ペットショップやホームセンターへ行くと、たくさんのドッグフードが売られています。初めて犬を飼う方はどのドッグフードを選んだらいいのか迷ってしまうでしょう。
大切なのは、犬にはどんな栄養を与えなければならないのかを知っておくことです。また、年齢別に必要な栄養は違うのかなどを知るのは愛犬の健康のために必要なことなのです。
ドッグフードは目的や形状で種類が分かれる
たくさんの種類が売られているドッグフードですが、ドッグフードには目的や形状によっていくつかの種類に分けられます。
目的別に分けられたドッグフード
まずは目的による違いを見ていきましょう。
総合栄養食
総合栄養食とは、このフードと水だけでペットの健康が維持できるドッグフードのことをいいます。
健康な犬が1日に必要とする栄養素が全て含まれているため、適切な量のドッグフードと水を与えていれば、栄養失調を起こしてしまうことはありません。
なお、総合栄養食といっても全てが健康的なドッグフードというわけではなく、必要な栄養素を補った上で人工添加物などが入れられている場合もありますので、しっかり見極めることが重要です。
栄養補完食
栄養補完食はこれだけで犬の健康を維持するというものではなく、特定の栄養を調整して総合栄養食と一緒に与えるドッグフードです。愛犬の食欲が湧かない時に与えたり、動物病院で行った検査で、特定の栄養素が足りていないという診断が出た際に食べさせることもあります。総合栄養食と違って、犬に必要な全ての栄養が含まれているわけではありませんので注意しましょう。
療養食(療法食)
特定の病気の改善や予防のためにつくられたドッグフードを療法食と呼びます。
健康な犬が1日に必要な栄養量と比べて、特定の栄養素の含有量を増やしてたり全く含まないようにしていたりするため、健康な犬が療法食を食べ続けると栄養失調を起こしてしまいます。療法食は基本的に動物病院で獣医師の診断のもと処方されるため、飼い主さんが自由に購入することができません。
おやつ(間食・副食)
一般的におやつと呼ばれている食べ物は、間食や副食と呼ばれる場合があります。
おやつはトレーニングや食欲がない場合の補助食として用いられるものですので、主食として与えることはできません。また、与えすぎによって肥満や糖尿病などの生活習慣病になってしまう恐れがありますので、適切な量を守って与えるようにしましょう。
水分含有量別に分けられたドッグフード
ドッグフードに含まれる水分量によって分類されます。
ドライフード
水の含有量が10%と少なく、乾燥しているフードのことです。一般的にカリカリと呼ばれるのはこのタイプのドッグフードです。
他のドッグフードと比べると比較的安価で保存性が高い特徴があります。また、このタイプのフードは歯につきにくいので歯垢がつきにくく、顎を丈夫にする効果が期待できます。手が出しやすい価格であり、なおかつ犬の歯の健康にも有効的ですので、基本的にはドライフードを犬の主食として選ぶことをおすすめします。
ソフトドライフード
半生タイプで水分含有量は25~35%程度です。このタイプのフードは犬の嗜好性が高いのですが、ドライフードに比べると歯につきやすい特徴があります。
また、ドッグフードに含まれる水分量がドライフードよりも多いため、少し傷みやすくなっています。ソフトドライタイプのドッグフードが大容量で安く売られていることもありますが、大型犬や多頭飼いでない限りは良い品質を保って食べさせることができませんので、小分けされたものを選ぶようにしましょう。
ウェットフード
ウェットフードは水分含有量が75~80%と多く含まれていますので保存性は低いのですが、よりお肉に近い食感や臭味があるため、ドライフードよりも嗜好性が高くて犬が好みやすいフードになっています。
柔らかいので歯が抜けてしまった老犬に適しています。若い犬に与えるときは歯垢がつきやすいことがあるので、歯磨きをしっかりすることが大切です。また、ドライフードと比べると香りがよいので、食欲が落ちているときはいつものドライフードに少量のウェットフードを混ぜて与えてもいいでしょう。
ドッグフードに含まれている犬に必要な6大栄養素とその働き
たんぱく質
たんぱく質は身体を作るために重要な役割を担っている栄養素です。筋肉や臓器、犬の被毛や爪を作ったり、血管を強くしてくれるのもたんぱく質です。
また、たんぱく質は体内に入ってこようとする菌やウイルスから身体を守る「抗体」をサポートするため、病気になりにくい身体を作ることができます。この抗体が弱ると風邪をひきやすくなることがあるので、病気になりにくい身体を作るためにたんぱく質を積極的に摂らせるといいでしょう。
脂肪
脂質はエネルギーのもとになったり、身体の中の伝達物質またはその材料としての働きをする栄養素です。コレステロールは身体の中で利用されていきますが、中性脂肪はいろいろな種類の脂肪酸に分解されていきます。脂肪酸には多くの種類が存在しますが、それぞれに働きが異なることと動物によって必要な脂肪酸の種類が違うので、犬に必要な脂肪酸や量がフードに含まれています。
炭水化物
糖質やデンプンのことを主に指す炭水化物は、酵素によりさまざまな種類の糖に分解されてエネルギーとして利用されます。そして、セルロースなどの食物繊維も炭水化物に含まれることがありますが、食物繊維は腸内細菌により分解されてエネルギー源となります。
ビタミン
野菜や果物に多く含まれるビタミンは犬にとっても重要な栄養素ですが、人に必要なビタミンと犬が必要とするビタミンは異なります。たとえば、人はビタミンCを食べ物から摂取しなければなりませんが、犬は体内でビタミンCを生成することができますので、健康な犬であればビタミンCを摂取する必要はあまりありません。
犬に必要なビタミンが不足してしまうと様々な症状を引き起こすことがありますので、正しく摂取させる必要があります。
ミネラル
動物によって必要なミネラルは異なります。代表的なものにカリウム、カルシウム、ナトリウム、リン、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛などがあります。カルシウムは骨を作るのに必要な栄養素、鉄は貧血予防や血液を作るために必要であったりと身体に重要な栄養素です。犬用のフードにもバランスよく配合されています。
水
正確にいうと栄養素ではないのですが、犬が生きていくために何より必要となるのが水です。ドッグフードをしっかり食べていても、水分を全く飲まないようであれば命が危険に晒されることになりますので、絶対に水を飲ませなければなりません。
どうしても飲まない場合は、ドッグフードに水をかけてふやかしたり、野菜の茹で汁を加えてスープのようにするなど、愛犬が水を飲んでくれそうな工夫をしてください。
ドッグフードの成分表で含まれている栄養を確認しよう
ペットフード安全法によって、日本で販売されているドッグフードには表示が義務付けられている5項目と自主基準で決められている4項目があります。
これらの中で重要視すべきなのは、「原材料名」と「成分」の項目です。大切な愛犬に食べさせるフードには何が入っているのか、危険な添加物が入っていないかなどチェックしておくといいでしょう。また、原材料は使用量が多いものから順に記載されています。一番最初に肉と記載されていれば肉の使用量が一番多くて高タンパクのドッグフードということになりますが、穀物一番初めに書かれているのであればカサ増しをしているドッグフードかもしれません。
法律で決められた表示義務のある5項目
- 名称(犬用か猫用か分かるような商品名)
- 賞味期限
- 原材料名
- 原産国名
- 事業者の名称・住所
自主基準で決められた4項目
- どんな目的で食べさせるフードなのか(総合栄養食か副食かなどの表記)
- 内容量
- 給餌方法
- 成分
ドッグフードの知識を深めて愛犬には安全なものを!
ドッグフードに含まれている栄養がどういった成分なのか、お分かりいただけたでしょうか。そして、犬に必要な栄養はどんなものかも解説してきました。たくさんの種類があるドッグフードの中からどれを選んで愛犬に与えるか、それを決めるのは飼い主さんです。すなわち、飼い主さんが選ぶドッグフードで愛犬の健康を左右することがあるということです。大切なワンちゃんのため、ドッグフードの栄養について関心を持つことが大事なことなのです。