りんごが好きなわんちゃんは多く、一般的にも犬にりんごを与えても大丈夫だといわれていますが、適切な量やあげるタイミングなど正しい知識を持っている飼い主さんは少ないのではないでしょうか。イギリスでは「りんごは医者いらず」とのことわざがあるように、栄養価の高いフルーツではありますが与え方に注意しなければ逆効果となってしまいます。今回は、犬にりんごを与える際の注意点や身体に良い栄養素の解説、おすすめの与え方や活用法をご紹介します。
与え方にさえ注意すれば犬にりんごを食べさせても大丈夫
まずは少量のりんごを犬に与えて様子を見る
犬にりんごを与えることは基本的に問題ありません。
甘くてジューシー、しかも栄養素が豊富に含まれているりんごを愛犬の食事やおやつとして与えることで、健康維持にも役立てることができます。
ただ、与える分量やサイズなどに注意を払わずにいると愛犬の健康を害してしまう恐れがあります。
犬に初めてりんごを与える際は、まずは少量から始めてください。どの食材においても言えることですが、最初は少量からスタートさせて犬の体質に合っているのかどうかを確かめる必要があります。
少量を与え続けて特に変わった様子が見られなければ大丈夫ですが、体調不良などが現れた場合は与えるのを止めましょう。
犬にりんごを与える際は細かくしてから
犬にりんごを与える際に最適なサイズとして、「みじん切り」または「小さめの角切り」、「すりおろし」の食べやすい形状にすることをおすすめします。
犬は基本的に咀嚼をしないので、りんごを丸ごと与えると丸飲みしてしまう危険性があります。また、りんごの皮や種は消化不良を起こす原因ともなりますので、食べる前に取り除く必要があるのです。愛犬の食べやすさを重視しながら、りんごを食事のメニューとして取り入れていきましょう。
小型犬は糖分過多になりやすいので1日にあげるりんごの量を少なめに
りんごにはブドウ糖や果糖が多く含まれているため、含有カロリーが高めとなっています。犬に食べさせる量が多すぎると、肥満や糖尿病の原因となってしまう恐れがあります。少量でも甘みが強いりんごは、小型犬の場合、一回の食事で与える量に気をつけなければいけません。
小型犬にとって最適なりんごの量は、1日の総摂取量の10%以内にとどめるのがベストです。目安として、8分の1サイズ程度と考えておいてよいでしょう。りんごの食い付きが良いからといって、与え過ぎるのは決して良くはありません。
おやつにりんごを与える日はドッグフードの量を減らすなどして、摂取カロリー量の調整を心がけてください。普段の食事が取れているのであれば、りんごを食べさせる必要は特にありません。
必要なカロリー量が少ない小型犬には、りんごは特別な日のおやつとして、もしくは食欲が低下している場合の栄養補助として使用するに留めておくのがよいでしょう。
りんごの皮は薬品の付着や犬の消化不良に気を付けて
りんごの皮自体は犬が食べても大丈夫なものとされています。りんごの皮はポリフェノールが豊富なので、できれば余すことなく食べさせたいものです。
ただし、りんごの皮を犬に与える際に、数々の問題点に注意を払わなければいけません。
まず、りんごの皮には栽培時に使用した農薬や、表皮に光沢を与えるためのニスが付着していることがあります。どちらも犬の身体に入ると健康に悪影響が出る恐れがあるので、与える前によく洗浄して、薬品を落としきってください。
りんごの皮は固く、食物繊維が豊富です。食べ物を咀嚼することや食物繊維の消化が苦手な犬に、りんごを皮ごと食べさせることは消化不良を引き起こす原因となりおすすめできません。 病気で消化能力が落ちている際は尚更です。
愛犬にりんごを安全な方法で食べさせるには、りんごを皮ごとすりおろして、咀嚼せずに食べられる状態にする方法があります。食物繊維を適度にうまく取り入れることで、犬の腸内環境の改善に役立てていきましょう。
愛犬がりんごを食べると吐く・下痢などのアレルギー症状を起こす恐れも
果物にアレルギー反応を示す犬がいることを忘れてはいけません。
りんごはアレルギー物質を含む食材として指定されており、犬の体質によってはひどいアレルギーを発症してしまう恐れがあります。りんごが犬の身体に合わないとわかったら、与えることを中止しましょう。
犬のりんごアレルギーの特徴として、下痢や嘔吐、湿疹などの症状があります。愛犬にりんごを食べさせてから様子の変化に気付いたらアレルギーを疑ってください。そして、りんごを与えるのを控えて、獣医師によるアレルギー検査を受けさせることをおすすめします。
また、ドッグフードの使用食材にりんごが含まれているものがあります。りんごアレルギーの犬にフードを購入する際は、必ず成分表に目を通すことを忘れないでくださいね。
りんごは犬におすすめの果物!その効果・効能とは?
犬の健康にお役立ち!りんごの効能とは?
前項で説明したように、与える方法にさえ注意すればりんごは愛犬にとって最高の栄養満点フルーツです。私たち人間同様、犬の健康な身体作りにも活用できるりんごの主な効能をご紹介します。
りんごには、ビタミン、カルシウム、リンなどの栄養素が豊富に含まれています。クエン酸やリンゴ酸といった有機酸は、殺菌作用、消化の促進、胃腸の働きを良くする効果があります。食物繊維が豊富なので、整腸効果も抜群でお腹をきれいにしてくれる働きにも期待できます。
りんごの皮も栄養分が豊富で、食物繊維を始めポリフェノールやペクチンが含まれていることで知られています。ポリフェノールは活性酸素やコレステロールを抑える働きがあり、ガンの予防にもつながります。近年では、紫外線による皮膚の老化を抑える効果があることも発見されています。
ペクチンは整腸作用を促す効果があり、コレステロールの排出や便秘解消に役立ち、大腸がんの予防にもなります。果実、皮の両方ともに栄養たっぷりのりんごを、うまく利用すれば犬の栄養補助として最高の働きをしてくれることでしょう。
りんごのミネラル分であるカリウムで腎臓病予防
続いては、りんごのミネラル分として身体に良い効果をもたらすカリウムについてご紹介します。
カリウムには、体内の不要な塩分の排出を促すことで高血圧を防ぐ働きがあります。利尿作用もあるので腎臓病の予防効果も期待できます。
さらにカリウムには、疲労回復や心臓の動きを良くする働きもあります。犬が毎日元気に過ごせる身体作りのために、りんごでお手軽にカリウム補給を心がけていきましょう。
梨もりんご同様に犬が好きなフルーツ
犬にりんごを食べさせても大丈夫なら、形がそっくりな梨はどうなのでしょうか?梨も身近なフルーツである分、気になっている方も多いのではないでしょうか。梨はりんご同様、与え方に注意を払えば犬に与えても良いとされています。
シャリシャリとした食感がやみつきになる梨は、犬のお気に入りフルーツのひとつです。梨は水分が豊富なので、夏バテ気味の子やお水を飲むのが苦手な子、シニア犬の水分補給に役立てることができます。
さらに食物繊維やカリウム、エネルギー代謝を活発にするアスパラギン酸が含まれているので、体調を整える効果が期待できます。
愛犬に梨をあげる際の注意点や適量
しかし、犬に梨を与える際に注意しなければいけない点があります。
収穫時期以前の梨は、犬が中毒を起こす危険性があるので絶対に与えないでください。スーパーなどで流通している梨であれば問題はありません。
そして水分や繊維質が多い分、与え過ぎは下痢や軟便の原因となってしまいます。また糖分も多いので、カロリーオーバーにも気を付けなければいけません。
梨を与える際の適量としては、例えば1個300g程の中サイズの梨であれば、12分の1程の薄型カットが目安です。犬の一日の食事量の、約10%程度が梨の限度量と考えておきましょう。
また、梨の皮は固いので必ず剥いてから犬に与えてくださいね。一気喰いを防ぐため、りんご同様にみじん切りなどの食べやすい形状で用意しましょう。
梨は、少量であれば犬のおやつとしておすすめのフルーツです。与え方に気を付けて、愛犬に旬の味覚を楽しませてあげてくださいね。
愛犬の健康維持のためにりんごジュースをうまく活用しよう!
手軽に栄養補給できるりんごジュースは与える量に注意して
りんごジュースは犬に手軽にりんごの栄養素を与えることができます。生のりんごを犬に食べさせてあげたいけれど、皮むきや種を取る手間や、切ったら酸化するのですぐに食べなければいけないといった面倒さがありますね。
与え方に注意を払えば、りんごジュースは犬の健康に役立つ飲み物となるのです。
犬にりんごジュースを与える上で最も注意してほしいのが、飲ませすぎないことです。りんごジュースは生のりんご同様、糖質が多いので肥満などの原因となってしまいます。分量としては、コップ半分より少ない位で留めておきましょう。小型犬の場合は過剰摂取に注意して、さらに少なめをおすすめします。
愛犬へは無添加の果汁100%のりんごジュースを選ぼう
愛犬に与えるりんごジュースは、無添加の果汁100%でストレートタイプの製法の種類を選びましょう。果汁100%未満のジュースは、砂糖や甘味料などが添加されているので、犬の健康には好ましくありません。
また、濃縮還元は熱を加えている分りんごの栄養分が損なわれていて、糖分も高めです。
価格は高めですが、りんごの成分や品質が保たれているストレートタイプのジュースを選ぶことが、愛犬の健康を考える上で理想的です。
愛犬に初めてりんごジュースを与える際は、水で3~4倍に薄めたものを少しずつあげることから始めましょう。生のりんご同様、アレルギーなどの体調変化の有無を確認するためです。幸いにも犬の体質に合っていたら、美味しいりんごジュース探しを楽しんでみてください。
犬が下痢を起こした際の整腸作用にもお役立ち
りんごに含まれている食物繊維のペクチンは、腸内の善玉菌を増やすことで腸内環境を整えてくれる役割があります。
手軽にペクチンを摂取できるりんごジュースは、下痢気味の犬のお腹の調子を整えるのに最適なのです。すりおろし、みじん切りなどの下ごしらえが不要なので、忙しい飼い主さんにとっては嬉しい栄養補給ですね。
愛犬のおやつのりんごゼリーの材料にもジュースが大活躍!
犬が喜ぶおやつに、りんごゼリーを作ってみてはいかがでしょうか?材料にりんごジュースを使うことで、手間がかからず簡単にりんごゼリーを作ることができます。ゼリーは老犬や食欲が落ちている犬、夏バテ気味の犬におすすめしたいおやつの一つです。。
ゼラチン以外にも寒天や葛を使う、すりおろした人参を加えるなど、多数のアレンジがあります。ぜひ、参考にしてみましょう。
犬にリンゴ酢を与えても大丈夫?期待できる効果は?
犬に与えても大丈夫なリンゴ酢の割合は?
人間の美容や健康に良いといわれているリンゴ酢は、犬に与えても問題ないといえます。特にリンゴ酢を食べたことによる中毒などの症状は報告されていないので、与え方にさえ気を付ければ、犬の健康維持に役立つアイテムです。
酸っぱいリンゴ酢を原液のままで犬に与える場合は、臭いを嫌がって食べない可能性がある他、胃腸を痛めてしまうので 絶対にやめましょう。水で薄める、ご飯に混ぜる方法が基本です。与える分量は、例えば小型犬なら小さじ1杯より少なめが望ましいです。2、3滴程度と少なめでも構いません。
他の食べ物や飲み物同様、まずは少量のリンゴ酢を犬に与えて様子を見てください。体調の異変などが見られないようなら、適量を守って与えて続けてもよいでしょう。
その他の注意点としては、膀胱結石がある子はリンゴ酢を与える前に獣医師に相談する、腸に炎症を起こしている子には刺激が強いので、与えるのを控えることです。
愛犬の食事レシピにリンゴ酢を加えてひと工夫
リンゴ酢は甘いりんごが原材料ですが、酸味があるので苦手な犬も多いはずです。リンゴ酢そのものを水で薄めて与えるより、数滴程度を普段のご飯に混ぜる、手作りご飯の隠し味のように使うことがおすすめの方法といえるでしょう。
愛犬におすすめ!りんごチップは最高のおやつ
りんごを使ったおやつとして、美味しくて簡単に作れる『りんごチップ』をご紹介します。りんごの素材そのものの味が活きた無添加のおやつは、お散歩の際の持ち歩きにも最適です。
りんごを薄くスライスして、パリパリになるまでオーブンで加熱するだけで出来上がり!と味付けなどの手間がいらず、ご飯作りの合間にも作ることができます。
りんごの皮はあっても無くても構いませんが、種と芯は必ず取り除きましょう。そして、調理前にりんごをきれいに洗うことを忘れないでくださいね。
出来上がったりんごチップは、乾燥剤を入れて密封容器に保存すれば1週間ほど食感の良さが楽しめます。栄養たっぷりのりんごを手軽に楽しめる、りんごチップを作ってみませんか?
愛犬の食事にりんごを上手く取り入れて健康な身体作りを考えよう!
いかがでしたでしょうか?甘くて美味しく、栄養価も高いフルーツの代表格であるりんごは、与える分量などに注意すれば愛犬にとって良い栄養食となります。
愛犬の体質や体格を考慮して愛犬に合った方法でりんごを与えていけば、りんごを喜んで食べてくれるはずです。
ただし犬の栄養源は普段の食事がメインですので、りんごはその補助的な使用に留めておくことを忘れないでくださいね。特別な日のおやつやご褒美にりんごを活用するのがもっともおすすめです。
犬の健康面を考えながらりんごを上手く取り入れて、丈夫な身体作りに役立てていきましょう。