甘いメロンを愛犬に食べさせたくなる飼い主さんは多いでしょう。
栄養価の高いメロンは人間にとって健康に良い食べ物で通っていますが、犬も同様なのでしょうか。この記事では犬がメロンを食べても問題ないのか解説します。
犬はメロンを食べてもいいの?
飼い主さんの中で、イチゴやリンゴを愛犬に与えている方は多いかもしれませんが、メロンはいかがでしょう。
お土産でもらったメロン。できれば愛犬と一緒に贅沢な気分を味わいたいですよね…?
犬はメロンを食べても大丈夫!
結論から言うと大丈夫です。
メロンは繊維質・ビタミン類のほかにも、犬の健康維持に役立つさまざまな栄養素を含有します。
メロンを食べると得られる栄養素
メロンのほとんどは水分ですが、便秘解消に役立つ「食物繊維」、抗酸化作用のある「ビタミンC」といったビタミン類を含有します。
さらに「カリウム」「βカロテン」「ククミシン」という栄養素も含むので、それぞれ摂取するとどのような効果が期待できるのか確認していきましょう。
カリウム
メロンが含有する栄養素で特筆すべきは「カリウム」というミネラルです。その含有量は果物でいうとバナナに次ぐ多さです。
カリウムのほとんどは細胞内液に存在し、体内の余分な塩分を尿と一緒に体外へ排出する働きがあります。
また、細胞外液に存在するナトリウムと共に細胞内外液の浸透圧を一定にキープすることで、血圧を調整したり、細胞を正常に保ったりします。
カリウムの弱点は水などに溶け出しやすい点ですが、メロンは同じくカリウムの含有量の多いほうれん草のように、可食部を洗ったり、茹でたりする必要がありません。そのため、メロンは効率良くカリウム摂取ができる貴重なミネラル源なのです。
βカロテン
メロンには赤肉と緑肉がありますが、特に赤肉はβカロテンの含有量が多いです。
赤肉メロンはβカロテンを100g中3600μgも含みます。これは果物類の中でトップレベルです。
βカロテンはプロビタミンAの一種で、犬の体内に入るとビタミンAとしての作用を発揮する物質に変換されます。また、抗酸化作用も期待できます。
ククミシン
メロン特有のタンパク質分解酵素「ククミシン」にも注目です。
ククミシンは表面に網目模様のあるメロンが多く含む成分です。たとえば、夕張メロンやアンデスメロン、マスクメロンといった品種が該当します。
ククミシンが肉や魚、卵、豆といった食材に含まれるタンパク質を分解するため、消化吸収がスムーズになる可能性があります。
90℃以上になるとこの働きが失われるといわれているので、生のまま与えましょう。
メロンの適切な与え方と注意点
犬にメロンを与える際に注意すべきポイントがあります。
持病に関連する点もあるので、与える前に確認しておきましょう。
皮や種は与えない
犬が食べていいのは人間同様、果肉部分のみです。
メロンの皮は固いため、喉に詰まらせたり、胃腸炎を起こしたり、消化管を傷つけたりする可能性があります。
また、皮も種も消化に悪いので取り除く必要があります。
大型犬で歯が強くても、4分の1カットにしたものをそのまま与えるようなことをしてはいけません。
一口サイズにカット
特にチワワのような小型犬の場合、人間の口に合わせた一口カットでは喉に詰まらせてしまう可能性があります。
また、犬は食べ物をあまり噛まないので、大型犬でも注意が必要です。
愛犬が無理なく一口で食べられるサイズに切ってあげましょう。
腎臓・心臓疾患を持つ犬には与えないこと
腎臓や心臓に疾患を持つ犬にメロンをあげるのは禁物です。
メロンは前述の通りカリウム量が多いからです。
カリウムは通常、小腸で吸収され腎臓から排出されます。
しかし、腎臓の機能が弱っていると、カリウムをスムーズに排出できず、吐き気、筋力の低下などの症状が出る「高カリウム血症」を発症する可能性があります。体内にカリウムが溜まると、不整脈を招くリスクもあり、心停止、最悪の場合、死に至ることもあるのです。
腎臓病や心臓病を持つ犬がメロンを食べると、著しく健康を損ねる危険性があるので与えないようにしましょう。
未熟なメロン、病気にかかったメロンは嘔吐・下痢の原因にも
メロンは収穫してすぐには食べず、ある程度熟させる期間(追熟期間)を設けます。それを設けず未熟なまま食べると「ククルビタシン」による苦味を強く感じることがあります。ククルビタシンはとくにヘタとおしり部分に多い成分です。また、バラ色カビ病という病気にかかった場合、カビから守るためにククルビタシンが急激に増加します。バラ色カビ病にかかった部分は変色するという特徴があります。ちょっと変色してるけど大丈夫かな?と食べてみたらものすごく苦かったという経験がある人もいるのではないでしょうか。
「ククルビタシン」は嘔吐や下痢といった食中毒を引き起こす恐れのある危険な成分です。飼い主さんが実際に食べて苦味を感じた場合、変色している場合は、もちろん愛犬にも与えてはいけません。バラ色カビ病で変色している箇所を取り除けば、ほかの部分は食べてもいいとされていますが、心配な場合は与えるのをやめた方がいいでしょう。
また、熟し過ぎてしまうと炭酸やアルコールが発生して味が落ちてしまいます。しかも犬の体は炭酸などの刺激に弱くアルコールの分解もできません。熟しすぎてしまった場合も愛犬に与えるのは控えましょう。
メロンを1玉手に入れたときは、追熟期間に注意が必要です。甘い香りがして、お尻の部分がやわらかくなったら食べ頃といわれています。くれぐれも未熟だったり、病気にかかっていたり、熟し過ぎていたりするメロンをあげるのはやめましょう。
アレルギー症状に要注意!
犬がメロンアレルギーを発症すると、以下のようなアレルギー反応が出るケースがあります。
【メロンアレルギーの症状】
- 発疹
- 痒がる
- 目が充血する
- 嘔吐や下痢
- 呼吸困難
このような症状が見られたら、軽度でも早急に獣医師に相談しましょう。
はじめてメロンを与える際は、まずはごく少量をあげてみて様子を見るのがおすすめです。
ちなみに、メロンが含有するククミシンは喉や口内にしびれをもたらすことがあります。これは人間も同様で、しびれを経験したことのある人もいるはずです。
メロンを口に含むのを嫌がるようなら、しびれを感じている可能性があるので、与えるのをやめましょう。
メロンの与え過ぎは肥満や下痢の原因に!
メロンは犬が食べても問題のない食べ物のひとつですが、与え過ぎはNGです。
メロンは果物の中では糖質が少ない方で、血糖値の上昇も比較的ゆるやかです。また、100gあたり42kcalと意外に果物の中でもカロリーがそれほど高くありません。とはいえ、果物以外の食品と比べると糖質は多く、一気に食べてしまうと血糖値の上昇を招きます。与え過ぎれば肥満の原因にもなるので、飼い主さんの調整が必要です。
またメロンの約90%は水分なので、夏場はとくに水分補給のサポート食材になる一方、過剰摂取すると下痢を引き起こす可能性もあります。暑いからと欲しがるままに与えては、かえって愛犬の健康を害することもあるので気をつけましょう。
さまざまなメリットのある栄養素を持つメロンですが、普段、総合栄養食のドッグフードを食べているのなら、本来与える必要はありません。
しつけのご褒美として、もしくは食欲を引き出す手段として与える程度が良いでしょう。
5kgの犬の場合、適量は35gとされています。
正しい知識と情報を身につけて、愛犬の健康を守りつつ、美味しいメロンを食べさせてあげましょう。
まとめ
- メロンの与え過ぎは下痢や肥満の原因になるので禁物
- 未熟なメロン、病気のメロンはククルビタシンによる嘔吐や下痢といった食中毒を引き起こす可能性がある
- 腎臓や心臓に疾患を持つ犬には与えない
- 消化に悪い皮や種は必ず取り除いて一口サイズにして与える