可愛い愛犬のごはんは、自分と同じように手作りしたい。そう考える方も多いでしょう。犬は肉食よりの雑食動物なので、犬にとって肉は欠かせない食べ物の一つです。しかし、一概に肉といっても様々な種類が存在します。私たちが普段手にする肉の種類は、「牛肉」「鶏肉」「豚肉」が多いかと思います。その中でも、果たして「牛肉」は犬にとって与えても問題のない食材なのでしょうか。また、牛肉には犬にとってどのような栄養価が期待できるのでしょうか。この記事では、牛肉の安全性や与え方、注意点やレシピをまとめました。
犬に牛肉を与えても大丈夫?
犬にとって牛肉は良質なタンパク源です。そのため、犬に牛肉を与えても問題はありません。牛肉は良質なタンパク質であると共に消化吸収に優れ、免疫力アップや肥満解消の効果も期待されています。ただし、通常のドッグフードにも肉は豊富に含まれているため、与える際は過剰摂取にならないよう、量を調整する必要があります。
牛肉、鶏肉、豚肉の栄養素の違い
一概に肉といっても種類によって栄養価は異なります。牛肉にはタンパク質、脂質、鉄分が豊富に含まれています。また、赤身の部分にはカルニチンと呼ばれるアミノ酸も含まれています。カルニチンは余分な脂肪を落とす働きがあり、ダイエット効果も期待されています。
鶏肉は低脂肪なことが特徴です。特にささみや胸肉は高タンパクながら非常に低脂質です。また、牛肉や豚肉に比べてビタミンAも豊富に含まれていることも特徴です。ビタミンAには抵抗力を強める働きや、皮膚や目の粘膜を守る効果が期待されています。鶏肉はダイエット中や犬やシニア犬には嬉しいお肉です。
豚肉にはほかの肉と比べてビタミンB1が多く、その量は牛肉の約10倍といわれています。ビタミンB1は疲労回復や体内で糖質をエネルギーに変換する働きがあります。ほかにも、ストレスの緩和や血液疾患の予防など、様々な健康に良い成分が含まれています。しかし、部位によっては脂質が多く、肥満の原因に繋がるため注意も必要です。
犬に牛肉を与える際に気を付けること
犬に牛肉を与える際、何か気を付けることはあるのでしょうか。生の牛肉をそのまま与えても問題はないのか、気になる方も多いと思います。ここでは、犬に牛肉を与える際の注意点を紹介します。
消化しやすいよう細かく切って与えましょう
牛肉には脂肪分が多く含まれています。脂肪分は消化しづらく、場合によっては下痢や嘔吐、膵臓の炎症などを引き起こす可能性があります。そのため、与える際には食べやすいよう細かくカットするか、ミキサーなどでペースト状にして与えるようにしてください。
アレルギーの可能性を考慮し、まずは少量から
体質によっては食物のいずれかにアレルギーを持つ子もいるため、犬が発症するアレルギーの種類には牛肉も含まれます。食物アレルギーは、先天性のものと食べ続けることで発症する後天性のものとがあります。愛犬が牛肉にアレルギーを持っている可能性を考慮し、最初は少量から与えることをおすすめします。アレルギーの症状には、皮膚のかゆみや下痢、嘔吐などが現れます。牛肉を与えてこのような症状が見られた場合には、牛肉にアレルギーを持つ体質である可能性があるため、与えるのを中止し、症状がひどいようであれば動物病院を受診するようにしてください。
牛肉を生で与えても大丈夫?
生の牛肉には酵素が多く含まれており、栄養としてはおすすめです。しかし、生肉には寄生虫や病原菌がいる場合があります。犬は強い胃酸を持っており、細菌を殺せるとも言われていますが、どの犬もそうとは限りません。細菌や寄生虫に犯された場合、下痢や嘔吐、食中毒を起こしてしまう危険性があります。犬の健康を考えると、牛肉を与える際には生肉は控え、火を通してから与えることをおすすめします。どうしても生肉を与えたい場合には、コストがかかりますが、生で与えることのできる肉を購入する必要があります。
牛肉は部位によって脂身の量が異なります!
牛肉は部位によって脂身の量が異なります。脂質がほとんどない部位や豊富に含まれている部位がありますので、与える際には愛犬に合った部位を使用することが大切です。
脂身がほとんどないモモ
牛のもも肉には、「うちもも」「そともも」の2種類があります。どちらも赤みで脂肪分が少なく、人間ではローストビーフや炒め物として使用します。うちももは煮込みやステーキなどにも使用できる部位で、柔らかみがあります。対してそとももは固めで噛み応えがあり、炒め物などに使用します。脂肪分が少ないので、ダイエット中やシニアなどに向いています。肉の硬さにより使用する部位を選んで与えると良いでしょう。
少し脂身のあるロース
適度に脂肪分があり、霜降りの多い部位です。ロースは風味が良いことも特徴です。肩ロースは風味豊かですが、筋が多い部位でもあります。リブロースは肉質が柔らかく、霜降りの多い部位です。人間の料理ではステーキや焼き肉、すき焼きなどに使用されます。食べ応えや風味のある肩ロース、硬いものが食べづらい場合には柔らかいリブロースを選択すると良いでしょう。
脂身の多いバラ
赤みで脂質の多い部位です。「かたばら」と「ともばら」がありますが、どちらも肉質は硬めで濃厚な味わいです。人間用としては角煮やシチューなどに使用されます。脂肪分が多く硬めな肉は、運動量の多い犬や成長期の子犬、痩せ気味の犬、脂肪分を多く必要とする犬などに適しています。
脂身の多いサーロイン
サーロインは人間用ではステーキなどに使用されます。高額で脂質も多いため、普段使いには適していません。何かのお祝いの際やご褒美としての使用がおすすめです。
わんちゃんも喜ぶ!牛肉レシピのご紹介
愛犬も安心して食べることのできる牛肉を使ったレシピには、どのようなものがあるのでしょう。ここでは、牛肉を使用した犬用レシピを紹介します。
茹でて冷やして簡単!牛肉と3色野菜のごはん
【材料】
・牛肉
・キャベツ
・ニンジン
・ブロッコリー
【作り方】
1. キャベツ、ニンジン、ブロッコリーを細かくみじん切りにする
2. 牛肉を食べやすい多さに切り、茹でる
3. 野菜を茹でる
4. 冷めたら盛り付けて完成
使用する肉や野菜の量は、愛犬の大きさや体重などによって調整してください。牛肉と野菜は7対3の割合が理想です。胃腸の弱い犬やシニアには、フードプロセッサーなどを使用して野菜や肉を細かくすることで、消化吸収が良くなります。野菜は栄養がありますが、犬にとってあまり消化に良いものではないため、与え過ぎには注意が必要です。
あっさりヘルシー!牛肉と枝豆の混ぜごはん
【材料】
・牛肉
・枝豆
・ニンジン
・キャベツの芯
・キュウリ
・ご飯
・胡麻油
【作り方】
1. ご飯をお湯でふやかす
2. 枝豆を柔らかくなるまでゆで、皮となかの薄皮を取り除き、みじん切りにする
3. キュウリをみじん切りにする
4. キャベツの芯、ニンジンをすりおろす
5. 牛肉を胡麻油で焼き、細かくカットする
6. 全ての材料を混ぜて盛り付けたら完成
牛肉を焼く際には、しっかりと火を通してください。わんちゃんによっては野菜にも火を通すと良いでしょう。ご飯を使用しますので、与えすぎは肥満の原因に繋がります。与える量や1日の食事量を調整したりして、カロリーオーバーにならないよう注意してください。
ちょっと贅沢に!牛肉のハンバーグ
【材料】
・牛ミンチ
・豚ミンチ
・牛脂
・パン粉
・ヤギミルク(粉末状)
・水
・卵
・ニンジン粉末(ソース用)[株式会社オモヤ1]
【作り方】
1. ミンチと牛脂を皿に入れる(牛肉と豚肉の割合は5対5)
2. ヤギミルクを水で溶き、パン粉を加えて混ぜる
3. 1に2と卵を加える
4. 粘りがつくまでよく混ぜる
5. 空気を抜いて成型する
6. フライパンに薄く油をしき、焼く
7. フライパンに残った肉汁にすりおろしたニンジンを入れて混ぜ合わせる
8. 器に盛り付け、ニンジンソースをかけたら完成
牛肉のほかに豚肉も使用するため、アレルギーの可能性を考慮し最初は少量から与えてください。豚肉にも寄生虫や細菌がいる可能性があるため、しっかりと火を通しましょう。肉をふんだんに使用するため、嗜好性の高いレシピです。しかし、カロリーや脂質も高くなるため、肥満や消化不良を起こさないよう、与え過ぎには気を付けてください。
まとめ
犬は肉食に近い雑食動物であるため、肉は欠かせない食べ物の一つです。牛肉は肉の中でも価格が比較的高いということもあり、ドッグフードの原料として使用されることは少ないのですが、牛肉をベースとして使用した商品も販売されています。牛肉は部位によって脂肪分の量を選ぶことができるほか、栄養価や嗜好性の高い食材です。
最近は愛犬のごはんも手作りしたいという方が増えています。しかし、犬に必要な栄養は人間とは異なるため、毎日手作りフードを作るとなると、栄養バランスの面などで専門的な知識が必要になります。ドッグフードであれば、犬に必要な栄養がバランスよく配合されています。普段はドッグフードを与え、たまにおやつやご褒美として手作りフードを与えることが理想です。
しかし、なかには病気や高齢などの理由から、毎日ごはんを手作りしないといけない場合もありますので手作りフードを与える際には、犬にとって安全な食材を選び、栄養配分をきっちり把握して作るように心がけましょう。