犬の歯磨きはとても大切なことだということをご存知でしたか。きちんと歯磨きをしてあげないと歯周病の原因となり、最悪の場合には命に関わることもあります。でもご安心ください。きちんとした歯磨きの方法を覚えれば心配ありません。あなたの愛犬が健康で長生きできるよう、歯磨きの方法を解説します。
わんちゃんの歯磨き、必要なの?
実は犬の歯は虫歯になりにくい性質です
あなたの大切な愛犬に、きちんと歯磨きをしていますか。「歯磨きは犬にとって必要?」「犬の歯磨きの方法がわからない」「犬が嫌がるので歯磨きはしていない」とおっしゃる方は意外と多いようです。
犬の歯そのものは私達ヒトと比べると虫歯になりにくい性質と言われています。諸説あるのですが、「あまり噛まずに飲み込む」「甘いものを食べない」などがその理由です。市販のドッグフードを与えている方が多いと思いますが、よく見ていると犬はほとんど噛まずに飲み込んでいます。またヒトと違って自分から間食はしません。そういった理由で虫歯になりにくいだけで、柔らかい食事や甘いものを与えれば虫歯の原因となります。
つまり、犬の歯は虫歯になりにくいのではなく、犬はヒトと違って虫歯の原因となる食生活を送っていないだけなのです。
歯磨きは必要ない?その認識は大間違い!
犬は虫歯になりにくいから歯磨きは必要ないのでしょうか。犬は虫歯になりにくいのですが、ヒトと同じように歯周病になります。また歯石もたまります。あなたの愛犬に歯磨きをしないでおくと歯周病になり、もっと大きな病気を発症してしまうこともあります。歯周病の症状として、口が臭くなる、歯茎の出血、歯のぐらつき、歯茎が赤くなる、などがあります。歯周病は歯についた歯垢が歯石になり、そこにまた歯垢が付いて歯と歯茎の間に炎症をおこすことを言います。歯周病で炎症をおこし、そこから細菌が入って全身に悪い病気が回ってしまうこともありうるのです。
成犬の約80パーセントが、歯周病もしくは歯周病予備軍と言われています。歯周病にかかってしまった場合、治療せずに放おっておくと歯が抜ける、あるいは抜けた歯の歯茎から歯周病菌が血管に侵入して、内臓疾患を引き起こしたりする場合もあります。もっとひどい症状では頬から膿がとび出たり、チワワのような小型犬では顎の骨が折れることもあります。このようなことを防ぐためにも、歯磨きは犬にとって必要なものなのです。
末長く一緒に暮らしていく為に歯磨きは大切です
犬の歯周病を防ぐためにも、歯磨きは毎日しておくべきことと思ってください。犬と末永く暮らしていくためにも、犬の健康管理は飼い主としての責任です。その一環として犬の歯磨きが必要であるとお考えください。
歯磨きの頻度は?歯磨き粉は必要??
歯磨きは「毎日」してあげましょう!
犬の歯磨きは毎日してあげたいものです。可愛い自分の子どものような愛犬のため、歯磨きの時間は確保しましょう。実は医学的な裏付けもあります。歯垢は3〜5日で歯石に変わってしまうと言われています(ちなみにヒトは25日です)。理想的には朝夕の食後に犬の歯磨きをしてあげましょう。小型犬であれば、慣れれば5分程度で終わります。後述しますが、最初は、歯磨きを嫌がる犬は多くいます。それでも毎日少しずつ少しずつ歯磨きを習慣づければ、犬も慣れてきます。
とは言うものの、お勤めの方、お子さんを保育園や学校に送り出す方など、朝はなかなか忙しいものです。毎食後はあくまでも理想なので、1日1回でも構いませんので、習慣として毎日行いましょう。
歯磨き粉は基本的には必要ありません
犬の歯磨きを行う一番の目的は、歯周病を防ぐために歯石を取り除くことです。食べ物のカスを取り除けばよいのですから、基本的に歯磨き粉は必要ありません。ヒトは歯磨きのあとで口中の歯磨き粉を吐き出してうがいをします。しかし犬は吐き出さず全て飲み込んでしまいます。当然うがいもしません。歯磨き粉なしでも十分に効果があります。
人間用は絶対NG!歯磨き粉を使う場合は必ず犬用のものを使いましょう
私達が毎日使っている歯磨き粉は人間用ですから薬用成分が含まれています。虫歯の進行を防ぐ成分、歯を白くする成分、口臭を防ぐ成分、歯周病を防ぐ成分などです。歯磨き粉に含まれているこのような薬用成分は犬には害になる場合があります。
例えば、最近の歯磨き粉にはキシリトールが含まれています。キシリトールは糖アルコールの一種で、天然の甘味料や虫歯予防として用いられています。しかし、犬にとっては非常に毒性の高い成分です。嘔吐や下痢、ひどい場合には昏睡状態に陥ることもあります。確かに犬用の歯磨き粉は人間用の歯磨き粉と比べるとだいぶ高額ですが、犬の歯磨き粉は必ず犬用のものをお使いください。
実際に磨いてみましょう!正しい歯磨きの方法
まずはじめに愛犬のお口の中をチェックしましょう
犬にはじめて歯磨きをしようと思っても正直なところ最初はうまく行きません。犬はきっと嫌がるでしょう。犬の歯磨きの前に、まず始めることは口を触ることになれさせることです。指先に肉の煮汁をつけてマズルを触ってみます。これを繰り返し、マズルに触っても嫌がらなくなったら口の中を触らせてくれるまで慣らします。ここまでで何週間もかかることがあります。愛犬の健康のため、根気よく続けてください。
口の中を触れさせてくれるようになったら、いよいよお口の中をチェックします。といってもあまり長時間チェックしていると犬も嫌がりますから気をつけてください。慣れてきたら奥歯の方もチェックしてください。
ブラシで磨く前に!ガーゼで優しく汚れを拭き取りましょう
犬が口を触ることに慣れたらいよいよ歯磨きです、と言いたいところですが、なかなかそうは行きません。いきなり口中に歯ブラシのような異物が入ってきたら犬でなくても嫌がります。そこで前述した「口を触る」延長で、ガーゼで優しく歯についた汚れを取るのです。
ガーゼを指に巻きます。犬に引っ張られたときに抜けないように固く巻きつけてください。最初は前歯から優しく拭き取っていきます。強くこすってはいけません。常に優しく拭き取る感じです。
いよいよ歯ブラシの登場!歯ブラシを使って磨いていきます
歯ブラシに慣れさせることから始めます。最初は犬の歯に歯ブラシを当てるだけです。おとなしくできたら褒めてあげましょう。こうして歯ブラシに慣れてくればこちらのものです。あとは犬用の歯磨き粉をつけてブラッシングしましょう。歯ブラシはヘッド部分が柔らかいものを使います。犬の歯茎はデリケートなので、傷つけないようにしましょう。慣れるまでは力を抜いてリラックした雰囲気の中で優しく磨いてあげてください。
動画でも詳しくご紹介!
これまで犬の歯磨き方法をご紹介してまいりました。しかし百聞は一見にしかず! YouTubeなどで検索いただくと犬の歯磨きの方法がたくさんアップされています。あなたの愛犬の犬種などで検索してください。ここでも少しご紹介します。
まとめ
犬の歯磨きはとても重要なケアの一つです。子犬のうちから歯磨きに慣らしておくのが良いのですが、成犬になってからでも遅くはありません。最初は犬も歯磨きを嫌がることでしょう。歯のケアを怠っていたことにより虫歯や歯周病になると、最悪の場合には内臓疾患なども懸念されます。
それでも、どうしても歯磨きを嫌がる子もいます。犬の歯磨きは、ガーゼを使う方法、歯ブラシを使う方法などの他、デンタルケア用のガムやおやつもあります。また歯磨き用のおもちゃもあるのであなたの愛犬に合った歯磨きの方法で、デンタルケアを行いましょう。