犬用の骨ガムは大きいものからミニサイズのものまでさまざまな種類が売られていて、長持ちするおやつとして人気があります。しかし、骨ガムは注意しなければいけないこともあります。今回は犬用の骨ガムの注意点について、効果とともに解説していきます。ぜひ参考になさってください。
犬のおやつ「骨ガム」とは?
犬用の骨ガムはローハイドと呼ばれる
骨の形に成形されている犬用のガムを「ローハイド」といいます。
ローハイドの原料は馬や牛などの皮革製品に使われるすぐ下の層の部分で、皮革製品を作るときに余った部分を洗浄して漂白し、乾燥させて成形したものを指します。
犬用のおやつとして使用するときに焼くなどの加工をしていないので、ローハイド=生皮と呼ばれています。
骨ガムの製造方法
ローハイドは製品によって加工工程が異なり、冷凍保存するか超高濃度の食塩水を使用して保存する2種類の方法があります。
ローハイドは洗浄して漂白されたあとに殺菌されますが、この段階で大量に処理できるのは強力な薬品を使用する方法です。もうひとつの方法は時間がかかるものの、弱い洗剤で洗浄する方法です。
犬用の骨ガムは安全?
硬い素材の骨ガムを犬に与えると歯に傷がつく
犬の歯は意外に弱く、硬い素材のものを噛むと傷つくことがあります。骨ガムにはさまざまな大きさや素材があり、素材が硬ければ硬いほど、歯垢が落ちるのではないかと思ってしまいがちですが、臼歯が割れたり歯が欠けたりすることがあります。
骨ガムの大きさによっては犬が飲み込んでしまうことも
犬は食べ物をよく噛まないで丸呑みする性質があるので、骨ガムも大きさによってはそのまま飲み込んでしまう可能性があります。
丸呑みすると、胃腸で消化できず腸閉塞を引き起こしたり、喉に詰まって窒息する恐れがあるので充分に注意しなければなりません。
犬に骨ガムを与える時は大きさを考えて、目を離さないようにしてください。留守番のときの暇つぶしにガムなどの噛むおやつを与えるのも、飲み込む恐れがあるので避けましょう。
子犬に骨ガムを与えると消化不良を起こす恐れがある
商品によって異なりますが、多くの骨ガムは生後6ヶ月程度の子犬から与えてもよいものが多いです。
ただ、子犬は成犬に比べると消化器官も未熟なので嘔吐したり下痢をする場合は与えるのをやめましょう。
骨ガムの加工方法によって安全性が異なる!?
骨ガムは加工方法が違うものがあることは前項で説明しましたが、加工方法によっても安全性が異なります。
骨ガムに成形するまでに皮革を洗浄して漂白、殺菌されますが、この工程の中で手早く大量の処理を行うために強力な薬品を使う製品があります。そのガムを噛んだときに化学薬品のアレルギーを引き起こし、口周りが赤くなってしまう犬もいます。
安全性を考えると、洗浄の段階で弱い洗剤を使用して漂白のときにはオキシドールを使用した製品のほうがいいでしょう。
時間と手間をかける分、値段が高くなってしまいますが愛犬の健康を考えたら安全性が高いものを与える方がいいでしょう。骨ガムを購入する時は製造方法や原産国をチェックして購入してください。
犬に骨ガムを与えるときの注意点・あげ方
飼い主さんが骨ガムを手に持って食べさせるのがいい
犬用の骨ガムの目的を歯垢除去を考えるのであれば、飼い主さんが手に持って上げる方法が適しています。
犬は骨ガムを与えると、噛まないで丸呑みしてしまったりあっという間に食べてしまうことがあります。それでは歯垢を除去する目的は果たせません。
犬がものを噛むときに使うのは第4前臼歯です。よく使う第4前臼歯は上顎の奥に生えている大きな歯ですが、先端がへこんでいて歯石がつきやすい形をしています。
歯石を取り除くためには飼い主さんが骨ガムを持って、第4前臼歯のあたりにガムが当たるように噛ませましょう。
たまにあげるだけでは効果は期待できない
骨ガムはおやつをあげるような感じでたまに与える飼い主さんも多いでしょう。オーラルケアとしての効果を期待するなら、その与え方は有効ではありません。
犬の歯は歯垢が歯石になるスピードがとても早いため、歯石になる前に取り除かなければなりません。そのスピードは人間が約25日であるのに比べて、犬は3~5日
です。
高齢になるとそのスピードが早くなり、歯垢が歯石になってしまうと歯磨きでは取り除けないため動物病院での処置が必要となります。
歯石が歯垢にならないように、骨ガムを毎日噛ませるようにすると効果が期待できます。時間をかけて第4前臼歯あたりを重点的に噛ませることで歯垢を取り除けるので、毎日の習慣にするといいでしょう。
骨ガムが犬に与える2つの効果
骨ガムを噛むことで歯垢が落ち唾液の分泌を促して口臭を防ぐ
ものを噛むということは唾液を促進させます。唾液が増えると口臭予防に役立つので、臭いが気になる犬には有効でしょう。
ただ、これはあくまでも補助ケアとして考えなければなりません。歯垢を落とすにはしっかり歯を磨くことが大切です。
骨ガムだけでは歯垢を落とすことはできないので、骨ガムは歯磨きをさせたときのご褒美として使うといいでしょう。
骨ガムを噛むことが犬のストレス解消になる
犬は「噛む」ことでストレス解消になります。
ストレスを感じる原因はさまざまありますが、ストレスを感じると家の中にあるものを噛んだり引っ掻いたりします。家具などを噛む代わりに骨ガムを与えることで飼い主さんに叱られることもなく、ストレス解消が期待できます。
もし愛犬が骨ガムを飲み込んでしまったら獣医さんに診てもらおう
万が一、犬が骨ガムを飲み込んでしまった場合、腸閉塞になる恐れがあるのですぐに動物病院へ連れていきましょう。
骨ガムは与え方をしっかり知っていれば危険なものではありません。犬のストレス解消にも役立つため、骨ガムを噛ませれば部屋の中のものを噛まないようになるでしょう。また、飼い主さんが持って犬に噛ませることで犬とコミュニケーションが取れます。
最近では骨ガムもできるだけ安全なものを与えたいとう飼い主さんの声で、無添加やオーガニックにこだわって作られているものも増えてきています。
購入の際に製造方法と製品の原産国をしっかり確認して、安全なものを選んで愛犬に与えることが犬の身体を守ることにつながります。