしまった!
愛犬がパンを誤飲しても少量なら問題ない!?
ここまで読んでいただいて、パンの危険性を理解いただいたかと思います。それでもちょっと目を離したすきに犬がパンを盗み食いしてしまうかもしれません。
しかし少量なら犬の体に問題ない場合が多いです。量にもよりますが、その後に与えるドッグフードの量を少しだけ減らしてください。
ただ、すべての犬が100%大丈夫な訳ではないので、1週間は様子を見ていつもと違うようなら病院へ行きましょう。
たくさんパンを食べてしまっても1回程度なら大丈夫?
お留守番させているときに大量に食べてしまった!なんてこともあるかもしれません。しかし、1回程度なら上記の症状が出ることはほとんどないでしょう。
もし、愛犬が苦しそうにしていたら動物病院に連れて行ったほうがいいとですが、特になにもなくケロッとしていたら、次に与えるドッグフードの量を減らし、様子を見ましょう。
犬に人間用のパンは与えないように!
ここまで犬にパンを与えることへの危険性についていくつか挙げてきました。
しかしどうしても愛犬とパンを一緒に楽しみたい!という飼い主さんは、手作りで愛情を込めて作ってあげるか、犬用のパンを買ってあげて一緒に楽しむようにしましょう。
そして、あげるときはまずは少量からにして愛犬の健康状態をチェックしながらにしてくださいね。