トイレトレーニングが完了し排泄は指定の場所でするようになったのに、なぜかトイレ以外の場所でそそうしてしまう…そんな場面に遭遇してしまったことはありませんか?いつも同じようにおしっこが出来ない時、病気やストレスなど様々な原因が考えられます。
考えられるおもらしの原因
ストレスや病気など様々な理由がおもらしの原因として考えられます。もしかしたら病気を患っている場合もありますので、一項目ずつチェックしてみて、愛犬にあてはまるか考えてみてください。
生活環境の変化が原因
犬はもともと食事と寝床以外はどこでも良いという性質を持っているので、トイレトレーニングを終えたからと言って「絶対にここでするぞ」と思っている訳ではありません。模様替えや引っ越しなど前と違う環境になったしまった時、場所が分からずに前と同じ場所でおしっこをしているのかもしれません。わんちゃんをお迎えした時と家具や電化製品の位置は同じでしょうか。もし可能であれば、以前の環境と似たようなレイアウトにしてみるのも良いかもしれません。あるいは改めて最初からトイレトレーニングをしてみるのも一つの手です。この場合はわんちゃんに慣れてもらうまでが飼い主さんの頑張り所となりますので、根気よくわんちゃんに付き合ってあげてください。
病気が原因
おしっこをどこでもしてしまう病気として考えられるのが膀胱炎です。膀胱に侵入した細菌やウイルスが侵入し炎症をおこし、血尿や頻尿などを頻繁に起こすようになるのが膀胱炎です。この時ウイルスを体外に追い出そうとするため大量に水分を摂取し、摂取した分だけ排出しようとします。そのため頻尿になるのです。また尿路結石症という症状も水の多飲の原因となります。尿路である腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかに石ができてしまう病気です。こちらも体内に出来た石を外に排出させようと水を大量に飲んでしまい、結果おしっこの回数が増えてしまう症状が見受けられます。おしっこに良く行くようになったら一度獣医さんに診てもらうと良いかもしれません。
精神的なものが原因
犬は繊細な生き物でささいな生活の変化に敏感に反応します。新しい家族が増えたり、飼い主様の生活ルーティンなどの変動を察知し、その内容によっては精神的なストレスを過大に受けて、失禁してしまう場合もあります。例えば赤ちゃんの誕生など、人間にとっては喜ばしい出来事であってもわんちゃんにとっても同じとは限りません。以前よりもスキンシップが減っていませんか?どうしようもない事情があれば、わんちゃんが今の環境に慣れられるようにサポートをしてあげて下さい。また、わんちゃんが現在の環境に慣れるまでは辛抱強く待っていてもらいたいと思います。
留守中のおもらし、これってわざと?
わんちゃんにとって一番堪えがたいのは自分の存在を無視される事です。留守番とは人間側からすれば仕方の無い事なのですが犬からすれば急な孤独をあたえられてパニックになってしまう状況です。留守番中、わんちゃんはいったいどんなことを思っているのでしょうか。飼い主様を待っている間にしてしまうそそうはわざとなのか?このことについてご説明させていただきます。
犬の気持ちを考えてみましょう
私たち人間は自分が体験した事を下地にして、反省し、次はこうしようと学習していきますね。想像力を働かせ、体験していない事でも「こうなるだろう」と予測し知識や知恵を蓄えて、思考する力を身に着けていきます。一方、犬は「体験した事・その体験をした時嬉しかった事・嫌だった事(メリット・デメリット)」のみで思考パターンが出来ていきます。「それをやってみて嬉しかった事・自分に得があった事」は習慣化していきますし、嫌な記憶しかない場合はその行動を避けるようになります。
このため、わんちゃんが留守番中におもらしをしてしまうのは決して「こんな寂しい思いをさせて…困らせてやる!」なんてことを考えているわけではありません。もっと単純な思考です。
留守番中におもらしをしてしまうわんちゃんは「おもらしをすることにより、飼い主さんの関心をひくことができた(わんちゃんにとってのメリット)があったのでおもらしをしてしまうのです。
おもらしと一緒に問題行動 があれば「分離不安」からくるものの可能性が
わんちゃんは元々集団で生活をする生き物です。群れる仲間が人であろうと犬であろうとその本能は変わりません。愛着のある相手と離れる事に、わんちゃんは強い不安を抱きます。これを「分離不安」と言い、分離不安のストレスを緩和させようとわんちゃんは遠吠えをしたり、しっぽや手足などを噛んだり、物を噛んで壊したりするようになります。(念のため、これも飼い主さんを困らせようとしている訳では無く、自分の中でどうしても処理しきれない不安があって、それを解消するために行っている行動の一つですので、飼い主様はわんちゃんを責めないようにしてくださいね。人間で言う、カラオケでストレス発散のようなものです)分離不安の症状の一つにおもらしがあります。分離不安は普段、わんちゃんを可愛がっている場合に起きやすく、症状を落ち着かせるためには訓練が必要となります。
無視することが効き目抜群!
分離不安によるおもらしの場合、一番の対策はなんといっても「反応しない事」につきます。前述したようにわんちゃんは「おもらしをしたら飼い主さんが反応してくれた」という成功体験に基づきおもらしをしている訳です。ですので「おもらしをしても飼い主さんが反応しない」という体験をさせて学習させなければなりません。おもらしの現場を見ても「なんでこんな事しちゃったの~」など声を掛けては駄目です。無言で淡々と片づけをし「おもらしをしても、あなたを構うことはしないんですよ」という事をわんちゃんに学習させます。ここで「構う」というのは叱る事も含まれますのでお気をつけください。ついつい叱りたくなるものですが、しつけのつもりだったとしても犬にとっては「構われるきっかけ」となっているかもしれません。
おもらしをした時の対策
病気が原因の場合は病院に行くことが必須となりますが、ストレスからくる不安などでおもらしをしてしまった場合は飼い主様のしつけによっておもらしを辞めさせることが出来ます。
絶対に怒らない
原因がはっきりしない時は特に怒らないようにしてください。大抵のおもらしは、したくてしている訳ではありません。おもらしをして怒られると犬はおしっこを悪い事(叱られる事)と認識してしまいます。そうすると今度は悪い事なので飼い主様から隠れてするようになっていき、結果としてトイレで排泄する習慣が身に付きません。あるいは我慢をするようになってしまい、膀胱炎や腎盂腎炎になってしまう可能性もあります。逆に怒ると「おもらしをすることで飼い主さんが関心を持ってくれるのだ」という風に勘違いする場合もあります。基本的にしつけは「褒める」です。出来たら褒めてあげる、出来なかったら反応しないようにしてあげてください。
犬移動させて静かに片づける
おもらしをしてしまった時は、わんちゃんを別の場所に移動させて犬が見ていない場所でさっさと片づけをしてください。わんちゃんに飼い主様がなにがしかの反応をしているのを見せては駄目です。わんちゃんが「ここがトイレなんだ」という風に間違って覚えないために、消臭には特に気を付けて。消臭ミストなどを使って同じ場所でおもらしをしないように対策をしてください。
カーペットや布団におもらしした時の掃除法をご紹介!
おもらしをしてしまった時に気になるのがにおいとシミです。実はおもらしの対策で特別なものは必要なく、普通のご家庭にあるもので対処することが出来ます。準備するのは熱いお湯と乾いた雑巾や使わなくなったタオル、ペットシートです。もし適当なものが無ければ新聞紙でもOK。おもらしした部分に熱湯をかけて、その上から雑巾やタオルで押さえつけます。押さえつける時には力いっぱい押してください。水分を吸収させるのです。これを何度かくりかえした後、ドライヤーで乾燥させます。外に干すのが一番良いですが、それが出来ない時には室内の換気をよくして乾かして下さい。この時に注意したいのが、中途半端に乾かさない事。中に水分が残っているとカビの原因となります。最後に酢と水を1対1で薄めたものをスプレーに入れてシミになった部分に振りかけてください。消臭効果が期待できます。これでも消臭できなかった時は市販の消臭剤を振りかけてくださいね。アンモニア臭に効果がある消臭剤が売られています。
老犬のおもらし対策もきちんと行いましょう
老化が進むと体の筋肉も衰えてきます。内臓を動かすための筋肉も衰えていくため、おしっこを膀胱に貯める事が出来なくなるため我慢できずにおもらしをするようになってきます。人間とおなじで老犬にもまた介護が必要となってくるのです。加齢によるおもらしはどうしても出てきてしまうものなので、わんちゃんにしつけをするよりかは出てしまうものをどうにかする…と言った方が良いかもしれません。
おむつやマナーベルトの活用
わんちゃんがおもらしをしていることに気が付かず、歩き回ってしまうようでしたらおむつやマナーベルト(雄用のおむつ)を着用させることをおすすめします。おむつのサイズは胴まわりには人間の指二本分くらいの余裕があり、足まわりがぴったりしているものを選ぶと良いですよ。足まわりに余裕があると漏れの原因となってしまいます。さらにしっぽ部分には切込みをいれてしっぽを出してあげてください。
トイレの時間を把握し、先回り!
おしっこする時間が決まっているのであれば、その時間より少し前にトイレに連れて行ってあげるのも手です。また複数トイレを作ってあげるのも効果的。わんちゃんがおしっこをしそうになったらすかさず一番近いトイレに移動させて、トイレで排泄をさせてあげてください。
トイレまでのルートに障害物を置かない
年を取ってくると障害物をよけることが困難になってきます。今まで簡単にまたぐことができていた敷居で立ち止まってしまったり、思わぬ場所につっかかってしまって動けなくなってしまったり…。これは筋力の衰えと共に考える力も弱り、障害物に対してどう反応すればいいのかわからなくなってしまっているのです。結果としてトイレに間に合わずおもらしをしてしまうという時があります。そんな風になってしまった時は、なるべく部屋を片付けてわんちゃんの行動範囲には障害物が内容にして下さい。段差にはスロープを敷き、わんちゃんの導線の確保をしてあげて下さい。
まとめ
おもらしは寂しさや不安以外にも、嬉しすぎてしてしまう“うれしょん”などがありますね。感情表現が激しさは犬の特徴ですがやはりおもらしには困ったもの。床や畳、ふとんが汚れてしまう事は避けたいですよね。
また、病気になっても隠しがちな犬にとって疾患を早期発見できる「おしっこ」は健康のバロメーターとして活用できそうです。健康な犬ライフを愛犬には送ってもらいたいものです。これからも犬の失禁に関しては注意深く見守っていこうと思います。とはいうものの、我が家の愛犬もそろそろ老犬と言われる年にさしかかっているので、一概に病気と言えない部分があります。人間のように不調を訴えられない動物なので、これからも犬のおしっこやおもらしについての観察が必要ですね。