ワンちゃんが飼い主に甘噛みするのは、珍しいことではありません。
しかし、甘噛みが癖になっている場合は注意が必要です。
力加減を間違えて、人を傷つけてしまう恐れがあります。
甘噛みがエスカレートする前に、しかるべき対策をとる必要があります。
今回の記事では、犬が甘噛みする理由ややめさせるポイント、しつけをする場合の注意点について解説していきます。
そもそも甘噛みとは?
「甘噛み」とは、軽く噛むことです。
攻撃性はなく、愛情表現やじゃれ合いの一種として行われます。
本気で噛んでいるわけではないので、「そこまで痛くないから大丈夫」と思っている飼い主は多いでしょう。
しかし、犬の歯は鋭利なので、事故につながる可能性もあります。
また、成犬の場合、甘噛みであっても相手を怪我させてしまう危険性は各段にアップします。
思わぬ怪我を引き起こす前に、甘噛みが目立つワンちゃんは適切にしつけることが大事です。
甘噛みをする理由
犬が甘噛みするのには、いくつかの理由が存在します。
まずはどんな理由でワンちゃんが甘噛みしてくるのか、当てはまりそうなものをチェックしてみてください。
噛みつき欲求
犬が物や人に噛みつくのは本能が関係しています。
犬はもともと獲物を追いかけて食べていたため、その必要がなくなった現在でも「噛みつく」という習性が残っているのです。
動くおもちゃや人の手などを甘噛みしてしまうのは、そうした本能の名残だといえます。
遊んでいるだけ
遊びがエスカレートして、甘噛みしてくる犬もいます。
これは「遊び関連攻撃行動」と呼ばれるもので、幼犬でよく見られる行動の一つです。
身近に兄弟犬などがいない場合、攻撃衝動が身近な小物や飼い主に向かうことがあります。
また、甘噛みに飼い主が反応すれば「遊んでもらえた」と認識し、さらに甘噛みの回数が増えることもあります。
構ってもらいたい
構ってもらいたくて、飼い主を甘噛みしてくることもあります。
もともと犬は母犬に甘える時、舐めたり甘噛みしたりする習性があります。
そのため、飼い主に対しても、同じような行動をとることがあるのです。
成犬になると減る場合がほとんどですが、きちんとしつけておかないと、大人になっても噛み癖が残ってしまうことがあります。
歯の生え変わりでかゆい
歯の生え変わりでかゆいと、そのむずがゆさを解消させようとして、人の手や周囲の物を噛むことがあります。
生後4〜6ヶ月頃は歯が生え変わる時期なので、このタイミングで甘噛みが増えた場合は、むずむずを解消したがっている可能性が高いです。
ストレス
「留守番が多く遊ぶ時間が少ない」「なかなか散歩に行けない」など、ストレスが溜まると、甘噛みが増えることがあります。
犬は噛むことや遊ぶことでストレスを発散します。
急に甘噛みが増えた場合は、ストレスがかかっていないか気にかけてあげた方が良いでしょう。
甘噛みをやめさせるポイント
「甘噛みくらいなら…」と噛み癖をそのまま放置するのはおすすめできません。
今は甘噛みであっても、力加減を間違えて人や家具などを傷つけてしまう可能性があります。
もしお家のワンちゃんの甘噛みが目立つなら、以下のポイントに従ってやめさせるようにしましょう。
甘噛みされたら視界からいなくなる
甘噛みされた時は、犬の視界からそっといなくなるようにしましょう。
甘噛みに反応すると、犬は「噛むことで遊んでもらえる」と誤学習してしまいます。
視界からいなくなる時間は、10秒〜30秒くらいでOKです。
目の前から飼い主が消えれば、犬は「甘噛みすると遊べなくなる」と理解してくれます。
また、甘噛みへの対応は、家族で一貫させることも大事です。
視界からいなくなることを徹底すれば、次第に犬も甘噛みを止めるでしょう。
甘噛みさせない環境を作る
甘噛みが癖になっているワンちゃんには、甘噛みさせない環境を作ることも大切です。
- 噛んではダメな物・危険な物を犬の行動範囲に置かない
- 入ってほしくない部屋にはゲートを設置する
- 動かせない物を噛む場合は、噛みつき防止の専用スプレーを使う
- 遊ぶ時は噛んでもいいおもちゃやロープを使用する
上記のポイントに気をつけつつ、とにかく「噛ませない」「噛んでもOKな物と区別する」ことを覚えさせましょう。
また、人の手や足を使って犬と遊ぶと、「手や足=噛んでいい物」と認識してしまうことがあります。
遊ぶときは、おもちゃを使うようにしてください。
噛みつき欲求を満たしてあげる
噛みつきが犬の本能である以上、完全に「噛むこと」をやめさせるのは無理です。
甘噛みが癖にならないように、噛みつき欲求をある程度満たしてあげましょう。
犬用ガムや噛む用のおもちゃを与えてあげることで、人や物への甘噛みの衝動を抑えることができます。
また、おもちゃの引っ張りっこや長めのお散歩もエネルギーを発散させることができます。
甘噛みを減らすためにも、ストレス発散や遊び不足の解消を心がけてあげてください。
甘噛みされた時にやってはいけないしつけ
甘噛みに対して適切な行動をとらないと、かえって悪化させる可能性があります。
最後に、甘噛みされた時にやってはいけないしつけを解説します。
大きなリアクションをとる
甘噛みされて、大きなリアクションをとるのはNGです。
声を出したり逃げたりすると、犬は「甘噛みすると遊んでもらえる」と勘違いしてしまいます。
甘噛みされたらリアクションをとらず、静かに立ち去るようにしてください。
口の中に手を押し込んだり、口を押さえたりして叱る
甘噛みされた時、口の中に手を押し込んだり、口を押さえたりして叱るのは絶対NGです。
犬が恐怖心を覚え、甘噛みから本気噛みになってしまう可能性があります。
また、飼い主と犬との信頼関係が崩れ、より甘噛みが悪化することもあるでしょう。
ケージに閉じ込める
甘噛みを悪いことだと自覚してほしくて、ケージに閉じ込めてしまう飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、ケージは本来、休みたいときや安心したいときに入るためのセーフスペースです。
そのため、しつけの目的で入れてしまうと、犬にとって安心できない場所になってしまいます。
ケージが嫌いになると、いざという時に入らなくなることもあるでしょう。
甘噛みへの罰としてケージを利用しないよう気をつけてください。
きちんとしつければ甘噛みは直る!
じゃれついたり遊んだりするときに、甘噛みをしてくる犬は多いです。
しかし、甘噛みに対して飼い主さんが間違った対応をしてしまうと、噛み癖がついたり、犬との信頼関係が崩れたりする恐れがあります。
また、力加減を間違えて、人を怪我させてしまう危険性もあります。
愛犬が頻繁に甘噛みをするのなら、しっかりとしつけるようにしましょう。
大きなリアクションをとらず、毅然とした態度でいれば、遊びとしての甘噛みはなくなってくるはずです。