飼い主なら、愛犬にいつまでも元気でいて欲しいと願うものですよね。そのためには、愛犬のエネルギー源ともなる食べ物は重要です。
基本的に犬の主食となるのはドッグフードですが、時には人間が食べるものをあげたくなることもあるでしょう。
たとえば魚介類は猫が食べるイメージが強いものですが、犬に与えても良いのでしょうか?
今回は、魚介類の中でも栄養が豊富な「まぐろ」を犬に与える際の注意点などを紹介します。
犬にまぐろは与えて大丈夫?
犬にまぐろを与えるとなると、栄養が豊富な食品ではあるのですが、そのまま犬に与えていいものかどうか、悩んでしまうこともあるでしょう。
まぐろは与えても大丈夫!ただし注意する点も
まぐろは基本的に、犬に与えてもさほど問題はありません。犬が中毒を引き起こす「にんにく」「ネギ類」「チョコレート」などは与えることはおすすめできませんが、まぐろは特に犬の体に毒性がないので、適量であれば与えても大丈夫です。
まぐろに含まれるメチオニンやトリプトファン、セレンなどの成分は犬の肉体や精神に良い影響を与えてくれ、健やかに保つことができるものでもあります。
ただ、それはあくまで正しく給餌した場合であり、与え方によっては負担となってしまうこともあるので注意が必要です。
与えすぎはよくありません!
まぐろは栄養が豊富な食べ物ではありますが、海の食物連鎖の上の方にいる大型魚なので体内に水銀を含んでいる可能性が高いのです。水銀は犬の体内に蓄積すると健康的に害を及ぼす可能性もあるので気をつけなければなりません。
また、犬の体は魚介類の消化がしにくいため、たくさん与えてしまうと消化不良を起こす可能性もあります。
まぐろは個体差もありますが、1日10g程度であれば与えてもよいとされているので、しっかり分量を量って少量ずつ与えるようにしてください。
生はNG?どのようにして与えればいいの?
犬にまぐろを与える際には、分量だけではなくその他の与え方にも気をつけなければなりません。
誤った与え方をしてしまうと犬が体調を崩してしまったり、違和感が続くようになってしまう可能性があるからです。
念のため、火を通した方がいいでしょう
まぐろを与える際には、新鮮なものであれば生の状態で与えてもいいのですが、できれば加熱したものを与えた方がいいでしょう。生の魚類は鮮度が悪いと細菌などが繁殖してしまう可能性がありますから、食虫毒を起こす可能性が高くなります。
また、寄生虫がいる場合にはそれがそのまま犬の体内に入って寄生してしまうことがあるので要注意です。多くの寄生虫や細菌は加熱することで死滅するので、茹でる一手間を惜しまないようにしましょう。
また、加熱した方が犬の体で消化しやすくなり、負担をかけにくくなります。
小骨は取り除いてあげましょう
魚介類には小骨がある可能性があるので、のどにひっかかって不快な思いをしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
まぐろにも小骨がついている可能性があるので、あらかじめ骨抜き済みのものを買うか、家できちんと骨を取り除いてから愛犬に与えるようにしましょう。小骨が残っているとのどに刺さって傷つけてしまい、そこから雑菌が繁殖してしまうこともあるので要注意です。
また、骨が少し大きいとのどに詰まらせてしまうこともあるので気をつけなければなりません。不安な場合には細かく切るなどして、骨の見落としがなくなるような工夫をするか、加熱して身をほぐすようにするといいでしょう。そうすることで、ある程度の骨は除去できます。
食べやすく消化しやすいよう細く切り分けてあげましょう
小型犬は特にそうですが、人間よりも口や喉のサイズが小さいので、大きい切り身は食べにくくなってしまいます。
もちろん犬にも歯がついていますから噛むこともできますが、ある程度の大きさになったら丸のみしてしまうこともあるので、注意が必要です。よく噛まずに食べ物が大きい状態で飲み込んでしまうと、胃腸に負担がかかってしまうので消化に時間がかかってしまいます。そうなると胃腸の機能が低下してしまう可能性もあるので気をつけましょう。
まぐろに限ったことではありませんが、犬に食べ物を与える際にはできるだけ細かく切って犬が食べやすい状態にして出してあげることが大切です。普段与えているドッグフードの粒の大きさを参考にするといいでしょう。
まぐろを与えるメリット
まぐろは既述の通り栄養が豊富なので、犬にとってもよい作用をもたらすことが期待できます。
タンパク質を多く含みます
まぐろには、100gあたり26gものタンパク質が含まれており、これは数ある生鮮食品の中でもトップクラスです。タンパク質は筋肉や血液を作るために欠かせないものですから、積極的に摂取することで健康的な体を作ることができます。まぐろに含まれるタンパク質としては、必須アミノ酸でもあるメチオニンや必須微量元素であるセレンなどがあります。
メチオニンは毛の主成分であるケラチンに変化するので、適量を摂取することでツヤのある美しい被毛を育成することができます。また、メチオニンは尿路結石の治療にも用いられることもある有用な成分です。
一方のセレンは、ビタミンEと一緒に抗酸化成分として働くため、体内の細胞を健康的に保つのに欠かせません。また、セレンの濃度が高いほどガンになる可能性が下がるとも言われています。
DHAやEPAも多く含みます
まぐろにはタンパク質だけでなく、DHAやEPAといった栄養素も豊富に含まれています。DHAは血中の善玉コレステロールを増やす働きがあり、中性脂肪や悪玉コレステロールを減少させて腸内環境を整える作用があります。
また、脳の神経機能を高めて脳の老化を穏やかにすることができるので、人間にも良い成分として注目されている成分です。
またEPAは血液中の中性脂肪を減らすので肥満の予防に役立ちますし、血小板の凝固を防いで血栓を溶かしてくれるので心筋梗塞などを防ぐこともできます。血流を促す作用もあるので脳血栓を防ぐ働きもあります。他にも高血圧や高脂血症のケア、脳梗塞の予防にも役立つ成分です。
もちろん人だけではなく犬にもこれらの良い作用があり、摂取することで健康的な状態を維持しやすくなります。
まぐろを与えるデメリット
まぐろは栄養豊富で犬にとっても良い食品と言えますが、メリットと同じようにデメリットも存在します。そのため、与える際には以下の点もしっかり頭に入れた上で与えるようにしましょう。
アレルギーによる下痢や嘔吐の可能性
犬にも人間と同じように、アレルギーを持っている子がいるので、まぐろに反応して嘔吐や下痢などの症状が出てしまう可能性もあります。初めて与える際には量を少なめにし、犬の様子をチェックしてください。
まぐろを食べて体調を崩した場合は体質に合っていないと言えるので、その後は与えないようにしましょう。
食中毒の可能性
まぐろには、ヒスチジンと呼ばれる成分が多く含まれていますが、これはアレルギーを起こす可能性が高いと言われているので注意が必要です。
ヒスチジンにヒスタミン産生菌というものがくっついて増えるとヒスタミンという成分が生成されます。ヒスタミンは犬の体に悪影響を及ぼすもので、熱にも強いので加熱しても死ぬことはありません。そのため、与えるまぐろはなるべく新鮮なものを用意することが大切です。
まぐろを与えるときは飼い主のコントロールが必要不可欠
飼い犬は基本的に飼い主から与えられた食品を食べますから、飼い主がきちんと愛犬の食事のコントロールをすることが大切です。まぐろを与える際にも品質などに十分注意して食べさせるようにしましょう。
普段与えているドッグフードで基本的にはOKです
まぐろのメリットやデメリットについて紹介してきましたが、まぐろに栄養が豊富だからといってわざわざまぐろを買ってきて愛犬に与える必要はありません。基本的には「総合栄養食」と呼ばれるドッグフードを与えれば必要な栄養は補給できるので、まぐろを与えたいけれど不安だという場合には無理に与えなくても問題ないのです。
わんちゃん専用のまぐろフードがオススメです
生のまぐろや、スーパー等で買ってきたものを加熱して与えるという人も多いでしょうが、自分で調理するのは面倒だと感じることもあるでしょう。そのような時には、犬専用のまぐろフードを購入して与えてあげましょう。
犬用まぐろフードはドッグフードメーカーからたくさん販売されているので購入もしやすいですし、ペットショップやネット通販などで簡単に手に入れることができます。ドライタイプやセミモイストタイプなど様々な種類があるので、愛犬が好きそうなものを選びましょう。
もしわんちゃんに異変があった場合はすぐに動物病院へ
まぐろを与えた後に愛犬の様子がおかしくなったり、明らかに元気がなくなったりした場合には、早めに医師に相談しましょう。便の状態が悪く下痢などを起こしてしまう場合にもまぐろが体に合っていない可能性があるので、給餌を止めてすぐに医師に連絡してください。
まぐろを介して寄生虫やウイルスに感染した場合には放っておくと手遅れになってしまうこともあるので、軽視せずにすぐに行動しましょう。
まぐろを使ったわんちゃんレシピをご紹介
まぐろをそのままあげるのも茹でてあげるのもいいのですが、どうせなら他の食材と組み合わせて愛犬用の手作りご飯を作ってあげたいということもあるでしょう。ということでここからは、オススメの犬用まぐろレシピを紹介します。
マグロと野菜をたっぷり使ったわんちゃんミネストローネ
材料 (7キロ成犬2食)
マグロ100g前後
人参 1センチカット
小松菜 1束
キャベツ大 1枚
じゃがいも 1個
プチトマト(トマトでも可) 2~3個
水 300cc
作り方
まず、野菜やまぐろを食べやす大きさに切り、ジャガイモはアク抜きをします。
その後、鍋に水とまぐろを入れて火を通し、一旦取り出したら野菜を入れて煮てください。
キャベツ、ジャガイモ、トマト、小松菜の順に入れ、最後にまぐろを加えて一煮立ちさせれば完成です。
まぐろだけでなくニンジンや小松菜などの緑黄色野菜も入っているので、健康的です。
水分があるので夏場の食欲がない子に作ってあげるとしっかり栄養補給ができます。
しっかり煮こんで食材を柔らかくすることが大切です。
いつものドッグフードにマグロをプラスのアレンジテクニック
材料 (1ワン分)
ドッグフード(カリカリ)適量
鮪(刺し身用)適量
レタス 適量
きゅうり 適量
作り方
普段与えているドッグフードをお皿に並べ、それぞれ茹でたレタスとまぐろを加えます。
そこに一口大に切ったきゅうりを加えて器にきれいに盛り付けれて出来上がりです。
いつも食べているドッグフードを入れるので、食べやすく愛犬も喜ぶでしょう。
レタスやきゅうりで水分補給ができれば夏場の脱水症状も予防できるので、暑さに弱いわんちゃんにはぜひ与えてあげましょう。
まとめ
今回はまぐろを愛犬に与えてもいいのかということについて紹介してきました。
まぐろは犬にとって良い栄養素が含まれているものではありますが、給餌量やアレルギーには配慮しなければなりません。
正しく与えることができれば愛犬の健やかな成長に一役買ってくれるものでもあります。