魚肉ソーセージは、手軽にタンパク質やカルシウムなどの栄養を補給できる食品です。
子供のおやつやお酒のおつまみとして、ご家庭に常備されていることも多いのではないでしょうか。
私たち人間にとっては便利な食品ですが、「愛犬に与えても大丈夫かな?」と気になる飼い主さんもいるでしょう。
この記事では、犬に魚肉ソーセージを与えて大丈夫なのか、与える場合のデメリットや注意点について詳しく紹介します。
犬が魚肉ソーセージを食べても大丈夫!ただしデメリットには注意
結論からお伝えすると、犬が魚肉ソーセージを食べても基本的には問題ありません。
しかし、人間用と犬用の食べ物では、配合されている栄養や成分が異なります。
魚肉ソーセージを与える際にはいくつかデメリットがあるので、しっかりと確認しておきましょう。
犬に魚肉ソーセージを与えるデメリット
人間用の魚肉ソーセージを与えると、どのような悪影響があるのでしょうか。
ここでは、犬に魚肉ソーセージを与えるデメリットを紹介します。
塩分が多く含まれている
塩分は犬の体にとって必要な栄養素ですが、摂りすぎると心臓や腎臓に負担をかけることがあります。
体重5kgの犬(避妊去勢済み)の場合、1日に必要な塩分摂取量の目安は0.18g*です。
* 参照:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」
一方、一般的な魚肉ソーセージには、100g当たり2.1gの塩分*が含まれています。
* 参照:日本食品標準成分表・八訂・増補2023年
もし、愛犬に1本(70g)の魚肉ソーセージをすべて与えてしまうと、約1.47gもの塩分を一度に摂取することになります。
これは、1日に必要な量の8倍以上になるので、犬の体に大きな負担をかけてしまうでしょう。
とくに、心臓・腎臓に疾患がある犬やシニア犬は、塩分の過剰摂取が健康リスクを高めるので注意が必要です。
オニオンエキスなどの犬に有害な物質が含まれていることがある
魚肉ソーセージの中には、犬にとって有害なオニオンエキスや香辛料などが含まれている製品もあるので注意しましょう。
オニオンエキスには「有機チオ硫酸化合物」という成分が含まれており、犬が摂取すると赤血球を破壊して貧血や中毒症状を引き起こす恐れがあります。
また、犬は香辛料に対する耐性が低いので、摂取すると肝臓に負担をかけるリスクがあります。
与える前に必ず原材料表示を確認し、これらの成分が含まれていない製品を選ぶことが大切です。
ビニールや金属を食べてしまうリスクがある
犬は嗅覚が優れているので、包装された魚肉ソーセージを勝手にそのまま食べてしまう可能性があります。
また、包装フィルムを途中まで剥いた状態で与えると、勢いよく食べた際に一緒に飲み込んでしまうことも考えられます。
もし誤飲してしまうと、気道に詰まって窒息する危険があるので注意が必要です。
さらに、腸閉塞や消化器官の損傷を引き起こす恐れもあるので、保管方法や与え方には細心の注意を払いましょう。
添加物が含まれている可能性がある
多くの加工食品と同じように、魚肉ソーセージには着色料、保存料、香料などの添加物が使用されていることがあります。
犬用のドッグフードやおやつにも添加物が含まれている製品がありますが、その種類や量は法律で厳しく規制されています。
一方、人間用の加工食品は、犬の健康を考慮して作られているものではありません。
添加物の過剰摂取や長期摂取は、犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクを避けるためにも、無添加や添加物の少ない魚肉ソーセージを選ぶ、もしくは犬用の魚肉ソーセージを選ぶ、といったことが大切になるでしょう。
犬に魚肉ソーセージを与えるときの注意点
ここでは、与える量や与え方、選び方など、犬に魚肉ソーセージを与えるときの注意点を紹介します。
愛犬の健康を守るために、しっかり確認しておきましょう。
与えすぎないようにする
犬に与えるおやつのカロリーは、1日の総摂取カロリーの10%以内が目安です。
たとえば、体重5kgの犬(避妊・去勢済み)が1日に必要なカロリーは374kcalとされています。
そのため、おやつとして与えられるのは37.4kcalまでです。
一般的な魚肉ソーセージ1本(70g)のカロリーは110.6kcal。
つまり、犬が欲しがるままに、丸々1本与えてしまうとカロリーオーバーになり、肥満や体調不良を招く恐れがあるのです。
塩分の過剰摂取を防ぐためにも、与える際は量を調整してごく少量にとどめましょう。
ビニールや金属を誤飲させないように気をつける
犬が誤飲してしまわないように、魚肉ソーセージを与える際は包装を取り除きましょう。
また、勢いよく食べて丸呑みしてしまう恐れがあるので、小さくカットして与えることも大切です。
そして、テーブルの上に放置せず、買ってきたらすぐに犬には届かない場所に保管しましょう。
万が一、ビニールや金属の留め具を誤って食べてしまった場合は、すぐに動物病院に相談してください。
アレルギーを引き起こすことがある
魚肉ソーセージには、魚のすり身、添加物、香辛料のほか、結着剤として小麦たん白や大豆たん白が使用されていることがあります。
愛犬がこれらの成分にアレルギーを持っている場合、皮膚のかゆみや赤み、嘔吐、下痢などの症状が現れる可能性があります。
製品によって使われている材料は異なるので、与える前に必ず原材料表示をよく確認しましょう。
もし、食べた後に気になる症状が現れた場合は、すぐに動物病院に相談してください。
シニア犬や持病のある犬には与えない
臓器の機能が低下しているシニア犬や持病のある犬の場合、魚肉ソーセージに含まれる塩分が体に大きな負担をかけてしまう可能性があります。
また、タンパク質の摂りすぎも肝臓や腎臓など臓器への負担が大きいので、シニア犬や持病のある犬には与えない方が安全でしょう。
どうしても与えたい場合は、かかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
犬は魚肉ソーセージを食べても大丈夫だがデメリットが多い
犬に魚肉ソーセージを与えても、基本的には問題ありません。
しかし、塩分やカロリーの過剰摂取、添加物、誤飲などのデメリットがあるので、与え方や量には十分注意が必要です。
とくに、犬に有害な物質やアレルギー物質が含まれている可能性もあるので、必ず原材料を確認しましょう。
これらのリスクを減らすためには、犬用の魚肉ソーセージを選ぶのも良い方法です。
愛犬の健康を第一に考えた上で、魚肉ソーセージを食生活に取り入れるかどうか十分に検討してみてください。