犬のご飯といえば、一昔前までは人間用の食事の残飯が一般的でした。けれども、近年は高品質なドッグフードが市販され、人から見ても「おいしそう」なおやつもたくさんありますよね。
とはいえ、最近の飼い主さんの中には、ドライフードだけではなく、自ら食材を調理した「手作りごはん」をあげる人も多くなってきました。
そこで今回は、犬に手作りのごはんを与えるメリット・デメリットと、おすすめレシピについての情報を紹介していきます。
犬の餌を手作りごはんにするメリット・デメリット
犬の餌といえば総合栄養食のドッグフードが主流ですが、野菜やお肉を使った手作りごはんには、さまざまなメリットがあります。
手作りごはんにするメリット
手作りごはんには、大きく分けて安全性の向上と健康増進効果の2つが期待できます。
安全な食事を与えられる
100%手作りのごはんをあげれば、フードに使われるすべての原料を飼い主さんが把握しコントロールできます。ペットの健康を害する成分を排除できるので、安心してごはんをあげられます。
不要な添加物をあげなくて済む
安価なドッグフードには特に、さまざまな添加物が入っていることが多いです。酸化防止剤や着色料など、わんちゃんに必要のない成分が体に負荷をかけたり、消化に悪影響をおよぼしたりする危険性があります。これらを一切排除できる点が手作りごはんの大きなメリットです。
食事から水分を摂取しやすい
ドライフードに含まれる水分は、保存性を高めるため10%以下となっているのが普通です。しかし手作りごはんであれば、生の食材に含まれる水分やスープを一緒に摂取できます。あまり水を飲まなくなる冬の水分補給に役立ちますし、普段から水を飲まない子にもおすすめです。
毛艶や便の状態がよくなる
アレルギーを持っているわんちゃんなら、その食材を避けてごはんを手作りすることで、アレルギー症状の改善が期待できます。さらに良質な栄養素を摂取できるので、毛艶がよくなったり、便の状態が改善されたりする可能性も高まります。
口臭や体臭の改善につながることも
手作りごはんに切り替えた飼い主さんの中には、愛犬の口臭・体臭が改善されたことを実感する人も多いです。商品として売られているペットフードに比べて添加物が少ないため、腸内環境が整い、イヤな臭いの軽減につながることが考えられます。
手作りごはんにするデメリット
手作りごはんには多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
手間がかかる
まず、お皿に移してあげるだけのドライフードと比べて、手作りごはんは非常に手間がかかります。調理にかかる手間はもちろんですが、レシピを考えたり、新鮮な食材を買いに行ったりする手間もかかってしまいます。
保存がきかない
手作りごはんは水分を多く含み、保存料も使わないため傷むのが早くなります。雑菌やカビの繁殖を考慮して、作った当日か翌日には消費する必要があるため、食べムラのあるタイプの子に合わせるのは難しいでしょう。
栄養バランスの調整が難しい
タンパク質や炭水化物、食物繊維、オメガ3脂肪酸などバランスの取れた手作りごはんを作るのは案外難しいものです。しっかりと栄養管理してごはんを与えないと愛犬の成長を阻害する原因になってしまうため注意が必要です。
ドライフードを食べなくなる可能性も
手作りごはんに慣れてしまうと、カリカリごはんを食べなくなってしまう可能性があります。普段はそれでも構いませんが、災害時などにもドッグフードを受け付けないとなると、命に危険がおよぶリスクも出てきます。
犬の手作りごはんにおすすめの食材と避けるべき食材
続いて、手作りごはんを作る際におすすめの食材と、使ってはいけない食材についてチェックしましょう。
犬の手作りごはんにおすすめの食材
まず手作りごはんに適した食材としては、人間用に売られている新鮮・安全なものがあげられます。
肉・魚
もともと肉食に近い雑食性の犬にとって、動物性タンパク質は必須の栄養素。鶏肉だけではなく、火を通した豚肉や牛肉、あるいはイワシ、アジなどの魚を選び、ローテーションしながらバランスよく与えるとよいでしょう。
ちなみにラム肉もOKです。けれども、イメージと反して豚肉よりもカロリーが高く、アレルギー症状が出る可能性もあるので、様子を見ながら与えるようにしましょう。
穀物
白米や玄米などの炭水化物も与えましょう。雑穀からは鉄分やミネラルといった不足しがちな栄養素も摂取できるため、積極的に摂り入れることをおすすめします。
野菜・果物
肉や魚だけでは補いきれないビタミンや、食物繊維を多く含む野菜もあげてください。具体的には、キャベツ、にんじん、大根、さつまいもなどがおすすめです。りんごなどの果物もあげたいところですが下痢を起こしやすいため、少量から様子を見ながら与えるようにしましょう。
犬の手作りごはんで避けるべき食材
手作りごはんで使ってはいけない食材もいくつかあるのであわせて確認しておきましょう。
ネギ類
玉ねぎや長ネギ、ニラなどのネギ類は、犬にとっては中毒症状を引き起こす有毒な食材です。ネギ類の煮汁やスープもNGのため、手作りごはんでは一切使わないようにしてください。
生卵
卵は生のまま与えると、卵白の働きによってビオチン欠乏症を引き起こすリスクがあります。火を通すことを忘れなければ、貴重なタンパク源になるので問題ありません。
加熱した鶏の骨・魚の硬い骨
加熱して硬くなった鶏の骨や硬くて鋭い魚の骨は、口や喉、消化器官に刺さって炎症を引き起こすことがあります。細くてやわらかい小骨であれば、カルシウムの補給に役立つので積極的に与えてOKです。
調味料・香辛料
犬には、人間が好むような味付けは必要ありません。調味料を使いすぎると、健康を害する恐れがあるので注意してください。香辛料は胃腸障害を引き起こす原因になるので避けましょう。
チョコレート・ココア
カカオ豆に含まれる「テオブロミン」という成分も、犬にとっては有害物質。加熱しても中毒性が残るため、絶対に与えないようにしてください。もしも犬が誤って食べてしまった場合は、すぐに獣医師の診断を受けましょう。
生の海鮮類
生のタコ、イカ、エビなどはビタミンB1欠乏症の原因になることがあります。乾燥したスルメなども腸に詰まることがあるため、加熱してやわらかくしてからあげてください。
加工食品
ハムやソーセージをはじめとする加工食品には、人間用に調味料や添加物が多く使用されているため、犬の腎臓や心臓、胃腸の負担につながります。与えないように十分に注意しましょう。
簡単!安い!総合栄養食+αにおすすめの手作りレシピ
人間のごはんの用意だけでも大変なのに、ワンちゃんのごはんまで手作りするのは無理かな…という方は多いでしょう。
それなら、いつものドッグフードに手作りトッピングをしたり、たまに、1食だけ手作りごはんに変えたり、手作りおやつをあげたり…。こんな感じならできそうじゃないですか?
いつもと違う手作りフードにワンちゃんも喜んでくれるはず。
簡単でおうちにいつもある食材も使える手作りレシピの一例をご紹介します!
キャベツとささみのごま和え
ドッグフードの食いつきが最近悪い…そんなときのトッピングにおすすめ。
丼ぶりの具材みたいにドッグフードの上にのせましょう。
◆材料
・キャベツ
・ささみ
・すりごま
キャベツをみじん切りにし、少ししんなりするまで電子レンジでチンします。ささみは火が通るまで電子レンジでチンして細かくほぐし、キャベツとささみ、すりごまを加えます。人肌程度に冷めたらドッグフードの上に乗せて完成です。
じゃがいもとキャベツのミルク煮
いつも同じドッグフードだけじゃ飽きちゃうかな…?そんなときは1食を手作りごはんに。
たまには手作り頑張っちゃいましょう!
◆材料(分量は犬の体重3kgの場合の目安)
・豚肉(25g)
・じゃがいも(1/4個)
・キャベツ(1/2個)
・にんじん(1.0cm)
・ヤギミルク(または豆乳)(適量)
豚肉・じゃがいも・にんじん・キャベツを一口サイズにカットし、鍋で煮込みます。煮えたら火からおろし、ヤギミルク(または豆乳)を加えて、冷ましたら完成です。
さつまいもとかぼちゃの蒸しパン
人間もうれしいおやつタイム。愛犬に手作りおやつをあげませんか?
おやつをあげる分、普段のごはんの量を減らすことをお忘れなく。
◆材料(分量は犬の体重3kgの場合の目安)
・かぼちゃ(45g)
・さつまいも(45g)
・薄力粉(150g)
・豆乳(120g)
・なたね油(15g)
・甜菜糖(10g)
・たまご(1個)
かぼちゃは茹でてマッシュし、さつまいもは1cm角にカットして茹でておきます。マッシュしたかぼちゃと他の材料を混ぜ合わせ、混ぜた生地に茹でたさつまいもを入れ混ぜます。スチーマーに生地を流し入れ、さつまいもを散らしてレンジで5分チンしたら完成です。
犬の手作りごはんの適量を知る方法とは
犬の手作りごはんの場合、ドッグフードとは違って目安となる給与量がありません。わんちゃんに適した量を与えないと、栄養不足や肥満の原因にもなるため、ごはんの適量を調べる方法も知っておきましょう。
1日に必要なカロリーを計算する
一般的な犬が1日に必要とするカロリーの目安は、以下になります。
※成犬(避妊去勢済み)を想定して算出
体重 | 必要なカロリー |
2〜5kg | 188〜374kcal |
6〜10kg | 429〜630kcal |
11〜20kg | 676〜1059kcal |
21〜30kg | 1099〜1436kcal |
31~40kg | 1471~1781kcal |
犬種や年齢、運動量によって必要なカロリーは変わるので、この数字はあくまでも目安として、愛犬の様子を見ながら量を調整しましょう。
カロリーに合わせて分量を調節する
仮に1日に必要なカロリーを400kcalと決めたとして、1日にごはんを2食与えている場合、1回あたり200kcalとなります。これを目安として、それぞれの食材の大まかなカロリーを計算しながら、分量を決めていきましょう。
体型の変化に応じて分量も変えていく
手作りごはんを与え続けてみたところ、もしも肋骨や背骨に触れないほど肉がついてしまったり、上から見てくびれが確認できないような体型になったりしていたら、肥満体型に近づいていると考えられます。もう少し運動量を増やすか、食事を減らすことも考えましょう。
愛犬の手作りごはんは長く続けていくことが大切!
犬にとって、主食がコロコロ変わるのは消化器官の負担になるのであまりよくありません。手作りごはんをあげると決めたら、できるだけ長く続けるようにしましょう。
ただし、ドッグフードを食べなくなるリスクや、飼い主さんの負担を考えると、ドッグフードと手作りごはんを一緒に与える「ミックスごはん」がおすすめです。
『コノコトトモニ』おすすめドッグフードの「このこのごはん」と、手作りごはんを組み合わせて、ローテーションしながら愛犬にあげてみてはいかがでしょうか?
「このこのごはん」は、人が食べられる原材料だけを使用し、人工添加物不使用の健康・安全にこだわったドッグフードです。『コノコトトモニ』オンラインショップから購入できますので、ぜひお試しください。
まとめ
- 犬の手作りごはんには、安全性を高め、健康を増進するメリットがある
- 肉や魚、穀物、野菜などを中心にレシピを考え、ネギ・チョコレート・調味料などは与えないようにする
- ごはんの適量を知るためには、体重別にカロリーを計算し、年齢やその日の運動量にあわせて調整するのがおすすめ