犬にも人間と同じく「生理(ヒート)」が存在します。
しかし、人間と勝手が違うことも多いので、どうお世話してあげたらいいのか戸惑ってしまうことも多いでしょう。
そこでこの記事では、犬の生理(ヒート)の周期や体調の変化、気をつけるべきポイントについて詳しく解説していきます。
愛犬に生理がはじまっても適切に対処できるように、ぜひ正しい知識を身に着けておきましょう。
犬の生理(ヒート)とは
犬の生理は、出血するという意味では人間と同じですが、周期や出血期間にはかなりの違いが見られます。
妊娠が可能となる発情期とも大きく関係するので、他の犬との間にトラブルが起きないように、飼い主は犬の生理について正しい知識を身に着けておくことが大切です。
生理(ヒート)の周期
犬の生理は「ヒート」と呼ばれており、避妊をしていないメス犬であれば必ず起こる現象です。
犬の生理は6カ月〜10カ月に一度ある発情期の中で発生します。
犬の発情周期は「発情前期」「発情期」「発情休止期」「無発情期」の4つに区分することができ、このうち「発情前期〜発情期」の間に陰部から出血が起こるのです。
出血期間は7日〜10日程度、出血量が少なくなったタイミングで排卵が起こるので、この時期がもっとも妊娠しやすいといわれています。
人間の生理は、妊娠しなかった場合に不要になった子宮内膜が血液とともに排出される仕組みです。
一方、犬の場合は発情のしるしとしての出血なので、少し意味合いが異なるといえるでしょう。
発情休止期から次の発情前期がくるまで、だいたい4ヶ月から8ヶ月程度かかるといわれています。
こうした発情サイクルはほぼ一生続くとされており、老齢になっても出血量は減少するもののヒート自体は起こっているので、飼い主はしっかりとケアしてあげることが大事です。
生理が始まるのはいつごろ?
メスの犬に初めて生理が見られるのは、だいたい生後6カ月〜10カ月頃です。
個体差や犬種によっても差がありますが、とくに大型犬は生理の始まりが遅め(生後10カ月〜18カ月)な傾向があります。
生理が始まったということは、妊娠可能な体にまで成熟したという証拠です。
望まない妊娠をしてしまわないように、生理が始まったらオス犬との接触には気を付けてあげるようにしましょう。
生理(ヒート)で起こる症状
では、犬の生理(ヒート)では、一体どのような症状が起こるのでしょうか。
生理前
発情前期の1ヶ月半前くらいから外陰部が腫れたようになり、少し血が混じったような分泌液が出ることもあります。
また、犬自身が落ち着かない様子を見せることも少なくありません。
この時期は免疫力が低下しているので、感染症などにかからないよう気を付けてあげましょう。
生理中
発情前期に入ると、外陰部が腫大し発情出血が始まります。
頻尿などの症状が出て、落ち着きがなくなったり吠えるようになったりする子も多いです。
この時期には、元気がなかったり食欲が落ちたりする場合もあります。
散歩を嫌がるといった症状が見られることもあるでしょう。
また、性ホルモンの関係でオスを惹きつけやすくなる時期なので、他の犬との接触は避けた方が無難です。
生理後
発情出血が終わり発情休止期に入ると、ホルモンの影響で乳腺が発達し、妊娠していなくて乳汁のような分泌液が出ることがあります。
また、ぬいぐるみやおもちゃなどをケージに持ち込んで、子育てのような仕草を見せることもあります。
また、この時期は子宮に膿が溜まってしまう「子宮蓄膿症」という病気になりやすいので、少しでも気になることがあればすぐ病院で相談するようにしてください。
生理(ヒート)中に気をつけるポイント
生理中は、犬が非常に敏感になりやすい時期です。
体調を崩したり他の犬とトラブルになったりすることを避けるためにも、以下のポイントに気をつけてケアしてあげることをおすすめします。
出血による汚れの対策
犬の生理中は、まず第一に出血による汚れへの対策をとる必要があります。
そのまま放置してしまうと室内や犬の体自体が汚れてしまうので、出血量が多い場合は犬用のサニタリーパンツや紙おむつを履かせてあげるのがおすすめです。
ただし、おむつを履かせたまま放置しておくと、かぶれの原因になるので、定期的におむつを外してあげるようにしてください。
出血量が少ない場合や、おむつを嫌がる場合は、犬の行動範囲にトイレシートやマットを敷くようにしましょう。
汚れた陰部は清潔な濡れタオルやコットンで拭いてあげてもいいですが、自分で舐めとるのであれば無理に拭かなくても大丈夫です。
体毛の長い犬は汚れがつきやすいので、陰部周りの毛を短くカットするのもいいでしょう。
食欲が落ちている場合はフードに工夫をしてあげる
生理中は食欲が落ちてしまう子も多いです。
あまりフードを食べないようなら、食べやすくなる工夫をしてあげましょう。
- 水でフードを柔らかくしてあげる
- フードを温めてあげる
- 低塩のスープや犬用ふりかけをフードにかけてあげる
- 手作りやウェットフードなど、犬が食べやすいタイプの食事に切り替えてあげる
上記のような工夫を心がければ、食欲のない犬でも食べてくれるようになる可能性が高いです。
ただし、普段の半分以下の食事しかとれない状態が何日も続く場合は、病院に相談することをおすすめします。
散歩中はできるだけ他の犬に会わないようにする
生理中は、性ホルモンの影響でオス犬を興奮させやすくなってしまいます。
そのため、無防備にオス犬に近づけてしまうと、トラブルの原因になる可能性があります。
犬同士のトラブルを避けるためにも、散歩するならできるだけ他の犬に会わない時間帯やルートを選ぶようにしましょう。
ドッグランやドッグカフェなどの、他の犬が集まる施設も避けるのが無難です。
また、生理中は散歩に行きたがらない子もいるので、その場合は無理せず家でゆっくり過ごさせてあげましょう。
出血が長期間続く場合は病院へ連れて行く
犬の生理の出血は通常2週間程度でおさまります。
もし、2週間以上も出血が続くようであれば、病院に連れて行った方がいいでしょう。
また、以下のような症状が見られる場合もすぐに病院に相談することをおすすめします。
- 血液量が多い
- 血液以外の粘液や膿のようなものが出ている
- 過度な食欲不振
- 吐き気や痛みが伴う
とくに、ヒート期間中は子宮蓄膿症になりやすい時期です。
生理との見分けもつきづらいので、ちょっとでも気になることがあれば早めに受診した方がいいでしょう。
犬の生理(ヒート)をきちんと理解してお世話してあげよう
犬の生理は人間と違う部分が多く、妊娠の可能性も高まる期間なので、飼い主がしっかりケアしてあげることが大事です。
出血や体の変化に対するケアはもちろん、散歩コースや普段の過ごし方にも気を使ってあげることをおすすめします。
また、生理が愛犬の体の負担になっている場合は避妊手術という選択もあります。
病気のリスクや体への負担が心配であれば、かかりつけの医師に相談してみるといいでしょう。
ヒートへの正しい知識を深め、愛犬が快適に過ごせるように対処してあげてくださいね。