肉球はプニプニしていて柔らかく、ずっと触っていたくなります。なかには肉球の匂いが大好きだと言う方もいらっしゃいます。そんな愛すべき肉球には大切な役割があります。また肉球にはツボもあります。今回は愛犬が喜ぶ肉球のマッサージ方法と効果を伝授します。
肉球のツボ押しをする前に
肉球は、足の衝撃を緩和するクッションの役目を果たしています。飛び降りた際にクッションの役目も果たしますし、地面の状態を感知するところでもあります。いわば、靴のような役割です。かつて肉球には、獲物に近づくときに、相手に気付かれないようにするために、足音を消すための役割もありました。
肉球にはたくさんの神経や血管があるため、私たち人間の指先と同じように外部の触覚、圧覚、温度、痛みを感じ取ることができます。肉球は、角質層で覆われており、内部は脂肪を含んだ弾性線維が網目状に並んでいます。これが、プニプニとした感触の元となっています。犬の皮膚には汗腺が少ないのですが、肉球には汗腺があり、肉球は体温調整や肉球の乾燥を防ぐ役割を担っています。また、人は緊張したりストレスを感じた時に冷や汗が出ることがありますが、犬も同じように緊張したりすると汗をかくそうです。なお肉球の汗は、足の滑り止めの役割も果たしています。
肉球の状態は刺激しても大丈夫な状態か確認しましょう
肉球は被毛に覆われた皮膚とは違い、外部と直接的に接しているためケガをしやすい場所です。さらに肉球は傷がつくと治りにくく、犬の体重がかかる場所でもあり負担がかかります。
特に気をつけたいのは散歩の時です。散歩時には地面の状態に気をつけてあげましょう。また、散歩から帰ったら、肉球に傷がついていないか確認しましょう。更に、季節によっても気をつけなければなりません。夏季の舗装された地面は60度近くあるため、やけどの原因になります(そのため夏季の散歩は朝方や夕方に行うことをおすすめします)。逆に冬季の地面は冷えているため、肉球が乾燥して荒れてしまいます。夏季でしたら靴を履かせる、冬季でしたら散歩後に犬用のクリームを塗布するなどのケアが必要です。
犬が気持ちよさを感じるツボとは?
私たち人間と同じように犬にもツボがあります。ツボ(経穴:けいけつ)は東洋医学の概念です。ツボは、全身の神経が重なり合う場所で、神経を通じて全身の様々な場所と繋がっています。人間の場合を例にすると、肩こり等がひどい場合、首の付根と肩の中間にある「肩井(けんせい)」と呼ばれる箇所を指で刺激すると肩こりが和らぎます。犬の場合には、このツボが肉球にもあります。それでは、肉球の部位とツボの関係について解説しましょう。
部位別のツボ位置
前足
○掌球(しょうきゅう):前足の中央にある大きめの肉球です。人間の掌にあたります。個々にあるツボは、疲れやスタミナ不足に効果があります。
○手根球(しゅこんきゅう):前足だけにあり、手首のあたりにあります。肺に効果があるツボがあります。
○指球(しきゅう):掌球の手前にある4つあり、ひとつは掌球と手根球の間にあります。内側から順に、小腸、内臓、心臓、大腸に効果があるツボがあります。
後足
○足底球(そくていきゅう):後ろ足の中央にある大きめの肉球です。肥満や代謝を促進するツボがあります。
○趾球(しきゅう):足底球の手前にある4つあります。内側から順に、肝及び生殖器、胃、胆のう、膀胱に効果があるツボがあります。
肉球のツボを優しく刺激しながらマッサージしてあげましょう
肉球にあるツボは、このように体内にある内臓機関と繋がっているため、マッサージするだけでも血行促進などの効果が望めます。また、飼い主に肉球を触らせることは、愛犬と飼い主であるあなたとの間の信頼関係がある証拠です。アメリカ動物虐待防止協会によれば、肉球をマッサージすることにより、人間と同じように血行が良くなり、リラクゼーション効果も期待できます。
肉球のツボを刺激するときは、ゆっくりと優しくマッサージしてあげましょう。マッサージは肉球だけではなく、指球の間などもしてあげましょう。ゆっくりとマッサージしていると、犬は気持ちよくなって、中には寝てしまうこともありますよ!
ところで、人間のマッサージは疲労回復の意味が強いのですが、肉球へのマッサージは、飼い主との絆を深める効果もあります。さらに、肉球に限らず全身をマッサージすることにより、あなたの愛犬の健康状態や被毛の状態なども確認することができます。
まずはマッサージ前のクリームを
クリームを塗る際には、爪が伸びているようであれば事前に切っておきましょう。また、肉球周りの毛が伸びているようでしたらカットします。犬用のバリカンなどを使えば安全にカットできます。肉球の周りの毛が伸びていると、グリップが悪くなってしまい、室内で飼っている場合にはフローリングなどで滑ってしまいます。また、汚れているようでしたら、ぬるま湯できれいに洗っておきます。
マッサージ用のクリームは犬専用のものが市販していますので、それを使いましょう。人間用のものは犬にとっては刺激が強いこともあります。クリームを塗るときは、優しく、肉球全体に行き渡るようにします。クリームを塗るときにはリラックスして、犬の疲れを癒やすような気持ちで塗ってあげましょう。なお、中には肉球に塗ったクリームを舐めてしまう場合があります。5分程度で浸透しますので、クリームを塗った後はおもちゃなどで遊ばせて舐めさせないようにします。
肉球はとてもデリケートです。先ほどもご説明したとおり、やけどや乾燥には気をつけたいものです。肉球のケガ予防として、散歩の際には靴や靴下を履かせることで防ぐことができます。また冬季の乾燥予防として肉球クリームを塗布することで防げます。汗などで肉球が湿っているときは、肉球クリームの密着度が高まることにより、保湿効果がアップします。なお、マッサージは疲労回復効果もあり、散歩後の肉球の汚れを落とす際に一緒に済ませましょう。
肉球は、多くの血管や神経などがあるデリケートな場所です。また、ケガなどが治りにくい場所でもあります。肉球は地面と直接接する大切な場所です。肉球の状態を把握し、常にベストコンディションにしておきましょう。
犬が喜ぶ肉球マッサージ方法
先ほどご説明したとおり、肉球にはツボがありますから、指先で優しくマッサージします。その後に、肉球と肉球との間をもみほぐすように優しくマッサージしましょう。ご参考までに、私のマッサージ方法は、犬の側で寝転がって行っています。犬と目線が同じだけで、犬は喜びますし、リラックスした雰囲気でマッサージを行うため、犬も喜んでお腹を見せています。これがまた可愛いのですよ!
まとめ
肉球マッサージは、あなたの愛犬の健康を維持するために必要です。肉球が角質化して固くなると滑りやすくなりますし、思わぬケガに繋がります。また肉球にはツボがあるため、刺激することによって健康促進も期待できます。毎日のケアの中で、肉球をマッサージすることによって、愛犬との絆も深くなります。