犬はご飯を食べるのが大好きで、器にご飯を入れてあげるとものすごい勢いで食べ始めます。中にはもっとちょうだいとねだるワンちゃんもいるでしょう。そんなとき、飼い主さんはどうしていますか?今回は犬の餌の量について解説していきますので、愛犬の健康を守るために参考にしていただけたら嬉しいです。
間違った犬の餌の量の認識には注意!
犬のえさのパッケージ通りはNG!?
ドッグフードの袋には1日に必要な給餌量が印刷されています。多くの飼い主さんはその給餌量を元に愛犬に餌を与えているのではないでしょうか。
袋に記載されている給餌量は体重別になっているものが多く、3~5kgの犬にはこのくらいの量を、などと書かれていることでしょう。しかし、大事なのは犬に与える餌の量は「体重」ではなく、「体格」を重視すべきだということです。餌の袋に書かれているのは、標準体重の犬の場合の量です。
痩せすぎや肥満の場合は袋に書かれている餌の量には当てはまらないということになるのです。また、犬の食事量は月齢や体型、運動量によっても調整しなければなりませんし、犬にも「太りやすい」「太りにくい」といった体質がありますので、パッケージを鵜呑みにしてはいけません。
パッケージの給与量は1回分ではなく1日分!
初めて犬を飼った人は餌の袋に書かれている給餌量を1回分の量だと勘違いしてしまう人がいるかもしれません。しかし、この量は1日分なので、記載されている量を何回かに分けて与えるようにしましょう。
犬を飼っていればその子の1日の様子がだんだん分かってくるでしょう。例えば、午前中はあまり食欲がないけど夕方はたくさん食べる子なら、1日の餌の量の配分を朝は少なめにして、夕方に多めにするなどの工夫をしてあげましょう。1日のごはんの量をできるだけ小分けにして、複数回に分けて与えた方が、食餌に対する犬の満足感を得やすいようです。
正しい犬の餌の量の決め方
犬の成長に応じてえさの量を変える
犬のえさの量を決める際には様々なポイントを考慮しなければなりませんが、そのひとつに「成長過程」があります。犬は生まれてから1歳になるまでに急激な成長をします。そして、老犬になると食事量と運動量が減っていきます。そのため、成長によって必要とする栄養の量が異なるのです。
幼犬期
生後50日ごろまでの子犬は、母犬が出す母乳や人口ミルクを与える必要があります。犬は牛乳に含まれる乳糖という成分を分解することができませんので、人口飼育で育てる場合は必ず犬用のミルクを与えましょう。
その後は、徐々に離乳食やふやかしたドッグフードを与えるようになります。生後1ヶ月ごろは離乳食を1日4〜5回に分けて与え、2ヶ月ごろからはカリカリのドライフードを食べられるようになってきますので、様子を見ながらふやかす水の量やふやかす時間を減らしていきましょう。
幼犬期は骨格や筋肉などの体づくりにもっとも重要な時期になりますので、成犬期の犬よりも栄養価の高いフードを与えなければなりません。また、稀にペットショップなどで「子犬の頃に与えるフードの量が少なければ、成犬になった時にあまり大きく育たない」という説明をされることがありますが、これは極めて悪質な案内です。成犬時のサイズは遺伝子で決まっていますので、子犬の頃に栄養失調にならないよう、ごはんは十分な量を与えてあげましょう。
成犬期
犬は1歳ごろから成犬と言われるライフステージに突入します。犬の体がある程度完成しますので、人間でいう青年〜成人に当てはまる時期です。この時期になると、犬の消化器官も発達して一度に消化できる量も増えていますので、ごはんの回数を1日2〜3回に減らしても問題ありません。
この頃には体の成長もほとんど止まっているため、幼犬に比べて必要とされる栄養素の量がグンと下がります。引き続き幼犬用の栄養価が高いドッグフードを与え続けてしまうと、ほぼ確実に肥満になってしまいますので成犬用ドッグフードに切り替えましょう。
成犬期になると、犬の体型などを考慮しながらドッグフードの量を調節しなければなりません。特に5歳ごろを迎えると人間でいうアラフォーくらいの年齢になり、徐々に食欲や運動量が落ち始めます。そのため「成犬になったからずっと一定の給与量」と考えるのではなく、体調や年齢を考慮しながらドッグフードの量を調節しましょう。
老犬期
犬は7〜8歳ごろから老犬期というライフステージへと移り変わります。老犬になると1日のほとんどを寝て過ごすようになるため、元気いっぱいの成犬期に比べてエネルギーの消費量が格段に低下します。
犬も歳をとると食欲が低下して、ドッグフードをあまり食べようとしなくなってしまいます。しかし、必要な栄養を摂取できないとどんどん体調が悪くなってしまうため、高カロリーで嗜好性が高いフードを少量だけでも食べてもらうようにしましょう。ごはんの回数も、幼犬期のように3〜4回に分けて与えてあげることで、少量のフードをたくさん摂取しやすくなります。
また、老犬になると腸の働きも低下してしまうため、便秘をしやすくなってしまいます。便秘は腸閉塞などの危険な病気を招くこともありますので、十分な水を飲ませることはもちろんのこと、便秘予防のためにも食物繊維を意識して摂取させるようにしましょう。
犬の体重を見ながら体質によって餌の量を決める
1日に与えるべきドッグフードの量は、パッケージを見ても正確に分からないとお伝えしましたが、実は最初からそこまで神経質にドッグフードの量を決める必要はありません。
人間と同じように犬にも体質がありますので、たとえ犬種・年齢・体重・体格・運動量が全く同じ犬だとしても、ちょっと食べただけで脂肪が身につきやすい子がいれば、たくさん食べてもなかなか太ることができないという子もいるのです。そういった体質は買い始めた頃は全く判断できませんので、規定の量を食べさせながら愛犬の体重の増減を観察していきましょう。
明らかに太ってきたと感じたら量を減らしたり減量用フードに切り替えればいいですし、体重が落ちてきたのであれば高カロリーな食事をたくさん与えれば問題ありません。もちろん、あまりに太らせたり痩せさせたりしては危険ですので、頻繁に体重を測りながら愛犬の体型の変化にすぐに気が付けるようにしましょう。
犬の体重は動物病院に連れて行けば正確に測れますが、ある程度大雑把でよければご自宅でも簡単に測定できます。まずは自分だけで体重計に乗って、次は犬を抱っこして体重計に乗り、引き算をすることで愛犬のおおよその体重を求めることが可能です。
犬の餌をあげるときの注意点
おやつの与え方には注意が必要
犬は総合栄養食を食べていれば充分な栄養が摂れるので、おやつは絶対にあげなければならないものではありません。
しかし、おやつはしつけのときのご褒美や飼い主さんとのコミュニケーションとして、上手く使えばよい効果が出ることがあります。おやつを与えるときは、カロリーの摂り過ぎにならないように、1日に与えるカロリーにプラスせず、餌を少し減らしておやつをあげるようにするといいでしょう。
季節によって与える量を調整することも必要
犬の餌の量は季節によって調整することも重要です。季節ごとにどのようなポイントに気をつけながらドッグフードの量を決めれば良いのかを確認しましょう。
春
春は人間と同じように犬にとっても過ごしやすく、身体を動かすのも気持ちが良い季節なので餌の量は標準的な量を与えます。犬の体調も優れやすい気候なので、春の食欲がその犬の標準的な食欲と考えても良いでしょう。健康なのに春でもあまりご飯を食べたがらないのであれば、もともと食が細い犬だと考えられますので、少量でも栄養補給ができる高品質なフードを選ぶ必要があります。
夏
人の夏バテと同じように、夏は暑さで食欲が落ちてしまうことが多い季節です。脱水にならないように水分をしっかり摂らせて、場合によっては食欲が出るように犬用のふりかけをかけるなどの工夫が必要です。また、梅雨や台風で散歩をお休みする日が続くようであれば、普段よりも消費できるカロリーの量が減ってしまいますので、肥満にならないようにドッグフードの量を調節しなければなりません。
秋
食欲の秋というだけあって、秋は犬の食欲も増す季節です。秋は換毛期なのできれいな被毛のためにもしっかり栄養を摂らせましょう。綺麗な被毛をつくるためには高品質のタンパク質が必要になりますので高タンパクのドッグフードを選ぶと良いでしょう。ただし、肥満には注意してあげてください。
冬
気温が下がる冬は、体温を維持するためにたくさんのカロリーが必要になります。そのため、他の季節よりもカロリーを少し多めに摂らせるようにしましょう。寒冷地域では特に気温の変化が大きいので注意してあげなければいけません。ただし、寒くて散歩の時間が減ってしまう場合には、ドッグフードの量を若干控えめにしなければ肥満になってしまいます。
愛犬に必要なえさの量を知って健康な生活を!
犬のえさは、成長に合わせたり運動量を考慮した餌の量を与えなければなりません。愛犬にどれくらいのドッグフードを与えたら良いのか、しっかり管理して与えることができるのは飼い主さんしかいませんので、犬の体型や体調を観察しながらドッグフードの量を調整していきましょう。