みなさんは愛犬の適切な給与量を理解してドッグフードを与えていますか?
私たち人間同様、犬にとっても食事は重要です。
飼い犬に食事を与えることはもちろん、それぞれのライフステージに合わせた食事や栄養管理を行うことも飼い主の務めです。
今回はドッグフードの適切な給与量と給与回数について記事をまとめました。愛犬に適切な食事を与えているか確かめるための参考にしてみてください。
犬の食事の正しい量や回数とは
あなたは犬の食事についてしっかりと理解していますか?愛犬への給餌量を間違っていませんか?
ここでは愛犬の健康管理のために、犬の成長や体調に合わせた食事の量と回数を説明します。
【サイズ別】犬の食事の正しい量
ドッグフードの給与量は体重・年齢・避妊去勢の有無・妊娠中といった犬の状態や生活場所の温度に左右されます。
ここでは健康な避妊去勢済み成犬の場合の給与量を小型犬・中型犬・大型犬に分けてご紹介します。
なお、この記事で紹介している給与量はあくまでも一例です。ドッグフードの種類によって、さらに前述のような犬の状態によって量の調整が必要になります。お手持ちのドライフードのパッケージに記載されている月齢と体重を参考に適切な量を与えてください。
小型犬
最近では小型犬専用フードが市販されています。
各犬種のライフステージに合わせたフードも販売されているので愛犬にぴったりなフード選びが可能です。
小型犬の中でも特に小さい超小型犬も存在します。
給与量も大きく変わるのでパッケージをよく読んで適切なフード量を与えましょう。
・成犬(避妊去勢済み/100gあたり340kcalの餌の場合)
体重 | 給与量 |
1〜10kg | 33〜185g |
※体重によって給与量は異なる
中型犬
中型犬用のフードも多数販売されています。
同じ中型犬でも小さめの子も大きめの子もいて体型の差があるので、フード選びに悩んだら獣医師に相談すると良いでしょう。
・成犬(避妊去勢済み/100gあたり340kcalの餌の場合)
体重 | 給与量 |
10〜20kg | 185〜312g |
※体重によって給与量は異なる
大型犬
大型犬は急激な成長や体重増加が骨格の成長に悪影響を及ぼすことがあるので特に注意が必要です。そのため、大型犬用の給与量がしっかりと記載されているフードを選びましょう。
・成犬(避妊去勢済み/100gあたり340kcalの餌の場合)
体重 | 給与量 |
20〜50kg | 312〜619g |
※体重によって給与量は異なる
【年齢別】犬の食事の正しい回数
年齢によっても適切な食事の回数は変わってきます。
子犬、成犬、老犬のライフステージ順にご紹介するので、参考にしてみてください。
子犬
子犬には1日2〜5回に分けて餌を与えるのがベストです。
なぜなら、子犬は消化器官が未発達のため、一度に大量摂取すると下痢や嘔吐を引き起こす可能性があるからです。また、消化器官が未発達の子犬期には、消化がしやすく、喉に詰まりづらいことから、フードをふやかして与えた方が良いとされています。ただし、ふやかしたフードは腐りやすいので、長時間経って冷え固まったものは与えないようにしましょう。
成犬
成長期を過ぎたら2〜3回に分けてフードを与えてください。
成長期の栄養管理をおろそかにすると健康に悪影響を与えるだけでなく、加齢を早める原因にもなります。
さらに、避妊去勢手術後は必要なエネルギー量が通常時よりも減るので、同じフードを同じ量与えると肥満の原因になる可能性があります。避妊去勢後のアフターケアフードも多数販売されていますが、愛犬の餌選びに悩んだらおすすめドッグフードを獣医師に確認すると良いでしょう。
老犬
シニア期のフードを与える回数は成長期と同様です。
ただし、愛犬の健康状態によってフード給与量の調整は必要です。食が細い場合は1回に与える量を少なめにし、回数を増やしましょう。
シニアステージなら愛犬の状態に応じて2〜5回と幅をもたせて分け与えても良いでしょう。
フードの種類に関しては、成犬用のフードを与えると必要摂取カロリーを上回ってしまいます。大型犬は7歳・中型犬は8歳・小型犬は10歳頃からがシニア犬とされています。この年齢を目安に日頃の愛犬の体調や様子も考慮して、シニア用のフードに切り替えましょう。
ただし、子犬から老犬までオールステージ対応のフードであれば切り替えの必要はないでしょう。
犬の食事は時間を決めるべき?
犬の食事の時間はしっかりと決めた方がいいと思っている人は多いのではないでしょうか?
私たち人間は決まった時間の食事が良いとされていますが、犬にとってはどうなのかまとめました。
等間隔の時間帯であげるのが理想
犬の場合、胃の中が空っぽになるまでに4〜6時間かかります。
朝や夕方のご飯は、散歩前に与えると胃捻転を引き起こす可能性があることを考慮して散歩後に与えるのがベストです。
また、消化に必要な4時間未満で次のご飯を与えると、消化が不十分なまま栄養を取り入れてしまい、体に負担がかかるので避けましょう。
等間隔の時間帯で同じ量のペットフードを与えることは犬の健康維持のために重要です。
年齢によって与える回数も違うので理解しておきましょう。
- 子犬の場合は朝・昼・夕・晩の4回(胃腸に負担がかかりすぎない程度に)
- 成犬の場合は朝・夕の2回でOK
- 老犬の場合は朝・(昼)・夕・(晩)(必要に応じて( )の時間帯に給餌する)
仕事などで餌やりの時間帯が不規則になってしまう場合は自動給餌器の利用をおすすめします。
きっちりと決めなくても良い
朝ご飯は9時、というように時間をきちんと決めなければいけないと思っていませんか?
朝・昼・夕・晩などある程度の時間帯は決めたほうがいいですが、時間まできっちりと決める必要はありません。
「何時にご飯!」と決めると、ご飯の時間に要求吠えをするようになるなど、与える時間がずれるだけで犬にとってストレスになる場合があります。
そのため、時間まできっちり決めてしまうことはあまりおすすめしません。
ただし、あまりにも時間が不規則すぎると肥満になる危険性もあるので、時間帯は守りましょう。
犬の成長にともなう食事の減らし方とダイエット方法
成長するとともに食事の量も変えていかなければなりません。
成長が落ち着いたら食事の量を減らす必要があり、また、子犬用のフードは栄養価が高いため、成犬用に切り替えなければなりません。そのまま与え続けると肥満の原因になってしまいます。
肥満になった場合は人間と同じようにダイエットが必要です。ダイエット方法もあわせてご紹介するので、参考にしてみてください。
成長にともなう食事の減らし方
犬は生後4カ月から5カ月になると成犬期の体重の約半分の大きさまで成長します。
急速に成長する子犬期は、体の骨格や内臓機能、免疫機能など将来の体を支えるさまざまな機能が成長する大切な時期です。この時期を過ぎたら給与量を減らさなければなりません。
小型犬は5ヶ月頃が目安
犬は満腹中枢が鈍いので、ドッグフードを食べた後でも美味しそうなにおいの食べ物があれば、また完食してしまうようなことも多々あります。
しかし、小型犬の場合、生後5カ月を過ぎるとフードを完食しなくなったり、いつもの量を残したりするケースがあります。
これは成長期を過ぎたサインで、ドライフードが嫌いになったわけではありません。
フードを完食しない日が増えてきたら給餌量を少しずつ減らしましょう。
しかし、この頃に下痢や嘔吐をしたり、おやつすら口にしなかったりする場合は、体調を崩している可能性があります。症状が続く場合は獣医師に相談することをおすすめします。
そして、1年が過ぎて成犬期に入ったら、成犬用のドッグフードに切り替えましょう。
ダイエット方法
かわいいからとご飯の量を決めずに欲しがるだけ与えるともちろん犬も肥満になってしまいます。
また、運動量の少なさも肥満の原因のひとつです。
さらに、主食代わりにおやつを与えすぎると、必要な栄養素が欠けてしまうほか筋肉量にも影響を及ぼします。
まずは愛犬の状態を理解し、ダイエットが必要であれば適切なダイエット方法を実行していきましょう。
ボディコンディションスコア(BCS)を確認しよう
犬が肥満かどうかを知る目安としてボディ・コンディション・スコアがあります。
犬の肋骨と腰まわりを触った感じと、真上や側面からの見た目で肥満度をチェックするというものです。
側面から見てお腹が出ていたり、真上から見ると腰にくびれがなかったりしたら肥満といえます。
きちんとカロリー計算をしよう
しっかりとカロリー計算をしてフードを与えることも大切です。
1日の給与量が少なくてもカロリーがオーバーしていては意味がありません。
「1日に必要なエネルギー量(DER)」は「安静時に必要なエネルギー量(RER)」に各ステージにおける活動係数をかけることで計算できます。
くわしい計算方法は下記ページよりご覧ください。
今いちわからない場合は動物病院で調べてもらえるので一度相談してみましょう。
食事回数を増やして量は少なめに
ダイエットには運動はもちろん、食事制限も重要です。
犬は目の前にご飯があればあるだけ食べてしまうので、飼い主がドッグフード給与量をコントロールすることが大切です。
まずは1日2回の食事を1日3回に変更し、1回の量を減らすことから始めましょう。
おやつも工夫しよう
おやつをついつい与えすぎてはいませんか?
犬はおやつの量や大きさではなく、回数が多いことに喜びを感じるので、細かく分割し複数回に分けて与えましょう。そうすれば犬の喜びも倍増します。
病気中の食事で気をつけるべき点
愛犬が病気の時には通常のドッグフード(総合栄養食)ではなく、「療法食」を与えることを考えなければなりません。
療法食はペットショップでも販売していますが、病気の兆候があったら、獣医師の診察を受けて、適切な療法食を確認しましょう。
糖尿病の場合
犬の糖尿病にはヒトのI型に似た症状が現れます。
主にインスリン不足で、治療にはインスリンの投与が必要です。
糖尿病の療法食は、食後の急激な血糖値上昇を防げなければなりません。そのため、消化スピードが異なる炭水化物を組み合わせたり、吸収速度が遅くなるよう食物繊維を増やしたりする方法をとります。
膵炎の場合
犬の膵炎には急性膵炎と慢性膵炎があります。
治療の際は、投薬や点滴が用いられます。また、急性膵炎、慢性膵炎ともに予後に食事管理が必要です。
膵炎の療法食は、低脂肪、低糖質、高消化性タンパク質、犬に合った食物繊維といった4つのポイントをおさえていることが重要です。
胃腸炎の場合
犬の胃腸炎には、下痢・嘔吐・血便・食欲不振・元気の喪失などの症状があります。
治療には、投薬・点滴とあわせて食事療法が必要です。
胃腸炎の療法食では、良質な脂肪と適切なカロリー量、高消化性、胃腸炎に合った食物繊維、ミネラルバランスが重要になります。
愛犬の状態に合わせて食事の量や回数を調整しよう!
愛犬の食事管理は飼い主の役目です。
食事のコントロールで愛犬の肥満防止や病気予防ができるのもまた飼い主です。
愛犬と長く一緒にいられるように、子犬期から食事管理に配慮しましょう。
まとめ
- 小型犬・中型犬・大型犬それぞれの体型に合った適切なフードを与える
- 子犬・成犬・老犬に合わせたフードを選び、回数を分けて与える
- 食事の時間はきっかり決めなくても大丈夫。ただ時間帯はずらさないようにする
- 小型犬は5カ月を過ぎると成長期が落ち着くためフード給与量の調整が必要
- 病気時のフードは与える種類に要注意