「芸を通して、愛犬とのコミュニケーションを深めたい」と思っている飼い主さんは多いでしょう。
しかし、いつから教え始めるべきか、どんな芸があるのか迷いますよね。
この記事では、犬に芸を教え始める最適なタイミングと、教え方を難易度別に徹底解説します。
正しい教え方を知って、愛犬とのトレーニングを楽しく成功させましょう!
犬に芸を教えるタイミング
犬に芸を教えるのは、「おすわり」「ふせ」「まて」といった基本的なしつけが身についてからが望ましいとされています。
これらの基本的なしつけができていることは、愛犬との間に信頼関係が築けている証拠でもあります。
その信頼関係が土台となることで、芸をスムーズに教えることができるでしょう。
【初級編】犬の芸の種類と教え方

まずは、比較的簡単に教えやすい犬の芸を紹介します。
お手・おかわり
犬が前足を差し出す、最もポピュラーな芸です。
- 犬を「おすわり」させます。
- 犬の片方の前足を軽く持ち上げながら「お手」と言います。できたらおやつを与えて褒めます。
- これを繰り返し、犬が自分から足を上げるようになるまで行います。
- 「お手」とは反対の前足を軽く持ち上げ、「おかわり」と言います。できたらおやつを与えて褒めます。
- これを繰り返し、犬が自分から足を上げるようになるまで行います。
乗せる前足が右であれば「お手」、左であれば「おかわり」と呼ぶことが多いですが、どちらにするかに明確な決まりはありません。
ただし、統一しないと犬が混乱してしまうため、「お手」と「おかわり」は別の前足でおこないましょう。
あご
飼い主さんの手の平や指先に、犬のあごを乗せる芸です。
- 犬のあごに手を当てながら「あご」と言い、おやつを与えます。
- コマンドを言われてから犬が「あご乗せ」の動作ができるようになったら、徐々に手を離して距離を取っていきます。
犬が顔周りを触られるのを嫌がっていないか、注意しましょう。
無理に触ろうとすると犬にストレスを与えてしまいますし、最悪の場合、噛まれてしまう可能性もあります。
もし犬が嫌がるそぶりを見せたら、
- ゆっくりと犬のあごに触れる。
- おやつを与える。
という流れで、「あごに触らせると褒めてもらえる」ということを覚えてもらいましょう。
スピン
スピンは、別名「おまわり」と呼ばれることもある芸です。
わんちゃんを、その場で一回転させることができます。
- 犬の鼻先におやつを持ちます。
- おやつを犬の鼻先に沿って、円を描くように動かし、犬がおやつを追って自然に一回転するように誘導します。
- 犬が一回転した瞬間におやつを与えて褒めます。
- 動きができるようになったら、コマンドを言いながら同じ動きを繰り返します。
手を早く回しすぎると、わんちゃんが追いつけなくなるので気をつけましょう。
ハイタッチ
「お手」の応用で、飼い主さんの上げた手に前足でタッチする芸です。
- 犬を「おすわり」させます。
- お手をする位置を徐々に高くします。(エサを持った手を高い位置にあげ、犬が前足で触るのを待つのでもOK)
- おやつを与えて褒めます。
- 動きができるようになったら、「ハイタッチ」のコマンドと手のジェスチャーだけでできるように練習します。
あまりに高いと犬がジャンプしなくてはいけなくなるので、適切な高さを心がけてください。
【中級編】犬の芸の種類と教え方
基本の芸をマスターしたわんちゃんには、少し難易度の高い芸にチャレンジさせましょう。
続いては、中級者向けの芸の種類と教え方を解説します。
バーン
わんちゃんが、銃で撃たれたように仰向けに倒れる芸です。
- 犬を「ふせ」させます。
- おやつを犬の鼻先に近づけ、そのままゆっくりとお尻の方へ移動させます。
- 犬がおやつを追って仰向けに倒れた瞬間に「バーン」と言い、おやつを与えて褒めます。
- 慣れてきたら、エサなしでもできるように練習します。
ポイントは、「バーン」というコマンドをゆっくり、はっきりと言うことです。
一度で成功させるのは難しいため、「最初は後足が崩れたらOK」「体が少し傾いたらOK」というように段階を踏むようにしてください。
その都度褒めて、おやつを与えるようにしましょう。
ジャンプ
「ジャンプ」の掛け声と共に、障害物を飛び越える芸です。
- 飼い主さんは床に座り、足を伸ばします。
- おやつで犬を誘導し、低い足の上を跨いで移動させます。
- 跨いだら「ジャンプ」と言い、おやつを与えます。
- 慣れてきたら、徐々に足を上げて高さを出し、最終的にはジャンプさせるようにします。
小さめの障害物から挑戦していくと、わんちゃんの体のサイズの高さに調整しやすいです。
ただし、骨格が十分に発達していない子犬や小型犬、胴長短足の犬種などは、体を痛めてしまう可能性があるため、この芸は避けた方がいいでしょう。
スラローム
等間隔に立てた棒や、飼い主さんの股の下を左右交互にくぐり抜けていく芸です。
- 飼い主さんは足を大きく開いて立ちます。
- 左手で犬を誘導し、片側の股下をくぐらせます。
- 犬が通り抜けたらすぐに反対側の足に誘導し、連続してくぐらせる動作を繰り返します。
人の足の間をくぐることに抵抗を示す犬や、飼い主さんが小柄で愛犬がスムーズに通れるだけのスペースを確保するのが難しいこともあるでしょう。
その場合は、スラローム用の器具を使うのもおすすめです。
【上級編】犬の芸の種類と教え方

続いては、上級者向けの犬の芸の種類と教え方を解説します。
より高難易度な技に興味がある人は、ぜひ愛犬に教えてみてくださいね。
おじぎ
お尻を高く上げ、前足を伏せて頭を下げる姿勢をとる芸です。
- 犬を「ふせ」させます。
- 犬のお腹の下に腕を入れ、お尻が下がらないように支えながら、前足だけを伏せさせるように誘導します。
- 前足をたたむような姿勢になったらコマンドを言い、褒めておやつを与えます。
- 補助なしで「おじぎ」ができるように、繰り返し練習します。
「こんにちは」と言っておじぎができるようになれば、初対面の人と会うときに喜んでもらえますよ。
鼻パク
鼻先に置いたおやつを、合図と共に空中でキャッチして食べる芸です。
- 「待て」をさせる。
- 犬の鼻先にエサを乗せる。
- 「ヨシ」と言う。
手順は3つしかありません。
しかし、飼い主さんが犬を補助できる箇所がないため、難易度が高い芸です。
犬にとっては、鼻先からエサを落とさないようにじっと我慢できること、そして「ヨシ」の合図の後にエサの空中キャッチを成功させることが条件となります。
まずは、普段のエサやりの際に、「待て」を維持したままフードをひと粒鼻筋に置く練習や、フードを投げて犬がキャッチする練習を重ねておくといいでしょう。
ムーンウォーク
ムーンウォークは、後ろ向きに歩くように見せる難易度の高い芸です。
- 壁や椅子などの障害物を利用して、犬が一列にしか進めない通路を作ります。
- 犬をその通路の中に立たせます。
- コマンド(指示)を言いながら、飼い主が犬の頭側からゆっくり歩いていき、犬に後退するように誘導します。
- 後退できたらエサを与えます。
犬が後ずさりするよう誘導する際、手を前に出すなどのハンドサインを加えるのもいいでしょう。
ただし、飼い主とぶつかったり障害物が倒れたりすると、犬にとって嫌な記憶として残ってしまうため、注意してください。
犬に芸を教えるときの注意点
最後に、犬に芸を教えるときの注意点を解説します。
犬に芸を教えるときは、これから解説する注意点を守りましょう。
おやつを与えすぎないようにする
犬に芸を教えるとき、おやつを与えすぎてはいけません。
ご褒美としてのおやつは非常に効果的ですが、与えすぎは肥満の原因になります。
ご褒美は1日の食事のカロリーを考慮して使用しましょう。
コマンドを使い分ける
コマンドはどんな言葉でも使えますが、似た言葉は避けるようにしましょう。
たとえば、「おすわり」「おまわり」「おかわり」のように似た言葉は犬を混乱させるため、「座れ」や「スピン」などに変える工夫が必要です。
無理をさせない
愛犬に無理をさせるのはNGです。
わんちゃんにとっては、どうしても覚えるのが難しい芸もあります。
体に負担がかかったり強いストレスを与えたりする芸は避け、無理は絶対にさせないようにしましょう。
犬に芸を教えるのは基本のしつけが終わってから

犬に芸を教える際は、まずは「おすわり」などの基礎をしっかり教え、信頼関係を築くことから始めましょう。
そこから芸を教えていき、難易度に合わせてステップアップしていくことで、スムーズに芸を覚えられるようになります。
芸を上手く習得できれば、飼い主さんとの絆はより一層深まるはずです。
この記事を参考に、愛犬との楽しい芸の練習に挑戦してみてください。




















