犬に人間用のヨーグルトを与えたことはありますか?牛乳を与えたらよくないと聞いたことがあるものの、ヨーグルトはどうなのでしょうか。ヨーグルトは腸内環境を良くするなど、人間にはよい効果が期待できるので、犬にもあげてみたいと考える飼い主さんもいるのではないでしょうか。今回はヨーグルトを犬にあげていいのか解説していきます。
犬に市販のヨーグルトを食べさせても大丈夫?
牛乳はダメでもヨーグルトはあげていい?
ヨーグルトに限らず、人間の食べ物を動物に与えてはいけないと言われています。その理由は、人間の食べ物には糖分や塩分が多く含まれていて、欲しがるままに与えると犬の健康を害してしまうからです。
しかし、味付けもなく塩分も糖分も含まれていない牛乳を飲ませてはいけないのはどうしてでしょうか。それは犬や猫の身体には牛乳に含まれる「乳糖」という成分を消化・分解する力がなく、下痢をしてしまう恐れがあるからです。
ヨーグルトが犬におすすめな理由
では、牛乳と同じ乳製品であるヨーグルトはどうなのでしょうか。
ヨーグルトは牛乳に比べるとお腹を壊しにくい食べ物です。それはヨーグルトに含まれる乳酸菌が、お腹を壊す原因となる乳糖のほとんどを分解してくれるからです。しかし、これも体質によるので与えるときは少しづつあげるなど注意が必要です。
ヨーグルトに含まれている栄養素
乳酸菌
ヨーグルトには乳酸菌が含まれていて、この乳酸菌は人間や動物の健康に大きく関わる成分です。
人間と同じように犬の腸内にも善玉菌と悪玉菌が存在します。ヨーグルトには善玉菌の代表格「乳酸菌」が含まれていて、腸内環境を整え善玉菌を増やしたり、悪玉菌が増えるのを防いでくれる働きがあります。乳酸菌を摂取することで腸内環境が整い、犬の健康を維持させる効果が期待できるのです。
ビタミンB1
ビタミンB1は炭水化物をエネルギーに変換するときに必要な栄養素です。また、代謝を助ける働きを持ち、粘膜や皮膚、被毛の健康を維持するために役立ち、疲労回復効果も期待できる栄養素です。愛犬の毛艶が悪くなってきたときや、愛犬が疲れていると思った時にヨーグルトを与えてみてはいかがでしょうか。
ビタミンB2
ビタミンB2は糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変換するときに必要な栄養素です。また、ビタミンB1同様、粘膜や皮膚、被毛の健康維持に役立ち、抗酸化作用もある栄養素です。抗酸化作用は細胞の酸化を防ぐ働きがあるので、老化防止や生活習慣病予防に役立ちます。
カリウム
カリウムは体内にある余分な食塩や水分に含まれるナトリウムを体外へ排出し、血圧を下げる働きをします。その働きは高血圧、脳卒中、神経過敏、不整脈などの予防が期待できます。また、神経や代謝を正しく働かせる働きがあります。
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カルシウム
ヨーグルトには骨や歯などを作るために必要なカルシウムが豊富に含まれています。骨を丈夫にすることで骨粗鬆症の予防にも役立ちます。
ヨーグルトが犬に与えるよい効果
乳酸菌が腸内環境を整える
前述したように、犬の腸内には人間と同じように善玉菌と悪玉菌が存在しています。善玉菌が多ければ腸内環境が整って、ウイルスや病気に対しての強い抵抗力ができます。
また、ヨーグルトは発酵の段階で、さまざまな酵素が作り出されるので消化不良を改善する働きも持っています。消化吸収がよくなることで、肝臓への負担が軽減されて毛艶が良くなるなどの効果が期待できます。犬も歳をとると特に消化吸収機能が落ちてくるので、ヨーグルトを食べさせてあげるといいでしょう。
風邪やウイルスの免疫力アップ
腸内には免疫細胞が集中していて、その全体の約60%が腸内に存在していると言われています。ヨーグルトを食べて腸内環境を整えれば、腸の免疫細胞が活性化され免疫力が高まります。その結果、アレルギーを抑えたりウイルス感染を防ぐなどの強い抵抗力をつけることができ、さまざまな病気から犬の身体を守ることにつながるのです。
犬の口臭予防・軽減
ヨーグルトには口臭予防効果が期待できます。ヨーグルトを食べるのはもちろん、歯磨きをするときにヨーグルトで歯を磨くとさらに口臭予防効果がアップします。腸内環境が整うことで便秘や下痢が改善され、口臭の改善につながるのです。
歯周病予防
ヨーグルトは口臭予防の他に虫歯や歯周病の予防にも役立ちます。乳酸菌には口の中の雑菌や細菌の増加を予防する働きがあるので、食べるほかにも歯磨きとしてヨーグルトを使ってもいいでしょう。歯磨き粉の代わりにヨーグルトを布につけて歯磨きすると、歯磨きが嫌いな子も克服できるかもしれません。
健康的で美しい被毛
ヨーグルトに含まれるビタミンB1とビタミンB2には、代謝を助けるとともに粘膜や皮膚、体毛の健康を維持する働きがあります。ヨーグルトを食べることで、犬の毛が美しく健康になる効果が期待できます。
犬にヨーグルトをあげるときの5つの注意点
愛犬に乳製品のアレルギーがないか注意する
ヨーグルトには牛乳に含まれる乳糖が含まれていないとはいえ、犬に乳製品のアレルギーがある場合はヨーグルトをあげるのを控えましょう。
ヨーグルトを与えた時に、かゆそうにしたり、目が充血する、くしゃみをする、嘔吐や下痢をするなどの症状が出たらアレルギーの恐れがあるので、ヨーグルトを与えるのはやめましょう。もしも症状が改善しない場合はすぐに動物病院へ連れて行きましょう。乳酸菌を取り入れる方法は、豆乳ヨーグルトやサプリメントもあるので、それを試してみるのもいいでしょう。
犬にヨーグルトを与えるときは加糖・アロエ入りは避けてプレーンを選ぶ
犬に与えるヨーグルトは、アロエやりんごなどの果実入りや砂糖が加えてあるものは避けましょう。おすすめは無糖で低脂肪のものや無脂肪のヨーグルトです。糖分や脂肪分は、虫歯や歯周病、肥満になる恐れがあります。
ヨーグルトをあげる時間は特に何時がいいというタイミングはありませんが、空腹時は避けましょう。乳酸菌は胃酸に弱い菌なので、食事をした後の胃酸が薄くなっているときに摂取することで、菌が生きたまま腸に届きます。
犬にヨーグルトをあげすぎた場合は下痢や嘔吐の恐れがある
ヨーグルトは1日にスプーン1杯程度が適量です。それ以上あげてしまうとお腹を壊してしまう場合があります。この量は犬の体格によって異なりますが、身体の大きさ似合わせて量を変えて調整しましょう。
小型犬は小さじ1杯程度が適量、中型犬は大さじ1杯、大型犬は大さじ2~3杯程度が適量と言われています。
初めてあげるときはスプーン半分くらいあげてみて、お腹の調子を観察しましょう。ウンチの様子を見て、普段と変わりがなかったらスプーン1杯の量を1日1回与えて、1週間程様子を見ます。体調が悪くならなければ、ヨーグルトを与えても大丈夫ということになります。また、胃腸が弱っている時に乳酸菌を摂取すると、腸内細菌の働きによってガスが発酵されて、腸にたまってしまうことがあります。ヨーグルトをあげるときは犬の体調をよく観察してからにしましょう。
そしてヨーグルトをあげすぎると、お腹を壊すほか、ヨーグルトに含まれる脂質が原因で肥満になったり、普段の食事量が減って栄養が偏ってしまいます。さらに、ヨーグルトに含まれるカリウムの働きによって、おしっこの回数が増えることがあるので与えすぎには注意しましょう。
<h3犬には冷たいヨーグルトを与えない
ヨーグルトは冷蔵庫から出してすぐに与えると、冷たすぎてお腹を壊す恐れがあるので食べさせる前に冷蔵庫から出しておきましょう。そして、あげたときはそのあとのうんちの状態を確認しましょう。
犬に与えるときは毎日少しの量を守る
ヨーグルトは健康効果が高いとはいえ、与えすぎには注意が必要です。犬の身体の大きさによりますが、毎日スプーン1杯ほどの量が適量です。あげすぎるとカロリーオーバーになるので気をつけてあげましょう。
愛犬にヨーグルトをあげるときのおすすめの与え方
ヨーグルトに果物をプラスする
ヨーグルトに果物を加えると、腸内環境の改善効果や消化不良改善効果がよりアップします。ヨーグルトに含まれる乳酸菌とフルーツに含まれる食物繊維が、腸の中の善玉菌を増やしてくれるので免疫力がアップします。また、果物に含まれる酵素は消化をサポートしてくれるので、便秘や下痢しやすい子におすすめです。
効果を効率よく吸収するためにヨーグルトを温めてから愛犬に与える
ヨーグルトは冷たいまま与えるよりも少し温めたほうが、ヨーグルトに含まれている効果をより吸収できます。ヨーグルトを電子レンジで1分ほど温めると、ヨーグルトに含まれるカルシウムや乳酸菌を効率よく摂ることができます。
いつものドッグフードにヨーグルトをトッピングする
ヨーグルトは空腹時に与えるとせっかくの乳酸菌の働きの効果がなくなってしまいます。おすすめはいつも食べさせているドッグフードにヨーグルトをトッピングする方法です。食欲がないときにもこの方法はおすすめで、ヨーグルトの味につられてフードを食べてくれるでしょう。
愛犬に適量のヨーグルトを与えて健康に!
ヨーグルトは人間だけでなく、犬の健康にもよい効果を与える食べ物です。しかし、あげすぎないようにすることが大切です。愛犬が欲しがるからといって、欲しいだけあげていたら犬がお腹をこわしたり、ご飯を食べなくなってしまうことがあります。
犬の健康のためにヨーグルトを与えるはずが、健康を害してしまったら元も子もありません。ヨーグルトは人間にも犬にもよい効果がありますので、おやつの時間に一緒にヨーグルトにフルーツをトッピングして健康を維持しましょう。