「愛犬と少しでも長く一緒に暮らしたい」というのは飼い主なら誰もが考えることです。犬の平均寿命は食事の改善や医療の発達で年々増加傾向にあり、昔よりもずっと長生きができるようになりました。
しかし、犬に人間用の食べ物を与えることで寿命を短くしてしまうどころか、急激な体調不良をおこして亡くなってしまうケースもあります。大切な愛犬に長生きしてもらう為にも、人間の食べ物を与えてはいけない理由について知っておきましょう。
数十年前と比べて犬の寿命が倍に伸びている!?
犬の平均寿命はどのくらい?
東京都のとある動物病院では、過去30年間の犬猫の死亡カルテから寿命のデータを起こして分析しています。
1980年の犬猫の平均死亡年齢は3~4歳でしたが、1989年には10歳前後になり、1998年以降は13~14歳にまで伸びたそうです。特に小型犬は15歳以上まで生きることも多く、極めて稀ではありますが20歳以上まで生きた犬も存在しています。
犬の平均寿命が伸びている3つの理由
犬の平均寿命が伸びているのには大きく3つの理由があります。
飼い主の健康管理の意識の高さ
一番の理由は飼い主の健康管理に対する意識が高くなったことです。特に、食事に対する意識は大きく変わり、犬の健康によい食べ物を与えるようになりました。犬の健康を第一に考えた栄養豊富なドッグフードや、特定の疾患を持った犬向けの療法食も開発されているため、犬の寿命を伸ばす大きな要因となっていることは間違いないでしょう。
一昔前までは犬には人間の食べ物をあげるのが当たり前のことでした。しかし、人間の食べ物はあくまでも人間のためのものであり、犬のための食べ物ではありません。そのため多くの犬が栄養不足の状態でした。ドッグフードが普及して犬が十分な栄養を取れるようになったことで、健康寿命が大きく伸びたと考えられています。
室内飼いの普及
室内飼いが増えたことも寿命が伸びた理由です。
数年前までは犬は庭に繋いで外飼いをするというイメージが一般的でしたが、近年では室内飼い向けの小型犬が人気を集めていることもあり、外飼いされている犬を見かける機会は減りつつあります。
室内はエアコンが効いて寒暖差が少なく、道路を通る車や人の音が気になりません。屋外よりもストレスなく快適に過ごすことができ、その結果病気にもかかりにくくなったと考えられています。
また、室内飼いであれば愛犬と触れ合う機会も増えるため、病気などで様子がおかしい時に気がつきやすいというのも大きなポイントでしょう。
ペット医療の発達
犬を単なる動物としてではなく家族の一員と考えるようになり、ペット医療に対する需要が高まりました。それに応えるように病気や怪我の治療技術は大きく進歩し、フィラリアの予防薬や狂犬病の予防接種が普及しました。
人間向けの医療だけでなく、ペット向けの医療も年々発達してきており、もしも病気になってしまった場合でも、複数の選択肢から今後について決めることも可能になっています。病状によってはいくつもの治療方法を試すことができるため、愛犬の命を救うことができる可能性が高まったというのは非常に嬉しいことですね。
犬に人間の食べ物を与えてはダメな理由とは?
健康寿命が伸びた理由のひとつは飼い主の健康管理の意識が高まって、犬の健康によいドッグフードが普及したことです。現代では「犬に人間の食べ物を与えてはいけない」「犬には犬用の食べ物を与えるべき」ということは多くの人が理解しているでしょう。
それでは、なぜ犬に人間の食べ物を与えてはいけないのでしょうか。その理由について具体的に考えていきましょう。
人間の食べ物は犬にとって危険な場合も
人間にとっては問題のない食べ物でも犬にとっては毒性があり、一定量以上を摂取することで中毒症状を引き起こすものがあります。中毒症状は少量で出るものもあれば、ある程度の量を食べると出てくるものもあります。中には食べてから数時間後に症状が現れる食べ物もありますので注意してください。
犬にあげてはいけない危険な食べ物一覧
犬にとって有害だと言われている食べ物の一部をご紹介します。
- ネギ類(たまねぎ、ネギ、ニラ、にんにく等)
- アボカド
- 生のイカ、タコ
- 生の甲殻類・貝類(カニ、エビ、ホタテ等)
- ぶどう、レーズン
- ぎんなん
- ナッツ類
- チョコレート
- キシリトール
- カフェイン飲料(コーヒー、紅茶等)
- アルコール ……etc.
これらの食べ物は中毒症状を引き起こしたり、有害な成分が入っていたり、消化不良を起こしたりするので基本的に犬に与えてはいけません。特にネギ類は重篤な症状が出る恐れがありますので絶対に与えないようにしましょう。
ネギ類以外の食材では全ての犬に中毒症状が出るとは限りませんが、体調を崩したり最悪死に至ってしまうリスクが潜んでいるという事実は知っておきましょう。その他にも意外な食べ物が犬にとっては有毒になることがありますので、普段から人間の食べ物は与えないようにするのが一番安全です。
人間と犬は必要とする栄養が異なる
人間と犬とでは必要とする栄養が異なります。また、消化しやすい栄養素、吸収しやすい栄養素にも違いがあります。
人間はエネルギー源として穀物に含まれる炭水化物をたくさん必要としますが、犬が一番必要とする栄養はお肉に含まれるタンパク質です。ミネラルの中ではカルシウムの必要量が大きく異なり、体重に対する割合で考えると犬は人間の14倍のカルシウムが必要だと言われています。
このように人間と犬とでは必要な栄養素が大きく異なります。人間の健康にいいものだからといって犬に人間の食べ物を与えていると栄養バランスを崩してしまいます。
人間の食べ物は肥満や内臓疾患の原因に
ドッグフードのパッケージに記載されている給餌量は1日に必要なカロリーや栄養素を計算した値になっています。
人間の食べ物を与えてしまうと、すぐにカロリーオーバーになり、肥満や腎臓病、肝臓病の原因になってしまう恐れがあります。カロリーオーバーにならないようドッグフードを減らそうとすると、今度は必要な栄養素が不足してしまいますので止めておきましょう。
食パンのような味付けされていない食材にも少量の塩分や糖分が含まれています。パンの塩分は人間にとっては問題のない量ですが、犬にとっては塩分や糖分の摂りすぎになります。
塩分を摂りすぎると血圧が上昇し、腎臓に負担がかかります。愛犬が高血圧や腎臓の病気を持っている場合は特に注意が必要です。また、肥満は生活習慣病などさまざまな病気の原因になります。愛犬が肥満気味の場合は余計なものを与えないようにしましょう。
人間の食べ物を与えるのは犬のしつけによくない
飼い主の食事中に犬が食べ物を欲しがって一生懸命アピールしてきたことはありませんか?犬が懸命に「食べたい!」と訴えているのを見ると、ついつい自分が食べているものを分け与えたくなってしまいます。
しかし、飼い主が食べている物を分け与えるのは、犬のしつけにとってよくありません。「吠えれば何でも言うことを聞いてくれる!」「食べているご飯を貰えるということは自分のほうがエラいんだ!」と間違った学習をしてしまいます。
間違った学習をすると、飼い主の食事中に無駄吠えをしたり、食卓の食べ物を勝手に食べたりするようになります。危険な食べ物を口にしてしまう可能性もあるので、普段から人の食べ物を食べないようにしつけることが大切です。
犬が人間の食べ物を欲しがる際のしつけ方
犬が人間の食べ物を欲しがる際には、一体どのようにしつけたら良いのでしょうか?犬が人間の食べ物を欲しがるときのしつけ方は簡単で「人間の食べ物はあげない」というルールを徹底するだけです。「人間の食べ物はもらえない」ということを学習すれば、人間の食べ物を欲しがらなくなります。
これまで飼い主の食事中にご飯を分け与えていたような場合は少し時間がかかるかもしれませんが、とにかく「人間の食べ物はあげない」というルールを徹底することが大切です。いずれは「いくらおねだりをしても、人間の食べ物はもらえない」ということを学習して、人間の食べ物を欲しがらなくなります。
「一生懸命に吠えているから今日だけ…」「可愛そうだから今日だけ…」というのは絶対にやってはいけません。ルールに一貫性がないと、「もっと吠えればもらえるかも!」「もっと甘えればもらえるかも!」と間違った学習をしてしまいます。犬のためにも「人間の食べ物はあげない」というルールを徹底することが大切です。また、ご家族様と一緒に暮らしている場合、誰か1人でもルールを守らない人がでてきてしまうと意味がありませんので、徹底して守るようにしてください。
愛犬の健康のためには犬用のごはんが一番!
愛犬のためには犬の健康を考えて作られた、犬のためのごはんが一番です。ドッグフードには犬の健康に必要な栄養がきちんと含まれています。
特に、総合栄養食は良質なドッグフードなため、フードと水だけを与えていれば健康を維持できるよう栄養バランスが調整されています。愛犬の健康ためには良質なドッグフードを与えるのが一番です。