犬は大型犬から小型犬までたくさんの犬種があります。それをひとくくりに同じドッグフードを与えるのはいかがなものでしょうか。特に小型犬はからだが小さいため、犬種にあったドッグフードを与えることが必要ではないでしょうか。ここでは小型犬のためのドッグフードの選び方をご紹介します。
栄養基準を満たした「総合栄養食」を選びましょう
一般社団法人ペットフード協会では、総合栄養食を「ペットフードのうち、犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品」と定めています。要約すれば、総合栄養食と水だけで健康が維持できるということになります。
総合栄養食として販売するためには、ペットに与えて栄養状態に問題ないか確認する給与試験、あるいは必要な栄養分が含まれていることを証明する分析試験に合格しなければなりません。また商品には、どちらの試験で認定されたのか表記する必要があります。
総合栄養食の商品パッケージをよく見ると「AAFCO基準」と書いてある商品があります。AAFCOとは、全米飼料検査官協会(The Association of American Feed Control Officials)の略称です。日本の「ペットフード公正取引協議会」では、総合栄養食を証明する基準として、世界的に認められた小動物の栄養基準となっているAAFCOの分析試験による栄養基準、または給与試験プロトコルを採用しています。
総合栄養食は、ドッグフードに含まれている栄養分を分析し、ペットフード公正取引協議会が公正競争規約に規定した基準を満たしているため、安心して与えることができます。環境省が定めている「ドッグフード安全法」では、名称、原材料名、賞味期限、製造業者等の名称及び住所。原産国名の表示が定められています。またペットフード公正取引協議会の定める「ペットフードの表示に関する公正競争規約」で規定項目を表示する義務が定められています。ドッグフードのパッケージ等に記されている成分はこのような決まりによって明示が義務付けられています。
表示義務があるのは、タンパク質、脂肪、繊維、灰分、水分の重量比です。この他にも商品ごとに特徴のある成分が表示されています。ただしこの数値は正確なものではなく、保証値が表示されています。なおタンパク質と脂肪は「以上」、その他の繊維、灰分、水分は「以下」で表記されています。どうして表記が違うのかというと、生きる上でとても大切なタンパク質や脂肪は、含有率が保証されているということを証明するためなのです。
理想的な栄養バランスに優れたフードです
総合栄養食は、栄養素をバランス良く配合し、毎日与えることを前提として開発されています。犬は肉食に近い雑食ですが、やはりタンパク質が多く含まれている商品を与えたいものです。タンパク質は、筋肉、血液、被毛などを作る栄養素で、犬が生きていく上で非常に大切な栄養素です。犬はヒトの倍のタンパク質が必要であると言われています。総合栄養食を選ぶ際には、成犬の場合、タンパク質が豊富に含まれているものを選びましょう。また、脂肪は体温保持や、皮膚の健康のために大切な栄養分ですが、とりすぎは肥満に繋がります。その他の灰分は10パーセント以下、繊維は4パーセント以下のものをお選びください。なお、総合栄養食は、犬種別、年齢別、目的別など様々な種類があります。これは犬種によって粒の大きさも違いますし、年齢によって必要な栄養が異なるためです。例えば幼犬用はタンパク質が30パーセント以上含まれているものがあります。仔犬は日に日に成長しますから、タンパク質をたくさん摂ることによって、からだが大きくなります。逆に老犬用はタンパク質を20パーセント程度に抑えてあります。老犬になると一日中寝て過ごすことが多く、運動量も減ってくるためです。
「幼犬・幼猫期/成長期またはグロース」に分類されたものを選びましょう
おおよそ生後1年までを幼犬といいます。この頃まではからだを作るためにとても大切な時期です。ドッグフードも幼犬用(パピー用と明記されている商品もあります)は、筋肉や骨を形成するために必要なタンパク質が多く含まれています。また、犬は食べ物をあまり咀嚼(そしゃく)せずに食べます。これは、犬がヒトのペットとして飼われる、野生動物時代の名残です。野生動物は他の生き物に食べ物を取られないように食べ物を早く食べます。しかし、ヒトよりも消化機能が発達しているため、きちんと消化されます。しかしこれは成犬の話です。幼犬は成犬に比べるとノドも細く、また消化機能も未発達です。このため幼犬用のフードは粒が小さくなっています。生後5ヶ月くらいまでは、ドッグフードをお湯でふやかして、柔らかくなったものを与えてください。
私の家では、3ヶ月くらいまではお湯でふやかして柔らかくなったドッグフードを、スプーンで潰してペースト状にします。さらに犬用の粉ミルクを少し混ぜて食べさせています。最初のうちはドッグフードを食べないので、口の周りにつけて味に慣れさせます。何日か繰り返すと食べるようになります。ドッグフードに慣れて、体重も順調に増えてくると潰さないで与えます。5ヶ月過ぎた頃になると、お湯でふやかすことをやめ、硬いまま与えています。なお、食事の回数ですが、6ヶ月位までは1日に必要なドッグフードの量を3回に分けて与えています。
小型犬の口や顎が小さに合ったフードを選びましょう
犬は大型犬から小型犬まで大きさや種類が非常に豊富です。ドッグフードもあなたの愛犬の大きさに合わせたサイズのものを与えてください。上述したとおり、犬はあまり噛まずに飲み込みます。小型犬に粒の大きなドッグフードを与えると喉に詰まってしまいます。
噛み砕きやすい形状のフードがおすすめです
小型犬は大型犬に比べるとからだも小さいので、ドッグフードも小型犬用のものを与えてください。ドッグフードも沢山の種類がありますが、「小型犬用」と記されている商品をお求めになれば、粒も小さいので問題ありません。ご注意いただきたいのは、なかには、サイズも均一で艶っぽいドッグフードがあります。この艶はドッグフードに凝固剤(油分)をまぶしてあるものです。手で触ってみればすぐに分かるのですが、油分が手に残ります。これは犬の食欲を増進させるためのもので、特に輸入製品にみられます。あなたの愛犬の健康を考えれば、このようなドッグフードを与えるのはいかがなものでしょうか。質の良いドッグフードは手で触っても油っぽくありませんし、粒もいびつなままです。あなたの愛犬の健康を考えて、天然素材のドッグフードをお選びください。
粒の大きさよりも噛み砕きやすさを重視しましょう
犬はあまり噛まないとお伝えしましたが、全く噛まないわけではありません。ヒトと比べると咀嚼(そしゃく)回数が少ないのです。よく噛んで食べるようするために、小型犬に大粒の餌を与えることは絶対にやめてください。最初の数口は噛むのですが、食べ始めるとそのまま飲み込んでしまうことが多いものです。喉につかえたり、あるいはしばらくすると消化できずに嘔吐することもあります。これでは本末転倒です。小型犬用のドッグフードを選び、噛んで食べることを習慣づけるようにしたいものです。そのためには均一の粒状のものよりも、多少いびつなドッグフードのほうが噛む回数が多いようです。
与える量にも十分気を配ってあげましょう
ドッグフードパッケージに記載された給与量を守りましょう
あなたの愛犬の体重を把握していますか。定期的に体重を測るようにしてください。動物病院でも診察の前に体重を測り、前回と比較し、健康状態を把握しています。多少の増減はコンディションによって変化がありますが、適切な体重を維持できるように食生活にも気配りが必要です。ドッグフードには1日に必要な量が書いてあります。総合栄養食の場合、犬の体重と年齢によって量が決まっています。1グラム2グラムに神経質になることはありませんが、おおよその量は守っていただきたいものです。我が家では成犬の場合、1日に必要な分量を、朝夜の2回に分けて与えています。例えば1日に必要な量が30グラムだったら、15グラムずつ与えています。なお、おやつなど間食を与えた場合には、夕食を減らすなどの調整が必要です。
また、季節によって食べる量も違ってきます。春や秋は食欲旺盛でたくさん食べる傾向にあります。夏は暑いため犬も食べる量が減る場合があります。ただし、食欲のない犬に無理やり食べさせることはお控えください。2~3日すると食欲が戻ることが多いようです。季節によってドッグフードの量を調整することも時には必要です。また、運動量によっても違ってきます。ドッグフードに記載されている量を目安に、健康状態をみながら適量をお与えください。
与えすぎも与えなすぎもNGです
与えた量をそのまま食べてしまい、結果的に肥満などの原因となります。肥満はヒトと同じように生活習慣病のもとですから十分に気をつけてください。また逆の場合もあります。小型犬は小さい方が可愛いからと言って、ドッグフードを規定の量よりも少なくする場合です。この状態が長く続くと、これは栄養失調になります。犬は常に空腹のため落ち着かなくなり、ストレスの原因になります。適量のドッグフードを与えなければなりません。我々飼い主は、家族として迎えた愛犬に対して、飼い主のエゴを押し付けることなく、心身共に健康的な生活を送ることができるようにすることが大切です。
まとめ
総合栄養食は、愛犬が生きるために必要な栄養素がバランスよく配合されています。そのための基準を満たすために色々な決まり事もあります。しかし、総合栄養食と書いてあれば何でも良いという訳ではありません。あなたが共に暮らしている愛犬の種類やサイズに合ったドッグフードを選ぶことが大切です。また季節や健康状態などにも気をつける必要があります。特に粒の大きさや与える量は、愛犬の健康を左右するとても大切なものです。大切な愛犬の食事ですから、できれば天然素材のからだに優しいものを与えてください。