ドッグランはあなたの愛犬をリードなしで自由に遊ばせることができる、いわば犬の公園です。都市部には少ないのですが、郊外に出かければ有料・無料の施設があります。しかし大勢の方が利用する公共の場です。他の方に迷惑をかけないように、マナーは守りたいものです。
あなたのドッグランでのマナーは大丈夫ですか?マナーが悪い!と嫌われる行動
ドッグランは、大小さまざまな犬がリードなしで自由に遊べる施設です。自由に走り回ることができるため、犬のストレス解消にもなります。ドッグランの中には大型犬と小型犬を分けている施設もあります。
”ドッグラン”は和製英語で、英語では”ドッグ・パーク(dog park)”と言います。また、ドッグランの中には、犬を自由に遊ばせるだけではなく、マナーアップ教室やしつけ教室も開催しているところもあります。
近頃、公園では犬の散歩をする飼い主のマナーが原因と思われる苦情が多いと聞きます。中には、飼い主のマナーが悪いために、犬の散歩を禁止する措置がとられた公園もあります。やはり公共の場ですから、飼い主もマナーを守り、また愛犬もきちんとしつけることが必要です。ドッグランは、自分の愛犬を自由に遊ばせることができる場所です。愛犬にきちんとしつけをしておかないと、ほかの利用者に迷惑がかかるケースがあります。また一方で、残念なことにドッグランは犬を自由に遊ばせる施設だから気にしないという方もいらっしゃいます。しかし、ドッグランを気持ちよく利用するためには、相手に不快感を与えるような行動などは慎みましょう。
ドッグランにはさまざまな犬種、年齢の犬が来ます。飼い主さんも同様です。だからこそお互いに気持ちよく利用できるために、マナーを守らなければなりません。ドッグラン利用者から聞くマナーが悪いと嫌われる主な行動は次のとおりです。
他人のわんちゃんを勝手に触る、おやつをあげる
愛犬家にとって、自分の愛犬が可愛いのはもとより、他人の犬もかわいいと思うことはよくあることです。ドッグランで自分が飼っている犬と同じ犬種を見つけた場合には気になるものです。毛色、大きさ、顔つきなど、日ごろ見慣れた自分の犬との違いはとても気になります。また違う犬種でも同様です。ドッグランでは犬は自由に走り回っているので、人懐っこい性格の犬が近寄ってくることもあります。可愛さ余って、ついつい頭をなでたり、体を触ってしまいがちです。しかし、中には断りもなく勝手に触って欲しくないと思う飼い主の方もいらっしゃいます。気にしすぎかもしれませんが、触っている方の手が汚れているかもしれない、あるいは神経質な犬なので本当は触ってほしくないと思っているかもしれません。
また、トリーツなどのおやつを与えることもやめましょう。アレルギー体質の犬かもしれません。あるいは飼い主のこだわりとして、手作りの食事しか与えていないかもしれません。自分は気にしないからと言って、ほかの人も平気だとは思わないでください。特に口に上がるものは、気にする方が多いものです。
小さな子供を連れてくる
ドッグランに小さなお子さんを連れてくる方がいらっしゃいます。ドッグランの囲いの外でしたら構わないのですが、中に子供を入れることはとても危険です。絶対に辞めましょう。小さな子供は好奇心旺盛で、手加減ができません。他の犬が近寄ってきたときに強く触ったり、叩いてしまったりすることによって、犬が吠えたり、最悪の場合には子供を噛むこともあります。
以前、ドッグランで私も見たことがあるのですが、ドッグランの囲いの中に、小さな子供を連れた若い男性が、犬を伴って入ってきました。そこへ小型犬2頭が走り寄って行きました。おそらく走り寄った犬の方は、新しく入ってきた犬が気になり走り寄ったと思います。ところが小さな子供は犬が自分に向かって走ってきたと思い怖くなったのでしょう、大声で泣き出してしまいました。すると、周りの犬が子供の泣き声に興奮して一斉に吠え出しました。男性はすぐにドッグランから出て行ったので事なきを得たのですが、これが大型犬でしたらどうでしょうか。大型犬は足も速いので、もしかしたら…と言うことも想像がつきます。小さな子供の行動は予想不可能ですし危険ですので、小さなお子さんをドッグランの中に入れることは控えましょう。
排泄物を放置する
言わずもがなですが、マナー以前の問題です。ドッグランはみんなが使う公共施設です。自分の犬の排泄物も片づけられない人はドッグランを利用する資格はないと言っても過言ではありません。もしかしたら、知らないうちに愛犬が病気にかかっているかもしれません。万が一、他の犬がそのフンを触った足を舐めれば、病気に感染する可能性もあります。排泄物は必ず持ち帰らなければなりません。
マナーベルトやマナーパンツはつけた方が良いの?
ドッグランに行くときにはマナーベルトやマナーパンツは付けた方がよいでしょう。オス犬は本能的にマーキングします。ドッグランの囲いなど、どこでも自分のにおいを付けてしまいます。においが染みつけばほかの方にも迷惑ですし、施設が痛みます。また、フンと同様に知らぬ間に病気にかかっていた場合、尿を通じてほかの犬に感染する恐れがあります。
また、ヒート中のメス犬をドッグランに連れて行ってはいけません。万が一、ヒート中のメス犬をドッグランに連れていけば、オス犬が発情期のにおいのするメス犬めがけて一斉に群がってきますので、非常に危険です。
マウンティングを放置する
マウンティングは、両足で抱きつき腰を振る仕草が交尾と似ていますが、性的な興奮ではありません。飼い主にマウンティングする場合は、遊んでほしいという愛情表現です。
犬同士のマウンティングは、上下関係を示す場合に行われます。犬社会は上下関係がはっきりとしているため、自分の方が上であることを示したいのです。興奮すると後ろから相手の首を噛むこともあります。また爪などを立てることもあり、傷つく原因となります。病気やウイルスなどに感染した犬から、病気をうってしまうこともあり得ます。
もし、自分の犬が他の犬にマウンティングをしている場合には、後ろから犬を抱えて引き離したり、呼んだらすぐに飼い主様の元へ来るようにしつけをしておきましょう。
利用するドッグランのルールを順守していますか?
ここまでドッグランのマナーについて説明してきましたが、どんなところにも、最低限守らなければならないルールがあります。ドッグランも同様です。ルールを守ることは、お互いが気持ちよく利用するための最低限のマナーです。しっかりと利用するドッグランのルールを順守しましょう!
ドッグランでは登録制の施設が増えてきました。10年ほど前までは、だれでも自由に利用できるドッグランがほとんどでした。しかし、最近は事前登録制のドッグランが多くなりました。利用者が増える一方で、施設利用時のルールの順守がなされないなどの問題から、事前登録制を導入する施設も増えているとの見解もあります。犬たちには全く責任はありません。飼い主の皆様のモラルによってわんちゃんと楽しめる場所を守っていかなければなりませんね。
大型犬と一緒にドッグランを楽しむためには?
大型犬専用のエリアがあれば、そこで遊びましょう!
ドッグランは小型犬用と大型犬用に別れているところがほとんどです。犬ほど体格に違いがある動物は他にはないと言っても過言ではありません。これは、犬が人間のパートナーとして共に暮らしていくために、長い時間をかけて品種改良を重ねてきたためです。
大型犬は走る速さや歩幅も小型犬とは全く違います。大型犬の1歩と小型犬の1歩では進む距離が違うことは明白です。
また、ゴールデンレトリバーとチワワでは体格が何倍も違いますし、力の差もあります。このような体格や力も違う犬種を同じドッグランの中で遊ばせれば、危険が伴います。チワワは身体が小さい割に気が強く、大型犬に吠えたり向かっていくことがあります。おっとりとした性格のゴールデンレトリバーも最初のうちは無視していますが、しつこく吠えられたり、攻撃された場合には、うるさく感じて反撃することもあるのです。小さな犬は一溜まりもなく押さえつけられ、けがをする場合も考えられます。このような危険を避けるために、大型犬は専用のエリアで遊ばせましょう。
呼び戻しをできるようにしつけておきましょう
一般的に大型犬は25キログラム以上の犬種を指します。大型犬は知性が高く学習能力も発達し、運動能力の高さも兼ね備えています。警察犬や盲導犬などに、大型犬が活躍していることからも明らかですね。しかし、この賢さが仇になって、正しくしつけておかなければ、言うことを聞かなくなります。犬社会は上下関係がはっきりしています。犬よりも飼い主の方が上位にあることを、幼犬のうちからしっかりとしつけなければなりません。そのためにも、マテ、オイデなどの呼び戻しコマンドを理解するまで、根気よくしつけなければなりません。ドッグランには他の犬がいます。呼び戻しができるようにしつけておかなければ、飼い主間のトラブルにも発展することがあります。ドッグランでは、愛犬が何をしていても、飼い主がオイデと呼び戻せば、必ず戻ってくるように、必ず「呼び戻し」をしつけておく必要があります。
ドッグラン利用の前にチェックしたいこと
最低限のしつけはできていますか?
ドッグランは、日ごろ家の中や、散歩の際にリードでつながれているなどの不自由な生活から解き放たれ、犬は大喜びで走り回ります。犬の走る速さは、チワワなどの小型犬では平均25km/h、ゴールデンレトリバーなどの大型犬では平均36km/hです。人間の走る速さが平均16km/hと言われていますので、犬の方がはるかに速いのです。ドッグランで楽しく走り回っている犬を走って捕まえることは、数値上は非常に困難と言えます。そのためにも、ドッグランに愛犬を連れていく際には、最低限のしつけが必要なのです。マテ、オイデ、オスワリなどのコマンドを理解できるまで、ドッグランに連れていくことは控えるべきでしょう。
ドッグランに最初に入るときには、リードを付けて手に持ったまま周囲の様子を伺いましょう。私は、リードを持ったまましばらく犬と一緒に走ります。周囲の安全や、ドッグランに慣れてきたころを見計らってからリードを外します。
予防接種はきちんと受けていますか?
犬と共に生活する最低限のルールとして予防接種を忘れてはなりません。予防接種はあなたの愛犬を病気などから守るために必要なものです。生まれたばかりの赤ちゃん犬は、母犬の初乳を飲むことで免疫が移行します。しかし、その免疫抗体も生後10週前後を過ぎると弱くなってきます。そこで病気への抗体を体内で作るためにワクチンを接種する必要があります。厚生労働省令で接種が義務付けられているワクチンは狂犬病ワクチンです。これは全ての犬が1年に1回接種しなければなりません。
また任意で接種するワクチンには、ジステンバー、パルボ、アデノウイルスと言ったコアワクチン、それに犬パラインフルエンザなどのノンコアワクチンがあります。
ワクチンは、年齢や持病、地域などによってワクチン接種などが違いますので、かかりつけの獣医師とご相談のうえで、適切なタイミングで接種しなければなりません。
多くのドッグランでは利用の際に、狂犬病、混合ワクチン、ノミ・マダニ予防を義務付けており、利用時に1年以内の接種証明書を求められます。施設によっては、事前登録制のところもあり、飼い主の身分証明書、犬鑑札、狂犬病予防接種済票(1年以内のもの)、混合ワクチン接種済み証明書(5種以上)などが求められます。このように予防を管理している施設は、衛生管理も適切と言えるでしょう。
まとめ
広く開放的なドッグランは、愛犬が自由に走り回ることができる楽しい場所です。いろいろな犬が楽しく走り回っている姿はとても活動的です。しかし、たくさんの犬が集まる場所だからこそ、飼い主さんには最低限のマナーを守っていただくことがとても大切です。
マナーを守って、愛犬と楽しくドッグランで遊びたいものですね。