じゃがいもと言えば、栄養が豊富な炭水化物というイメージがありますよね。スーパーなどでも安価で売っているので、もしも犬に食べさせて良いのならコストパフォーマンス的にも助かる食材です。今回はそんなじゃがいもを犬が食べてもいいのか、食べる時の注意点をまとめてみました。
犬はじゃがいもを食べれる?
犬にじゃがいもを与えても大丈夫
結論からいうと、犬にじゃがいもを与えても問題はありません。むしろ栄養が豊富に含まれているので、与えることで得られるメリットがあります。
また、じゃがいもをおやつとして与える方法もありますが、それよりもドッグフードのかさ増しに向いています。お米をフードのかさ増しに使っている飼い主さんも多いようですが、お米よりもじゃがいもの食感の方が好きな犬は多いでしょう。
じゃがいもの芽は犬にあげる時も必ず取り除く
じゃがいもの芽には、ソラニンとチャコニンという毒素が含まれています。犬も人間と同じように毒素の影響を受けるので、犬に与えるときも必ず取り除いてから食べさせましょう。
芽を取り除かずに毒素を食べてしまうと頻脈や頭痛、嘔吐、胃炎、下痢、食欲減退などが起こります。
もしも食べさせてしまって犬が苦しそうにしていたら、すぐに獣医さんに見てもらいましょう。
犬に1日に与えてもいいじゃがいもの量
犬にじゃがいもを与えるときは皮を剥き、必ず芽を取り除いてから与えましょう。そして、適量は身体の大きさによって異なります。じゃがいもを与えるときは、それだけでお腹がいっぱいになってしまわないように1日に食べさせるドッグフードの総摂取量の10%分に留めるように心がけましょう。
適量には個体差があるため、体調に変化が見られた場合は与えるのをやめてくださいね。
じゃがいもの栄養は犬の身体にもいいことがたくさん!
免疫力アップのビタミンC
じゃがいもに含まれているビタミンCには強い抗酸化作用があります。細胞の老化を予防する働きがあるので、老化の予防や動脈硬化や脳卒中の予防が期待できるビタミンです。
また、ビタミンCには免疫力を高める働きがあるので、体内に侵入した細菌やウイルスを攻撃してくれます。その働きによって風邪などの病気にかかりにくい効果が期待できます。
犬は体内でビタミンCを生成することができますが、病気にかかっているときや高齢になるとその力が弱くなります。そのため、ビタミンCが不足しがちになるのでじゃがいもなどから補ってあげるのもいいですね。
エネルギーの代謝に欠かせないビタミンB6
ビタミンB6は、タンパク質がエネルギーに変わる過程で働く酵素を助ける補酵素の役割を担っています。そのため、タンパク質が主食な犬にとってはビタミンB6は欠かせない栄養分です。
また、ビタミンB6は成長促進や皮膚と被毛の健康を保つのに役立ってくれます。
利尿作用があるカリウム
カリウムには体内に増えすぎたナトリウムを尿として排出する利尿作用があります。人間と同じで、塩分の多い食事を取りすぎると心臓に負担がかかります。そのため、体内に増えすぎたナトリウムは体外に排出する必要があるのです。
また、神経刺激を伝達したり、心臓や筋肉の働きを調節したりする役割もあります。
腸内の善玉菌がアップ
じゃがいもには腸内の善玉菌をアップさせる成分が入っています。
腸内にはたくさんの細菌が住み着いています。中でも善玉菌と呼ばれるお腹の調子を整える菌を定着させることは、健康な腸内環境には欠かせません。
腸内が正常でないと、せっかく食べた栄養素も利用されずにそのまま排出されてしまいます。そうなると、せっかく飼い主さんが考えて与えているドッグフードも意味がなくなってしまいます。
整腸作用がある食物繊維
「犬は野菜を消化できない」というのを聞いたことがある方もいるかもしれません。それは、犬が野菜に含まれている食物繊維を消化しにくく、消化しきれず便に混じってそのまま出てくることがあるからです。
しかし、それを逆手にとったメリットがあります。1つ目は消化されにくいので腹持ちがいいということです。腹持ちがよければ、ダイエットをしている愛犬も無理なく痩せられることができます。
そして2つ目は野菜の食物繊維が腸壁を刺激し、便秘を予防するということです。最後の3つ目は、小腸の細菌バランスを整えるということです。小腸の細菌バランスを整えることにより、整腸作用につながるのです。
エネルギー源の炭水化物
炭水化物はたくさん取りすぎると肥満につながりますが、適量を摂取する分には問題ありません。
健康的に便を排出することができたり、炭水化物は糖類になりますが、その中のブドウ糖が元気に活動するためのエネルギー源になったりします。そのため、特に成長盛りの元気いっぱいの愛犬には必要な栄養素なのです。
犬にじゃがいもを与える時の注意点
じゃがいもの与え過ぎは糖尿病の原因である血糖値がアップする
じゃがいもの中に含まれている炭水化物には血糖値をアップさせる働きがあります。血糖値が上昇すると、すい臓の細胞が壊れて、糖をエネルギーに変えるインスリンというホルモンが大量に分泌されます。
それが習慣化してしまうと、インスリンに対する細胞の反応が鈍くなるため、インスリンが効きにくくなり血中の糖を取り入れることができなくなってしまいます。その結果、高血糖となり、糖尿病を引き起こしてしまうのです。
糖尿病の初期症状は、
- 頻繁にご飯を食べたがる
- たくさん食べているのに痩せる
- 水を飲む量が増えて尿の量が多くなる
などです。
また、合併症として白内障や糖尿病性ケトアシドーシスになることがあります。
白内障は糖尿病の合併症として最も見られるもので、目が白っぽくなるといった症状が現れます。
糖尿病性ケトアシドーシスは、血液中の有害物質ケトン体が増加して発症する病気です。食欲をなくして水すらも飲まなくなる、元気が無くなって嘔吐や下痢をする等の症状が現れます。1日~1週間という短い期間で急に症状が現れるのが特徴で、治療が困難な疾患のひとつです。
じゃがいもの芽や緑の部分に含まれる毒素ソラニン・チャコニンは犬もNG
人間がじゃがいもを食べるとき芽を取り、緑色のじゃがいもは食べませんよね。これは毒素があるからというのはよく知られたことです。
前述した通り、この毒素はソラニン、チャコニンと呼ばれますが、犬もこの毒素をとってはいけません。また、人間よりも犬の方が身体が小さい分、毒素の影響を受けやすいと言われています。
ちなみにじゃがいもがなぜ緑色になるかというと、光が当たることによりクロロフィルという緑色の色素が生成されて変色するからです。
この光は日光だけでなく、お店の蛍光灯やお家の蛍光灯なども含まれます。つまり、保存する際に光の当たらない冷暗所で保存すれば問題ないのです。
市販されているじゃがいもよりも、家庭菜園などで作ったじゃがいもの方がソラニンもチャコニンも多くなりやすいとされています。
じっくりと育てたじゃがいもを愛犬に与える際は、十分注意して与えましょう。
じゃがいもでアレルギー症状がでる犬も
犬にも人間同様それぞれ個体によりアレルギーがあります。
初めてじゃがいもをあげる際は、必ず少量与えて異常がないか確認してから少しずつ量を増やしていきましょう。
アレルギー症状としては
- 目が充血する
- 痒がる
- 下痢
- 嘔吐
などがあります。この症状が現れたら、与えるのをすぐにやめ、獣医さんに見てもらいましょう。
犬にとって生のじゃがいもは消化が難しい
生のじゃがいもは犬にとって消化が難しいです。そのため、必ず茹でるか蒸すなど加熱処理を加えましょう。熱を通したらマッシュポテトにするか、小さくカットしてあげて犬が食べやすいようにしましょう。
ドッグフードに加える場合、塩分はドッグフードだけで十分です。塩分の過剰摂取にならないよう味付けはしないようにしてください。
じゃがいもは高カロリーなので肥満に注意
じゃがいもはでんぷん質でカロリーが高めなので、カロリーバランスを考えてあげる必要があります。
通常のドッグフードにじゃがいもをプラスするとカロリーオーバーになって肥満を招くことがあります。そのため、ドッグフードの量を少し減らしてからじゃがいもをプラスしてあげましょう。
じゃがいもと同じ芋である「さつまいも」は犬も食べられる?
さつまいもも犬に与えて大丈夫
さつまいもはじゃがいも同様、犬にあげても問題ありません。栄養も豊富で甘さがあるので犬も好んで食べることが多いです。
ただ、どの食品にも言えることですが、犬によってはアレルギーを起こすため、まずは少量からあげましょう。
さつまいもはじゃがいも以上に高カロリーなので犬の肥満に注意
じゃがいもとさつまいもを比べると一番の違いは味です。じゃがいもは淡白な味ですが、さつまいもは甘味があります。
その甘さゆえに、糖がじゃがいもよりも多く含まれています。そのため、じゃがいももある程度高カロリーですが、さつまいもはさらに高カロリーなので与える際は少しにしましょう。
犬とさつまいもについて、さらに詳しく知りたい方は『犬にさつまいもを与えたい理由。効果やレシピをご紹介!』の記事をチェック!
さつまいもは甘いのでおやつ感覚で犬に与えるのがおすすめ
さつまいもといえば甘いのが特徴です。そのため、ドッグフードに混ぜてもいいですが、おやつとして犬にあげるのをおすすめします。
じゃがいもには犬にとってもいいところがたくさん!でもあげ方には注意しよう
じゃがいもにはたくさんの栄養が含まれており、免疫力アップ、エネルギー代謝、利尿作用、善玉菌アップ、整腸作用、エネルギー源など与えるといいことがたくさんあります。なので、普段のドッグフードの量を少し減らし、じゃがいもを少しプラスして毎日の食事にプラスしたい食材のひとつですね。
しかし、芽を取らなかったり、緑色のじゃがいもを与えてしまったり、一度に大量のじゃがいもを与えるのは避けましょう。あげ方を気をつければ非常に優秀な食材です。