犬が水と触れ合う機会はとても多いですよね。お散歩のあとの足洗い、シャンプー、水遊び、プールなど…。
あなたの愛犬は、水は平気でしょうか?水の音やシャワーの音がしただけで、びっくりして逃げてしまう、なんていうことはありませんか?水が嫌いなわんちゃんは、どうすれば好きになってくれるのか、その克服法についてご紹介します。
どうして水が嫌いなのか知りましょう
元々のルーツが水が苦手な犬種である
犬といえば、海や川にドボンと飛び込んでスイスイ泳ぎ、全ての犬が水が得意なイメージがありますが、実はそうではありません。犬種によってはそもそも泳ぐことに適していないわんちゃんもたくさんいます。
昔からずっと陸地で猟犬として暮らしていたジャックラッセルテリアやビーグルなど、あまり水に関わりがなかった犬種の子は、元々のルーツが水が苦手な場合が多いです。他にも足が短いダックスフンド、鼻呼吸が苦手なパグやブルドッグなどの短頭種、超小型犬のチワワやポメラニアン、マルチーズなどは、そもそも泳ぐことに向いていません。生まれつきの体型からして、水が苦手な子も多いということを理解しておきましょう。
その一方で、わんちゃんの中にはかつて、人間のパートナーとして、水上の獲物を狩る役割を担ってきた犬種がいます。ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバー、スタンダードプードル、ニューファンドランド、イングリッシュコッカースパニエル、ポインターセッターなどがそうで、水中の鳥猟犬や水難救助犬として今現在も活躍しており、水や泳ぎが得意な犬種とされています。特にレトリバー系全般は、いきなり勢いよく水に飛び込んだり、溺れた飼い主の元へ泳いでいく姿を、テレビや動画などで見たことがある方も多いのではないでしょうか。これらの犬種の子は、積極的に水辺に行かない子でも、本能的に泳ぎが得意な子が多いです。
とは言え個体差がありますので、濡れることが嫌なラブラドールレトリバーや、お風呂が苦手なプードルもいれば、泳ぎが大好きなチワワももちろんいます。他にも、冷たい海は嫌いでも暖かいシャワーは好きな子や、逆にお風呂嫌いでもプールで泳ぐことが得意な子など、様々な個性を持つ子がたくさんいます。
過去に何か水に関するトラウマがある
また、水が苦手な子は、過去に何かしらトラウマになる経験をしている可能性があります。例えば、
・水をかけられた
・無理に海やプールなどで泳がされた
・初めてのシャンプーで怖い思いをした
・水面に写る自分の姿にびっくりしている
など、これらの恐怖心が続いている可能性があります。マリンスポーツが好きな飼い主が、わんちゃんと一緒に泳ごうと無理に水の中に誘い、そのことがトラウマになっている子も少なくありません。
普段水は平気だけれどシャンプーが好きではない場合
洗い方に不満があるのかもしれません
飲み水やお散歩中の水たまりは平気なのに、お家ではお風呂場に近づかない、逃げようとするなど、シャンプーに対しては苦手な場合はありませんか?それは過去や現在のシャンプーの方法に対して良いイメージがなく、もしかしたら洗い方に不満があるのかもしれません。
水の温度が熱かった(もしくは冷たかった)、押さえつけながら洗われた、ゴシゴシ洗われて痛い思いをした、顔、目に水が入った、シャワーの音が怖いなど、飼い主様にとっても思い当たることはありませんか?特にパピー犬の頃の、初めてのシャンプーで上記のような経験をしてしまうと、恐怖心を持ってしまい、その後スムーズにシャンプーをさせてくれない可能性が非常に高くなります。人間の赤ちゃんも、初めてのお風呂である沐浴では、怖がらせないように優しく丁寧に洗ってあげますよね。わんちゃんも同じ気持ちです。
上手にシャンプーしてあげることで克服させましょう
この場合は、上手にシャンプーしてあげることで少しづつ克服させましょう。シャンプーに対して「楽しい」「気持ちがいい」「面白かった」という、上記とは逆の経験をすれば、わんちゃんはシャンプーが好きになっていきます。
上手なシャンプーの方法は、よろしければこちらをご覧ください。
▼「犬のシャンプー方法はとっても簡単!自宅でできるお風呂の入れ方」の記事
https://konokototomoni.com/category-discipline/dog-shampoo/
好きになってもらうために飼い主ができる克服法
おやつやおもちゃを用いて水に慣れさせる
水に少しずつ慣れさせるために、わんちゃんの大好きなおやつやおもちゃを用いてトレーニングを行いましょう。
お風呂や洗面器に37℃~38℃のぬるま湯を溜めておきます。お風呂場のタイルの感触が苦手な子もいますので、その場合はタオルを床に敷いて、その上にわんちゃんを乗せてあげることもオススメです。
まずはお湯をタオルや手ですくって、わんちゃんの足先を少しずつ濡らし、すぐにおやつを与えて褒めてあげます。最初はビックリして嫌がる子も多いですが、おやつを与えることで、水=楽しいというイメージを持たせるために、この行動を繰り返しましょう。
濡れた足先に慣れたら、次は背中、お腹、お尻、尻尾、と徐々に飼い主様の手で濡らしてあげましょう。優しく撫でながら、「気持ちいいね」「温かいね」と話しかけてあげると、わんちゃんの緊張も少しずつ落ち着いてきます。
わんちゃんが特に苦手な部分が顔周りです。いきなり頭からお湯をかけるのではなく、まずはわんちゃんの目の下や口元、首の部分を、濡れたタオルや手で少し湿らす程度から始めましょう。嫌がる素振りを見せたらおやつを与え、落ち着かせながら行います。決して押さえつけたり、手に力が入ったりしないよう注意が必要です。嫌がらず大人しく従っているときは大げさに褒めてあげる事も忘れないようにしましょう。洗面器に大好きなおもちゃを浮かせて、わんちゃんの興味を引かせるのも有効です。
シャワーの音を聞かせ水の音に慣れさせる
水に慣れてきたら、次はシャワーの音を聞かせ水の音に慣れさせる練習です。シャワーを出す際、水圧を強めにしてしまうと、シャワーの音も強くなってしまい、わんちゃんがビックリするので注意が必要です。少し離れた場所からシャワーを出し、徐々に近づけていくと良いでしょう。
もしわんちゃんが怖がってしまったら、おやつを与えて落ち着かせ、シャワーの音=怖くないと印象づけます。わんちゃんが慣れた様子を見せたら、緩い水圧のままシャワーを体に当てます。背中が比較的嫌がらない部分ですので、ゆっくりかけてみましょう。
お家でのシャワーを怖がらなくなれば、次は庭のプールや海で一緒に泳ぎ、慣れさせてみるのも良いでしょう。初めは怖がっていたわんちゃんも、飼い主様が楽しそうに泳いでいる様子を見ることで、興味を示してくれるかもしれません。
無理やり水を克服させることは絶対NG!急がずゆっくりと徐々に慣れる
ただし、無理やり水を克服させることは絶対にNGです。私たち人間でも、溺れかけた怖い経験があったり、泳ぐことが苦手な人がいるように、わんちゃんも水に対して苦手意識を持っている子はたくさんいます。無理に慣れさせようとすると、ますます水に対しての恐怖心が強くなり、克服が難しくなります。過度なストレスを与えないよう、急がずゆっくりと徐々に慣れるように工夫することが重要です。
また、水に対する恐怖心のあまり、飼い主様に噛みついたり、威嚇してしまうほど苦手意識を持つわんちゃんの場合、下手に慣れさせようとすると逆効果となる場合もあります。そのときは無理をせず、プロにお願いすることも方法の一つです。
まとめ
わんちゃんが苦手な水を克服してくれたら、普段のシャンプーがスムーズに出来るだけでなく、水遊びや海水浴など遊びの場が増えて、飼い主様との楽しい思い出がたくさん出来て良いですよね。また、泳ぐことは全身にかかる負担が少ないので、健康維持やダイエットなど、人間と同じように様々な効果が期待できるスポーツとなります。わんちゃんもスイスイと泳いでくれるようになれば、自信がついて楽しく感じてくれるようになるかもしれません。「我が家の愛犬は水が苦手だから…」と諦めるのはまだ早いです。原因を見極めて、少しずつ克服していきましょう。