愛犬がお腹を上にしてゴロンと寝る姿に癒されている飼い主さんも多いのではないでしょうか。何気ない仕草ですが、犬が仰向けで寝る理由にはいくつかの理由があることをご存知でしょうか。また、愛犬が仰向けに寝てくれるとケアもしやすいため、仰向け寝は飼い主さんにとってもメリットがあります。今回は犬が自ら仰向けになる理由と、仰向けの姿勢を教える際に注意すべきことついてご紹介します。
犬が仰向けで寝る意味は?
飼い主さんに服従しているサイン
犬にとって、お腹を見せることは降参・服従を意味します。お腹を見せた状態ではすぐに攻撃ができない無防備な体勢になるので、お腹を見せることで「敵意はありません。あなたに従います。」という意味を表しているのです。
また、飼い主に怒られている時や圧倒的に強い相手と対面している際は、緊張感の表れからしっぽをお腹の方に丸めて耳も下がっています。
飼い主さんに触ってほしいサイン
犬の急所であるお腹を見せながら飼い主さんを見つめて、しっぽを振ったりダラっと垂らしたりしているときは「お腹を撫でてほしい」や「甘えたい」のメッセージです。飼い主さんのことが大好きで行っているポーズなので、優しく撫でてあげましょう。
警戒心を解いてリラックスしている
本来、犬は警戒心の強い動物なので自分の縄張り以外の場所では仰向けになって寝ることはありません。つまり家の中で仰向けに寝るようになったら、家を自分の縄張りだと認識し、心からリラックスしている証拠です。信頼している人や場所でしか見せないポーズなので、そこで愛犬の嫌がることをして不信感をもたれないように気を付けましょう。
暑くて体温調整している
暑い時期に冷たい床で仰向けに寝ているのは体温調節をしているからです。舌を出してハァハァと呼吸をしているときは犬が暑いと感じている証拠なので、エアコンや冷んやりマットなどを使って涼しい環境を作ってあげてくださいね。
犬が仰向けになってくねくねしているときは?
シャンプーした後や洋服を着せたときに、愛犬が仰向けになってくねくねしている姿を見たことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。この場合は新しい臭いのついた自分の身体に、もう一回自分の匂いをつけようとスリスリしている状態です。嗅覚が発達している犬にとっては大切な臭い付けなので、そっとしておいてあげましょう。
また、背中が痒いときもくねくねすることがあります。たまに行っているぐらいなら心配いりませんが、頻繁にやる場合はノミがいる可能性もあるので、動物病院に連れて行ってあげましょう。
犬の仰向け寝にはメリットがある
ここまでは愛犬が仰向けの姿勢をする理由について紹介しましたが、実は犬が仰向け寝できるようになることで飼い主さんと愛犬にとってメリットがあります。
飼い主さんの両足の上に愛犬が仰向けになって寝るポーズを「仰向け抱っこ」と言いますが、実は「リラックスポジション」とも呼ばれており、子犬のときから覚えさせておきたいポーズの一つでもあります。その理由を次の項目でご説明していきます。
愛犬の爪や歯・毛のお手入れがしやすくなる
仰向け抱っこに慣れた犬は、されるがままの状態でリラックスしてくれることが多いので、普段は駆け回ってなかなかお手入れさせてくれないわんちゃんの飼い主さんにとっては爪切りや歯磨きがしやすい姿勢です。
また、毛の生え変わりの時期には、お腹の抜け毛もかなり増えます。ブラッシングせずにそのままにしておくと犬が自分で無理やり抜いてしまったり、足で引っ掻いて皮膚を傷つけてしまい皮膚病の原因になってしまいます。
仰向け抱っこができるようになれば、お腹部分のブラッシングもしやすくなるので、愛犬のためにも教えてあげるといいかもしれませんね。
病気の早期発見につながる
動物は痛いところがあっても話すことができないので病気の発見が遅れがちですが、愛犬が仰向け寝してくれることで、普段では見えにくい脇やお腹周りをよく観察することができ、身体の異常を発見しやすくなります。
お腹の皮膚にかぶれや炎症がないか、乳腺が腫れていないかなど、いつもの姿勢では気がつきにくい部位もよく観察できるので、仰向け寝のポーズをできるようにしておくと病気の早期発見に役立つかもしれません。
動物病院で落ち着いて受診できる
健康な犬でも定期的な健康診断や狂犬病の予防接種のために動物病院を受診することがあります。診察をする時にお腹に心電図をとったり、触診をする時には仰向けポーズになってお腹を見せなせればならないシーンがあります。
動物病院が嫌いで暴れてしまう子も多いのですが、いつでも仰向けになれるようトレーニングしておくことで、いざという時でもスムーズに対応してもらいやすくなります。
犬の仰向け寝には注意点もある!
仰向け寝にはメリットがある一方、注意点もあります。性格的に仰向け寝が苦手な子や骨格的に避けた方がいい子もいます。また、接し方を間違えると愛犬との関係が崩れてしまうこともあるので、飼い主さんがしっかりと注意点を理解しておきましょう。
犬が仰向け寝を嫌がったら無理矢理行わない
一昔前は飼い主さんと犬の間に主従関係を築かせるため、仰向け寝をしつけの一環として無理矢理行うこともありました。
しかし、最近は無理矢理行うことで人に対して恐怖心を与え、返って攻撃的になる恐れもあると考えられ始めました。「怖い」という気持ちから吠えたり、噛んだりすることもあるので、愛犬が嫌がったら無理強いはせず様子を見ましょう。
叱るときは甘やかさずに毅然とした態度で
愛犬がイタズラをして叱ろうとしたとき、コロンっと仰向けに寝られて、それが可愛くてお腹を触ったり、笑顔になってしまった経験のある飼い主さんはいるのではなでしょうか。
しかし、これは「お腹を見せれば許してもらえる。嫌なことをされない。」と覚えてしまい、主従関係が成り立たなくなるので行ってはいけません。甘えてくる様子は可愛いですが、これを繰り返していると段々言うことを聞かなくなってくる可能性もあるので、叱るときは毅然とした態度で接しましょう。
警戒心が強い犬は無理に仰向けにしないでOK
警戒心の強い犬が仰向け寝ができるようになるためには時間がかかってしまいます。無理やり仰向けにしてしまうとストレスを感じたり、飼い主に対して、心を閉じてしまうこともあります。もし仰向け抱っこのトレーニングをするなら、ゆっくり気長に取り組みましょう。
仰向けにしない方がいい犬種は気を付けて
犬種によっては仰向けにさせない方がいい犬もいます。場合によっては身体にかなりの負担をかけることもあるので、まずは自分の愛犬が下記の犬種に当てはまるか確認し、当てはまる場合は十分に注意してくださいね。
- 鼻がぺちゃんこの短頭種
- 腰に負担がかかりやすく仰向けに向かない犬
鼻がぺちゃんこのシーズーやパグ、フレンチブルドックなどの短頭種は、もともと鼻腔が狭い上に胸元ががっちりしているので、仰向け寝することで気道を圧迫し呼吸しづらくなってしまいます。長時間の仰向け寝は危険なので避けてくださいね。
ダックスフントやプードル、コーギー、パピヨン、柴犬などは腰に負担がかかりやすい犬種なので、長時間の仰向け寝は避けましょう。爪切りや歯磨きなど、短時間の仰向け寝なら問題ない場合が多いので、愛犬の様子を見つつリラックスさせた状態で素早くお手入れできるようにしてあげましょう。
特にダックスフントやコーギーなどの胴長短足の犬種は椎間板ヘルニアを発症しやすいです。発症すると最悪の場合、歩行困難になる恐れもあるので十分に注意してください。
仰向け寝のメリットや注意点を十分に理解しよう
ご紹介したように、犬の仰向け寝にはいくつかの理由があります。また、仰向けの姿勢は愛犬ためにも覚えておくと役立つポーズでもあります。
しかし、犬の性格や骨格によっては無理に行わない方がいい場合もあるので、そのときは無理強いしないようにしてくださいね。