愛犬が人間の食べ物を欲しがるのはよくあることです。
では、おでんや煮物などに用いられる「こんにゃく」は、犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
結論から言うと、こんにゃくを犬が食べることに問題はありませんが、与え方には注意が必要です。
今回の記事では、犬にこんにゃくを与えるメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
犬はこんにゃくを食べても大丈夫!ただしデメリットには注意
こんにゃくには、中毒を引き起こすような成分は入っていないので、誤って犬が口にしたとしても基本的には問題はありません。
適切な方法で与えるのであれば、食事やおやつとして活用することも可能ではあります。
しかし、こんにゃく自体には栄養素やカロリーはほとんどなく、犬に与える利点がそこまであるかというと少々疑問です。
むしろ、こんにゃくの繊維が消化不良を引き起こしたり、嚙み切れずに喉に詰まらせたりする危険性があるので、積極的に犬に与えることはあまりおすすめできません。
肥満気味の犬の食事のかさ増しなど、何らかのメリットがあるケース以外を除いては、犬にこんにゃくを与えるのはできるだけ避けた方がいいでしょう。
犬にこんにゃくを与えるメリット
こんにゃくの成分には、犬にメリットをもたらすものが含まれています。
しかし、与える際のリスクを考えるとそこまで大きいメリットではありません。
ただ、犬の体質や状態によっては健康に役立つ場合もあるので、必要性があれば誤飲などに気を付けつつ、適切に与えてみてもいいでしょう。
約97%が水分で低カロリー
こんにゃくは、約97%の水分で構成された非常に低カロリーな食品です。
そのため、人間のダイエット食品として活用されることが多いですが、犬にもダイエットや水分補給として役立てることができます。
「食事制限が必要なのに、なかなか食欲を抑えることができない…」というわんちゃんには、こんにゃくを食事のかさ増しとして与えてあげるといいでしょう。
また、水分が摂れていない場合にも、一時的な水分補給代わりとして活用できます。
食物繊維が豊富
こんにゃくには、「不溶性食物繊維」がたくさん含まれています。
不溶性食物繊維は水分を吸収し、腸の中で便のかさ増しをする作用があります。
便通がスムーズになるので、便秘気味の犬には有益な食品といえるでしょう。
血圧を調整してくれるカリウムが含まれている
こんにゃくには、ミネラルの一種である「カリウム」が含まれています。
カリウムは、体内で体液の浸透圧をコントロールしたり余分な塩分を排出したりしてくれるので、血圧を調整するために欠かせません。
さらには、神経伝達や筋肉の収縮にも役立つなど、体内バランスの保持にも重要な役割を果たしています。
そのため、カリウムを食事から摂取することは、犬にとってもメリットとなる可能性が高いでしょう。
ただし、こんにゃくに含まれるカリウムの量はそこまで多くありません。
骨や歯の健康を保つカルシウムを摂取できる
こんにゃくには、骨や歯の形成に欠かせない「カルシウム」も含まれています。
犬は体内でカルシウムを作り出すことができないので、食事から摂取することが非常に大事です。
栄養バランスの整えられたドッグフードを食べている場合は、カルシウム不足をそこまで心配する必要はありません。
しかし、偏食気味の犬やダイエット中の犬には、こんにゃくでカルシウムを摂らせるのも一つの方法だといえるでしょう。
ただし、こんにゃくよりカルシウムの含有量の多い食材はいくらでもあるので、必ずしもこんにゃくから摂取させる必要はないかもしれません。
犬にこんにゃくを与えるデメリット
犬にこんにゃくを与えることには、デメリットも少なくありません。
メリットとデメリットの両方をよく考えて、こんにゃくを含んだ食事には慎重になることをおすすめします。
丸呑みして喉や腸に詰まることがある
こんにゃくは弾力があり、非常に噛み切りづらいです。
とくに犬の場合、食べ物をあまりよく噛まずに丸のみすることが多いので、喉に詰まらせてしまうリスクがあります。
また、こんにゃくは消化しづらい食材です。
そのため、犬がどんどん食べてしまうことで腸に詰まり、腸閉塞を引き起こす可能性もあります。
いずれにせよ、とくに必要がなければ、犬に積極的にこんにゃくは与えない方がいいでしょう。
食べすぎると消化不良を起こすことがある
こんにゃくには、食物繊維が多く含まれています。
人間が食べた場合はそうした特徴が便通の改善にもつながりますが、犬は体の構造から、繊維質のものを消化するのがあまり得意ではありません。
消化不良や嘔吐、下痢の原因になってしまう可能性があるので、できれば避けるのが無難です。
ミネラルの吸収を邪魔することがある
こんにゃくに含まれる不溶性食物繊維が、ミネラルの吸収を邪魔する可能性があります。
健康に良いと思ってこんにゃくを積極的に与えすぎてしまうと、亜鉛やカルシウム、鉄など、本来必要であったミネラルの吸収を阻害してしまう場合があるのです。
結果的に食事の栄養バランスを崩すことにもなりかねないので、こんにゃくの与えすぎには注意しましょう。
アレルギーを引き起こすことがある
どんな食品にも起こりうることですが、こんにゃくもアレルギーを引き起こす可能性があります。
こんにゃくの原材料は「こんにゃく芋」なので、いも系のアレルギーを持った犬にはリスクとなる可能性が高いです。
また、こんにゃく内のタンパク質がアレルギーの原因となることもあります。
こんにゃくを口にしたあとに、かゆみや嘔吐、下痢、目や皮膚の赤みといったアレルギー症状が見られたら、速やかに病院で診察を受けることをおすすめします。
犬にこんにゃくを与えるときの注意点
「ダイエットや便秘解消のために愛犬にこんにゃくを与えたい」という場合もあるでしょう。
犬にこんにゃくを食べさせるなら、どういった点に気を付けるべきなのでしょうか。
最後に、犬にこんにゃくを与えるときの注意点について解説します。
与える前に細かくカットする
犬にこんにゃくを与える場合は、必ず下茹でしてから細かくカットしてください。
サイズが大きいと犬が喉に詰まらせてしまうので、しっかりと小さめにカットするのがおすすめです。
市販されているこんにゃくなら、板こんにゃくでも丸こんにゃくでも大丈夫ですが、喉に詰まりやすい糸こんにゃくは避けるのが無難です。
味は付けずに下茹でだけして食べさせるようにしましょう。
生のこんにゃくやこんにゃく芋を与えない
犬には、生のこんにゃくやこんにゃく芋を与えてはいけません。
生こんにゃくやこんにゃく芋は、犬が食べるのに向いていません。
中でも、生のこんにゃく芋はシュウ酸カルシウムが多く、尿路結石の原因となる可能性が高いので注意しましょう。
こんにゃくゼリーを与えない
こんにゃくが含まれた食品として「こんにゃくゼリー」がありますが、これも犬には与えてはいけません。
こんにゃくぜリーは喉に詰まりやすい形状をしているだけでなく、糖分や塩分などの添加物も多く含まれています。
あくまでも人間用のおやつなので、犬に与えるのは避けましょう。
適量を守って与える
こんにゃくはお腹の中で膨らみやすく、少量で満腹感が得られやすいという特徴があります。
そのため、食べさせすぎると食欲が低下し、本来の食事にまで影響してしまう可能性があるので、与える量には注意が必要です。
普段の食事量の10%以内にし、あくまでも通常の食事を邪魔しないように少量ずつ与えるようにしてください。
犬はこんにゃくを食べても大丈夫だがデメリットが大きい
こんにゃくは、犬にとって有害な成分が入っていません。
しかし、喉に詰まらせたり消化不良を起こしたりするリスクが高いので、こんにゃくを与えるのはできるだけ避けた方がいいでしょう。
犬にこんにゃくを与える場合は、適量を守り、喉に詰まらせないように必ず細かく刻むことが大事です。
必要がなければ無理に与えないことをおすすめします。