「エリザベスカラー」とは、手術や治療をしたあとの犬が、患部に触れたり舐めたりすることを防ぐために使用する襟巻のような保護具です。
患部を悪化させないためには、エリザベスカラーを日中だけでなく寝るときにもつけておく必要があります。
しかし、中にはエリザベスカラーを嫌がるワンちゃんもいるので、「寝るときくらい外してもいいのでは…?」と考える飼い主さんもいるでしょう。
そこで今回の記事では、エリザベスカラーを寝るときにもつける理由や、嫌がる場合の対処法を紹介していきます。
愛犬の治療のためにも、ぜひエリザベスカラーの正しい役割を知っておきましょう。
エリザベスカラーを寝るときにもつける理由
「なぜエリザベスカラーを外してはいけないのか」「本当に寝るときにまで必要なのか」と疑問に思ってはいませんか?
まずは、エリザベスカラーを寝るときにもつけるべき理由を見ていきましょう。
基本的に治療が終わるまでは外さない
エリザベスカラーは治療が終了するまで、基本的には外しません。
痛みやかゆみのある患部が気になるワンちゃんは、放っておくと舐めてしまう危険性があるからです。
デリケートな患部を舐めたり噛んだりすることを防ぐためには、物理的に遮ることのできるエリザベスカラーが有効だといえます。
感染や傷口の開きの恐れがなくなり、獣医師からOKが出るまでは勝手な判断で外さないようにしましょう。
患部を舐めてしまう可能性がある
犬は本能的に痛みのある部分を舐めてしまう傾向があります。
そのため、何の予防もしなければ犬は患部を舐めてしまう可能性があります。
患部を舐めてしまうと、傷口が開いたり細菌感染したりして、傷を悪化させてしまう可能性が高いです。
こうしたリスクを防ぐためには、物理的に遮断できるエリザベスカラーが必要不可欠なのです。
患部に塗っている薬を舐めるのを防ぐ
病状によっては、患部に塗り薬をつける場合もあるでしょう。
しかし、せっかく薬を塗っていても犬が舐めてしまえば効果は半減してしまいます。
また、口内から薬が入ることで思いもよらぬ副作用が出てしまう可能性もあるでしょう。
こうした二次被害を防ぎ、しっかり薬の効果を発揮させるためにも、エリザベスカラーで患部に触れさせないことが大切なのです。
顔を引っ掻くのを防ぐ
エリザベスカラーは顔側の疾患にも使われることがあります。
たとえば、アレルギーなどで顔や頭に炎症やかゆみが起こっている場合、犬は自身で引っ搔いてしまう可能性があります。
そうした疾患を早く治すためには触らないことが一番です。
エリザベスカラーをつけておけば、犬が自分で引っ掻くことを予防できます。
また、就寝時であっても引っ掻きのリスクは変わらないので、やはり寝るときもエリザベスカラーをつけたままにしておく必要があるのです。
エリザベスカラーに慣れさせる
エリザベスカラーの装着は、やはり犬にとっては不快なものです。
とはいえ、付ける時間が長くなれば、たいていのワンちゃんは慣れていきます。
むしろ、付けたり外したりした方がエリザベスカラーを意識してしまい、いつまでたっても慣れることができません。
起きているときも寝るときも常にエリザベスカラーを付けておけば、犬も生活の一部として受け入れるようになるでしょう。
そうすれば、しっかり治療が終わるまで、トラブルなくエリザベスカラーを活用することができるようになるのです。
寝るときにエリザベスカラーを嫌がるときの対処法
治療をスムーズに進めるためにも、常につけておきたいエリザベスカラー。
では、犬がどうしても嫌がってしまう場合は一体どうすればいいのでしょうか。
ここでは、寝るときにエリザベスカラーを嫌がるワンちゃんへの対処法を紹介します。
術後服を着せる
どうしても犬がエリザベスカラーを嫌がる場合は、術後服を代替品として使うという方法があります。
術後服とは、犬が患部を舐めたり噛んだりしないようにするために着させる布製の保護ウエアのことです。
エリザベスカラーの硬さや圧迫感が苦手な犬にとっては、柔らかく体にフィットする術後服の方が快適に感じる可能性が高いでしょう。
寝るときにエリザベスカラーを取りたがるのなら、術後服の利用を検討してみてください。
エリザベスカラーを変える
エリザベスカラーを嫌がる子は、そもそも今のエリザベスカラーが合っていない可能性があります。
エリザベスカラーが一般的なプラスチック製なら、布製のものや空気を入れるエアークッションタイプに変えてみてください。
布製やエアークッションタイプであっても、通常タイプと同じように患部を舐めるのをしっかりと防ぐことができます。
ただし、どんなエリザベスカラーであっても常につけていることが重要なので、昼も夜も外さないようにしましょう。
「どうしてもエリザベスカラーを付けてくれない…」など、自宅で問題が解決しづらい場合は、すぐに獣医師に相談するようにしてください。
エリザベスカラーは寝るときもつけておくのが重要
手術後や触れてはいけない疾患があるときに、愛犬にエリザベスカラーを付けるよう指示されることがあります。
しかし、見た目が大変そうな上、嫌がるワンちゃんも多いので、つい外してしまいたくなってしまう飼い主さんも少なくありません。
とはいえ、思っている以上に犬が患部を舐めたり引っ掻いたりしてしまうケースは多く、何の対策もしないままだと、細菌感染や患部の悪化を引き起こしてしまう危険性があります。
早く完治させるためにも、ぜひ犬のエリザベスカラーはしっかりと付けてあげてください。
とはいえ、愛犬のストレスはなるべく軽減してあげたいところ。
快適さと治療を両立するためにも、エリザベスカラーの材質を工夫したり代替品を検討してあげたりすることも大切です。
ぜひ愛犬の様子をよく観察してあげながら、適切にエリザベスカラーを使用してくださいね。