味噌汁は人間にとって身近な食べ物です。
そのため、飼い主さんの食べているものを愛犬に与えたくなることもあるでしょう。
しかし、味噌や味噌汁はそのまま犬に食べさせてしまっても問題はないのでしょうか。
そこで今回の記事では、犬に味噌や味噌汁を与えても大丈夫なのか、その適量や注意点について解説していきます。
わずかな量であれば犬に味噌を与えても大丈夫
味噌には、犬にとって毒性のあるものは含まれていないので、基本的には食べさせても問題はありません。
しかし、味噌は非常に塩分濃度の高い食品です。
そのため、与え方には注意が必要です。
過度な塩分は心臓や腎臓に負担をかけるなど、犬にとっては害になることがあるので、味噌を与える場合はごく少量にとどめることが大切になります。
また、味噌汁や出汁入り味噌のような人間用に作られたものは、さらに塩分が加わっていたり、わんちゃんにとって危険な食材が含まれていたりするので、愛犬に与えるのは避けましょう。
犬に味噌を与えるときの適量
では、犬に味噌を与える場合、どの程度の量なら問題ないのでしょうか。
味噌はタンパク質やアミノ酸など、さまざまな栄養素を含んだ食品です。
しかし、それ以上に塩分も多いので、体格に関わらず犬には少量しか与えてはいけません。
イメージとしてはあくまで風味付け程度、食欲増進のために活用するのが望ましいです。
また、子犬や老犬の場合は、味噌の塩分が体に負担をかけてしまう可能性が高いので、与えないようにした方がいいでしょう。
犬に味噌を与える効果や影響

では、味噌を犬に与えることにメリットはあるのでしょうか。
味噌は発酵食品であり、たくさんの豊富な栄養素を含んでいます。
| 【味噌に含まれる主な栄養素】 | |
| タンパク質 | 大豆由来の植物性タンパク質で吸収しやすい。カルシウムの吸収を高めたり、犬の筋肉や被毛の健康を維持したりするのに役立つ。 |
| 必須アミノ酸 | 犬の体内で作ることができないので、食品から摂取する必要があるアミノ酸を「必須アミノ酸」という。味噌には犬に必要な8種類の必須アミノ酸の全てが含まれている。 |
| ビタミン類 | 代謝機能のサポートや皮膚・粘膜の健康維持に役立つビタミンB群や抗酸化作用を持つビタミンEが豊富に含まれる。 |
| 食物繊維 | 水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の両方が含まれており、便通の改善や便秘予防が期待できる。 |
味噌には、大豆由来の植物性タンパク質や必須アミノ酸、食物繊維やビタミン類などが入っています。
そのため、犬にとって味噌は、バランスよく必要な栄養素が摂れる食品だといえるでしょう。
ただし、犬に与えられる量はごく少量なので、他の食品から吸収される栄養ほどの効果は見込めません。
犬に味噌を与えるメリットや効果は、主に「香りによる食欲増進」がメインだといえるでしょう。
普段の食事に飽きてしまった犬も、少量の味噌を水に薄めたものをかけることで、食欲が増す可能性が高いです。
愛犬が味噌の風味を好むようであれば、味変や食欲増進の手助けとして、味噌を取り入れてみるのもいいでしょう。
要注意!犬に味噌を与えるときの注意点
身近な調味料として取り入れやすい「味噌」ですが、愛犬に与える場合はいくつかの点に注意する必要があります。
愛犬の健康維持のためにも、安全な方法で味噌を活用するようにしましょう。
適量をきちんと守って与える
味噌を愛犬に与えるときに、もっとも注意すべき点は「量」です。
味噌は非常に塩分濃度の高い食品なので、人間には大丈夫でも犬にとっては体の負担になる場合があります。
過度の塩分摂取は、「血圧の急な上昇」や「心臓や腎臓への悪影響」を招いてしまう恐れがあります。
犬が1日に摂取していいナトリウム量(※)は「250mg」程度とされています。
味噌大さじ1杯のナトリウム量は「約787mg」なので、気を付けないとすぐに1日の摂取量を超えてしまうでしょう。
良かれと思って味噌を積極的に与えてしまうと、犬が許容できる塩分量を突破してしまう危険性があります。
そのため、適量をきちんと守って与えることが非常に大事なのです。
※ ナトリウム量は塩分量とは異なる。食塩相当量(g)×1000÷2.54=ナトリウム(mg)により算出される。
味噌汁は与えない
味噌を使った、もっともメジャーなメニューといえば味噌汁です。
しかし、人間用の味噌汁には味噌の他に顆粒だしや塩などが加えられているので、犬にとっては非常に塩分濃度が高い食品になります。
どうしても愛犬に味噌汁を与えたいのであれば、犬用に味噌のみで作ったごく薄い味噌汁を与えるようにしてください。
味噌の目安量としては、水400㏄に対してティースプーン摺り切り1杯程度です。
人間の味噌汁よりも、5〜10倍は薄めて作ってあげるようにしましょう。
また、そもそも味噌自体に出汁が加えらえている商品もあるため、与える際には原材料をチェックしてください。
味噌と一緒に使う食材に気をつける
適量の味噌であれば他の食材と併せて与えてもOKですが、その際は食材の種類に気を付けなければいけません。
とくに、味噌汁に入れることの多い「ネギ類」(玉ねぎ・長ねぎ・万能ねぎなど)は、犬にとって非常に危険な食材です。
ネギ類に含まれる「アリシン」が犬の赤血球を破壊し、中毒症状を引き起こしてしまう危険性があります。
他にも、イカやタコなどの「魚介類」、味噌と合わせることの多いみりんやお酒などの「調味料」も、犬にとっては害になるので避けるのがベターです。
また、「ゆず味噌」や「フキ味噌」といった風味付けされた味噌も、犬にとっては良くありません。
味噌を愛犬に与える際は、人間用にアレンジされたものは避け、安全な食材と組み合わせて使うことをおすすめします。
誤飲や誤食に注意する
愛犬の味噌の誤飲や誤食には、しっかりと注意してあげてください。
味噌は日本人にとって身近な食材であり、多くの家に常備されているものです。
そのため、知らない間に誤って犬が食べてしまう可能性があります。
味噌の香りを好む犬は多いので、手の届く場所に味噌があると誤飲や誤食の原因になりやすいです。
もし誤って犬が味噌をたくさん食べてしまった場合は、すぐ動物病院を受診するようにしましょう。
アレルギー反応が出ることがある
初めて味噌を与える場合は、アレルギー反応にも注意する必要があります。
味噌は大豆を原料として作られる発酵食品なので、大豆に対してアレルギー反応が出る犬も稀にいるのです。
初めて味噌を犬に与える際は、食べさせた後に、肌のかゆみや目のかゆみ、下痢、嘔吐といったアレルギー症状が出ていないか、しばらく観察するようにしてください。
万が一のときにしっかりと対応できるように、初めて味噌を与えるときは、かかりつけの動物病院が空いている日時を選ぶようにしましょう。
持病のある犬には与えない
味噌は、持病のある犬には与えないようにしましょう。
味噌の塩分が、心臓や腎臓などの臓器に持病を抱えている犬の症状を悪化させる危険性があるのです。
そのため、心臓病や腎臓病などの犬はもちろん、食事制限を受けている犬や体調がすぐれない犬、老犬には味噌を与えるのを避けた方がいいでしょう。
犬に味噌を与えるときは塩分量に気をつけよう
発酵食品で体に良いイメージのある味噌ですが、塩分がたくさん含まれていることを忘れてはいけません。
味噌に含まれるタンパク質やアミノ酸は、犬にとっても良質な栄養素です。
しかし、それ以上に塩分が体に影響する可能性の方が高いのです。
もしどうしても犬に味噌を与えたいのなら、ごく少量にとどめるようにしましょう。
愛犬が味噌の風味を好むようであれば味付け程度にとどめ、食欲増進の手助けとして適切に取り入れるよう心がけてくださいね。




















