リコピンやビタミン類などの栄養が豊富な「トマトジュース」は、体に良いイメージがありますよね。
「犬に与えても大丈夫だろうか?」と思っている飼い主さんも多いかもしれませんが、健康なわんちゃんであれば、トマトジュースを飲んでも問題はありません。
ただし、犬にトマトジュースを与えるときは、いくつかの注意点を守る必要があります。
そこで今回の記事では、犬にトマトジュースを与えるメリットや注意点について解説していきます。
犬にトマトジュースを与えても大丈夫!
基本的に、トマトジュースは犬に与えても大丈夫です。
ただし、トマトジュースには種類が多く、有塩のものや飲みやすいように添加物や他の野菜・果物が加えられているものがあります。
愛犬に与えるトマトジュースは、余計な成分が入っていない製品を選ぶようにしましょう。
とくに塩分は、人間より体の小さな犬にとって負担になる恐れがあります。
犬に与える場合は、必ず「無塩」のトマトジュースを選ぶようにしてください。
栄養補給が目的ならストレートタイプがおすすめ
トマトジュースには、濃縮還元タイプとストレートタイプの2種類が存在します。
濃縮還元 | トマトを絞ったものを乾燥・濃縮させたものを、再び水で戻したジュース |
ストレート | トマトの絞り汁からタネや皮などを取りのぞき、ほぼそのままジュースにしたもの |
どちらも入っている栄養素の構成はほぼ同じです。
しかし、濃縮還元タイプはビタミンCや食物繊維が製造過程でどうしても少なくなってしまいます。
そのため、栄養補給を目的として犬に与える場合は、ストレートタイプの方がおすすめです。
無塩であればどちらも問題ないので、都合に合わせて選んでみてください。
犬にトマトジュースを与えるときの適量
犬にトマトジュースを与えすぎるのはよくありません。
犬の体格や他の食品とのバランスを考えて、適度に与えることをおすすめします。
基本的には、1日に必要なエネルギー量の1〜2割程度を目安にしましょう。
必要なエネルギー量を計算するにはまず、犬が何もせずじっとしているだけで消費する「安静時エネルギー」を体重に応じて算出します。
算出した安静時エネルギーに、犬のライフステージごとに設定されている「活動係数」をかけた数値が1日に必要なカロリー摂取量となります。
【安静時エネルギー(kcal)計算式】
(kcal)=体重(kg)×30+70 |
【ライフステージごとの活動係数】
ライフステージ | 活動係数 |
生後4カ月未満 | 3.0 |
生後4カ月〜9カ月 | 2.5 |
生後10カ月〜12カ月 | 2.0 |
避妊去勢済みの成犬 | 1.6 |
避妊去勢していない成犬 | 1.8 |
シニア犬 | 1.4 |
肥満傾向にある犬 | 1.4 |
【1日に必要なカロリー(kcal)計算式】
(kcal) = 安静時エネルギー × 活動係数 |
この計算式を踏まえると、体重5kgで避妊去勢済の犬の場合、1日に必要な摂取カロリーは下記のように算出できます。
5(kg)×30+70 = 220kcal 220kcal × 1.6 = 352kcal |
つまり、トマトジュースの給与量は1日に必要なエネルギー量の1〜2割程度が目安ですから、体重5kgの健康な犬に与えてもいい量は35kcal程度ということになります。
食塩無添加のトマトジュースであればだいたい200mlくらいまでならOKということです。
係数は、年齢や去勢の有無、活動量などによって異なります。
成長期や活動量の多い犬の場合は、さらに必要なカロリー摂取量が増えるので、詳しく知りたい場合は獣医師に相談してみてください。
犬にトマトジュースを与えるメリット4選
犬にトマトジュースを与える具体的なメリットは、以下の通りです。
抗酸化作用のあるリコピンを補給できる
トマトジュースを与えれば、犬にも効率よくリコピンを摂取させることができます。
リコピンの主な作用は抗酸化作用です。
リコピンは、βカロチンの2倍強い抗酸化作用を持つと言われているため、老化やそれに伴う病気のリスクを軽減させられる効果が期待できます。
犬にもトマトジュースを定期的に与えることで、動脈硬化をはじめとした生活習慣病を予防できるかもしれません。
ビタミンが豊富に含まれている
トマトには、さまざまなビタミンが多く含まれています。
そのため、トマトジュースを飲むことで、βカロテン(体内でビタミンAに変換される)やビタミンCなどを効率よく摂取することができます。
普段から、総合栄養食のドッグフードをしっかり食べているわんちゃんであれば、栄養不足を心配する必要はないでしょう。
しかし、疲れたときやストレスの多いときはビタミンを消費しやすくなるので、補助的な意味合いでトマトジュースをプラスしてあげることをおすすめします。
水分補給ができる
トマトジュースの摂取は、水分補給としても有効です。
犬には、体重1kgあたり50mlの水分が最低限必要とされています。
そのため、とくに暑い季節やたくさん運動したあとは、しっかりと水分補給することが大切です。
トマトジュースにはたくさんの水分が含まれているので、わんちゃんがお水に飽きてしまった場合でも、トマトジュースなら積極的に飲んでくれるというメリットがあります。
夏場などは積極的にトマトジュースを取り入れて、水分を多めに摂らせてあげましょう。
ただし、摂取する水分をすべてトマトジュースに頼るのはNGです。
丸呑みして喉に詰まらせる心配がない
犬はトマトそのものを食べることも可能です。
しかし、固形のトマトの場合、丸のみして喉に詰まらせてしまう可能性があります。
急いで食べてしまうわんちゃんや飲み込む力の弱い老犬には、液体であるトマトジュースを与える方がいいでしょう。
犬の体調に合わせて、上手にトマトジュースを活用してみてくださいね。
犬にトマトジュースを与えるときの注意点
トマトジュースをむやみに与えてしまうと、かえって犬の健康を損なう恐れがあります。
愛犬にリスクを負わせないためにも、犬にトマトジュースを与えるときの注意点をしっかりチェックしておきましょう。
手作りするときは完熟トマトのみを使用する
トマトジュースを手作りする場合は、完熟のトマトのみを使用するようにしましょう。
熟していないトマトには、毒性のある「ソラニン」という成分が含まれています。
ソラニンを摂取してしまうと、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状に見舞われる可能性があり、大変危険です。
ソラニンはトマトを完熟させることで消失します。
とくに家庭菜園などのトマトを使用する際は、しっかりと完熟していることを確認し、ヘタや葉っぱなどをしっかり取り除いてから使用するようにしてください。
原材料に気をつける
愛犬にトマトジュースを与える時は、必ず原材料を確認しましょう。
飲みやすいように調味料が加えられていたり、場合によっては犬が食べてはいけない食材が含まれていたりする可能性があります。
愛犬に与えるのであれば、トマトのみを使用しているトマトジュースを選ぶようにしましょう。
与えすぎないようにする
トマトジュースを与えすぎるのはNGです。
トマトジュースは低カロリーですが、水よりはカロリーが高いため、必要以上に摂取するとカロリー過多になってしまうかもしれません。
また、飲みすぎることで胃腸にも負担がかかるので、下痢や消化不良を引き起こす可能性もあります。
場合によっては、「トマトジュースでお腹がいっぱいになってしまい、他に必要な食事が摂れない」ということもあるでしょう。
トマトジュースはあくまで補助食品であると考え、与えすぎないようくれぐれも注意してください。
アレルギーに気をつける
トマトジュースを与える際は、わんちゃんのアレルギーにも気をつけてください。
トマトジュース摂取後に、かゆみや腫れ、下痢、嘔吐といった症状が見られたら、すぐに与えるのをやめて病院に連れて行くことをおすすめします。
とくにスギ花粉症を持つ犬の場合、トマトのアレルギー反応が出やすいという報告もあります。
アレルギー体質の犬の場合は無理にトマトジュースを与えず、気になる場合はかかりつけの医師に相談するようにしましょう。
持病のある犬や療法食を食べている犬には与えない
持病のある犬や療法食を食べている犬に、トマトジュースを与えてはいけません。
トマトジュースには、塩分を排出させる作用のある「カリウム」が豊富に含まれています。
そのため、塩分排出機能に障害のある腎臓病や心臓病の持病を抱えるわんちゃんには、悪影響を与える可能性が高いです。
また、療法食を食べている犬の場合は、その犬の体質に合った栄養バランスがトマトジュースによって崩れてしまうことがあります。
悪影響を与える可能性があるので、持病や体調に不安のある犬にはトマトジュースを与えないように注意してください。
犬にトマトジュースを与えるときは無塩タイプを選ぼう
犬にとってもトマトジュースは有益な食品です。
わんちゃんが好むのであれば、無添加のトマトジュースを栄養補助や水分補給として活用することをおすすめします。
ただし、与えすぎや与え方には注意が必要です。
とくに、持病のある犬や体調のすぐれない犬、アレルギー体質の犬には、かえって悪影響を及ぼす可能性もあるので、無理に与えないようにしましょう。
トマトジュースの効能とメリット・デメリットを熟知した上で、上手にわんちゃんの食卓に取り入れてくださいね。