はじめて子犬を家に迎えた時、嬉しい気持ちと同時に、お世話の仕方に悩む人も多いと思います。
人間の赤ちゃんと同じように、子犬も成長にあわせてご飯の与え方が変わっていきます。
また、時には食事を取らない場合もあるので、その理由を知っておくことも大切です。
この記事では、子犬がご飯を食べない時の原因と正しい食事量、与える回数・時間について紹介します。
1.子犬が餌(エサ)を食べない3つの理由
子犬がえさを食べない理由は、いくつかあります。
大切なのは、無理に食事を与えようとしないで、原因は何かを見てあげることです。
ここでは、3つの原因を解説します。
1-1.環境変化によるストレス
犬は、人間以上に繊細な生き物です。ペットショップから自宅にやってきた場合、犬が環境の変化にストレスを感じているのかもしれません。
特に子犬は、新しい環境に不安を感じやすいです。
見た目は元気そうでも、内面ではストレスを感じていることがあります。以下のような症状が見られた時は、注意をして見守りましょう。
・食欲不振
・下痢や嘔吐
・隅でじっとしている
・気怠そうにしている
環境の変化に慣れるまでは数日かかるので、焦らずに様子を見ていきましょう。ポイントは、静かな環境で徐々に触れあう時間を作ることです。食事は食べられるものを与えてあげて、安心できる関係を作っていきましょう。
1-2.低血糖症になっている
生後2〜3ヶ月の子犬は、肝臓機能が未熟なため、長時間食事を取らないでいると『低血糖症』を起こす場合があります。低血糖症とは、血液の中の糖分が急激に低下することです。糖分が足りないのでエネルギーが脳にいかず、食欲不振になったり、痙攣を起こしたりしてしまいます。
対処法として、以下の3つを参考にしてみてください。
・食事を小分けにして与える
・食事自体が取れない時は、砂糖水を作って糖分を補給してあげる
・室温や外気の環境を整えることで、安心して休息をとれるようにする
症状が改善しない場合は、動物病院を早めに受診するようにしてください。
1-3.誤飲誤食の可能性
子犬がご飯を食べない時は、誤飲や誤食の可能性もあります。
人間の赤ちゃんは、身の回りの物を口で舐めて確かめますが、子犬も一緒です。おもちゃ、薬、おやつ、人間の食べ物の欠片など、何でも丸飲みしてしまいます。
このように誤って何かを食べてしまった時、見た目では気づきづらいかもしれません。嘔吐・下痢・発熱の症状や苦しそうな様子が見られたら、すぐに獣医師に見てもらいましょう。
誤飲誤食があった際は、排便とともにお腹の中のものが出てくるのを待つか、内視鏡を使って取り除く処置をとります。いずれも自分では判断しづらいため、獣医師の指示を仰ぐようにしましょう。
2.【子犬のご飯】最適な食事量
ここからは、子犬に最適な食事の量について解説します。
2-1.ドッグフードのパッケージ記載量を与える
1日に必要な食事量(g数)は、ドッグフードによって異なります。基本的には、パッケージに記載されている量を参考に与えましょう。
また、愛犬の体重にあわせてもっと正確な給与量を知りたい場合は、以下を参考にしてみてください。
計算するためには、愛犬の「安静時に必要なエネルギー量(RER)」と「1日に必要なエネルギー量(DER)」が必要です。
計算式は以下になります。
まずは「RER」を電卓で計算します。
・70×(体重kg)の0.75乗
※体重が2kgの場合
①2を三乗します。
2×2×2=8
②8が表示された状態で、電卓の√を2回押します。
→1.681…
③その値に70をかける
70×1.681=117.7…
→体重2kgのRERは、約118kcal/日
「RER」がわかったら次に「DER」を計算します。
・DER = RER ×(活動係数)
※【成犬の活動係数】
避妊・去勢していない成犬 … 1.8
避妊・去勢している成犬 … 1.6
※先程の体重2kgの犬が避妊・去勢していない場合、
118×1.8=212.4
→DERは約212kcal/日
「DER」がわかったら、最後に給与量を計算しましょう。
・DER ÷(与えている餌の100gあたりのカロリー)× 100 = 給与量(g)
※前述の犬に与えている餌の100gあたりのカロリーが320kcalの場合
212÷320×100=66.25
→1日の給与量は約66g
こちらもご参考ください:犬の餌の適切な量と回数とは?給与量の計算方法とドッグフードの選び方
※【子犬の活動係数】
生後4ヶ月未満…3
生後4~9ヶ月…2.5
生後10~12ヶ月…2
2-2.うんちの硬さで食事量を調節
犬のうんちの硬さから、食事の量を調節することもできます。
日頃からできるだけうんちの状態を観察するようにし、理想的な硬さになるまで愛犬にあった対応をしてください。理想的な硬さとは、地面にペタッとくっつかず軽くつまめる硬さです。
【うんちが緩い場合】
1回の食事量が腸に負担となっているかもしれません。その際は、決められた回数に捉われず、食事を小分けにして1回に与える量を減らしてください。うんちの緩みが治ったら、徐々に戻すようにしていきましょう。 |
【うんちが硬い場合】
水分不足やペットフードが体にあっていないことが考えられます。水分をこまめに与えるようにしましょう。それでも改善されなければ、ペットフードの種類を変えてみます。ただし、どのフードが愛犬の体にあっているか判断できない時は、獣医師に相談してください。 |
3.子犬のご飯の回数・時間
子犬の月齢ごとに、与えるごはんの回数と時間について解説します。
子犬期は1年ほどで、この時期は体が大きく成長する大切な期間です。子犬期の栄養がのちの幼犬、成犬となった時にもつながっていくので、日々栄養バランスを考えて食事を与えていきたいですね。
3-1.【生後2ヶ月~3ヶ月】4回
生後2ヶ月〜3ヶ月の子犬は、幼犬用ドッグフード(子犬用フード)をふやかしたものを与えます。食事を与える回数は1日に4回で、間隔としては、眠っている時間を除いて約4時間ごとです。
【この時期に回数が多い理由】 ・フードを水分でふやかすため、1回の食事量を多くすることができない ・水分を含んでいると消化が早くなり、お腹が空く間隔が短くなる ・消化器官が未熟のため、食べても吐いてしまうことがある |
飼い主さんの生活リズムとあわせるのが大変かもしれませんが、上手にスケジュールを組んでみてくださいね。
3-2.【生後4ヶ月~5ヶ月】3回
生後4〜5ヶ月の子犬に与える食事の回数は、3回です。徐々にふやかしていた水分の量を減らしてドライフードへと移行していきます。
消化器官も少しずつ発達してきて1回に食べられる量が多くなるので、愛犬にあわせて量を増やしていきましょう。
【この時期のポイント】 ・食への意欲が見られれば、欲しがる量を与えても問題はない ・生後4ヶ月頃から永久歯に生え変わる犬もいる。顎を丈夫にするためにも、ある程度硬さのある食事の方が良い |
また、最近のドックフードは犬の健康を考えて栄養価が高く作られています。「あげすぎるとカロリーが心配…」と思う飼い主さんもいるかもしれません。しかし、子犬のうちのカロリーオーバーはそれほど心配はいりません。むしろ、エネルギーを必要とする時期なので、しっかり与えてあげましょう。
3-3.【生後6ヶ月以降】2回
生後6ヶ月以降の子犬に与える食事回数は、2回です。子犬用ドッグフードに移行していきます。この時期になると1回の食事から十分な量を食べられるようになりますので、飼い主さんの生活リズムともあわせやすくなりますね。
【この時期のポイント】 ・個体差があるので、1度の食事が残ってしまう時は、3回食のままでも良い ・生後7〜10ヶ月頃に子犬用のフードから、成犬用のフードに切り替えていく ・ドッグフードを切り替える時は、徐々に新しいものに慣らしていく |
4.子犬にご飯を与えるときの注意点
最後に、子犬にご飯を与える時の注意点を紹介します。
4-1.生後3ヶ月頃まではふやかして与える
子犬によって個体差はありますが、生後3ヶ月頃まではドライフードをふやかして与えましょう。
ふやかす際は、お湯や子犬用ミルクを使います。火傷をしないように湯ざまし程度の温度にし、指でつぶせる硬さにしてあげましょう。
また、シニア犬や歯肉炎に罹っている犬にもふやかしたドッグフードはおすすめです。噛む負担が減り、食事が取りやすくなります。
4-2.おやつのあげすぎ注意!
子犬におやつを与える際、注意したい点があります。子犬期は、先述したように体が大きく成長する期間です。ご飯からしっかり栄養が取れるように、おやつのあげすぎには気をつけましょう。
【おやつを与えるポイント】 ・おやつを与えるタイミングは、食事と食事の間の時間帯にする ・カロリーを抑えるために、高タンパクで低カロリーなものを選ぶ(鶏ささみや馬肉) ・カルシウムが多く含まれているものを選ぶ(小魚、チーズ、ボーロなど) |
おやつを与えることで愛犬へのしつけやコミュニケーションをはかる目的にもなります。愛犬と上手にコミュニケーションが図れるように、おやつ選びをしていきましょう。
4-3.成犬用ドッグフードに切り替えるタイミング
成犬用のドッグフードに切り替えるタイミングは、犬種や個体の大きさによって変わります。
以下を参考にしてみてください。
小型犬 | 生後8〜10ヶ月 |
中型犬 | 生後10〜12ヶ月 |
大型犬 | 生後12〜15ヶ月 |
成長期間を過ぎてからも子犬用のフードをあげ続けると、栄養が過剰になってしまいます。そうすると、ペットの肥満や栄養バランスの偏りにつながるので、判断が難しい場合は獣医師に相談しましょう。
子犬のご飯は、成長に合わせた食事量と回数を与えよう!
子犬期の食事は、成長を支える上でとても大切です。徐々にフードを移行していくためにも、月齢や愛犬の成長にあわせてご飯を与えていきましょう。
愛犬がフードを食べてくれない場合は、原因を把握し優しく見守ることが大切です。体に異常が見られた時は自己判断せず、動物病院を受診するようにしてください。
成長にあわせた食事量と回数を守ることで、愛犬の健康な体を作っていくことにつながります。毎日の食事やおやつを上手に与えていきましょう。
まとめ
・子犬のご飯は、月齢や愛犬の成長にあわせて与える回数・量が変わる
・ご飯を食べてくれない時は、原因を見て適切な対応をする。低血糖症や誤飲誤食が見られた場合は、病院を受診する
・食事の量は、ドッグフードに記載されている量を目安にする
・生後3ヶ月頃まではフードをふやかして与え、徐々に水分を減らしていく
・おやつは食事と食事の間に与え、ヘルシーなものを選ぶ