人間と同じように犬もフケが出ます。もし愛犬の皮膚に白い粉がついていたら、それはフケかもしれません。フケには乾燥やストレスによって出るものもありますが、なかには病気が原因で出るフケもあります。この記事ではその原因と今すぐできる対策方法についてご紹介いたします。
病気が原因で出る犬のフケ
皮膚は複数の層が重なってできています。その下から新しい細胞が生まれて古い細胞を表面に押し出し、剥がれ落ちていくことを「ターンオーバー」といいます。そして、表に押し出された細胞を「角質」と呼び、その角質が剥がれたものが「フケ」です。
抜け毛を伴うアトピー性皮膚炎などのアレルギー
アレルギーが原因の場合は、皮膚が乾燥して肌がかゆくなることが多いため、犬が前足でかゆい場所をしきりに掻いています。
アレルギーの原因は個体によって異なりますが、人間と同じ様に花粉やダニ、ホコリなどが挙げられます。
また、アトピー性皮膚炎が原因の場合もフケが増えますが、この場合のフケは乾いた乾性フケと脂っぽい脂性フケがあります。アトピー性皮膚炎になると、根本的に完治させるのは難しく、薬で症状を出にくくさせることや環境を改善していくことが大切です。
アレルギーの主な症状はかゆみです。ひどくなると毛が抜けたり皮膚を掻きすぎてただれてしまうこともあります。アトピー性皮膚炎の場合も肌がかゆくなってしきりに掻いてしまいます。
脱毛や皮膚のただれを伴うツメダニ症
寄生虫の感染でもフケが増える場合があります。その中でもフケと関係があるのはツメダニ症です。
ツメダニ症は成犬よりも子犬に感染しやすく、感染するとツメダニは犬の皮膚の表面に寄生し、肌に炎症を起こしてフケを増やしてそのフケを食べます。
ツメダニに感染すると、お腹の皮膚や耳や腰あたりにかゆみが出ます。そして、白いフケが増え、かゆみがひどくなるとストレスから食事を摂らなくなってしまうことがあります。
子犬は成長するためにご飯をしっかり食べる必要がありますが、食欲不振から成長不良を起こす場合もあるのでしっかりと治療することが重要です。動物病院で処方してもらえるスポットタイプの予防薬があるので、日頃から予防しましょう。
完治が難しい皮膚糸状菌症
カビの一種である皮膚糸状菌に感染するとフケが出ることがあります。皮膚糸状菌は土や他の動物から感染することが多く、人にも感染することがあるので注意が必要です。
皮膚糸状菌症の症状
皮膚糸状菌は、ツメダニ症と異なってかゆみを伴いません。症状としては円形に脱毛し、脱毛した部分にかさぶたができることがあります。
皮膚の柔らかい部分に感染することが多く、この病気は人間にも感染する恐れもあるので注意しなければなりません。皮膚糸状菌にかかったら根気よく治療する必要があり、完治には3ヶ月以上かかることが多いです。
被毛が脂っぽくなる脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎にかかると脂っぽいフケが増えます。この病気は夏になると悪化することが多く、他の時期に比べてフケが増えますす。
この病気になる原因として、ホルモンバランスや食生活の乱れが考えられます。
脂漏性皮膚炎の症状
脂漏性皮膚炎になると一般的に皮膚が脂っぽくなり、脱毛やフケを伴います。被毛が脂っぽくなり悪臭を放つ場合もあります。
耳や目のまわりがかゆくなる疥癬症
ヒゼンダニに感染することにより皮膚が炎症を起こす病気を疥癬症といいます。皮膚にヒゼンダニが寄生してフケが多くなり、かゆみや発疹が出ます。
疥癬症に感染している犬との接触によって感染するので、不特定多数の犬がいる場所には行かないほうがいいでしょう。疥癬症にかかるとヒゼンダニのメスが犬の皮膚に卵を産み付け、孵化させ広がっていきます。
疥癬症の症状
疥癬症はひどいかゆみを伴います。被毛が少ない耳や目のまわりにかゆみが出ることが多く、フケや抜け毛が増える特徴もあります。
ひどくなるとフケがかさぶたのようになり、そのかさぶたの下でヒゼンダニが繁殖するようになります。
病気以外で犬のフケが出る原因
肌が乾燥するとフケが出やすい
私たちの肌が乾燥しやすい季節は秋から冬にかけてですが、この時期は犬も同じように肌が乾燥します。特に、暖房を使用するようになると室内が乾燥します。
冬場にフケが多くなる場合はドライスキンかもしれません。短毛種であるフレンチブルドッグやミニチュアピンシャーはドライスキンになりやすいことで知られています。
また、ドライスキンはアトピー性皮膚炎から引き起こされることも多いので注意が必要です。そのままにしておくと、皮膚のバリア機能が低下してしまうため、細菌感染のリスクが高くなります。
シャンプーが原因で愛犬にフケが出る場合も
シャンプー後によく洗い流せていない
自宅でシャンプーしている場合、シャンプーをした後にしっかり洗い流す必要があります。犬は全身が毛で覆われているので、時間をかけて泡を流さなければなりません。
少しでも洗い流せていない箇所があったら、それがフケの原因になる場合があります。
また、シャンプーをしたあとに、毛の根元までしっかり乾かさないと濡れた部分からカビ・ダニ・細菌が繁殖する恐れがあります。それらの感染によって皮膚が乾燥したりかゆくなってフケが増えることがあるのです。
シャンプーが合っていない
シャンプーが犬の肌に合っていないとフケが多くなる場合があります。皮膚病でもないのに抗菌シャンプーを使用するなど、そのときの状態に合っていないシャンプーを使うとかえって皮膚の表面にダメージを与えることがあります。シャンプーしたあと、フケが多くなるようならら低刺激シャンプーを使ってみましょう。
シャンプーの方法が間違っている
自宅でシャンプーをしている場合、直接犬の身体にシャンプーをつけたりと間違った方法で行なっているかもしれません。
正しい方法は下記の通りです。
- まず最初にお湯で犬の身体を濡らして汚れを落とし、手のひらでシャンプーを泡立ててから犬の身体に泡をつけて洗います。
- 強くこすらず、優しくなでるよう洗います。汚れを落としたいからとゴシゴシ洗っては皮膚を痛めることになってしまいます。
- 洗い終わったら、泡が身体に残らないにようにすすぎをしっかりと行いましょう。
生活習慣やストレスが原因で愛犬にフケが出る
健康な状態の場合、目に見えて大きなフケが出ることはありません。皮膚は毎日のように代謝をして新しい皮膚へ生まれかわり、古い皮膚は老廃物として剥がれ落ちます。
健康を維持するためには生活習慣を正しくして、食事も栄養バランスがよいものを与えるようにします。バランスの取れた食事が健康な身体を作り、健康な皮膚を作るのです。
また、ストレスからフケが増える場合もあるので、愛犬のストレスが溜まらないように適度な運動や生活環境を整えることも大切です。
今すぐできる!犬のフケ対策
保湿など乾燥対策をする
肌が乾燥しやすい秋から冬にかけては保湿に気をつけてあげる必要があります。
寒い時期は暖房を使うので、部屋の中が乾燥します。肌の乾燥はフケの原因になるので、乾燥を防ぐ対策を取る必要があります。
加湿器を設置したり、濡れたタオルを干しておくのも効果的です。また、犬のケージに直接暖房が当たらないようにしてあげるのもいいでしょう。
冬に限らず、普段から犬の肌の状態をチェックする習慣をつけて、乾燥しているようなら保湿を心がけましょう。
正しいシャンプーの方法を知る
シャンプーをするときは、シャンプーのすすぎをしっかり行うことが重要です。洗い流しが足りないと皮膚や毛にシャンプーが残ってしまい、フケの原因になるからです。
また、シャンプーをしすぎても良くありません。皮膚に必要な皮脂を落としすぎてしまうと、皮膚を痛めることになってしまいます。一般的に犬のシャンプーは月1回程度で充分だといわれています。
そして、シャンプーは犬の肌に合ったものを選び、なるべく低刺激のものを使うようにしましょう。シャンプーをしたらよくすすぎ、泡を完全に洗い流したら根元からよく乾かすようにしましょう。
餌を見直す
犬のフケが多くなる原因のひとつに餌が合っていないことが挙げられます。
フケが増えるのは脂質が足りないことが原因かもしれません。適量の脂質は、犬の皮膚や被毛を作るためにも必要な成分なので、もし肥満予防のために脂質を与えるのを控えている飼い主さんがいたら餌を見直してみるといいかもしれません。
犬のストレスになることを排除する
ストレスは心だけでなく、身体にも不調をきたします。毛が抜けたりフケが増えたりするのはストレスが原因の場合があるのです。
留守番の時間が長くなったり散歩コースを急に変えたりなど、少しのことでも犬にとってストレスになる場合があります。
日頃から、犬がストレスを抱えていないか、環境の変化を含めよく考えて思い当たる原因があるようだったらそれを取り除いてあげましょう。
部屋を清潔に保つ
犬のフケ対策には部屋を清潔に保つことが重要です。
アレルギーの原因となるダニやノミ、ホコリなどのハウスダストを取り除くためにはこまめな掃除を行い、空気清浄機などを置いて対策することをおすすめします。
愛犬に期的なブラッシングをしてフケ対策を!
犬の健康チェックの中に身体を触って、異常がないか確かめるとともに毎日のブラッシングを取り入れましょう。ブラッシングしながら皮膚の状態を確認して、乾燥はないか傷はないかなどを観ることは犬の健康維持に重要なことです。
フケが多くなったと感じたら、解説してきた中に原因はないかをよく考えてみてください。犬が快適に暮らしていけるように、飼い主さんの気配りが重要になるのです。