犬が舐めるのはなぜ?舐めた場所から読みとる感情表現 犬が舐めるのはなぜ?舐めた場所から読みとる感情表現

犬のしつけ・お手入れ

犬が舐めるのはなぜ?舐めた場所から読みとる感情表現

犬がぺろぺろと自分の体をなめている場面を目撃することも、飼い主ならばあるのではないでしょうか。また、飼い主の体や顔を舐められることもあるでしょう。愛らしい行動ではありますが、これらの行動にはいくつかの理由があります。

犬が自分を舐める理由と気をつけたいポイント

自らの脚を舐める小型犬の画像

犬が自分の体や飼い主の体を舐めるのはどうしてなのでしょうか。心配しなくてもいいものから危険な状態である場合が考えられるものもあるので、まずは犬の様子をしっかりと観察してあげましょう。

たまに舐めるくらいであれば汚れを舐めとっているだけかも

たまにぺろぺろと自分の体を舐めている程度であれば、さほど心配する必要はありません。犬はきれい好きな動物なので、体が汚れているとペロペロと舐めてきれいにしようとするのです。これがグルーミングと呼ばれる行為であり、犬にとっては至って普通の行動です。

また、興奮している時などに心を落ち着けるためにあえて体を舐めることもあります。一緒に遊んだ後に犬が体を舐めているなら、それは「そろそろ落ち着かなくちゃ」と考えているのでしょう。いずれにせよ、常同的な行動でなくたまに行うというようなら心配は無用です。

鼻を舐めるのは乾燥防止のためや緊張をほぐしたいときにも

犬が鼻をペロッと舐める姿を見ることもあるでしょう。犬の鼻は常に湿っていますが、これは涙腺と鼻が繋がっており、いつも微量の涙が鼻に流れているためです。犬は鼻が湿っていることでにおいの分子を吸着して、においを感じ取ることができます。五感のうち嗅覚が最も優れている犬にとっては、鼻先が湿っているというのはとても重要なことなのです。

しかし乾燥する部屋に長くいることで、次第に鼻が乾燥してくることがあります。そうなると犬は鼻を湿らせるためにペロッと舐めるのです。

また、緊張している状態にあると、緊張感をほぐすために鼻先を舐めることもあります。これは一種のカーミングシグナルといえます。

同じ場所を舐め続けるなら注意!ストレスや怪我の可能性あり

体をためにペロペロと舐める分には犬のグルーミングによるものであり、さほど心配する必要はないと紹介しました。しかし同じ場所を何度も繰り返し舐めていると、少し違和感を感じてしまうものです。このような場合は怪我をしているか、ストレスがたまっている可能性があるのでまずは様子を見ましょう。

原因を突き止めて怪我や皮膚の病気があるようなら病院へ

犬が常に体を舐めており、「なんだかおかしい」と感じるようなら、まずは犬の様子をしっかりと確認して怪我や病気の可能性を探りましょう。

明らかに通常のグルーミングとは違って執拗に一部分を舐めているようなら、皮膚疾患を起こしている可能性があります。アレルギー性皮膚炎であることもありますし、細菌に感染して皮膚が炎症を起こしていることも考えられます。
四六時中同じ場所を舐め続けていたり、患部に脱毛や赤みが見られるようなら、動物病院に連れて行ってください。

ストレスの可能性が高いなら無理に止めるのはNG!

さきほども少し紹介しましたが、ストレスを抱えていると心を落ち着けようと無意識に体を舐めてしまうことがあります。これを放っておくと、舐めずにはいられなくなってしまう「常同障害」につながることもあるので、注意が必要です。

犬がストレスを抱えている場合、無理にやめさせようとすると犬はストレスのはけ口を失い、さらにストレスを溜め込んでしまいます。

まずは犬を寂しくさせたり不安にさせたりするような行動をとっていないかということを考え、そのストレスを取り除く努力をすることが大切です。

>>>コチラの記事では愛犬のストレスを取り除くためにできる工夫を紹介しています!
関連記事:犬のストレス発散・ストレス解消法をご紹介!ストレスフリーに!

犬が自分で術後の傷口を舐めているけど大丈夫?

手術跡が気になるエリザベスカラーを着けた小型犬

皮膚疾患やストレスではなく、手術後に犬が患部を舐めてしまうこともあります。患部を舐めると傷口が開いてしまうのではないかと不安になることもあるでしょうが、このような場合にはどのような対応をしたらいいのでしょうか。

傷口や手術跡は気になって舐めてしまいがち

私たち人間は傷をつくるとそこが気になってしまいますし、治りかけの頃にはかゆみを感じて引っかきたくなってしまうものです。犬の場合は人間のように自分で治療することができませんし、自然界では舐めることで手当をして生きています。

そのため、傷口を犬が舐めることは不自然なことではないのです。そのため、犬が患部を舐めていたからといって、基本的には特に問題はありません。

避妊・去勢くらいならそこまで気にしなくて大丈夫

犬が患部を舐めている場合、それが避妊や去勢手術のような、小さな傷口であればさほど気にする必要はありません。舐め続けることで赤くなってしまうこともありますが、異変を感じるほど赤くなければ、心配は無用です。

不安な場合や、大きな手術痕を舐めようとするのであれば、エリザベスカラーなどをつけて物理的に舐められない状態を作ってあげると良いでしょう。

犬が傷口を舐める行為を防止する方法は?

犬が傷口を舐めるのがどうしても気になるという場合には、前項でも触れましたがエリザベスカラーを使うのが便利です。首回りに円形のカラーをつけることで、犬は患部を舐めることができません。

ただ、エリザベスカラーを嫌う犬もいるので、その場合には術後服などを着せると良いでしょう。エリザベスカラーのようにどこかに引っかかってしまうこともありませんし、患部を覆うことで犬が患部を舐めるのを抑えることができます。

>>>愛犬がエリザベスカラーを着けることになったら併せてコチラもご覧ください!
関連記事:エリザベスカラーを付けた犬のストレスは最小限にしてあげましょう!

犬が床を舐めるのはさまざまな理由が!原因を見極めよう

床を舐める若い犬の画像

犬は自分や飼い主の体だけでなく、床をペロペロと舐める行動に出ることもあります。変なものを食べてしまわないか不安になることもありますし、なかなかやめてくれないと困ってしまうものです。ではどうして犬は床を舐めるのでしょうか。

食べカスなどが落ちている

床に人間の食べ物のかすが落ちていると、犬はそれが気になって舐めてしまいます。しっかりと掃除をして残っていないとしても、犬は鼻がいいので、床に残った香りに反応して「おいしそうなものがある」とついついペロペロ舐めるのです。

物をこぼしてしまった時はすぐに掃除をして、消臭スプレーなどでにおいを消しておきましょう。

お腹がすいてきた催促

人はお腹が減ると「ご飯はまだ?」と料理を作ってくれる人に催促することがありますが、犬は口で伝えることができません。そのため、床を舐めることで食事の催促をすることがあります。

食事の時間になって犬が床をペロペロとなめているようなら、「ご飯にする?」と声をかけてみるといいでしょう。「ご飯」という言葉を覚えていれば、嬉しそうに反応します。

遊んでいるだけ

犬が床を舐めているときにはただ単に遊んでいるだけということも考えられます。食事前の退屈な時間を埋めようと、床を舐めることがあるのです。食事の時間を空けすぎと犬も「まだかな、まだかな」と感じてストレスになってしまう可能性があるので気をつけましょう。

ストレスが溜まっている

犬はストレスを感じて床を舐めることもあります。雨でお散歩に行けなかったり、飼い主が遊んでくれなかったりして運動不足を感じると、床を舐めて心を落ち着かせようとします。

これも一種のカーミングシグナルなので、犬にかまってあげられていないようなら生活の仕方を改めることが大切です。

舐めた後に吐くなら自律神経が原因?

犬が床を舐めたあとに吐き出すようなら、自律神経を乱している可能性があります。
自立神経は胃腸の機能に影響を及ぼすので、嘔吐などの症状を引き起こす場合があります。

もともと犬の祖先であるオオカミは夜行性の生き物でしたが、現代の犬は人間とともにいきていく中で、昼行性へとライフスタイルを変えていきました。昼夜逆転の飼い主の生活に付き合わされていると自然の流れに反することになるので、心身にも影響が出やすくなるのです。

>>>嘔吐した原因が自立神経ではなさそうな場合は、コチラの記事もご確認ください。
関連記事:犬が吐くのはなぜ?知っておくべき嘔吐の種類と病気との関連性

犬が飼い主や他の犬を舐める意味は? 愛犬の気持ちを読み取ろう

女の子の顔を舐める白い子犬の画像

犬は自分の体を舐めることが多いですが、飼い主や他の犬を舐めることもあります。ここには、どのような理由や意味があるのでしょうか。愛犬の心をきちんと理解するためにも、犬の行動についてしっかりと理解しておきましょう。

犬が舐める部位よって意味が異なる

飼い主や他の犬を舐める場合には、舐める部分によってそれぞれ意味が異なります。普段どのような部分を舐められているかということを思い返してみてください。

犬が顔や口周りを舐める理由

犬が顔や口周りを舐める場合は、犬に対するものと人に対する行動ではそれぞれ意味が異なります。

他の犬に対して舐めるという場合には、犬のあいさつです。「こんにちは」「よろしくね」というような意味合いで、社交術としてこのような行動をとります。対して人間相手の場合は「ご飯をください」という催促や、犬なりの愛情表現の場合もあります。

>>>犬が口の周辺を舐めてくる理由についてさらに詳しく知りたい方はコチラ!
関連記事:犬が口をなめる3つの理由とは?かわいいけどやめさせた方がいい訳としつけ方

犬が足を舐める理由

犬が足を舐める場合には、3つの理由が考えられます。

おもちゃを持ってくるなどして嬉しそうにペロペロしてくるようなら「遊ぼうよ!」というふうに誘っています。また、飼い主が外出から戻った時に足を舐めるようなら「どこに行ってたの?」というふうに状況を確認している意味合いがあります。また、単純に足のにおいが好きで舐めることもあります。

犬が手や腕を舐める理由

犬が手や足を舐めてくる場合には、「大好き」という親愛の気持ちを表現しています。一緒に居られることが嬉しくて、ペロペロと手を舐めるのです。リラックスしている時に行うことが多く、安心しているという証拠でもあります。

噛んだ後に舐める行為は反省ではない!?

噛む・舐めるなどの行為で行為関係を決める犬たちの画像

手を噛まれたあとに、犬が手や足を舐めてくることがあります。この行動は、「反省しているんだな」というふうに受け取りがちですが、実は違うのです。犬は「反省するという概念がない」と言われているので、基本的には「ごめんなさい」という意味で舐めることはありません。

多くの場合は「もう怒らせるなよ」という意味合いで舐めていて、自分の方が立場が上だと知らしめようとしているのです。

>>>愛犬に噛まれたところから血が出ているならコチラの記事も併せてご覧ください!
関連記事:犬に噛まれた!重症になる前にきちんと対処法を知っておきましょう

日常に潜むリスク!犬に舐められて手足を切断する事故が!?

飼い主と愛犬がともに体調不良に陥った画像

愛犬に舐められととても可愛らしく感じ、ついついペロペロ舐めるのを許容してしまいがちですが、犬に舐められることには危険がつきものです。

犬の唾液は菌でいっぱい!

犬の唾液には、人に感染することで大きな病気を引き起こしてしまう細菌が含まれています。コリネバクテリウム・ウルセランスという細菌によって「ジフテリア」という病気を引き起こし、60代の女性が死亡した事故があります。

このように、人以外の動物が持つ最近に感染して起こる感染症は「人畜共通感染症」「人獣共通感染症」または「ズーノーシス」と呼ばれています。

舐められたところから菌が感染して切断に至るケースも…

74%の犬の口腔内に存在するという「カプノサイトファーガ」という細菌が傷口などから人の体内に感染し、重い感染症を起こした事故があります。これは敗血症を起こし、死に至る可能性もあります。

犬に舐められた場合はその部分をしっかりと洗浄して消毒するように心がけましょう。

>>>ワクチンでは一部の人畜共通感染症も予防できるのでコチラも参考にしてください!
関連記事:犬のワクチンの種類や病気との関連性を分かりやすく解説!

犬に舐めるのをやめさせる方法は?

子犬に舐めるのを我慢させている画像
犬にペロペロと舐められるのは微笑ましいものですが、あまりにも頻繁に舐められると飼い主にとってストレスになってしまいます。しかし、だからといって悪いことをしているわけではないので、叱るわけにもいきません。では、どのようにやめさせればいいのでしょうか。

どんな時に舐めるのをやめさせるべき?

たまに舐めてくる分にはそこまで気にする必要はありません。しかし、執拗に舐めていたり、長い時間にわたっていたり、何度も同じ部分を舐めているようなら、皮膚炎などを起こしている可能性があるので、舐めさせないようにして動物病院に連れて行きましょう。

犬が舐める行為の原因を突き止めて取り除く

たまに舐めるのではなく常に体を舐めているという場合には、何か原因があります。ストレスがたまっているようならその原因を取り除いてあげない限り根本的な解決には至りません。

まずは犬を不安にさせたり寂しくさせていないかということを考えることが大切です。思い当たる節があるなら、犬の心を癒してあげられるように一緒に遊んであげるなどの対応をしましょう。

舐められたくないという意思表示をする

犬が飼い主を執拗に舐めてくるという場合には、舐められなくないという意思を示すことが大切です。犬が舐めてきたら思い切り嫌な顔をしたり、その場を去って無視をするといいでしょう。いいことがないとわかれば、犬も必要以上に舐めることはなくなります。

苦いスプレーやワサビなどのアイテムをつかう

どうしても犬が舐めるのをやめてくれないという場合には、犬が嫌がる苦味スプレーやワサビを指先につけておくといいでしょう。そうすることで犬は体を舐めることが少なくなるものです。ただ、間違っても無理やり苦味スプレーやワサビを犬に擦りつけないようにしましょう。トラウマになってしまう可能性があります。

また、ワサビなどの刺激物は犬の身体にとってあまり良くない食べ物です。基本的には安全なしつけグッズを使用するようにして、どうしても代用品としてワサビを使用する場合は、ほんの少しだけの量にしてください。

どうしても治らないなら医師やトレーナーに相談

ここまで紹介してきたような内容を試しても変化が見られないようなら、最終手段として獣医師やドッグトレーナーなどの専門家に相談してみましょう。しつけを代行してくれることもありますし、飼っている犬に適した舐めすぎ対策を教えてもらえる場合があります。

>>>舐め癖のほかに甘噛み癖もあるならコチラも記事も併せてご覧ください!
関連記事:犬の甘噛みを直すしつけ方は?成犬と子犬で異なる甘噛みをする理由

適切な距離感を保って愛犬の意思を読み取ろう

適切な距離感の犬と人間の子どもの画像

今回は、犬が自分や飼い主の体を舐める理由と、舐めすぎを抑えるための方法について紹介してきました。舐める姿がかわいいからといって放置すると、どんどんエスカレートして犬が主導権を持ち、飼い主の言うことを聞かなくなってしまうこともあります。

犬との適度な距離を維持して、良い関係を築きましょう!

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