犬のしつけと言えば「お座り」ですが、お座りは勝手に覚えるものではありません。しっかり飼い主さんが犬に教えなければいけません。お座りは覚えておくととても便利で、毎日指示することもある重要なコマンドの一つです。ここでは犬へお座りの教え方についてご紹介します。
どうして「お座り」を教えた方が良いの?
ここでは、犬に「お座り」を教えることのメリットについてご紹介します。
お座りはしつけの基本動作です
お座りはしつけの基本となります。お座り以外の「待て」や「伏せ」などのしつけもお座りを覚えていることで格段にしつけしやすくなります。他にも犬が障害物を飛んだり避けたりする競技・アジリティーなどのトレーニングもお座りをしっかり覚えていないと行うことができませんので、犬を飼育し始めたら、まずは「お座り」を覚えさせるようにしましょう。
お座りを覚えることで食事の際などゆっくり食事を取ることができる他にも、散歩に落ち着いていけるなどのメリットも多くあります。
犬の問題行動を予防する効果も!
お座りを教えることで、犬の問題行動を予防する効果が期待できます。散歩時、自宅で、犬の問題行動に悩んでいる時にお座りはとても効果的です。犬が何か問題行動を起こしている時は、ほとんどの場合犬は興奮しています。そんな時に飼い主さんが「お座り」という指示をすることで犬が冷静になり落ち着くことができます。
散歩の時に他の犬に吠えてしまいコントロールがきかなくなってしまったときなども、飼い主さんが犬にお座りの指示をすることで、他の犬に吠え飛びつこうとしている犬もどんなに興奮していても落ち着いてお座りし、犬同士のトラブルを防ぐことができます。他にも、インターホンが鳴った時の犬の無駄吠え、飼い主さんが帰宅した際の飛びつき、他の犬との喧嘩など、様々な問題行動を防ぐことができます。
「お座り」の教え方をご紹介!
「お座り」は様々な面で大事な基本的なしつけです。飼い主さんが困っている問題行動もお座りの指示だけで解決することもあります。「お座り」ってどうやって教えたらいいのか、どんな方法が簡単なのか、「お座り」の教え方をご紹介します。
集中できる環境を作ってあげましょう
まずは犬が集中できる環境を作ります。犬が初めて来た場所や他の犬がたくさんいる、おもちゃがたくさんあるなどの場所は犬が集中することができないため不向きです。
自宅で行う場合は比較的静かで物が散乱していない場所を選びましょう。静かな場所でも犬がそわそわしていたり、あまり落ち着けないようであれば、時間をかけてその場所に慣れさせるか、他の場所にしましょう。少し騒がしい場所でも犬が集中できるようであればその場所でもかまいません。犬の様子に合わせて場所を選びましょう。
号令は家族全員、統一しましょう!
「お座り」だけでなく、他のしつけでも同様ですが、なかなか犬が覚えられない原因の一つとして家族間での号令の違いがあげられます。お座りの指示の仕方はいくつかあります。「お座り」、「スワレ」、「sit(スィット)」など様々です。お母さんは「お座り」というけれど、他の家族は「スワレ」と指示をしていたり、ということがあると、犬は「何だろう?」と指示を理解することができずに戸惑ってしまいます。
しつけをする際は必ず家族間で号令を同じにするようにしましょう。
おやつ、おもちゃなどのご褒美を上手に活用しましょう
環境作りや号令について決まったら、実際にしつけを始めましょう。しつけをする際は犬が興味を持っているおやつ、おもちゃなどをご褒美として活用するとより効果的に覚えてくれます。
まず、はじめに犬と向かい合います。(または犬を横に立たせてもできます)犬が立っている状態で始め、注意をおやつもしくはおもちゃに向け、犬の顔に近付けます。あまりに大きなおもちゃだと子の際に噛みついてきて興奮する場合がありますので、手のひらに収まるサイズのものを選びましょう。おやつも小さくしておくといいでしょう。
そのおやつもしくはおもちゃを犬の頭の後方にもっていきます。犬はおやつもしくはおもちゃの入った手に注目しながら後ずさりし、最終的にお尻を地面につけお座りの状態になります。犬がお座りをする際に「お座りの号令」をはっきり犬にも聞こえるように言いながら、「良い子!」などと言って褒めてあげましょう。犬の身体をゆっくりと撫でてあげるのも効果的です。
それを何度も繰り返し続けることで犬は「自分がした行動(座った)」に対して「嬉しいこと(おやつもしくはおもちゃ、褒めてもらえた)」が起こったと認識し、その行動は強化されます。
なかなか後ずさりばかりで座らない場合は何も持っていない手でお尻を押えて座らせてもいいでしょう。この時に「お座りの号令」をかけながら行いましょう。
号令はあまり何度もうるさく言うのではなく、1度はっきり大きな声で犬に伝えるようにしましょう。
しつけをする際におやつを使用する際はおやつの量には気をつけるようにしましょう。今日はこれだけと決めて、そのおやつを小さく細かくしておき、1つずつ与えましょう。しつけのためだからと言ってたくさん与えるとそれが原因で肥満になる可能性が高くなります。ダイエット中であれば、一日の給餌量からご褒美として与えるのもいいでしょう。
お座りをしなくなったのはどうして?
お座りができるようになったのに、急にお座りをしなくなるということ経験ある人も多いのではないでしょうか。一度覚えたからと言って犬はずっと覚えているわけではありません。ここでは犬がどうしてお座りをしなくなったのか、原因についてお話します。
わんちゃんを甘やかしてはいませんか?
しつけをする際はしっかり厳しく教えていたのにもかかわらず、それ以降は適当になってしまい、犬がしっかりお座りしていなくてもご褒美を与えてしまったり、犬が我慢できずにご褒美だけを食べてしまっている、なんてことはありませんか。犬は何度かそれを経験すると、「こんなものでいいのか」と認識し、それ以降お座りなどの指示も飼い主さんの言うこともきかなくなります。「きちんとやらなくてもくれるんでしょ~」と考えるようになってしまってからではしつけもやり直しが必要になります。
「お座り」のトレーニングを怠ることで毎日の散歩や食事の際などに問題行動が見られた時に制止させることが難しくなります。基本的なしつけほどきちんと行うようにしましょう。
反抗期に入っているかもしれません
最近「お座り」をしなくなった、それは、反抗期かもしれません。小型犬は生後4~6カ月ごろ、大型犬で生後9~12ヶ月ごろに犬の反抗期があると言われています。実際反抗期を経験した飼い主さんもいれば、反抗期はなかったと認識している飼い主さんもいますので、犬の反抗期は個体差があります。
反抗期で「お座り」をしなくなったときの対処法として、必要以上に叱ったり、うろたえたりしないようにしましょう。犬が飼い主さんの指示に対して言うことを聞かない場合は無視しトレーニングを中止してもいいでしょう。反抗期で全く「お座り」をしなくなってしまうと、トレーニングをまたやりなおさなくてはいけなくなることもあります。愛犬の反抗期はルールを決めて必要以上叱りつけるようなことのないように、心に余裕を持って接するようにしましょう。
もしかしたら、どこか痛いのかも…
「お座り」の指示をしてもどうしてもしてくれない、そんな時は体のどこかが痛いのかもしれません。足や関節、お尻、肛門などに傷はありませんか。愛犬が嫌がって見せてくれない、もしくは見ても分からない場合は一度動物病院を受診してもいいでしょう。
関節炎や骨に異常がある場合は歩き方もふらふらしたり、あまり運動をしたがらないなどの症状も見られ、チワワなどの小型犬に多いのが肛門嚢破裂という症状で、肛門の両側についている肛門嚢が破裂などすることにより起こります。お座りの状態でお尻を引きずっていたり、お尻をしきりに気にする様子があれば肛門腺絞りを行う、もしくは、動物病院を受診しましょう。
もしかしたら、聞こえていないのかも…
愛犬がお座りをしない場合、もしかしたら飼い主さんの「お座り」という指示が聞こえていないのかもしれません。声が聞こえずらくなる原因として、老化や遺伝などもありますが、外耳炎・中耳炎・内耳炎などの細菌が原因で炎症を引き起こしてしまう場合、耳の中に腫瘍や異物などができ音が聞こえづらくなる場合もあります。
インターホンなどの音が鳴っても反応しなかったり、飼い主さんが声をかけても無反応、以前より臆病になり攻撃的になったなどの様子があれば、音を聞こえない可能性がありますので、できるだけ早く動物病院などで相談してみましょう。
まとめ
ここでは犬へのお座りの教え方やしつけの基本をマスターする方法などをご紹介しました。犬にとって「お座り」を覚えることはとても重要で、今後の生活でトラブルを防ぐことができます。他にも「お座り」は他のトレーニングを教える時にも使うため、しつけの基本の基本と言えるでしょう。しっかり覚えることで散歩時や食事の際なども落ち着くことができます。
しかし、急にお座りをしなくなる、ということもあります。犬の様子や今までの飼い主さんのトレーニング方法などを思い出して、原因を見つけましょう。