りんごは栄養がたっぷりの果物で、私たちが食べるとその優れた健康効果が期待できます。そして、与える量と与え方に注意すれば犬が食べても大丈夫な果物です。では、リンゴジュースはどうなのでしょうか。この記事ではリンゴジュースを犬に与えてもいいのかを解説していきます。リンゴジュースを与えることで得られるメリットや与える際の注意点など、役立つ情報が満載なのでぜひチェックしてくださいね。
犬にリンゴジュースを飲ませてもいいの?
りんごジュースには「100%ジュース」と「濃縮還元」の2種類がある
リンゴジュースには、絞ったリンゴの果汁をそのまま低温で冷凍保存した、果汁100%の「ストレートタイプ」と、「濃縮還元」があります。
濃縮還元タイプのリンゴジュースはリンゴの果汁を絞って加熱して水分を飛ばしたものを冷凍保存します。そして、そこに砂糖や保存料などを加えています。
犬にあげてもいいのは100%のリンゴジュース
犬に飲ませてもいいのは100%果汁のリンゴジュースです。
濃縮還元は食品添加物である甘味料などを加えているので、犬にあげるのには適していない飲み物といえます。また、犬に与えるリンゴジュースの量は1日当たり約150ccです。
他にも、美容効果や健康に良いと人気のあるリンゴ酢がありますが、こちらも犬に与えても問題ありません。ただし、原液でそのまま与えるのではなく水で薄めてからあげるようにしてください。
リンゴジュースが与える犬への健康効果
食物繊維で腸内環境の改善
リンゴに含まれる食物繊維は適量を摂取すれば腸内環境改善が期待できます。リンゴにはペクチンという食物繊維が含まれていますが、この働きは腸内の悪玉菌の増殖を抑えてくれるものです。
そして、腸内環境がよくなれば腸内の老廃物を体外へ排出する働きが活発になるので免疫力アップにもなります。免疫力が上がれば風邪などの予防にもなるので、犬の健康維持に繋がります。
また、アップルペクチンに含まれるオリゴ糖には、腸内の善玉菌を増やす作用があるため、おなかの調子を整えたい場合にも有効です。
ポリフェノールの抗酸化作用で老化予防
リンゴにはポリフェノールが豊富に含まれていますが、このポリフェノールは犬の身体に良いさまざまな健康作用を持っています。
そのひとつは、強い抗酸化作用による血管のケアです。血液中に悪玉コレステロールが増えると老廃物が血管に付着し、血管を狭くして動脈硬化を起こします。ポリフェノールは強い抗酸化作用によって、血液中の悪玉菌増殖を抑えることで血液をサラサラにして動脈硬化を予防します。
また、細胞の酸化を防ぐことで老化を予防することができるのもポリフェノールの働きのひとつです。
リンゴ酸やクエン酸で疲労回復
リンゴには有機酸である「リンゴ酸」や「クエン酸」という疲労回復に役立つ成分が豊富に含まれています。
犬の身体は人間と同じように激しい運動をすると、体内に疲労物質である乳酸が溜まります。それをそのままにしておくと疲れを感じ、免疫力が低下して病気にかかりやすくなってしまいます。リンゴ酸やクエン酸にはこの乳酸を分解する働きがあるため、疲労回復効果が期待できます。
カリウムで高血圧予防
犬は高齢になると高血圧になりやすい傾向にあります。その予防にりんごに含まれるミネラルのひとつであるカリウムが役立ちます。カリウムには利尿作用があり、体内で余分になったナトリウム(塩分成分)を排泄するので高血圧の予防に期待できます。
バランス良いビタミンで免疫力アップ
犬は人間と同じように歳を取ると身体のさまざまな機能が衰えてきます。そのひとつにビタミンの生成能力の低下があります。また、風邪をひいているときなどは普段よりもビタミンCを消費します。このようなときは、りんごなどバランス良くビタミンが含まれる食材を毎日の食事にプラスし、ビタミンCを補給するように心がけてあげるようにしましょう。ビタミンC以外にも、ビタミンB郡・ビタミンE・カロテンなども含まれています。
また、夏場に食欲が低下している犬や脱水気味の犬には、リンゴジュースで水分補給とビタミン摂取ができますよ。
犬にリンゴジュースを与えるときの注意点6個
リンゴジュースを与えすぎない
いくら優れた栄養が含まれているからといって、与え過ぎはよくありません。
リンゴジュースは食物繊維が多く含まれていて、適量を与えることで腸内環境の改善に役立ちますが、過剰摂取すると便秘や下痢の原因になる可能性があります。
犬に初めてリンゴジュースを与える時は、水で3~4倍に薄めて飲ませるようにしましょう。そして、飲ませた後は犬の様子や体調に気を配り、便の様子をチェックしてください。普段と変わりない様子なら少しずつ水を減らしていきましょう。
リンゴは皮にポリフェノールが多く含まれているので、皮ごとジューサーですりおろすのもおすすめです。
犬のリンゴアレルギーに注意
リンゴに限らずどんな食べ物でも初めて食べさせる時は、その食べ物に対してアレルギーがないか注意する必要があります。
アレルギー症状は食べた直後に出ず、数日してから出る場合があります。そのため、初めてリンゴジュースを飲ませたら数日は様子を見るようにしましょう。アレルギー反応が出た場合は、記録しておき獣医師さんにスムーズに伝えられるようにしておくことをおすすめします。
犬にあげるときはリンゴの皮をよく洗う
リンゴの皮には豊富なポリフェノールが含まれているので、皮ごとすりおろしたジュースを飲ませるのが良いのですが、皮ごと与えるときには注意が必要です。
有機栽培のリンゴの場合はあまり心配ありませんが、皮にはニスや農薬が付着している恐れがあります。そのため、犬に食べさせる前はよく洗ってからにしましょう。
また、犬は皮を消化しにくいためそのまま与えるのはやめましょう。
犬にあげるときはリンゴの種や茎は取り除き細かく刻む
リンゴの種・葉・茎には「アミグダリン」という物質が含まれていますが、この成分は犬にとっては中毒性があるので与えないようにしましょう。
アミグダリンが体内に入ると青酸毒が発生し、中毒症状を起こしてしまいますが、この中毒に対しての解毒剤は存在しません。中毒を起こすと命に関わる危険性があり、重大な事態に陥ることがあります。そのため、リンゴを与える際は、種・葉・茎は取り除き食べやすいようにワンコ用サイズに細かく刻んで与えましょう。
肥満の犬には糖質の高いリンゴをあげすぎないように
リンゴは100gで57キロカロリーあり、糖質は14.1g含まれています。同じ100gで糖質を比較すると、イチゴは7.1g、ミカンは11.1gとリンゴが糖質の多い果物だということがわかります。そのため、肥満の犬や太りやすい犬には必要量以上にあげすぎないようにすることが大切です。食欲があるから…という理由で与え過ぎてしまうと、大切なペットの健康状態に悪影響を及ぼす恐れもあるため注意してください。
腎臓病の犬にはリンゴを与えないように注意
カリウムは腎臓病を患っている子には避けたい栄養素でもあります。腎機能が低下していると、カリウムを上手く体外に排出できず、血中のカリウム濃度が高くなる高カリウム血症になるリスクがあります。
高カリウム血症にかかると、筋力の低下や不整脈が起こる他、重篤化すると心停止になることもあります。
腎臓病に限らず犬が病気を抱えている場合は、動物病院で獣医師の指示を仰いでからリンゴジュースを与えるようにしましょう。
愛犬にリンゴジュースをあげるときは量や与え方に気をつけよう
リンゴジュースは良い香りでおいしいため、犬も喜んで飲むでしょう。
初めてあげるときは水で薄めて少量ずつ与え、体調の変化がないか様子を観察することが大切です。また、アレルギー反応が出ないかもしっかり確認してから少しずつ増やしていきましょう。
リンゴジュースは市販のものを購入するなら、濃縮還元ではなく100%ジュースのものを選ぶことも重要です。人間用の商品には、砂糖や添加物がたくさん入っているものもあるため、うっかり100%ジュース以外を与えないように注意してください。自宅でリンゴをジューサーで絞って与える方法もおすすめですよ。
栄養バランスの取れた総合栄養食のドッグフードで毎日の健康を維持しつつ、飼い主さんと一緒におやつの時間でりんごジュースを楽しむといいでしょう。また、愛犬に手作りごはんを作る場合は、レシピにりんごを取り入れてみるのもおすすめですよ。
りんごジュース以外にも、「ミネラルウォーターをあげても大丈夫?」「牛乳は?」と気になっている方は、ぜひ関連記事もチェックしてみてくださいね。