愛犬の食糞は、飼い主からすると困ってしまう行動の一つですよね。
食糞は決して異常な行動ではありませんが、頻繁に行うと「うちの犬は大丈夫かな?」と不安になってしまうこともあるでしょう。
食糞は原因によって対処法が異なるため、原因を突き止めたうえで適切な対処が必要です。
この記事では、犬が食糞する理由と対処法を解説するので、ぜひ参考にしてください。
犬が食糞する理由
食糞とは、文字通り排泄した便を食べてしまう行為ですが、犬にとっては正常な行動です。
しかし、飼い主さんにとってはなかなか理解できない行為ですよね。
まずは犬が食糞をしてしまう理由を解説するので、愛犬の気持ちを理解してあげましょう。
食事が足りていない
犬は食事が足りていないと、食糞することがあります。
カロリー不足と空腹感から、ウンチを食べて足りない栄養素を補おうとしているのです。
フードのパッケージに記載されている目安の食事量が、「成犬時体重」なのか「現在体重」なのかで適量は異なります。
また、子犬のうちはフードをふやかして与えるように説明を受けることもありますよね。
しかし、ドライの時点で量るべき重量をふやかしてから量ってしまうと、カロリー不足になってしまうので、きちんと確認することが大切です。
消化が不十分
消化が不十分で食糞をしてしまうケースもあります。
とくに子犬は消化器が未発達で、未消化の状態で便が出ることが珍しくありません。
成犬に比べて子犬の便はあまり便らしい臭いがしないため、出てきた便を食べ物と勘違いして食べてしまうのです。
病気
膵外分泌不全や寄生虫感染などの病気が原因で、空腹が増して食糞をすることもあります。
膵外分泌不全とは、膵臓の機能が低下して消化酵素が不足し、食べ物を吸収できなくなる病気のことです。
栄養を十分に摂取できないため、空腹から未消化の便を食べてしまいます。
また、寄生虫に感染している場合も、犬の消化器官内で栄養を奪うため、栄養不足から食糞をしてしまいます。
しっかりと食事をしているのに体重が増えなかったり、便に異常があったりしたときは、動物病院で診察を受けましょう。
愛情不足
愛情不足で溜まったストレスを発散するために、食糞をすることがあります。
「飼い主にかまってほしい」「寂しい」という思いがある場合も考えられるため、愛犬との接し方を見直すことが大切です。
飼い主の気を引こうとしている
飼い主の気を引くために、いたずらとして食糞を繰り返している可能性もあります。
愛犬がウンチを食べているのを見て、過剰に反応してしまう飼い主もいるでしょう。
犬はその反応を見て、「ウンチを食べるとかまってくれる」と勘違いしているのです。
暇つぶし
お留守番をしているときなどに、長時間ケージの中で過ごすのは犬にとって退屈な時間です。
暇つぶしとして、自分の便を食べたり、おもちゃ代わりに遊んだりしている場合もあります。
母性行動
妊娠中や授乳中の母犬が食糞をするのは、母性行動の一つだと考えられます。
子犬の排泄物を食べて、寝床を清潔に保とうとしているのです。
また、この母犬の行動を真似して子犬が食糞をする場合もあります。
犬が食糞したときの対処法
犬の食糞は異常な行動ではありませんし、成長するにつれて落ち着く場合がほとんどです。
しかし、栄養不足や病気、ストレスなどが原因の場合は改善を試みましょう。
ここでは、犬が食糞したときの対処法を解説するので、ぜひ参考にしてください。
食事の回数や質を見直す
愛犬が成長期で食欲が旺盛だったり、食後に物足りなさそうにしていたりする場合は、食事の回数や質を見直しましょう。
フードに含まれる栄養素や酵素の欠乏でも、食糞行動は見られます。
ただし、わんちゃんは満腹中枢が鈍いので餌を与えすぎてしまうと肥満になってしまうため注意が必要です。
年齢に合ったバランスの良いフードや栄養補助食品などを利用したり、かかりつけの獣医に相談したりしてみてください。
病院で診察してもらう
膵臓の機能が低下していたり、寄生虫に感染したりすると、栄養不足から食糞することがあります。
健康状態が気になるときは、動物病院で診察してもらうようにしましょう。
排便したらすぐに片付ける
健康状態に問題がないのにもかかわらず、食糞が習慣化しているケースもあるでしょう。
そんなときは、排便したらすぐに片付けて、食糞できない状況を作ってください。
規則正しく食事を与えていれば、排泄の時間もある程度予測できます。
トイレの時間になったら、人が見ているところで排泄するように誘導して、すぐにウンチを片付けましょう。
留守番中に食糞してしまうのであれば、その時間帯に排泄しないように食事の時間や散歩の時間を調整してみてください。
おもちゃを与える
家の中で過ごすときに退屈させないために、おもちゃを与えるのも効果的です。
犬がお留守番しているときは、夢中で遊べるおもちゃを与えましょう。
ただし、犬に与えるおもちゃは、飲み込んだり食べたりしない安全なものを選んでください。
ストレスを発散させる
犬はストレスを感じると、食糞をしてしまうことがあります。
定期的に運動させたり触れ合う時間を増やしたりして、ストレスを発散させてあげましょう。
とくに子犬のうちは活発に運動するので、散歩の時間を増やしてみるのもおすすめです。
トイレ環境を見直す
ウンチが目の前にある状況が続くと、綺麗好きな犬は食糞して片付けることがあります。
この場合、排泄物が気にならないようにトイレ環境を見直せば、食糞が改善できるかもしれません。
トイレの場所と遊ぶスペースを区別して、愛犬が普段過ごす場所からウンチが見えないようにしてみましょう。
慌てないようにする
愛犬がウンチを食べているところを見ると、「ダメ!」「やめなさい!」など声をあげたくなりますよね。
しかし、それでは犬は「飼い主が喜んでいる」と勘違いしてしまうため、慌てないようにすることが大切です。
食糞してもリアクションをせずに、黙って片付けることで食糞に対する関心は薄まります。
また、食糞を叱ってしまうと、犬は「ウンチをするのは悪いこと」と覚えてしまい、隠れて排泄したり、ウンチを隠すために食糞をしたりする可能性があります。
愛犬が食糞しても慌てず、叱らず、冷静に対応するようにしましょう。
ウンチは不味いことを教える
栄養管理をしても食糞してしまう場合は、拾い食い防止スプレーを利用して、ウンチは不味いことを教えましょう。
拾い食い防止スプレーとは、天然材料から苦味成分を抽出したスプレーです。
ウンチにかけてあえて食べさせることで、犬が学習し、食糞が改善できるかもしれませんよ。
犬が食糞しても慌ててはいけない
犬の食糞は人間目線では、あまり気持ちの良い行動ではないですよね。
しかし、成長期の犬の食糞は珍しいことではありませんし、年齢とともに落ち着く場合がほとんどです。
やめさせたいからといって慌てて行動すると、犬は「喜んでくれている」と勘違いして、むしろ食糞が習慣化する可能性があります。
食事や健康面に気を配りながら、食糞が習慣化しないように見守ってあげるようにしてください。
【まとめ】
- 犬が食糞する理由には「食事が足りていない」「消化が不十分」「愛情不足」などがある
- 犬が食糞したときの対処法には「食事の回数や質を見直す」「排便したらすぐに片付ける」「ストレスを発散させる」などがある
- 犬の食糞は年齢とともに落ち着く場合がほとんど