古くから私達の食卓に並び、余ったらお弁当の隙間も埋めてくれるひじき。乾物として多く出回るため一年を通して使え、副菜の材料がない!なんて時にも大活躍してくれる心強い味方ですよね。ところで、もしあなたの食卓にひじきがおなじみなら、「うちの愛犬にも食べられるのかな?」なんて考えたことはありませんか?
ひじきを愛犬に与えてもいいの?
結論から言うと、犬にひじきを与えても大丈夫です。ひじきはよく知られている鉄分を筆頭に、ヨウ素、食物繊維、マグネシウムなどの様々な栄養素が豊富に含まれています。
ただしどの食べ物もそうであるように、与えすぎたり、与え方が適切ではなかったりすると逆効果に働いてしまうため、愛犬の年齢や体格にもよりますが小さじ一杯程度から始めてあげてくださいね。
ひじきを食べさせても大丈夫!でもこんな愛犬には控えよう
初めての食べ物をあげる時は必ずアレルギーに気をつけてください。海藻アレルギーがないと確認ができているわんちゃんでも、一度に多量を与えてしまうと過剰摂取が原因のトラブルを起こす可能性があるため、やはり少量から与えるようにしてくださいね。
また、ひじきはお通じをよくする食物繊維も多く含まれています。もしわんちゃんがお腹をくだしていたり胃腸が弱っている場合は、与えるべきではないので避けてくださいね。
尿路結石にひじきはいいの?悪いの?
ところで「ひじきは犬の尿路結石につながる恐れがある」と言われる一方で、「人間の結石予防や再発防止には野菜や果物の他に海藻が良い」とされています。果たしてどちらが正しいのでしょうか?
実は尿路結石は尿のpH値が酸性とアルカリ性のいずれかに偏ることで起きるものです。
多くの人が好みがちな肉類、コレステロールやプリン体が含まれているものは尿のpH値を酸性に傾けるもので、一方、先に挙げた食材はミネラルが多く含まれ、pH値をアルカリ性へと寄せるようになっています。
つまり「バランスのよい食事を摂りましょう」ということなのですが、人間はともかくわんちゃんはその管理を自分ではできません。もともと結石の傾向があったりミネラル豊富な食べ物を多く摂取している子には与えるべきではないでしょう。
しかし、ひじきに含まれているマグネシウム自体は、骨や血圧の健康を維持する必要不可欠な栄養素です。不足すると欠乏症を引き起こすこともあるため、健康なわんちゃんに対しては過剰摂取にだけ気をつけるのが良いでしょう。
ひじきに含まれる栄養ってどれくらい?
ひじきと言えば鉄分!とは昔から言い伝えられていますよね。ところが数年前、その説が覆されたのをご存知でしょうか?
主な栄養成分とは?
ひじきと言えば鉄分が豊富に含まれているイメージですよね。しかし、加工段階で使う釜によってひじきに含まれる鉄分の量が異なることを存知でしょうか?
かつて使われていた鉄釜の場合、ひじき100gに含まれる鉄分は58.2mg。それに対して、現在主に使われているステンレス釜だと6.2mgです。そのため、愛犬に鉄分だけを重点的に摂らせたいなら、ひじきよりも豚レバーやパセリなどを与えたほうが効果的と言えるでしょう。
しかしひじきの栄養素は鉄分だけではありません。先述したマグネシウム、骨を強くしマグネシウムと相乗効果でより高い効果が期待できるカルシウム。カリウムは体内の塩分を排出し血圧を下げる効果があり、他にも食物繊維、ビタミンなどが豊富に含まれています
他の食品と比べてみたら?
100gあたりの栄養素で同等のものは何が挙げられるのでしょうか?
データでは低下した鉄分(6.2mg)ですが、それでもレーズンの約3倍にあたります。マグネシウム(620mg)は納豆の約6倍、カルシウム(1400mg)はなんと牛乳の12倍以上にもなります。
カリウム(4,400mg)は果物でもっとも多いバナナの約12倍、食物繊維(43.3mg)はごぼうの約7倍、ビタミンK(320μg)は茹でほうれん草の同量と、どの栄養素も申し分のない含有量ですよね。
しかし、これだけ栄養のあるひじきでも多く摂ればいいというものではありません。犬の場合、ミネラルの過剰摂取によって様々な病気を誘発する恐れがあるからです。ひじきはほんの少しの量でも足りない栄養を補える食材なので、愛犬の体調をみながら量に注意して与えてくださいね。
愛犬と一緒にごはん!手軽にひじきを与える方法
夕飯のおかずとして用意していた材料を、ちょっとだけ愛犬におすそ分けしてみようかな?とふと考えたり調べたりすることは、もしかしたら飼い主さんあるあるかもしれません。あげても大丈夫な栄養価も高いひじきですが、気をつけておきたい点も知っておきましょう。
犬にひじきを与える時に覚えておきたいこと
ひじきには微量の無機ヒ素が含まれています。このヒ素は自然界に存在する物質のことですが、短期間に過剰摂取すると発熱や下痢・嘔吐、長期的に過剰摂取した場合は発がん性もあると言われています。
しかし、これは水に溶けやすく、干しひじきであれば水に浸けて戻している間にその含有量が減少していきます。ひじきの40倍にあたる量の20℃の水で30分以上浸けておくとよいでしょう。ひじきを戻したあとの水は必ず捨て、調理には使わないでくださいね。
ひじきが戻ったらさらに2、3回取り替えて洗うのも効果的です。また、農林水産省によって「戻し水を捨てて新しく沸かしたお湯で5分ほど茹でこぼしをすると、含有ヒ素の90%が削減される」との調査結果も発表されています。
ひじきは古来から日本で食べられてきた伝統的な食材です。丁寧に下ごしらえをし過剰摂取に気をつけていれば、健康被害が起きるものではありません。
また、同じものを食べるからといって、わんちゃんに調味済みのひじきは与えないでくださいね。人間が食べられるようにしたひじきの煮物などの味付けは、犬には塩分が強すぎるものです。
健康面で良くないのはもちろんですが、味が濃い食べ物は犬にとっても美味しく感じがちなもののため、癖になってしまうとドッグフードを食べなくなってしまったり、重大な病気へ繋がってしまう可能性があります。水で戻したあとはくれぐれも人間と分けて加熱(調理)をおこなってください。
愛犬へひじきを与える場合の工夫と目安量
海藻はそもそも消化に良いものではありません。わんちゃんの健康状態やひじきのサイズによっては、排便時にひじきが形を残したまま排出されてしまう可能性があります。しっかりと茹でて柔らかくし、細かく切り刻むことで犬にとっても消化しやすくなるでしょう。
目安量としては小さじ一杯を、月に1、2回以下が妥当です。いつものドッグフードの上にトッピングして、ちょっとした変化を楽しんでもらうのがおすすめですよ。
また、ひじきの栄養は食べ合わせによってはさらに効果的に摂取できます。卵やしいたけなどに多く含まれるビタミンDはカルシウムの吸収率を、肉類や大豆などのタンパク質とピーマンやパセリなどに多く含まれるビタミンCは鉄分の吸収率を高めることができるのです。
愛犬がひじきに慣れてきたようなら、一工夫加えてみるのもよいかもしれませんね。
ひじきは毎日食べるごはんのアクセントとして愛犬に与えよう
わんちゃんが毎日食べるごはん。栄養はばっちり足りているようだけれど、でもちょっとアクセントを加えてみようかな…なんて時、バリエーションが多ければそのぶん楽しんでもらえそうですよね。
カルシウムとマグネシウム、ヨウ素は育ち盛りのわんちゃんに特に大事な栄養素です。また、食物繊維やビタミンは犬の年齢問わず必要な栄養素でもあります。それらが一括でちょい足しできるのがひじきの魅力です。与えすぎずを念頭に置いて上手に与えていくことで、愛犬の健康を支えていきましょう。