夏が近づくと、暑さ対策として愛犬のサマーカットを検討する飼い主さんも多いでしょう。
しかし、サマーカットにはメリットがある一方、犬の体に悪影響を与える可能性もあります。
この記事では、サマーカットのメリットとデメリット、そして行う際の注意点について詳しく解説します。
愛犬にとって本当にサマーカットが必要なのか、安全に行うためにはどうすればいいのか、しっかり確認しておきましょう。
サマーカットとは
サマーカットとは、暑さ対策のために犬の被毛を短くカットすることを指します。
サマーカットを適切に行えば、「皮膚の通気性が良くなる」「お世話の負担が減る」といったメリットがあります。
ただし、犬の毛には、皮膚をさまざまな刺激から保護したり体温を調整したりする重要な役割があります。
したがって、間違ったカットをしてしまうとさまざまな問題を引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
サマーカットが向いている犬種
サマーカットが向いているかどうかについては、犬種ごとの被毛のタイプを参考にしましょう。
犬は、被毛の性質からグルーミング犬種とトリミング犬種の2つに分類できます。
グルーミング犬種とは、主にダブルコート(上毛と下毛の二重構造の被毛)を持つ犬を指し、換毛期になると下毛が抜け変わります。
一方、トリミング犬種は、主にシングルコートの犬のことであり、自然な抜け毛が少なく、被毛が伸び続けるのが特徴です。
こうした被毛の特性から考えると、どちらかというとトリミング犬種の方がサマーカットに適しているといえます。
サマーカットが比較的向いている主な犬種は以下の通りです。
- プードル
- ヨークシャーテリア
- シーズー
- マルチーズ
- ミニチュアシュナウザー
- アメリカンコッカースパニエル など
ただし、サマーカットに適している犬種であっても、過度に短くしたり頻繁にカットしたりするのはNGです。
グルーミング犬種は、一般的にサマーカットではなくブラッシングの方がおすすめといわれています。
なお、グルーミング犬種でも定期的にトリミングをするべき犬種も存在します。
カットの必要性や適切な長さについては、トリミングサロンに相談するのがいいでしょう。
サマーカットのメリット
では、サマーカットにはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
愛犬の暑さ対策
サマーカットのもっとも大きなメリットは、愛犬の暑さ対策になることです。
サマーカットによって被毛の通気性が向上し、体温の上昇を抑える効果が期待できます。
また、蒸れにくくなることで皮膚トラブルを未然に防ぐことも可能です。
普段のお手入れが楽になる
被毛が短くなることで、ブラッシングやシャンプーの時間を減らせるのもサマーカットのメリットです。
また、抜け毛の掃除が楽になったり、毛玉予防に繋がったりするのもポイントです。
毛玉ができるとホコリやゴミが溜まりやすく不衛生であり、場合によっては皮膚疾患を引き起こす可能性があります。
そのため、サマーカットでこれらを予防できるのは大きなメリットといえるでしょう。
サマーカットのデメリット
サマーカットにはメリットがある一方、デメリットも存在します。
ここでは、サマーカットのデメリットを解説するので、メリットと合わせて覚えておきましょう。
直射日光の影響を受けやすくなる
被毛は、皮膚を紫外線などの直射日光から守る役割も担っています。
サマーカットによって被毛が短くなりすぎると、日焼けによって炎症が起きたり、皮膚の温度が上がって熱中症を引き起こしやすくなったりします。
また、皮膚がんの原因になるリスクも押さえておかなくてはいけません。
虫刺されのリスクが高くなる
サマーカットによって、虫刺されのリスクが高まるのもデメリットです。
被毛は、蚊やノミ、ダニなどの害虫から皮膚を守るバリアの役割も果たしています。
サマーカットによって被毛が短くなると、これらの害虫が皮膚に直接アクセスしやすくなり、虫刺されのリスクが高まります。
結果、感染症を引き起こしたり、かゆみで皮膚が荒れてしまったりする可能性があるのです。
体温調節ができなくなってしまう
サマーカットによって、体温調節ができなくなることも考えられます。
被毛には保温の役割があるので、毛が短くなると寒さに弱くなりやすいです。
したがって、エアコンの効いた部屋では体が冷えてしまい、下痢や震えなどの症状を引き起こしてしまう可能性があります。
サマーカットをするときの注意点
最後に、サマーカットをするときの注意点を解説します。
必ず目を通して、愛犬の健康を守りましょう。
事前に長さやカットスタイルを決めておく
サマーカットを行う際は、トリマーとよく相談して、適切な長さやカットスタイルを決めておくことが重要です。
犬種や被毛のタイプなどを考慮したうえで、適切な長さにカットするようにしましょう。
とくに、地肌が出てしまうような長さにするのはNGです。
また、サマーカットを施した後は、皮膚を守るために通気性の良い衣類を着せたり室温を適切に管理したりすることも必要になります。
散歩の時間帯も、日中の暑さを避けて、早朝や夕方以降の涼しい時間を選ぶようにしましょう。
セルフカットする場合は無理をしない
自宅でセルフカットを行う場合は、バリカンやハサミの扱いに慣れていないと、愛犬を傷つけてしまう可能性があります。
また、加減がわからず毛を短くしすぎてしまうことも考えられます。
そのため、自信がない場合はプロのトリマーに依頼するようにしましょう。
セルフカットをするなら、お腹周り、脇の下、耳の内側、足の裏、お尻周りといった部分的なカットに留めるのがおすすめです。
これらの部位だけでも、暑さ対策、毛玉や怪我の予防、衛生管理といった効果が期待できます。
サマーカットにするときはメリット・デメリットをしっかり理解しておこう
サマーカットは、愛犬の暑さ対策やお世話の簡略化につながる一方で、皮膚への悪影響や体温調節機能の低下といったデメリットも持ち合わせています。
愛犬の被毛の状態や健康状態をしっかりと考慮し、メリットとデメリットを十分に理解した上で、サマーカットをするかどうか判断しましょう。
不安な場合は、信頼できるトリマーに相談することをおすすめします。