鰹節といえば日本人に親しみがある食材のひとつです。
そんな鰹節を愛犬に与えても問題ないのでしょうか?
今回は、犬に鰹節を与えてよいのか、与える場合の効果や注意点をまとめました。
犬に鰹節を食べさせても大丈夫?
結論からいうと、犬に鰹節を食べさせても問題ありません。
鰹節は少量でも出汁の良い香りがするので、多くの犬が好む食材のひとつです。
愛犬の食欲がないときにドッグフードで振りかけることで、食欲を促す効果も期待できます。
一方で、与えすぎには注意が必要です。
どの食材にも言えることですが、犬の食事は総合栄養食のドッグフードでまかなえるため、他の食べ物を過剰摂取すると栄養バランスが崩れ、健康に悪影響を与える恐れがあります。
また、人間用に味付けされた塩分を含む鰹節は避け、無塩の鰹節や犬用の商品を選ぶようにしましょう。
犬に鰹節を与える量はどれくらいがいいの?
鰹節は週に1~2回、普段与えているドッグフードにひとつまみ程度ふりかけ、よく混ぜてあげましょう。
消化機能が未発達・低下している子犬や老犬の場合、鰹節の与えすぎは下痢や嘔吐の原因となる場合があります。
与える際はごく少量にとどめ、様子をしっかりと観察するようにしてください。
鰹節に含まれる犬の身体にいい栄養素・効果

栄養価の高い食材である鰹節には、どのような栄養素が含まれているのでしょうか。
ここでは、とくに犬の身体にいい栄養素と効果について解説していきます。
血液をサラサラにしてくれるDHA・EPA
DHAやEPAは青魚に多く含まれている必須脂肪酸の一種です。
この2つの栄養素は人間や犬の体内では作り出すことが難しいため、食事から摂取する必要があります。
DHAは、脳や網膜でもっとも多い脂肪酸で母乳にも多く含まれており、発育の著しい乳幼児には欠かせない栄養素です。
脳の健康に役立ち、犬の「考える」「覚える」「思い出す」行為をサポートをしてくれます。
EPAは、血管の中に詰まった血栓を取り去ったり、血流をよくしたりする働きを持っています。
心臓にいい影響を与えるマグネシウム
マグネシウムは、心臓の神経伝達や筋肉の収縮に必須の成分です。
低マグネシウム血症は、うっ血性心不全や不整脈など、さまざまな心臓の血管系に悪影響を及ぼすことが明らかとなっています。
また、マグネシウムは骨と歯を構成する重要な成分です。
犬の健康的な体を維持するために大いに役立つ成分といえるでしょう。
骨をしっかり作るカルシウム
カルシウムは人間だけでなく、犬にも非常に重要な栄養素です。
その働きは犬の骨や歯を健康にするだけでなく、筋肉や神経を正常に動かすことにも役立っています。
カルシウムが不足すると、心臓の動きが乱れてしまうことがあります。
また、母犬は出産時に子犬へカルシウムを分け与えるため、体内のカルシウム量が減り、筋肉の痙攣や歩行ができない状態に陥ることもあります。
このように、カルシウムは犬の健康維持のために重要な栄養素なのです。
カルシウムは犬の骨の中で貯蔵されており、体のどこかで不足が起こると骨から血液中にカルシウムが溶け出し、必要な部分へ運ばれます。
しかし、この状態が続くと骨がもろくなり、骨折しやすくなってしまいます。
そのため、日頃から積極的にカルシウムを摂取させ、骨の健康維持を心がけることが大切です。
元気の源となるタンパク質
タンパク質は、犬の血液・骨・筋肉・皮膚・被毛など、身体のあらゆる部分をつくる大切な栄養素です。
また、病気から身体を守る免疫機能もタンパク質によって支えられています。
免疫細胞を生み出す造血組織には、十分なタンパク質の供給が欠かせません。
タンパク質が不足すると、体力や免疫力の低下につながるおそれがあります。
さらに、犬の身体の構造上、皮膚や毛は栄養が最後に届く部分です。
そのため、タンパク質が足りないと皮膚や被毛の健康が損なわれ、皮膚の乾燥や毛量の減少、体臭の悪化といったトラブルを引き起こすこともあります。
健康でツヤのある毛並みを保つためにも、日頃から良質なタンパク質をしっかりと摂取させることが大切です。
鰹節の与えすぎで考えられる病気のリスク
犬にとっても栄養価の高い鰹節ですが、与えすぎると健康を損なうことがあります。
鰹節をきちんと犬の健康維持に役立てるためにも、考えられるリスクを知っておきましょう。
急性腎不全や尿毒症を引き起こす尿路結石
鰹節には、カルシウムやマグネシウム、リンといったミネラル成分が豊富に含まれています。
適量なら健康維持に役立ちますが、過剰に摂取すると尿の中で結晶化し、やがて「結石(尿路結石)」になることがあります。
特に犬では、「ストルバイト結石」や「シュウ酸カルシウム結石」がよく見られます。
小さな結石は尿と一緒に排出されることもありますが、大きくなると尿道をふさいでしまい、排尿が困難になります。
「何度もトイレに行くのに尿が出ない」「1回の尿量が減る」といった症状が見られる場合は注意が必要です。
尿が出ないと体内の老廃物を排出できず、命に関わる「尿毒症」や「急性腎不全」を引き起こすことがあります。
普段から愛犬のトイレの様子を観察し、少しでも異常があれば早めに動物病院を受診しましょう。
筋力の低下や不整脈などの症状がでる高カリウム血症
高カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が過剰に高くなった状態のことをいいます。
カリウムは本来、筋肉を動かしたり心臓のリズムを整えたりと、犬の体に欠かせないミネラルです。
しかし、鰹節を与えすぎるとカリウムを多く摂取してしまい、腎臓が排出しきれずに血液中へ溜まることがあります。
特に、腎機能が弱っている犬やシニア犬ではカリウムの処理が追いつかず、血中濃度が急激に上昇しやすくなります。
高カリウム血症になると、筋肉や心臓を動かす電気信号が乱れ、筋力の低下や不整脈を引き起こします。
さらに、しびれや吐き気といった症状が現れることもあり、重症化すると命に関わる危険な病気です。
そのため、鰹節はあくまで少量をトッピング程度にとどめ、腎臓への負担をかけないよう注意しましょう。
塩分の過剰摂取による心臓負担
鰹節を与える場合、塩分や添加物が含まれている可能性のある人間用の商品は避けましょう。
しかし、無塩タイプや犬用鰹節を与える場合も注意が必要です。
人間用の鰹節よりも安全ですが、天然のナトリウムがわずかに含まれているため、与えすぎると塩分過多になるおそれがあります。
犬は人間のようにあまり汗をかかないので、体内の余分な塩分をうまく排出できません。
そのため、塩分の過剰摂取にはとくに注意が必要です。
過剰に塩分を摂取すると喉が渇いて水を多く飲むようになり、体内の水分量が増えることで血液量も増加します。
結果として血圧が上がり、心臓に大きな負担をかけてしまうのです。
反対に、塩分を極端に制限しすぎても食欲不振や筋肉のけいれんを引き起こす場合があります。
普段から総合栄養食のドッグフードを与えることで栄養バランスは十分取れるため、塩分を過剰摂取させないためにも、鰹節の与えすぎには注意しましょう。
愛犬に鰹節を食べさせるときの与え方と注意点

最後に、犬に鰹節を与える方法と注意点について解説します。
鰹節を健康維持に役立てるためにも、しっかりと理解しておきましょう。
ドッグフードに混ぜて与える
香りが強い鰹節には、犬の食欲を促進する効果が期待できます。
しかし、ドッグーフードにふりかけて与えると鰹節だけを食べてしまうことがあるため、フードとよく混ぜて与えるのがポイントです。
ウェットフードならそのまま混ぜ、ドライフードなら粉末にして混ぜるとよいでしょう。
栄養の過剰摂取が気になる場合は、フードに香りづけだけする方法もあります。
鰹節をティーバッグなどに入れ、ドッグーフードの袋の中に入れておくことで、フードにほのかな鰹節の香りを移すことができます。
鰹節の与え過ぎに注意
鰹節は栄養価が高い反面、与えすぎると栄養バランスが崩れたり、偏食の原因になったりするおそれがあります。
鰹節の香りでドッグフードの食いつきがいいからと頻繁に与えると、鰹節がないとフードを食べなくなってしまうこともあります。
少量でも鰹節の香りは十分に広がるため、週に1〜2回、ひとつまみ程度の量を与えるようにしましょう。
鰹節を犬に与えるときは量を守って正しい知識で
鰹節はDHAやEPA、マグネシウム、カルシウム、タンパク質など、犬にとって健康にいい成分がたくさん入っています。
香りも強いため、普段のドッグフードに混ぜて与えることで食欲促進の効果も期待できます。
しかし、鰹節の過剰摂取は、尿路結石や高カリウム血症、心臓への負担など犬の健康を損なう原因にもなりえます。
適切な給与量を守り、与え方やリスクをしっかりと理解したうえで、鰹節を愛犬の健康維持に役立ててくださいね。




















