ビタミンCが豊富でスーパーフルーツと呼ばれる程、人間の美容食として人気の高いキウイですが、犬には与えても大丈夫なのでしょうか?栄養の面から犬にキウイを与える必要性を解説し、与える際の注意点やキウイを使った愛犬用手作り食のレシピをご紹介します。
犬にキウイを食べさせてもいいの?
食べさせても良いけれど、犬にとって必要な栄養素はありません
キウイには犬の体に悪影響を及ぼす成分はないため、与えても危険な果物ではありません。そのため、もし不注意で犬がキウイを一切れ食べてしまった!という場合でも心配はいりませんよ。
しかしながらキウイを食べる大きなメリットでもあるレモン8個分と言われる豊富なビタミンCを犬は自分の体内で生成できるために、実は私達人間ほど犬がキウイから得られる栄養はないのです。
与えすぎは肥満のもとになるので注意しましょう!
摂取できる栄養が少ないとはいえ、キウイのみずみずしい食感は犬好みでもあります。また、キウイは1年を通して安定した価格で手軽に入手できるために、愛犬のおやつや手作り食の材料として使いたいと考える飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
与える必要性が低くても毒性がなく犬の嗜好にあったものならば、愛犬の食の喜びを広げるために食べさせてあげたい、という気持ちは愛犬家であればごく自然なものではないでしょうか。
しかし、キウイのみならず他の果物にも言えることですが、糖分の取り過ぎは犬の肥満にも繋がります。人間同様、犬も肥満は万病の元となりますので、キウイを与える際はごく少量にしましょう。人間にとっては味見くらいに感じる量が、犬にとってのキウイの適量です。
また、犬は味を感じる細胞でもある味蕾が人間に比べて少なく、甘味に対して最も敏感に反応します。そのため人間以上に甘いものに対する嗜好性や依存性も高くなりがちです。欲しがるだけキウイを与えてしまうと普段の食事を拒否する偏食の子になってしまうこともあるので注意しましょう。
人間のダイエット中のおやつとして人気の高いドライフルーツなど、加工されたキウイは表面に砂糖が付いていたり、胃の中で膨張して吐き戻しを誘発したりと犬に与えるには不向なため、必ず生のキウイを食べさせてくださいね。
キウイによるアレルギーにも注意しておきましょう
人間の果物アレルギーの中でも報告例が多いキウイアレルギー。体質によっては犬でもキウイにアレルギー反応を起こす子がいます。
アレルギーを持っている犬がキウイを食べた場合、人間同様に口腔内の痒みや腫れ、嘔吐などの症状が食べた直後に起こります。このサインに気付かずに大量にキウイを食べさせてしまうと、犬がアナフィラキシーショックを起こす可能性もありますので注意が必要です。
そのため犬に初めてキウイを与える際はほんの少量ずつ、口の周りを痒がる様子はないか?口腔内には異常はないか?ということを確認しながら食べさせてください。
また、ハンノキやシラカバといったカバノキ科の花粉に対するアレルギーを持っている犬の場合、似た構造のアレルゲンを持つキウイでアレルギーが発症する“交差反応”を起こす可能性もあるため、注意が必要です。
キウイは犬にとってメリットはないの?
犬は食事からビタミンCを取る必要がないということをお伝えしましたが、キウイにはビタミンC以外にも沢山の栄養が含まれていることをご存知ですか?
まず挙げられるのが腸内環境を整えることができる食物繊維。キウイには糖の吸収を抑えて血糖値の上昇を抑制する作用を持つ水溶性の食物繊維と、腸内の老廃物の掃除に役立つ不溶性食物繊維の2種類が含まれているんです。
腸内で膨らむ性質があるため愛犬の体重管理にも役立つ食物繊維ですが、過剰摂取すると下痢をすることもあるため、他に与える食事に含まれる食物繊維の量を意識しながらキウイを食べさせるようにしましょう。
他にもキウイには、優れた利尿作用を持ち体内の塩分濃度を調整してくれるカリウム、造血作用のある葉酸、鉄分やカルシウムの吸収を高める有機酸、高い抗酸化作用が期待できるポリフェノールといった栄養が含まれています。
また犬の体内で作られるビタミンCも過剰なストレスが掛かると大量に破壊されてしまうため、暑さの厳しい時期などは食事からもビタミンを取っておくと安心です。
愛犬のライフステージや体調によってはキウイに含まれる栄養素を積極的に摂取することが望ましい場合もありますので、必ずしもキウイを食べても犬には何のメリットもないという訳ではありません。
キウイを与える時は、与え方と量に気を付けましょう!
キウイの皮の部分はすりつぶして与えましょう!
キウイにはポリフェノールが含まれていると紹介しましたが、ポリフェノールは私達が常食するキウイの実ではなく、キウイの皮に含まれているんです。更に皮のすぐ下、皮と接している部分の実には豊富な食物繊維が含まれていることから、キウイは皮ごと食べることが好ましいされています。
しかしリンゴなどと違って皮の食感があまり良くなさそうなのが気になるうえ、キウイの皮をそのまま食べるのは消化にも良くなく、犬の胃腸に負担を掛ける恐れもあります。そのため、犬にキウイを与える際は皮はすりおろしてあげるのが良いでしょう。
スーパーで売られているキウイの多くは輸入品のため、農薬が気になる場合は食器洗い用の普通のスポンジで擦り、洗ってから与えると安心です。こうして擦り洗いをすると皮の表面にある細かい産毛も取れますよ。
量はほんの少しで十分です!
キウイを犬に与える場合はごく少量が好ましいのですが、具体的には1度にどの程度の量を与えて良いのでしょうか?
キウイに含まれる果糖の量を考えると、小型犬であれば薄く輪切りにしたものの1/3程度、大型犬であっても薄い輪切り1枚程度が適当です。犬にとってキウイは必ずしも取らなくてはいけない食材ではないので、与える際は愛犬の肉球程度の大きさに抑えることが望ましいでしょう。
初めてキウイを与える場合は更に少ない量から与え、様子を見ながら増やしていってください。
キウイを使って愛犬に手作りごはんを作りましょう!
キウイと鶏肉のさっぱりヘルシーごはん
用意するもの (体重4kgの小型犬の2食分を想定した分量です)
・ 鶏の胸肉 95g
・ キウイ 1/6個
・ 蓮根 16g
1. キウイを細かく刻み、蓮根をすりおろします。
2. 小さめのフライパンに鶏肉と蓮根を入れて肉の高さの半分程度まで水を注ぎ、蓋をして弱火にかけます。
3. 鶏肉の中まで火が通ったら人肌程度の温度まで冷まし、キッチンバサミなどで愛犬が食べやすい大きさに鶏肉を切ってください。鶏肉は手でも簡単に割けますよ。
4. 鶏肉と蓮根の旨味が染み込んだスープごとお皿に盛りつけ、刻んだキウイを上から散らして完成です。
キウイを使った犬用ビスケット
用意するもの
・ 愛犬のお気に入りの犬用ビスケット 2枚
・ キウイ 薄くスライスしたものを1枚
1. まな板にラップを敷き、その上にビスケット、キウイ、ビスケットの順に重ねていき、キウイがサンドされたビスケットを作ります。
2. 1で作ったものをラップでくるんで、2~3時間冷蔵庫で冷やして完成です。熱中症が気になる季節は冷たいまま与えても良いですが、お腹が弱い子やシニア犬に与える場合は常温に戻してから食べさせてあげるのが安心ですよ。
キウイの風味が爽やかな豆乳ヨーグルトレシピ
用意するもの
・ 豆乳ヨーグルト 適量
・ 熟したキウイ 適量
1. キウイの皮を剥き、実をフォークなどで荒く潰します。残った皮も細かくすりおろしておきましょう。
2. 1のキウイの実と皮を豆乳ヨーグルトに混ぜて完成です。飼い主さんも一緒にいただけますよ。
まとめ
キウイは必ずしも犬の体に必要な食材ではありません。しかし体に良いとされるものだけを食べていても、食事の楽しみが得られないのは人間も犬も同じですよね。
また、高齢や体調不良が原因で食欲が無い時にも好物だけは食べてくれたりと心強い場面もあるため、好きな食べ物を増やしておくことはとても大切なこと。
与える量やアレルギーに気をつけ、常食しないように注意すればキウイは犬に与えても問題のない食材です。飼い主さんと愛犬、お互いが大好きな相手と同じものを食べられる楽しい時間を通して、いっそう絆を深めるのにキウイを役立ててみてはいかがでしょうか?