夏場は暑さが厳しく窓を開けてもなかなか涼しくならず、エアコンを付けてしまいますよね。
近年では、逆にエアコンを付けずにいると熱中症などの危険性が上がるために「夜でもエアコンを付けてください」といわれる時代になってきました。それは人間だけでなく犬やねこなどのペットたちも同様です。しかし、犬にとっての快適な設定温度は何度なのか、エアコン使用時の注意点はあるのかなど気になりますよね。
そこでこの記事では、犬にとって必須のエアコンについて役立つ情報をご紹介します。
本当に犬にもエアコンは必要なの?
少し前まではエアコンをここまで使用することはなく、窓を開けて換気をしながら過ごしていたことも多くありました。しかし、近年温暖化が進むのと同時に窓を開けても涼しくならず、治安的な面でも窓を開けたままの外出は難しい時代となりました。
犬にもエアコンは必要で、クーラーを使用しないでいることで熱中症などの危険性が高まります。実際にエアコンを使用しないで外出し、お出かけから帰ってきたら留守番中の愛犬が熱中症になってしまったという事例もあります。熱中症は死に至る可能性も高い症状で、健康な犬でも突然起こるものです。
暑い室内に居続けることで体へのストレスもかかり、熱中症にならなくても、体を壊してしまうこともあります。そのため、エアコンを上手に活用し、愛犬にとって過ごしやすい環境を整えてあげましょう。
寒い地方原産の犬やマズルの短い犬は特に注意が必要です!
犬は体が被毛で覆われていて、体温を調節する汗腺も人間より少ないため、体温調節が苦手な動物です。犬が体温を調節する場所は呼吸、もしくは肉球です。急に体温が上昇してしまうと、自分で体温を下げることができずに熱中症を引き起こします。
特に寒い地方原産の犬(シベリアン・ハスキー、サモエド、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、コーギー、秋田犬など)やマズルの短い犬(パグ、ブルドッグ、ボストン・テリア、フレンチ・ブルドッグなど)は体温調節が苦手です。寒い地方原産の犬は冬の寒さには強いですが、暑さにはとても弱く、他の犬に比べて低い体温でも熱中症を引き起こすことがあります。そのため、夏場だけでなく、春から夏にかけてと夏から秋にかけての気温が不安定な時期にも注意が必要です。マズルの短い犬は呼吸での体温調節が苦手です。そのため、体温を上手に下げることができずに熱中症などを引き起こしやすくなります。エアコンの温度設定は他の犬より低めに設定してあげると良いでしょう。
こんな症状が出ていたら熱中症の危険性が!
熱中症は命に関わる症状です。犬は言葉で伝えることができませんので、飼い主さんが愛犬の体調を注意深く観察する必要があります。
熱中症の初期症状は、元気がない・食欲がない・ぐったりしている・体温が高め・呼吸が荒いなどのぼんやりした症状です。症状が進行すると、下痢や嘔吐、発熱、意識喪失、痙攣、昏睡まで急激に進みます。症状が進行した状態で様子を見ると、最悪そのまま死に至ることがあり、とても危険な状態ですので、すぐに動物病院を受診する必要があります。熱中症が進行してしまうと、すぐに処置を行い一命をとりとめても、体温が上昇することで脳にダメージがいくため歩行困難や下半身不随などの障害が残る可能性も高いです。
熱中症は初期症状の段階で体を冷やし、体温を下げて、涼しい場所で水分補給しながら休憩することで症状は落ち着いていきますが、まれに、気づいたときには熱中症になっている場合があります。散歩や外で遊ぶことに夢中になりすぎて休憩や水分補給をせずに居てそのまま熱中症になり倒れてしまうということもあるのです。このような事態を招かないために、飼い主さんが積極的にいぬを休ませて体温を下げるなどの対処が必要です。
どのくらいの温度にしたら良いの?
犬にも熱中症対策でエアコンは必須ですが、部屋の温度はどのくらいが良いのか悩んでしまいますよね。部屋の室内温度は26℃から28℃ぐらいがいいでしょう。犬の体調や犬種などに合わせて調節しましょう。基本的に冷気は下に行くため、適切な温度になっている時の愛犬の様子は確認しておきましょう。
気温だけでなく、湿度にも気を配りましょう
人間だけでなく犬もジメジメした環境は苦手です。部屋の湿度は40%から60%程度にするように心がけましょう。湿度が高い環境では、熱中症を引き起こしやすいだけでなく、カビ・細菌などが繁殖してしまう他にも、皮膚がジメジメするため皮膚炎や外耳炎などを引き起こしやすくなります。逆に湿度が低すぎても、咳などの呼吸器疾患、脱水症状などを引き起こしやすくなりますので、適切な湿度を保ちましょう。
エアコンを使用する際の注意点は?
エアコンを使用するのは犬の体調面を考慮すると良いことですが、使用する際には注意点もあります。それは部屋を寒くしすぎてしまうことです。暑いからという理由で熱中症予防のために設定温度を低くしすぎると、人間より低い位置で生活する犬にとっては寒すぎてしまうことがあります。長時間寒い部屋にいることで冷房病になり、咳やくしゃみを繰り返したり鼻水がたくさん出たりすることもあるため注意が必要です。エアコンを使用する時はこまめに足元の温度に気を配り、犬の様子も見ながら使用しましょう。老犬や幼犬は体温調節が苦手ですので、犬の体に触ったりしながらエアコンの温度管理をしてください。
やっぱり気になる電気代!1ヶ月つけっぱなしにするとどれくらいになる?
犬にとってエアコンは必須で、熱中症防止のために1日中つけているご家庭も多いのではないでしょうか。そんな時に気になるのが電気代です。だいたい1日24時間エアコンをつけっぱなしにすると6畳用エアコンで約350円前後、8畳用エアコンで約380円前後、12畳用エアコンで約810円前後かかるようです。電気代はエアコンの消費電力や電力会社の電気料金によって異なるため、より正確な金額を知るためには電力会社などに問い合わせするといいでしょう。
1ヶ月冷房をつけっぱなしにした場合の電気代
1ヶ月冷房をつけっぱなしにした場合の電気代は、その家がマンションなのか、一軒家なのか、マンションであれば何階でどの位置の部屋なのか、部屋の間取りや方角などが影響してきますので、一概にこの値段とはいえません。さらに、設定温度や電力会社、エアコンの消費電力によっても異なります。ブログなどで実際に試してみた方によるとだいたい通常より付けっぱなしにしていたほうが2,000円前後高くなったという話もありますが、間取りや地域によって違うため同じ結果になるとも限りません。
結局1ヶ月どれくらいかかるのかは料金プランなどにもより値段は変わりますので、気になる方は一度電力会社に相談してみましょう。間取り、方角、設定温度や使用時間などを吟味し、一番合ったプランを紹介してくれますよ。
扇風機ではあまり効果がないかも…
暑いから、熱中症の危険があるからといってやはり冷房をつけるのは贅沢だと感じる方もいるでしょう。それだったらエアコンではなく扇風機を付けて空気を循環させればいいのではないかと考える飼い主さんもいるのではないでしょうか。
しかし、扇風機ではあまり効果は期待できません。扇風機は空気を循環させて、室温を下げてくれますが、エアコンを使用するほど効果的ではありません。真夏日などでは1〜2℃室温を下げても体感温度はあまり変わらず、扇風機を付けていても熱中症になる可能性は高いです。扇風機を付けているから大丈夫と思わず、愛犬のためにもできるだけエアコンをしっかり活用するようにしましょう。
部屋にエアコンがない場合の暑さ対策
人間だけでなく犬や猫たちにエアコンが必要だからといっても家にエアコンがない場合は仕方ありません。その場合は、涼しくなるように工夫したり熱中症対策グッズを活用したりと、できる限りの暑さ対策をしっかり行いましょう。
まずは室温の上昇を防ぐことが第一です。太陽光が直接室内に入ることを防ぐためにカーテンを閉めたり、すだれなどをつけましょう。さらに、風通しを良くするために窓を開けたり扇風機などを使用したりして、空気の循環を行いましょう。扇風機が家にある場合は、扇風機の前に保冷剤などの冷たい物を設置し、冷気を循環させるのもいい方法です。
犬にはひんやりシートやアルミマットなどの冷却グッズを敷いて、暑い時にその上で涼むことができるようにしましょう。さらに、犬用の飲水を数箇所設置したり給水器を多めに用意したりと水分補給もこまめにできるようにしましょう。犬のベッドには保冷剤にタオルをまいて置いておくと快適な睡眠をとることができますよ。犬自身は体の被毛を短くカットするなどのトリミングをすると暑さ対策にも繋がります。
エアコンがない場合、部屋の室温をコントロールするのが難しく、室温も外気温に比例し上昇するため熱中症の危険性は上がります。犬は犬種にもよりますが、暑さにはそこまで強くありません。犬のためには、暑さが厳しい地域ではエアコンの購入を検討した方が良いでしょう。しかし、エアコンを使用していても熱中症になり亡くなる犬もいます。エアコンをつけているから大丈夫と過信せずに、天気予報などを確認し、その日の最高気温、最低気温、湿度などを細かく把握しておくことが大切です。
万が一停電したときにも備えましょう
エアコンがあっても、しっかり設定していても、万が一停電してしまったら、犬にとってかなり危険な状況になります。停電時に家に飼い主さんやご家族がいれば問題ないでしょうが、家に誰も居ない状況が長く続いてしまうと、エアコンが切れ締め切ったままの室内では室温が上昇し熱中症の危険性が高まります。また停電に限らず、1部屋だけ締め切ってエアコンを設定して出かけていた際に、犬がその部屋から誤って出てしまい、結果熱中症になって亡くなってしまった事例もあります。
エアコンを付けていても、その部屋から移動できるようドアを開けておくか、犬用のドアを取り付けておきましょう。他の部屋には、熱中症対策ペット用品として人気の冷却シートやペットハウスなどを置いておき犬が涼める場所を作ると、停電時でも犬の体温の上昇を抑えることができます。
暑い夏場を乗り切るための犬用便利グッズはホームセンターなどでも数多く販売されています。犬用だけでなく猫用品もあるため、わんちゃんと猫ちゃんを飼っている方はぜひチェックしてみてください。冷却機能のあるグッズを賢く使用し、暑い夏を乗り切りましょう。
さいごに
今回は、犬にとって必須のエアコンについてご紹介しました。エアコンは贅沢で、必要ないものというイメージを持っている方はとても多く、使用を我慢して熱中症になってしまったという話は今では珍しくなくなってきました。それは犬も同様で、特に暑さに弱い犬・マズルの短い犬は要注意です。エアコンは犬には必須で、使用しないほうが体調不良を引き起こしてしまいます。ただ室温や湿度の設定などは犬の体調を見ながら調節してあげましょう。暑いからといって寒くしすぎるとそれでも体調不良を引き起こします。エアコンを賢く使用し、暑い夏場でも愛犬と快適な生活を送りましょう。