どうしてトイレを覚えさせなきゃいけないの?
犬を迎えてから最初の試練となるのが、トイレトレーニングです。なかなか根気がいるものではありますが、とても重要なものでもあります。では、トイレのしつけというのはどうして行わなければならないのでしょうか。そこにはいくつか理由があります。
トイレを覚えさせる理由
トイレを覚えさせる理由としては、まず第一に人間と犬の間に良い関係を築くということが挙げられます。犬は今では人間にとって癒しの存在ですが、人間社会に共生する以上人間界のルールをしっかりと学ばせることが大切です。
公共の施設に行く場合にはトイレトレーニングができていないと迷惑になってしまう場合もありますし、粗相ばかりしていては周りからの視線も厳しくなります。そのため、しっかりとトイレトレーニングをしてしつけておく必要があります。
トイレトレーニングは犬と人間が気持ちよく社会を生き抜いていくために重要なものなので、面倒くさがらずにしっかりと行いましょう。犬は頭のいい生き物なので、1回覚えてしまえばその後の世話も非常に楽になるはずです。
いつから始めたらいいの?
トイレトレーニングは、子犬のうちに行うのが最も望ましいとされています。生後2〜3か月のわんちゃんはいろいろなことを吸収しやすい時期なので、しつけをするには最適な時期なのです。そのため、トイレトレーニングに限らず、待てや伏せなどのシグナルを覚えさせるのもこの時期が適しています。
とはいえ、わんちゃんは動物愛護法において現在では生後49日、将来的には生後56日を過ぎてからでないと販売してはいけない決まりになっているので、家に来るのは最短でも生後2か月頃でしょう。家に迎えたらすぐにでもトレーニングを開始するようにしましょう。
ただ、この時期を過ぎたらトイレトレーニングができないというわけではありません。根気よく教えれば必ず覚えてくれるので、楽しみながらしつけを行うようにしてください。
トイレトレーニングに必要なものをそろえましょう!
トイレトレーニングをする際にはいくつか用意すべきものがあるので、不備がないようにしっかりと準備しておきましょう。
愛犬のトイレトレーニング時に必要となるのは主に4つで、どれもペットショップなどで購入できるものばかりです。
サークルまたはケージ
サークルやケージは天井のあるものとないものがあります。わんぱくで動きが激しいアクティブなわんちゃんの場合は天井があるもののほうが飛び出し事故を防ぎやすいので安心です。また、サークルやゲージは災害時などにもペットの身を守ることができるので、もしもの時に備える意味でも屋根つきをおすすめします。
サークルは四方を囲んでいるだけのものが多く販売されていますが、トイレトレーニングをする際にはトイレスペースと寝床の間に仕切りがあるもののほうが良いでしょう。仕切りがあることで寝床とトイレを区別しやすいので、より「トイレ」の認識がしやすくなります。トイレ部分と居住スペースのドアが別になっているようなものだと、トイレ時の片付けも楽にできるので便利です。
クレート
クレートはサークルよりも狭く、わんちゃん1匹が入るだけのスペースのものです。これはベルトをつけることもできるので、愛犬のキャリーバッグとして使用することもできます。もともと犬は洞穴などで生活していた生き物なので、狭いほうが安心できるとも言われています。
クレートは、ケージやサークルの隣に設置するなどして、犬が尿意や便意を催すまでまずはここに入れておきます。そして時間を計り、そろそろトイレに行く時間だというときにクレートからケージに入らせ、排尿や排便を促すとトレーニングも楽です。基本的に犬は綺麗好きな生き物のため寝床ではトイレをしないので、おもらしなどの可能性も少なくなります。
また、クレートから出てトイレに向かうことで、「おしっこをしたくなったらトイレに行く」と犬に認識させることができるのです。
ペットシーツ
犬の尿を吸収するためのペットシーツも、犬を飼う上では欠かせないものです。吸水性の高い素材を使用しているものが多く、尿を素早く吸収できるものもあるので、使いやすいタイプのものを選ぶようにしましょう。
ペットシーツはまずサークル等の床一面に敷き詰めるようにして、犬がトイレをしたらその部分のものを取り替えるようにしましょう。「シーツの上でトイレをする」ということを学習させたら、次第にシーツの数を減らし、最終的には1か所でトイレができるように誘導していくことがポイントです。ペットシーツにもサイズがいくつかあるので、愛犬の体の大きさに合うものを選びましょう。基本的に小型犬であればレギュラーサイズで十分ですが、中型犬や大型犬の場合はワイドタイプを使うようにしてください。
トイレトレー
トイレトレーニングの最初のうちはケージの床一面にトイレシーツを敷き詰めるやり方でいいのですが、最終的に1か所にできるようになったら、トイレトレーにシーツを敷き、そこでさせるようにしましょう。
トイレトレーはトイレシーツのズレを防ぐことができますし、おしっこがはみ出してしまったり飛び散ったりするのも防ぐことが可能です。
また、オスで片足を上げて用をたす子には、L字型のものもあるのでこれを活用しましょう。
また、わんぱくな子やいたずら好きな子はトイレシーツをかじってしまうこともあると思いますが、そのような場合には誤飲が心配なのでメッシュがついたものを選ぶといいでしょう。
実践!トレーニング方法
トイレトレーニングに必要な道具を揃えたら、いよいよトレーニングを実践してみましょう。
しつけをする際にはきちんと手順を踏んで、ポイントを押さえてやることが大切なので、始める前にしっかりとチェックしてみてください。
トイレトレーニング方法
トイレトレーニングと言っても闇雲にやるのではうまくいくものも行かなくなってしまいます。
大切なポイントが3つあるので、手順を踏んで実践してみましょう。
しっかり観察しましょう
まず、トイレトレーニングをする際にはきちんと愛犬の様子を観察しておくことが大切です。「ちょっと目を離したすきに粗相をしてしまった!」なんてこともあるので、犬からなるべく目を離さずに様子を確認しましょう。
わんちゃんがトイレをしそうなタイミングになったら、サークルに入れて扉を閉め、様子を伺いましょう。トイレをするまでは基本的に外に出さないようにすることが大切です。
出して欲しくて暴れたり吠えたりすることもあるかもしれませんが、そこで出してしまうと要求吠えの原因となってしまうので要注意です。
サークルに入れたら犬の方は見ずに、ちらちらと様子を伺いながら目線を外して観察しましょう。
排泄のタイミングになったら移動させましょう
犬は排泄時に目印ともいえる行動をとるので、これを見逃さずにチェックしておくことも大切です。
そわそわして動き回り、床のにおいを嗅ぎながらくるくると回り始めたらトイレをする場所の安全を確認する犬の習性なので、すぐにトイレに誘導しましょう。
寝起きや食後、遊んだ後などはトイレをすることが多いので、これらのタイミングではサインを見逃さないようにしてください。
排泄できたら思いっきり遊びましょう!
しっかりと様子を伺い、トイレに誘導して上手におしっこをさせることができなら、その際にはこれ以上ないくらい思い切り褒めてあげましょう。
サークルから出して抱っこしたり撫でたりしながら、「イイコイイコ」と声をかけてあげるとわんちゃんも喜ぶはずです。おしっこが成功したらすぐに褒めて外に出してあげ、おもちゃを与えて遊んであげるようにすると、犬は「あそこでおしっこをするといいことがある」と学習します。
そうして次からもご褒美が欲しくて、同じように用を足すようになり、次第にトイレを覚えていくのです。犬にとって飼い主と遊ぶ時間はとても貴重で嬉しい時間ですから、ご褒美としては最適です。おもちゃの引っ張りっこやボール投げ遊びなどをするとコミュニケーションをとることもできます。
どのくらいの期間で覚えるの?
愛犬のトイレトレーニングを始めても、なかなかトイレを覚えてくれないと不安になりますよね。
「このまま覚えなかったらどうしよう」なんて思って気が滅入ってしまうこともあるかもしれません。
ただ、犬がトイレを覚える期間としては個体差もあり、その子の性格などによっても変わってくるので一概に「何日で覚える」というようなことは言えないのです。早い子では1週間程度トレーニングを繰り返せばすぐに覚えてくれることもありますが、長い子では1か月たっても覚えず、成犬になってもなかなか覚えられないという子もいます。
しかし、犬は知能の高い動物なので根気よくトレーニングを重ねていけばそのうち必ず覚えてくれます。飼い主側が諦めずに愛情を持ってしつけをしてあげることが大切なのです。
トイレトレーニングのコツ
トイレトレーニングをやっていても、なかなかわんちゃんが決まった場所でトイレをしてくれないと不安になりますよね。しかし、なかなか覚えてくれないのはうまくポイントを押さえられていないからかもしれません。
では、どんなことに注意してトレーニングを行っていけばいいのでしょうか。
成功したら思い切り褒めて!
犬はおしっこを上手にできた時のご褒美を成功パターンとして認識し、周りの人間が喜んでいると「これはいいことなのだ」と学習します。そのため、愛犬がトイレを上手にできた場合には少し大げさに感じるくらい派手に喜んで褒めてあげるといいでしょう。必要に応じておやつをあげるなどすると、さらにしつけがしやすくなります。
また、褒めるならおしっこを成功した瞬間にすることが大切です。数分経ってから褒められても犬はなぜほめられているのか分からなくなってしまうので、せっかくのしつけもうまくいきません。トイレを成功したら3秒以内に褒めるのが目安なので、タイミングを逃さないように注意してください。
さらに、褒める際には高い声で褒めることも大切です。犬の習性として嬉しいときには高い声で泣き、怖いなどのマイナスな感情のときには低い声で唸るというものがあります。そのため、人間も高い声を出した方が犬も嬉しい気持ちになることができるのです。
失敗しちゃっても大声を出さないで!
トイレトレーニング中は、失敗して指定の場所以外におしっこをしてしまうこともあります。そんな時、ついつい「きゃー!何やってるの!」なんて大声を出してしまいがちですが、そうすると犬は「ご主人が喜んでる!」と勘違いしてしまいます。そうなるとまた粗相をしてしまう可能性が高くなるので要注意です。
また大声で叱りつけてしまうと、わんちゃんは「おしっこをすること自体が悪いこと」と捉え、人前で用を足さずに隠れてするようになってしまいます。犬にとって辛いことは飼い主に無視されることなので、もし愛犬がトイレに失敗してしまった場合は犬をサークル等に入れて目を合わせず、黙々と片付けるようにすると効果的です。
そうするとわんちゃんは「もしかしてダメなことをしちゃったのかな」と感じて指定の位置以外でトイレをしてはいけないことを学習していきます。
トイレをしつけ直したい時は?
わんちゃんへのトイレのしつけは基本的に早い段階で行うことが大切ですが、成犬の犬を迎えることもありますよね。また、小さい頃はできていても歳を重ねるごとにできなくなってしまうこともあるでしょう。そのような場合にもトイレトレーニングをやり直せば、きちんと覚えさせることができるので、諦めずにしつけを行いましょう。
子犬も成犬も基本は一緒!
子犬の頃の方がトイレトレーニングはしやすいのですが、成長したからといってできなくなるというものでもありません。
成犬でのとレーニングは子犬に行うよりも時間がかかる事が多いですが、根気よく教えることでちゃんと覚えてくれます。また小さい頃のしつけの仕方が悪いと、トイレができるようになっても何かの拍子にまた粗相を繰り返すようになってしまうこともあるので要注意です。
ただ、このような場合にも基本的には子犬の頃のトイレトレーニングと同様の方法をとれば、きちんとトイレを覚えさせることはできます。犬は知能の高い生き物なので、なかなか覚えないからといって諦めずに続けてみましょう。それでも覚えないという場合には、トイレ周りの環境が悪い可能性もあるので見直してみてください。
犬はきれい好きなので、トイレの周辺が汚かったりくさかったりするとそこでトイレをしたくなくなってしまいます。そのため、消臭スプレーを使っておしっこはしっかりと拭き取り、きれいに保つことが大切です。
さらに、興奮によってウレションなどをするわんちゃんの場合は、普段欲求不満でストレスが溜まっている可能性があるので、精神を落ち着けるためにもスキンシップを取るなどしてストレスをケアしてあげるようにしましょう。
まとめ
今回は、わんちゃんのトイレトレーニングについて方法や注意点、ポイントについて紹介してきました。犬がなかなかトイレを覚えずにやきもきして「うちの子はどうして覚えないんだろう……」なんて悩んでしまう人もいることでしょう。
しかし、犬は人間が要求したことに精一杯応えようとする知能の高い生き物です。わんちゃんの性格によってもトイレを覚えるスピードは違ってきますが、どんな子でも根気よく教えれば理解してくれるものです。
大切なのは飼い主が愛情を持ってしつけることなので、「うちの子はダメ」と思わずに優しく教えてあげるようにしましょう。正しくトイレを覚えさせることができれば公共の施設やドッグラン、ドッグカフェや犬同伴可のホテルなども一緒に楽しむことができるようになり、
一緒に過ごす日々がより一層楽しいものになるはずです!