『完全栄養食品』といわれている卵。
愛犬の健康維持のためにもドッグフードにプラスできたら嬉しいですが「犬が卵を食べても大丈夫かな?」と心配になりますよね。
この記事では、犬に卵を与えて大丈夫なのか、大丈夫であればあげる際の注意点もあわせて紹介します。
1.犬に卵を与えても大丈夫!ただし加熱調理が必要
結論からお伝えすると、犬に卵を与えても大丈夫です。
栄養バランスがいい食材なので、愛犬の食事にもぜひ取り入れてあげましょう。
ただし、加熱調理は必須です。
生卵は犬にとって危険なので、安心して与えるために後述する情報を参考にしてみてください。
1-1.生卵の白身は要注意!
とくに注意をしたいのが『生卵の白身』です。
これは卵に含まれている2つの栄養素が関係しています。
【ビオチン】
・ビタミンB群のひとつ
・健康な皮膚や毛を保つために欠かせない栄養素
【アビジン】
・卵白に含まれるタンパク質
・ビオチンの働きを阻害する
生卵の白身に含まれているアビジンは、ビオチンの吸収を妨げてしまいます。
ビオチンの欠乏は下痢や脱毛、皮膚炎になる恐れがあるのです。
加熱をすると、アビジンは不活性化するので、ビオチンの吸収を妨げる心配もありません。
犬に生卵は与えないようにし、誤食が起きないように気を付けましょう。
1-2.卵の栄養素
卵には、犬の健康に役立つ栄養素がバランスよく含まれています。
【タンパク質】
タンパク質は、筋肉・骨・血液・皮膚・被毛などを丈夫に作るために必要な栄養素。
卵には、タンパク質の元となる『必須アミノ酸』が豊富に含まれているため、効率よく栄養を摂取できます。
【脂質】
脂質は、体の免疫力を維持するために欠かせないエネルギー源。
「体重が増えてしまうのでは?」と心配になる飼い主さんもいるかもしれませんが、きちんと与える量を守っていれば、神経質になる必要はないでしょう。
【ビタミン】
卵には、ビタミンB群が多く含まれています。
中でも『ビオチン』は、脳を活性化させるアミノ酸やブドウ糖の働きをサポートし、犬の皮膚や粘膜を健康に保ってくれる栄養素です。
【ミネラル】
卵は、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛、ナトリウムなどのミネラルも豊富です。
骨や歯を丈夫にしてくれるので、成長期の犬は積極的に摂りたい栄養素。
また、ミネラルの中の『セレン』という成分は、老化・ガン予防に役立ちます。
2.犬が食べてもOK?NG?卵料理別に解説
卵にはさまざまな調理法が存在しますが、犬はどの卵料理が食べられるか気になりますよね。
ここからは、料理別に卵を与えてもいいかを解説します。
2-1.【OK】ゆで卵
ゆで卵は、犬に与えても大丈夫です。
加熱することで白身に含まれるアビジンが不活性化し、食中毒の原因となるサルモネラ菌を防ぐこともできます。
ただし、茹でる際は卵が固くなりすぎないようにして、細かく刻んでから与えましょう。
犬が一度に多くの卵を食べると、飲み込みづらく体への負担となってしまいます。
ここで、参考になるレシピをひとつ紹介します。
【簡単にいつも丁度いい加減に出来上がる、半熟卵の作り方】
1.卵を十分に室温に戻す。 |
2.「1」の卵を鍋に入れ、そこへたっぷりの水をそっと入れて中火にかけます。 |
3.沸々と鍋底から泡がたってきたら、火を弱火にして、3分30秒加熱します。 |
4.加熱後、ざるにあげてそのまま冷まします。 |
引用:https://wanchan.jp/osusume/detail/2009
2-2.【OK】卵焼き・目玉焼き・炒り卵(スクランブルエッグ)
焼いた卵は、犬に与えても大丈夫です。
とくに、ひと口サイズのやわらかい卵焼きは、暑さで食欲が落ちているときや、咀嚼が弱くなっているシニア犬にもおすすめです。
白身はしっかりと火を通し、細菌の繁殖を防ぐために黄身も加熱するようにしてください。
人間は卵に味付けをしないと物足りないかもしれませんが、犬用のごはんには、塩・醤油などの味付けはNGです。
2-3.【NG】生卵・卵かけご飯
生卵・卵かけご飯を犬に与えるのはやめましょう。
先述したように、生卵の白身を摂取するとアビジンによりビオチンの吸収が阻害されてしまいます。
ビタミンが欠乏して、下痢や皮膚炎などの症状を引き起こす可能性があるのです。
人間にとっては美味しく感じる食べ物も、犬には危険になると覚えておきましょう。
2-4.【NG】卵豆腐
卵豆腐を与えるのはやめましょう。
やわらかくて飲み込みやすいので、食感を好む犬もいるかもしれません。
しかし卵豆腐のような加工食品は、下味がついているので塩分が犬の体への負担となってしまいます。
2-5.【NG】卵の殻
卵の殻を犬に与えるのは、おすすめできません。
殻にはカルシウムや内側の膜にコラーゲンが含まれているため、栄養補給として与えたいと思う方もいるでしょう。
しかし、卵の殻は硬さがあるので消化の負担となり、口の中を傷付けてしまう原因にもなります。
また、卵の表面にはサルモネラ菌や消毒液が付いている可能性もあるため、犬が舐めたりかじったりしないように配慮しましょう。
3.犬に卵を与えるときの注意点
卵を日々の食事に加えることで、犬の健康に役立つ栄養を補えますが、与える際に注意しておきたい点もあります。
ここからは、犬に卵を与えるときの注意点と対応の仕方について3つ紹介します。
3-1.必ず火を通して与える
何度もお伝えしていますが、犬に生卵を食べさせるのは避け、茹でたものか焼いたものを与えてください。
とくに、生卵の白身は要注意です。
さらに、卵は菌が繁殖しやすい食材なので、食中毒にならないよう管理の仕方にも気を付けてください。
愛犬が安全に卵を食べられるように、飼い主さんができるかぎり配慮をしてあげることが大切です。
3-2.毎日食べると肥満の原因に
栄養満点で積極的に取り入れたい卵ですが、毎日食べるのはおすすめしません。
続けて食べるとカロリーオーバーとなり、愛犬の肥満の原因につながってしまいます。
あくまでも『栄養を補う』という意識で、調理法を変えたりトッピングに使ったりして工夫しましょう。
3-3.アレルギー反応がないか注意
犬に卵を与えるときは、卵アレルギーの可能性も念頭に置いておきましょう。
食物アレルギーは、体内に侵入したアレルゲンに対して、体が『危険な物質』と判断して過剰反応することで起こります。
アレルギー反応としては、以下のような症状が見られます。
・下痢
・嘔吐
・目のかゆみや充血
・皮膚の発疹
はじめて卵を与えるときは少量ずつ与え、苦しそうな様子や2〜3日してもアレルギー症状が治らない場合は、すぐに獣医師に見てもらいましょう。
4.犬が1日に食べられる卵の目安量
最後に、犬が1日に食べられる卵の目安量を紹介します。
理想としては、1日に必要なエネルギー量の10%に抑えることです。
犬の体格や運動量によって与えられる量が変わるので、体重にあわせて参考にしてください。
※殻を除いた、Mサイズの卵1個(50g)を目安としています。
超小型犬(4kg未満) | 約0.3個 |
小型犬(4kg以上) | 約0.8個 |
中型犬(25kg未満) | 約1.6個 |
大型犬(25kg以上) | 約1.6個〜 |
どんな食材でも、栄養価が高いからといってあげすぎは禁物です。
摂取カロリーが多くなってしまうと、かえって体への負担となってしまうので適量を守るようにしましょう。
犬に卵をあげてもOK!ただし生卵の白身は要注意
卵は、タンパク質をはじめとした栄養素がたっぷり含まれている食べ物です。
犬が摂取することで、健康を支える強い味方になってくれるでしょう。
ただし、生卵の白身は与えないように注意し、アレルギー症状の可能性も念頭に置いて十分気を付けてください。
また、犬の体に負担にならないよう適量を守ることも大切。
ドッグフードにトッピングをしたり、おやつや間食に与えたりすることで、卵を日々の食事に上手に取り入れてあげてくださいね!
まとめ
- 犬は、卵を食べても体に問題はない。
- 卵は栄養価が高く、健康に役立つ働きをしてくれる。
- 生卵は避けて、加熱調理したものを与えるようにする。
- 犬の大きさや体重にあわせて、1日に与える量を守る。
- アレルギー症状が見られたときは与えるのをやめて、必要に応じて受診する。