柴犬は日本に昔から馴染みのある犬種です。
柴犬は飼い主さんに忠実で、ガンコで我慢強く、マイペースなところが魅力の一つといえるでしょう。
日本の伝統文化を紹介する某テレビ番組で登場する可愛らしい柴犬の子犬は絶大な人気を誇り、多くの人達を魅了させています。
今回は柴犬の性格や特徴、生活環境などの注意点をご紹介します。
柴犬ってどんな犬?
柴犬は古来より日本にいる日本犬の一種(土着犬)です。
和犬の代表ともいえる柴犬の原産は日本の山岳地帯といわれており、2500年以上前から人と共に猟犬として暮らしていました。
日本各地の山岳地帯の閉鎖的な生活環境によって血統が守られていて、各地域によってそれぞれ個体の特徴が異なっていましたが、交雑種の蔓延を防ぐため、日本犬の血統を維持するために「柴犬」として確立することで今に至っています。
柴犬は1936年(昭和11年)に国の天然記念物に指定されています。
日本には四季がありますが、各地の山岳地帯の厳しい生活環境の中でも柴犬はその環境に適応してきたことから、高温多湿の気候や冬の厳しい寒さに強く、日本の環境に適した犬種といえます。
からだの大きさは、体重が8〜10kg程度、体高が35〜41cm程度で、耳は立ち耳、尻尾は巻き上がっている犬が多いです。
人間も人それぞれで性格が違うように、全ての柴犬が同じとは言えませんが、柴犬は飼い主さんに忠実で、ガンコで用心深く、独立心や警戒心の強い犬種といえます。
ガンコで気難しい性格
柴犬は非常に我慢強く、ガンコで気難しい性格の傾向があります。
暑さや寒さといった厳しい生活環境にも耐える体力的、精神的な強さも特徴です。
我慢強い性格の犬なので、何か新しいことを覚えたり、しつけを行う際にはガンコさを出して抵抗したり、指示に従うようになるまでに時間がかかる場合もあります。
お散歩中に必ず自分で決めた場所でしか排泄しない犬、散歩中急に動かなくなる、違う道や草むらに入ろうとする犬など、わがままやガンコさを全面に出してくることもあります。
野生的な素質があるため、ガンコで気難しい柴犬と心を通わすには、強い信頼関係を築くことが必要です。
飼い主にはとても忠実
柴犬は、外向きは気が強い性格ですが、飼い主さんや心を許した人には、耳を倒し、キュンキュンと甲高い声を出し、尻尾を振って精一杯の甘えを表現する姿をみると、なんとも可愛らしいものです。
「ツンデレ」と表現すれば雰囲気に近いでしょう。
飼い主さんのいうことしか絶対に聞かない、お散歩も飼い主さんとしか行かない、他の人にもらった餌は一切食べないという柴犬も中にはいます。柴犬は飼い主さんのことが第一なのです。
攻撃的で警戒心が強い
飼い主さんに忠実な性格の柴犬だとわかっている場合、飼い主さんがいないときに手を出したり、急に触ろうとしたりするのは犬にストレスがかかるのでやめましょう。
柴犬は気が強い反面、臆病で神経質な一面もあり、警戒心が非常に強く、ときに攻撃的になるため、驚いて突然噛んでくる、パニックを起こすなどの可能性があります。
飼い主さんや家族以外の人が柴犬を触るときは、飼い主さんに必ず触ってよいか確認をしましょう。
犬が明らかに楽しそうにしていない、喜んでいないシグナルを見せたら、怖がっているか緊張状態にあるのかもしれません。
目を合わさずにある程度の距離を置いて、関心のない素振りをしてあげることも柴犬を興奮させない方法の1つです。
柴犬は非常に賢い犬種なので、家族の中の順位を察して、人によっていうことを聞かないことや、わがままや攻撃性の予兆をそのままにすると、手をつけられないほど暴れたり、人に攻撃する問題行動を起こしたりする可能性もあります。
社交性のある犬に育てたいのであれば、子犬の頃からたくさんのスキンシップを取り、ストレスをかけないように毎日お散歩を行いしっかりと運動をさせ、様々な経験をさせてあげることをおすすめします。
活発で運動好き
柴犬は、からだが小さくても体力があるので、運動量も多く必要とします。
このためお留守番が多くお散歩に行けなかったり、運動量が少ないとストレスを感じて、手足を噛んだり、吠えたり、物を破壊したり、気が立って攻撃性をみせることもあります。
柴犬の運動量は体重と同じ距離といわれることがあります。
しかし10〜12kgの体重の柴犬の散歩を毎日10〜12km行うには実際には無理があります。
このため、通常のお散歩だけでなく、ボール投げやおもちゃで遊んで運動させ、ストレスを発散させてあげる必要があります。
例えば柴犬が何らかの理由で迷子になった場合、他の犬種よりもまさかというような遠く離れた場所で発見されることもあります。
柴犬は好奇心が強く、活発で体力も運動量も多いため、匂いを嗅ぎながらフラフラ歩いているうちに長距離の移動もできてしまうのです。
古くから日本の野山を人と一緒に駆け巡っていたという歴史からも、運動量の多さ、からだのタフさを垣間見ることができます。
柴犬はオスとメスで性格の違いはあるの?
柴犬の性格は、飼い主さんに忠実、ガンコ、我慢強い、マイペースといったキーワードが挙げられますが、この性格についてメスとオスの違いがあるのかについてご紹介していきます。
男の子の性格
柴犬のオスはメスに比べると元気で良く動き回り、やんちゃでフレンドリーな傾向があります。
好奇心がとても強く、広範囲のさまざまな場所の匂いを嗅いで歩くなど、運動量も多く、行動範囲も広いので、日頃のお散歩を特にしっかり行う必要があります。
女の子の性格
メスの柴犬は、オスに比べると落ち着いた傾向があります。ですが、やや神経質で警戒心や縄張り意識が強い場合もあります。気が強いので他の犬同士との触れ合いの際は、飼い主さんが注意して観察を行いましょう。非常に我慢強く、オスよりもどっしりとしたマイペースな性格といえます。
柴犬の毛の色で性格の違いはあるの?
「柴犬」の毛色は1種類ではありません。
「柴犬」として確立される前の名残で、毛色が異なる種類があります。赤色(赤毛)、黒色(黒毛)、胡麻色(胡麻毛)、赤胡麻色、黒褐色、虎毛、白色(白毛)などがあり、普段よくみかける茶色の柴犬の毛色は赤色、赤柴と呼ばれています。
黒色は、顔の眉毛のあたりが麻呂眉になっている柴犬です。
中には真っ白の柴犬もいますが、白色の毛色は遺伝的な観点からドッグショーでは正式には認められていません。
では毛色が異なると性格も異なるのでしょうか?
柴犬の毛色と性格に違いについては賛否両論があり、毛色と性格との関連性は全く関係ないという意見が一般的ですが、柴犬の歴史をみると性格の違いがあるという意見があります。
基本的な柴犬の性格は同じであるということは間違いありません。
柴犬をしつけるときの注意点
柴犬と暮らすにあたり社会性のある友好的な犬にしようとするのであれば、子犬のうちからストレスをかけずに自然にしつけを行うことをおすすめします。
犬の本能や勘を野性的に研ぎ澄ませる前に、家庭犬として環境に適応させることで、人間と暮らしやすい性格になります。
子犬を迎えてからワクチン摂取してからさまざまな経験をさせて、お散歩デビューをさせるなどの対応で、犬の持って生まれた性格に加え、生活環境からも友好的な犬になる可能性は大いにあります。
飼い主さんのスキンシップや信頼関係を築く努力はもちろんのこと、生活音や街の音を聴かせること、来客、知らない人との触れ合い、犬同士の挨拶などの体験は、生後3ヶ月から6ヶ月の犬の性格の形成に大きな影響を与えます。
柴犬は数多くの犬種の中でも狼のDNAに近い犬種です。
このため成長と共に自我が強くなる5ヶ月から1歳までの間に、序列や縄張り、服従、忠誠心といった性質を、多くの経験値と共にストレスをかけずに上手にコントロールすることで、友好的で穏やかな柴犬になりやすい傾向があります。
柴犬の性格、特性を飼い主さんがしっかりと理解して、よくない兆候を発見したらドッグトレーナーに相談するなど早期の対策が問題行動を起こさせないためのポイントです。
触られることに慣れさせましょう
犬がお散歩中や来客時にお客さんを攻撃してしまうと、犬との生活に支障が出てしまいます。
咬傷事故を起こしてしまった場合は訴えられてしまう可能性さえあります。
また愛犬が怪我や病気になってしまったとき、動物病院の診察を受ける際に過剰に抵抗を示してしまうことにも繋がります。
日常的にスキンシップを行い、時間がかかっても徐々にからだを触られることに慣らしていくことで、ブラッシング、爪切り、デンタルケア、耳掃除、からだに異常がないかのチェックを行うことができます。
この際に気をつけることは、無理に押さえつけずに焦らないことです。
スキンシップを兼ねて手を使って緊張をほぐすように優しくマッサージを行うことも効果的です。
触られることすら嫌がっていた犬も、自然と近寄ってくるようになってくるかもしれません。
信頼関係を築きましょう
柴犬は特に忠誠心の高い犬種です。
柴犬のしつけでは、飼い主さんとの信頼関係は非常に重要です。
わがまま放題に育ってしまうと家族の中で順位付けを行い、下にみている人に対して攻撃をし、全くいうことを聞かなくなり、様々な問題行動を起こす可能性すらあるのです。
しっかりとスキンシップを行い、愛犬、飼い主さん、家族全体での信頼関係を築くことが大切です。
そのためには、食事、お散歩、遊びといったコミュニケーションは必須で、犬に「家族と一緒にいると楽しい!」ということを認識させなければなりません。
お散歩させている、遊んであげているという感覚でなく、犬と一緒に楽しい時間を過ごすということが犬とのコミュニケーションや信頼作りの第一歩です。
噛み癖は子犬のころから治していきましょう
犬の噛み癖にはさまざまな種類があり、甘噛み、おもちゃや家具の破壊、攻撃性といった種類に分けることができます。
人噛み癖は他人へ危害を与える可能性が高く、物の破壊や誤飲につながるので、噛まないようにしつけを行う必要があります。
子犬に多い尻尾を振りながら手で押さえつけるように人の手を噛み続ける仕草は甘噛みです。
歯茎をむき出してウゥー!と低い声で唸りながら状況を伺い突然噛んでくる場合、吠えながら飛びかかり一気に噛みついてくる場合は攻撃性、食器に手を入れた時に瞬間的に人に歯を当ててくる場合やからだを触ろうとしたときに歯を当てようとする場合は威嚇になります。
威嚇や攻撃性のある犬は、犬とのスキンシップやお散歩が足りない、お留守番が多い、犬に恐怖を与えているなどで思い当たる点はありませんか?
すでに大きなストレスを抱えている犬、保護犬や虐待されていた犬の場合、自分を守るための本能で威嚇や攻撃を行っている可能性があるので急に矯正しようとすると大きなストレスを抱えてしまうので、安易に刺激し、トラウマである暴力で辞めさせることは逆効果です。攻撃性、威嚇の人噛みは専門のドッグトレーナーに相談しましょう。
犬の性格が定まった成犬のしつけは非常に難しくなるので、軽い甘噛みのうちにやめさせることで、人の手やからだを噛むことが習慣にならないようにするべきです。
子犬が甘噛みをしたら「痛い!」と声を出す。楽しそうなおもちゃで一緒に遊ぶことでこっちの方が楽しいよ!ということを教え、もし遊びながら甘噛みをしたら無視して遊びをやめる。
「イケナイ」「ダメ」と指示を出し、犬のベロを軽く指先で1度だけ押して手を噛むのをやめさせるといった方法もあります。
まとめ
柴犬の性格はまるで武士や侍のようにすら感じます。
2500年以上日本の風土で人と一緒に暮らしてきたことが柴犬の性格をそうさせるのでしょうか。
飼い主さんへの忠実さは、柴犬の最大の魅力です。頑固で我慢強くマイペースな柴犬の性格を理解することで、もっと信頼関係を築くことができるでしょう。