バナナはエネルギーとなる食材として知られています。運動したときや朝食、おやつでバナナを食べる人も多いと思いますが、そんなエネルギー源ともなるバナナを犬に食べさせてもいいのでしょうか。今回は犬がバナナを食べても大丈夫なのか、また与えるときの注意点などを解説していきます。
犬にバナナをあげても大丈夫?
犬がバナナを食べたがっていたらあげてもいいの?
バナナは適度に柔らかく甘みがある上に、栄養が豊富なので犬が食べたがったら与えても問題ありません。ただ、バナナを与える際いくつかの注意点があります。それについては後ほど詳しく解説していきます。
食欲が落ちているときはおすすめの食材
基本的に犬は総合栄養食と表記されているドッグフードを食べさせていれば、それ以外のものを与える必要はありません。総合栄養食には犬に必要な栄養がしっかり含まれているので、成長や健康維持のためにはこれだけで充分なのです。
バナナを食べさせるといい場合は、犬の食欲が落ちているときです。バナナの栄養を摂取して、食欲を回復させる目的で与えるのがいいでしょう。
バナナの栄養と効能を知って犬に食べさせよう
オリゴ糖で腸内環境の改善
オリゴ糖は胃や小腸で消化・吸収されにくい栄養素です。そのため、食物繊維と同じように腸内に存在する老廃物を吸着して体外へ排出する働きを持っています。この働きは、宿便も取り除けるので、便秘改善に役立ちます。
腸内の環境が悪いと老廃物が溜まり、悪玉菌が増えて肌荒れの原因となる毒素が発生します。毒素が体内に溜まることで血流が悪くなるので、肌荒れの他に肌の老化にも繋がります。
オリゴ糖は腸内で善玉菌を増やすため、悪玉菌の増殖を抑制する働きをします。オリゴ糖を摂取することは肌荒れの予防が期待できるので、皮膚の弱い犬に与えるといいのではないでしょうか。
また、オリゴ糖が増えると腸内の善玉菌が増え、血液の中の善玉コレステロールも増加します。善玉コレステロールが増えると悪玉コレステロールや中性脂肪が減るため、動脈硬化の予防が期待できます。
食物繊維で便秘改善
バナナに多く含まれる食物繊維は、水溶性食物繊維であるペクチンと不溶性食物繊維のセルロースの2種類です。ペクチンは便に水分を含ませ柔らかくし、セルロースは便の量を増やす働きがあるので、この2つの成分は便秘改善が期待できます。
また、ペクチンには腸の中の食べ物に含まれているコレステロールと胆汁酸を同時に排出する働きもあります。胆汁酸を排出し、新しく胆汁酸を作る時に肝臓は悪玉コレステロールから胆汁酸を生成するので、ペクチンが増えれば悪玉コレステロールを減らすことに繋がり、大腸がんの予防に役立つとされているのです。
マグネシウムで骨や筋肉維持のサポート
バナナに含まれるマグネシウムには、カルシウムやリンと一緒に骨や歯を作る働きがあります。カルシウムが骨や歯にしっかり届くように、マグネシウムがその調整を行なっているのです。また、マグネシウムは骨の中に存在して、骨に弾力を与えます。カルシウムとマグネシウムをバランスよく摂取することで、丈夫な骨や歯を作ることができるのです。
カルシウムとナトリウムには動脈を収縮させて血圧を上げる働きがあります。そのため、カルシウムやナトリウムを摂りすぎると高血圧になることがあるのです。これを防ぐために働くのがマグネシウムです。マグネシウムには細胞内に存在するカルシウムやナトリウムの量を調整して、血圧を正常に保つ働きがあります。
セロトニンで気分が安定
バナナに含まれているセロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれる成分で、摂取すると気持ちが落ち着いて不安な気持ちが解消できます。
私たち人間は脳内物質であるセロトニンが足りないと気持ちが落ち着かず、イライラしたり眠れなくなることがあります。犬も同じでセロトニンが不足すると、凶暴になったり情緒不安定になることがあるのです。
ポリフェノールで高血圧予防
バナナには豊富なポリフェノールが含まれていて、このポリフェノールには活性酸素を取り除く働きがあります。また、ポリフェノールには血液中のコレステロール値を下げる働きがあるので、高血圧予防が期待できます。
ビタミンCで免疫力アップ
バナナには抗酸化作用があるビタミンCが含まれているため、免疫力が上がり生活習慣病の予防に役立ちます。抗酸化作用の働きは、健康な細胞を攻撃する活性酸素を撃退します。この働きのおかげで細胞の酸化が予防できるので、病気から身体を守ることができます。
そして、バナナは白血球の量を増やして活性化させる働きを持っていますが、この働きは免疫力をアップさせるために必要なことです。免疫力アップの効果は、バナナにシュガースポット(黒い点々)が出るほどよいとされています。
ビタミンB6がタンパク質の代謝をサポート
ビタミンB6にはタンパク質の代謝をサポートする働きがあります。タンパク質とは、犬の脳の活性化や神経の活動、筋肉・皮膚を作るのに必要なアミノ酸を作る重要な成分です。また、ビタミンB6が足りなくなると口内炎になることがあります。
モリブデンが脂質・糖質の代謝をサポート
バナナにはモリブデンというミネラル成分が豊富に含まれています。モリブデンには糖質や脂質の代謝を促す働きがあるので、肥満傾向の犬に適量を与えるとモリブデンの働きでダイエットに役立つでしょう。
犬にバナナを食べさせるときの注意点
犬がバナナを食べて下痢や嘔吐するようならアレルギーを疑おう
稀にですが、バナナに対してアレルギーを持っている犬もいるので、初めて食べさせるときは少量からにして様子を見ましょう。
初めて食べさせた時に下痢や嘔吐をしたら、バナナアレルギーの可能性があります。ひどくなると痙攣や呼吸困難を引き起こして命に関わる場合もあるので、体調を崩すことがあったらバナナを与えるのはやめましょう。
バナナはアボカドやキウイ、トマトと同じ分子構造の食材です。以前これらを食べた時にアレルギー症状が出た場合、バナナでもアレルギー反応が出る可能性が高いので避けたほうがいいでしょう。
バナナは高カロリーなので犬に与えすぎると肥満になる
バナナの1本分のカロリーは約86kcalです。このカロリーは茶碗半分のご飯と同じくらいあり、犬にとっては高カロリーと言えます。
バナナは栄養面で優れていますが、総合栄養食でしっかり栄養を摂らせれば犬は充分に栄養が摂取できています。そのため無理にバナナを食べさせなくてもいいのです。
しかし、犬は飼い主が食べているものに非常に興味を示し、食べたがることがあるので少量であれば与えてもいいとされています。犬に与えてもいいとされる適量は10g程度です。もしも食べさせてみて下痢や嘔吐するようでしたら、与え過ぎかもしれません。
心臓病・腎臓病がある犬にはバナナは食べさせない
バナナに豊富に含まれているカリウムは、健康な状態のときは腎臓からナトリウムと一緒に排泄されます。しかし、腎臓の機能が落ちている時、カリウムは身体に溜まりやすく不整脈や低血圧などになる恐れがあります。このことから、心臓病・腎臓病がある犬にはバナナを与えるのは控えましょう。
ストルバイト結晶の治療をしたことがある犬は特に注意
バナナはマグネシウムを多く含んでいますが、過去に膀胱炎の一種であるストルバイト結晶の治療をしたことがある犬に与えるときは注意が必要です。
これが正解!犬へのバナナの与え方
皮ごとはだめ!バナナは皮を剥いてから愛犬に与える
バナナを与えるときは必ず皮を剥いてから与えましょう。皮は消化が悪いのでお腹を壊してしまいます。
喉に詰まらせないように小さく切ってあげる
バナナをあげるときは喉に詰まらせないように小さく刻んであげましょう。また、大きいままあげるとそのまま飲み込んでしまい、消化にもよくありません。
犬に与えていいバナナの加工品は?
甘いバナナチップスやバナナケーキを犬にあげてもいい?
いい匂いにつられて甘いバナナチップスやバナナケーキを欲しがる犬もいるでしょう。しかし、人間用に味付けされたものは犬に与えてはいけません。これらは砂糖をたくさん使っているので、犬が肥満になる恐れがあります。
また、バナナチップスは胃の中で膨らむので、たくさん食べると吐き気をもよおすことがあります。油が多いものを食べさせると膵炎を引き起こすこともあるので、バナナチップスは与えないでください。
冷凍バナナ・焼きバナナは犬にあげていい?
バナナを冷凍したものや焼いたものは、砂糖などの調味料を加えていなければ犬に与えても問題はありません。しかし、冷凍したものはとても固くなっているので、少し柔らかくなるまで置いておきましょう。また、焼きバナナを犬に与える場合は、焼き立てではなく少し冷ましてから与えるようにしましょう。
犬にバナナを与えたら必ず便の様子をチェックしよう
犬は飼い主さんのことが大好きで、飼い主さんがおいしそうに食べているものに興味を示します。バナナは栄養が高く、犬にとってもよいものですので与えても問題はありません。しかし、アレルギーや肥満の原因になることもあるので、少しずつ与えて食べた後は様子を観察しましょう。
そして、大切なのは便の様子です。普段と変わらない便が出たらバナナを食べても大丈夫ということになりますが、便が緩くなったり反対に便秘をしたりしたら、犬の身体にバナナが合わないということかもしれません。犬の体調管理は飼い主さんの大事な役目ですので、愛犬の様子を注意深く見てあげてください。