芋類の中でも粘り気のある里芋は、低カロリーでカリウム含量が多い食材。
愛犬の健康面を考えると、ドライフードやペットフードなどの総合栄養食にプラスして、積極的に与えたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、里芋は人間が食べてもアレルギーを引き起こす場合があるので、「犬にとっても害があるのではないか?」と心配になってしまいますよね。
しかし実際のところ、犬は里芋を食べられるため、与えても問題ありません。
この記事では、犬に里芋を与える際の注意点やメリットをご紹介します。
犬は里芋を食べられる!
里芋はカリウム、ガラクタン、ビタミンB1などが含まれた栄養価の高い食材で、犬に食べさせても大丈夫です!
犬にとっても高血圧予防や整腸効果が期待できるため、ドックフードのトッピングや犬用手作りごはんキットにもよく使われています。
ただし、直接与える際には、生食ではなく必ず加熱して与えるようにしてください。
また、与える量や与え方に注意が必要なため、後述で詳しく解説します。
里芋を生で食べてしまったらすぐに動物病院へ!
栄養価の高い里芋ですが、生の里芋を与えてしまうと、中毒を引き起こす可能性があります。
里芋中毒の主な症状は、
- 下痢
- 嘔吐
- 元気がなくなる
- ぐったりする
- 口内炎
- 皮膚炎
- 消化器障害
- 呼吸困難
などです。
もし愛犬が里芋を生で食べてしまった場合は、ただちに動物病院を受診し、獣医師に診てもらってください。
犬が里芋を食べるメリット
里芋には、カリウムをはじめ、ガラクタン、ビタミンB1などが豊富に含まれています。
ここではこれらの栄養素が犬にどのようなメリットを与えるのか詳しく説明していきます。
カリウムが高血圧を予防してくれる
里芋にはミネラルのひとつである『カリウム』が、100gあたり640mgとたっぷり含まれています。
カリウムには、体の中にある過剰な塩分を体外へ排出するはたらきがあるため、高血圧の予防になります。
また、利尿作用があるため、水分量の調節、新陳代謝の促進など、愛犬の健康維持につながる嬉しい効果も期待できるでしょう。
ガラクタンで胃腸の保護や免疫力アップが見込める
里芋には、独特のぬめり成分『ガラクタン』という栄養素が含まれています。
これは炭水化物とタンパク質の複合体で、食物繊維の一種です。
ガラクタンを摂取すると、
- 胃腸の粘膜を保護する働き
- 腸内環境を整える整腸作用
- がん細胞の抑制
- 免疫力向上
などの効果が期待できます。
ビタミンB1はエネルギー生産や皮膚の健康を保つ効果がある
『ビタミンB1』は、水溶性ビタミンB群の一種です。
糖質の代謝を促しエネルギーを生産するサポートをしたり、皮膚や粘膜を健康に保ったりするはたらきがあります。
不足してしまうと、歩行障害や筋力低下などにもつながりますので、積極的に取り入れたい栄養素です。
ほかの栄養素を摂りながら水分補給ができる
里芋の主な成分は水分です。
品種や産地、栽培条件などによって若干異なりますが、70〜80%が水分でできています。
また、里芋特有のもちもちとした食感は、ワンちゃんにとって食いつきの良い野菜。
里芋の栄養素と水分を同時に摂取でき、熱中症予防にも最適な食材といえるでしょう。
犬に里芋を与えるときの注意点!
栄養素が豊富な里芋ですが、注意点を押さえておかなければ愛犬の健康を脅かす可能性があります。
ここからは、犬に里芋を食べさせる際の注意点を紹介します。
シュウ酸が里芋中毒と尿路結石症の原因になる可能性
里芋は、尿路結石症を引き起こす『シュウ酸』を多く含んでいます。
シュウ酸は1本の長さが0.1mm程度の針状の結晶をしています。
そのため、大量摂取すると口や喉、胃などの粘膜を傷つけ、重い消化器障害を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
また、シュウ酸とカルシウムが結びつくと『シュウ酸カルシウム結石』となり、尿路結石の原因になります。
尿路結石とは、尿道に結石ができてしまい、尿が排出できない病気です。
尿を体外に排出できないと腎臓に大きな負担がかかり、腎不全を引き起こす可能性もあります。
タンパク質がアレルギー症状を引き起こす可能性
犬の中には、まれにタンパク質が原因で食物アレルギーを引き起こす子もいます。
里芋には少量ですが『タンパク質』が含まれています。
そのため、初めて里芋を与える際には、少しづつ与えて様子を見てみましょう。
もし皮膚の痒みや赤み、下痢、軟便、嘔吐など犬の食物アレルギーの症状が現れた場合は、獣医師に相談してください。
シニア犬や腎臓病の犬はカリウムに注意
里芋は、野菜や芋類の中でも特に『カリウム』の含有量が多い食材です。
そのため、シニア犬や腎臓・心臓の機能が低下している犬が里芋を食べると、血中のカリウム濃度があがってしまう『高カリウム血症』になる危険性があります。
主な症状は
- 四肢のしびれ
- 筋力低下
- 吐き気
- 脈拍の異常
などがあり、最悪の場合は死亡することもあります。
シニア犬や腎臓病などの犬は、カリウムの摂取に注意が必要です。
愛犬用に里芋を調理するときのポイント
犬に里芋をあげる際、注意点を押さえておかないと愛犬の健康を脅かします。
一度に大量に与えたり下処理を怠ったりすれば、消化不良や中毒の原因になることも。
とはいえ、一体どう調理するべきかわからない人も多いでしょう。
ここでは愛犬用に里芋を調理するときのポイントをまとめてみました。
里芋の量は体重や大きさによって変えよう
栄養価が高く健康に良い里芋ですが、与えすぎるとかえって健康を害してしまいます。
里芋は、犬の体重や大きさに適した適量を与えることが大切です。
また、普段与えているフード(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめるようにしましょう。
【1日あたりの摂取可能目安量】 | ||
犬種 | 体重 | 里芋の目安量 |
小型犬 | 10kg未満 | 35g〜70g |
中型犬 | 20kg未満 | 120g〜160g |
25kg未満 | 150g〜200g | |
大型犬 | 30kg未満 | 180g〜240g |
40kg未満 | 240g〜390g |
与えて良い部分だけをセレクトしよう
犬も人間と同じで、里芋を生で食べられませんし、里芋の皮も食べられません。
里芋の皮は非常に硬くて消化も悪いため、消化不良の原因になります。
また、里芋のシュウ酸は、皮のすぐ下の5mmあたりに多く含まれています。
少し厚めに皮を剥くと、シュウ酸をある程度取り除くことができるので安心です。
さらに注意したい点として、里芋の葉柄(ようへい)にもシュウ酸が含まれています。
自宅で里芋を育てている場合は、愛犬が間違って里芋の葉柄をかじらないように注意しましょう。
里芋は必ず加熱しよう
先述したように、生の里芋は『里芋中毒』を引き起こす可能性があります。
愛犬に里芋を与える際には、皮を剥き、必ず加熱をして与えましょう。
尿路結石の原因となるシュウ酸は『水溶性』なので、加熱方法は茹でるのが一番。
できるだけシュウ酸を取り除き、食べやすい大きさにカットして与えるのがおすすめです。
犬に里芋を与える際は加熱することを忘れずに!
里芋には、カリウム、ガラクタン、ビタミンB1など犬の健康維持を促進する栄養素が豊富に含まれています。
また、水分もたくさん含んでいるので、熱中症予防や食欲が落ちているときにも最適な食材です。
ただし、生のまま里芋を与えると『里芋中毒』を引き起こす可能性があります。
犬に与える際には、人間が食べるときのように皮を剥き、茹でて加熱することを忘れないでください。
また、適量を食べやすい大きさにカットしたり、柔らかくすりつぶしたりして与えましょう。
まとめ
- 犬に里芋を与える場合は、必ず茹でて、加熱すること。
- 生のまま里芋を与えると、中毒症状を引き起こす可能性がある。
- 里芋の皮は固くて食べられないので、必ず皮を剥く。
- 里芋はシニア犬や腎臓・心臓が弱い犬には与えない。
- 犬用ご飯として里芋を与える際は、犬の大きさや体重に合った量にする。