愛犬が震えていると、「もしかして何かの病気?」「これって大丈夫なの?」と心配になってしまいますよね。
とくに、犬を飼い始めたばかりの人だと、どうすればいいか分からず不安になってしまうでしょう。
犬は健康でも震えることがありますが、一方で病気が原因となっている可能性もゼロではありません。
この記事では、犬が震える原因や考えられる病気、取るべき対処法について解説します。
犬を飼っている人は、きちんと目を通しておきましょう。
犬が震えるのは珍しいことではない
コノコトトモニでは、犬を飼っている成人男女200人を対象に「飼っている犬が震えたことはありますか?」というアンケートを取りました。
結果がこちらです。
実に7割以上の人が「飼っている犬が震えたことがある」と回答しています。
犬は人間と同じように、病気や寒さなどの生理現象で震えることがあります。
犬が震えるのは決して珍しい現象ではなく、震える姿を見たことがある飼い主さんも多いでしょう。
ただし、病気が原因で犬が震えることもあるので、「犬が震えていても珍しいことじゃないし大丈夫」と簡単に決めつけないようにしてください。
震える犬の様子はさまざま
続いて、「犬の震えが生じたときの持続時間や頻度を教えてください」と質問したところ、以下のような回答が寄せられました。
- 2分ほど1日2回(朝晩)、震えたので心配だった。
- 1分〜2分で震えは収まって、その後心配するような震えはなくなった。
- 5分ほど震えたため、気になり翌日病院に連れて行った。
- 20分程度。
- 2分ほど震えていて、1日2回程です
アンケートによると「1日2回(朝と晩)」「1分〜2分程度」という回答が多く寄せられました。
ただし、5分以上震えているケースや、1日に何回も震えているというケースもあるようです。
また、「その後に再発する」という意見もあれば、「その後は何事もなく震えがなくなる」という意見も見られました。
つまり、犬によって頻度や持続時間、再発するかなどはさまざまであり、「この持続時間なら安心」「この頻度なら安心」「再発しないなら安心」といったことは言えないのです。
原因がはっきりとしていない場合は、動物病院に連れていった方がいいでしょう。
震える犬を見て心配になる飼い主さんは多い
アンケートによると、震える犬を見て心配になる飼い主さんは多いようです。
以下がアンケートの結果になります。
ほとんどの飼い主さんが、震える犬を見て心配になった経験があると回答しました。
震える犬を見て、「何かのSOSなんじゃないか」「もしかして緊急事態なのかも」と考えてしまうのは当然です。
むしろ、「犬が震えていても心配にならない」という人の方が圧倒的少数であることが分かります。
犬が震える原因は「恐怖心やストレス」「寒さ」が多い
続いて、「犬が震える原因は何でしたか?」というアンケートの結果を記載します。
震える原因としてとくに多かったのが、「恐怖心やストレス」と「寒さ」でした。
大きな音や病院のトラウマなどで恐怖を感じたときや、気温が下がって寒くなったときに震える犬は多いようです。
しかし、それ以外にもさまざまな理由で犬の震えは発生します。
ここでは、犬が震える原因となるものをそれぞれ解説していきます。
恐怖心・ストレス
犬は人間と同様、恐怖心やストレスを感じると震えることがあります。
恐怖心やストレスは自律神経のバランスを変化させ、その結果震えを生じさせてしまうのです。
具体的には、雷や花火など大きな音が近くで鳴っているとき、動物病院に連れていくときなどに震える犬が多いでしょう。
寒さ
寒さもまた、犬が震える原因になります。
人間と同様、震えで体の温度を上げ、体温を維持しようとする働きによるものです。
とくに、子犬や高齢犬、チワワやトイ・プードルなどの小型犬は寒さに弱い傾向があります。
寒い時期の散歩や室温管理には注意が必要です。
興奮
興奮しているときにも、犬は震えることがあります。
久しぶりに飼い主さんに会えたときや、天敵が目の前にいるときなど、感情が高ぶったときに震えが発生します。
興奮による震えは、時間が経って気持ちが落ち着けばおさまるので、心配はいりません。
ただし、さらに興奮すると噛みつきや吠えのきっかけになることがあるので、場合によっては興奮の対象から犬を離した方がいいでしょう。
病気
犬は病気の症状で震えていることもあるので、注意が必要です。
具体的には、以下の病気が挙げられます。
病名 | 概要 | 症状 |
---|---|---|
てんかん | 脳の電気信号の異常 | ・けいれん ・意識障害など |
腎機能不全 | 腎機能の急激な低下 | ・元気がない ・食欲不振 ・嘔吐 ・下痢 など |
低血糖 | 血糖値の極端な低下 | ・元気がない ・発作 ・けいれん ・嘔吐 ・下痢 など |
低カルシウム血症 | カルシウム不足による神経や筋肉の興奮 | ・食欲不振 ・発作 ・手指の筋収縮 ・神経過敏など |
脊髄の疾患 | ・馬尾症候群 ・脊髄軟化症 ・脊髄梗塞 ・椎間板ヘルニア などの脊髄の異常 |
・痛み ・尿もれ ・ふらつき ・立てない ・麻痺 など |
中毒 | 毒性のある成分の摂取 | ・嘔吐 ・下痢 ・食欲低下 ・けいれん ・倒れて手足がつっぱる など |
炎症性脳疾患 脳炎 |
脳の炎症 | ・てんかん発作 ・意識レベルの低下 ・失明 ・嘔吐 ・旋回 など |
脳腫瘍 | 脳に腫瘍ができている | ・ふらつき ・食欲不振 ・発作 ・旋回 ・頸部知覚過敏 ・捻転斜頸など |
水頭症 | 脳内髄液が溜まり脳が圧迫されている 小型犬に多く見られる |
・元気がない ・ふらつき ・けいれん発作 ・頭部にドーム状の膨らみ ・麻痺 など |
ジステンバー | ウイルス性の感染症 | ・けいれん ・発熱 ・せき ・鼻水 ・嘔吐 ・下痢 ・脱水 ・衰弱 ・結膜炎 など |
アジソン病 | 副腎皮質から分泌されるホルモンの不足 | ・食欲不振 ・衰弱 ・嘔吐 ・下痢 ・体重減少 ・徐脈 など |
震えとともに上記の表の症状がでた場合は、すぐに動物病院に連れていきましょう。
また、上記の症状以外でも何か異常を感じるようであれば、動物病院の受診をおすすめします。
加齢
加齢による筋力低下で震えが発生することもあります。
足腰などの衰えから踏ん張りがきかなくなり、立ち上がったり踏ん張ったりした際に後ろ足が震えるのです。
また、排便の際に震えが発生することもあります。
痛みが出ている可能性もあるので、場合によっては動物病院を受診した方がいいでしょう。
構ってほしい気持ち
犬によっては、構ってほしい気持ちで震えることがあります。
過去に震えたときに飼い主が心配してくれたことを覚えていて、「震えれば構ってくれる!」という学習をしてしまったのです。
飼い主が震える犬を毎回構ってあげていると、緊急かどうか見分けづらくなります。
そのため、わざと震えている場合はあえて無視をして、「震えていても構ってもらえない」ということを学習させた方がいいでしょう。
痛み
ケガや椎間板ヘルニア、関節炎などで体に痛みが生じている場合も、犬は震えることがあります。
動いたときにキャンと鳴いたり、あまり動こうとせずプルプルと震えていたりする場合は、何かしらの痛みを感じている可能性があります。
他にも、震え以外に痛みによる症状が出ている場合は、動物病院へ連れていくことをおすすめします。
犬が震えているときの対処法
最後に、犬が震えているときの対処法を解説します。
犬の健康を守るために、対処法をきちんと押さえておきましょう。
犬の様子を見ながら記録する
まずは、犬の様子を見ながら記録をつけるようにしてください。
震えが始まった状況や持続時間、震えている部位、他に症状が出ているかなど、メモを取ったり録画をしたりしておきましょう。
そうすれば、動物病院に連れていくときに獣医師に説明しやすくなります。
暖かい環境をつくる
犬が寒さで震えている場合は、暖かい環境をつくるようにしましょう。
子犬や老犬、小型犬などは寒さに弱い傾向があります。
室温を上げたり服を着せたりして、暖かい環境をつくってあげれば震えはおさまります。
ただし、いつまでも震えが止まらず反応が鈍いようであれば、すぐに病院に連れていきましょう。
一緒にその場から離れる
恐怖心・ストレス・興奮などで震えている場合は、犬を連れてその場から離れることが大事です。
また、震えの原因となっているものを、できる限りその場から遠ざけるようにしましょう。
花火や雷など音が大きいものが原因の場合は、音を遮断できる環境を作り、飼い主さんがそばにいて落ち着かせるのが効果的です。
運動をさせる
筋力の衰えで震えている場合は、運動をさせることが大切です。
加齢と共に筋力は徐々に低下していきますが、運動によってある程度筋力を維持することはできます。
なので、無理のない範囲で散歩をさせてあげるようにしましょう。
高齢の犬の場合は坂道や階段が負担になるため、平坦な道をゆっくりと散歩させてください。
また、家の床に滑り止めを敷いて、踏ん張りがききやすい環境を作ることも大切です。
動物病院を受診する
病気の症状が出ている場合は、早急に動物病院を受診しましょう。
- 食欲不振
- 元気がない・動かない
- 嘔吐
- 下痢
- けいれん
- 呼吸が荒い
- おしっこが出ない・増える
- よだれが増える
- ふらつき
- 痛み
- 麻痺
- 発作
などの症状が出ている場合は、病気の可能性があります。
また、上記以外の症状が出ることもあるので、震えが出たときは犬を注意深く観察してください。
「震える犬を病院に連れていきましたか?」というアンケートでは、以下のような結果が出ています。
震える飼い犬を心配したことがある成人男女146人のうち、約3割の40人は震える犬を病院に連れていった経験があると答えました。
心配のいらない震えもありますが、少しでも怪しいと思ったら動物病院に連れていくようにしてください。
犬が震えたらSOSの可能性がある
犬の震えの原因には、さまざまなことが考えられます。
ストレスや興奮など時間と共に落ち着くものもありますが、一方でケガや病気など見過ごしてはならない震えもあります。
何が原因となっているのか、他に症状はないかなどをきちんと観察し、メモを取ったり録画をしたりするようにしましょう。
犬の健康を守れるかどうかは、飼い主さんの努力次第です。
少しでも怪しい点があればすぐに動物病院に連れていき、愛犬の健康を守るようにしましょう。
- 【調査概要】
調査方法:インターネットアンケート
調査対象:成人男性・成人女性
アンケート母数:男女200名
実施日:2025年3月11日
調査実施主体:コノコトトモニ(https://konokototomoni.com/)
調査会社: 株式会社ゆずず