犬にとって必要なミネラル「亜鉛」を効率よく補えるのがレバーです。手作り食でわんちゃんを育てるなら、レバーは必須食材といっても過言ではありません。ただし、レバーはビタミンAが多いためとりすぎには注意が必要です。
そんなレバーを犬に与えるメリット・デメリットや、レバーを使ったドッグフードレシピなどを紹介します。
犬にレバーは与えてもいいの?
レバーは体内で蓄積されやすい脂溶性のビタミンAを多く含むので、犬に与える場合はあげすぎに注意が必要だと言われています。しかし、常識的な範囲の量を健康なわんちゃんに与えるのなら、他のお肉と同じように与えても問題ない食材です。日々の食事に、おやつにレバーを取り入れてみてください。
ただし、アレルギーがあるわんちゃんや現在体調が悪く栄養管理が必要なわんちゃんの場合は、取り入れる前に獣医師や犬の栄養士などの専門家に、詳しく話を聞いてから取り入れるようにするのがおすすめです。
食べさせてもOK!わんちゃんはレバーが大好きです!
レバーには犬が必要とする栄養素がたっぷり詰まっています。例えば鉄分や亜鉛などのミネラルはもちろん、ビタミンAにビタミンB群、葉酸などの栄養素もたっぷりです。また脂肪酸ではオメガ6系のアラキドン酸も多く含まれています。
このようにレバーは栄養価が高く、また、独特の「レバー臭」と呼ばれるにおいがするためか、わんちゃんはレバーがとっても大好きです。
レバーのあの独特のにおいは、アラキドン酸が原因です。アラキドン酸はとても酸化しやすい脂肪酸で、この酸化が嫌なにおいの原因と言われています。強いにおいがする食べものは栄養価が高いということを、犬は私たちよりもよく知っているのかもしれませんね。
ただし与えすぎはNG!目安摂取量を守りましょう
栄養価が高く、犬も大好きなレバーですが与えすぎには注意が必要です。犬に与えても心配のないレバーの目安量は体重10キロの犬で2~3g/日と言われています。もしビタミンAの過剰摂取が心配なら、ビタミンAの多い豚や鶏のレバーは避けて、牛レバーを選ぶのがおすすめです。
また毎食ではなく週に数回だけ、おやつとして与えるのも良いでしょう。
牛・豚・鶏・羊…わんちゃんに最適なレバーはどれ?
それぞれのレバーの栄養素の違いは?
レバーといっても牛や豚、鶏や羊など種類によって栄養素も変わってきます。例えば亜鉛なら豚や羊のレバーが多く、鉄分なら豚>鶏>牛>羊の順で多く含まれています。
またビタミンAの含有量では子羊>鶏>豚>成羊>牛の順で多く含まれ、ビタミンB群は牛レバーがバランス良く、しかも多く含まれています。ちなみに子羊(ラム)のレバーはビタミンA含有量が群を抜いて多く含まれていますが、産地によってもビタミンA含有量は変わると言われています。
同じレバーでも動物の種類、成長段階、産地などによって栄養素はそれぞれ違います。そのため、それぞれのレバーの特徴を知って使い分けるようにするのがおすすめです。
結局どのレバーが一番良いの?
牛・豚・羊のレバーは、身近な食料品店やスーパーでは取り扱われていないことも多く、一般的に手に入りやすいのは鶏レバーです。
鶏レバーは他のレバーに比べてビタミンAやKが多く、葉酸やビオチン、必須脂肪酸のDHAが多い特徴があります。鶏レバーは取り入れたい栄養も、過剰にとるのが心配な栄養も両方含んでいますが、与える量だけ気をつければ入手しやすく使いやすいためおすすめの食材です。
あなたのわんちゃんの好みにあったレバーを選んであげましょう!
独特のにおいがするレバーですが、このにおいもレバーの種類によって変わります。レバー独自の動物臭いにおいは、レバーに多く含まれているアラキドン酸の酸化分解が直接の原因だと考えられているからです。アラキドン酸は豚に多く、次いで牛、鶏の順番で多くなっています。
レバー独特のにおいが好きなわんちゃんなら、豚レバーを選んであげると喜んでくれるかもしれませんね。
そもそもレバーってどのようにして与えれば良いの?
必ず鮮度の良いものを与えましょう
レバーは酸化しやすい多価不飽和脂肪酸が多く含まれているため、鮮度が悪くなるほどにおいや味が悪くなる傾向があります。またレバーには寄生虫が潜んでいたり、解体中に食中毒や感染症の原因となる病原菌にさらされる可能性があったりなどリスクもある食材です。そのため鮮度が悪いレバーだと、わんちゃんにとって有害な菌が増殖している恐れもあります。
レバーを美味しく食べてもらい、わんちゃんに健康でいてもらうためには、レバーはなるべく鮮度が良いものを選ぶのが大切です。さらに与えるときは、しっかり加熱してから与えるようにしてください。
生で与える際は細心の注意をはらいましょう
手作り食でわんちゃんを育てている方の中には、レバーを生で与える「生食」にこだわっている方もいます。
ただしレバーは上記のように寄生虫や病原菌にさらされているリスクが高く、日本では牛・豚レバーを人間が生で食べることは禁止されています。今のところ規制されていないのが鶏や馬などのレバーの生食です。
ただし規制されていないから安全という訳ではありません。もしレバーを生で与えるなら信頼できる人間用の食料品店で「生食できる」ことを謳っている商品を選んで与えるようにするのがおすすめです。
少しずつ小分けして与えましょう
また、それほど神経質になる必要はありませんが、レバーは一度にたくさん与えるとビタミンA過剰の心配も捨てきれません。
そのため、なるべく小分けにして与えるようにするのがおすすめです。小分けにして冷凍しておけば使いやすく、火も通りやすいので調理しやすくなり一石二鳥です。
犬にレバーを与える際に注意したい点
コレステロールの過剰摂取に要注意!
鶏卵や魚卵に多いと言われるコレステロールですが、実はレバーもコレステロールを多く含む食材です。そのため食事療法で脂質やコレステロールの摂取に制限がかけられているわんちゃんでは、レバーのとりすぎにも注意が必要です。
コレステロールの与えすぎが心配なときは担当の獣医師や犬の栄養士などに相談してくださいね。
基本的には「加熱」が無難
レバーは基本的に「加熱」して与えるのが無難な食材です。特に子どもや高齢者などがいる家庭では、レバーは加熱して与えるのがおすすめです。
わんちゃんは家族への愛情を示すために、よく飼い主さんの手や口元をなめてきます。
そこから人が病原菌に感染してしまう恐れもあるので、人間に与えるのと同じように、犬用のレバーもしっかり加熱してあげてください。
もしわんちゃんに異変があった場合はすぐに動物病院へ
レバーは栄養がたっぷり含まれ、日々の健康のために取り入れたい食材ですが、中にはレバーと相性が良くないわんちゃんもいます。
特にアレルギーを持つわんちゃんの中には、レバーに反応しやすい子もいるようです。レバーを与えてから犬の調子が悪くなったりなど、何か異変を感じた場合はすぐに動物病院で診察を受けましょう。
レバーを使ったわんちゃんが喜ぶかんたんレシピをご紹介
焼くだけかんたん!レバージャーキー
市販されている犬用ジャーキーは添加物が多く使われていますが、自分で作れば簡単に無添加おやつが手に入ります。さらにレバーを使えば、とても栄養価が高いおやつができます!
焼くだけの簡単レシピなのでぜひ試してみてくださいね。
(用意するもの)レバー……お好みの分量
(作り方)
1.レバーを薄切りしてラップに挟み、麺棒で叩いて平たくします。
2.190度に予熱したオーブンで、片面20分ずつ焼き上げて完成です。
おやつの時間も健康的に!レバークッキー
レバーもミネラルたっぷりですが、全粒粉もミネラル豊富な食材です。
ミネラルを補ってあげたい時はこんなおやつを作ってみてはいかがでしょうか?
こちらも混ぜてこねて焼くだけなので、とっても簡単なレシピです。
(用意するもの)レバー……100グラム、全粒粉(強力粉、薄力粉でもOK)……120グラム
(作り方)
1.レバーを細かくみじん切りに。ミンチ状になるまでしっかりと細かく刻みます。
2.1を粉と合わせて、全体がまとまるまでしっかりと混ぜ合わせます。
3.2を麺棒で薄く伸ばし、クッキングシートを敷いたオーブン用の鉄板にのせます。
4.3をお好みの大きさに包丁で切り分けます。
5.160度に予熱しておいたオーブンで20~30分焼いて完成です。
まとめ
犬に手作り食を与える場合、必ずといっていいほど使う必要が出てくるのが「レバー」です。犬に必要な亜鉛が、他の食材にはあまり多く含まれておらず、効率的に与えにくいからです。そのため手作り食でレバーを使わないと、どうしても亜鉛が足りなくなりがちになってしまいます。
ぜひ品質のいいレバーを入手できるお店を探して、日々の食事に、おやつにレバーを活用してみてくださいね。