飼い主さんや家に遊びに来たお客さんに犬がしがみついて腰を振る仕草をすることがあります。この行動は「マウンティング」といいますが、犬はなぜその行動をするのか、やめさせることはできるのかを解説していきます。
犬のマウンティングとは
犬が行うマウンティングの意味
犬のマウンティングとは「マウント=馬乗り」からきていて、対象となるものに前足でしがみついて腰を振る行為のことをいいます。対象となるのは犬以外にも、飼い主さんやお気に入りのクッション、ぬいぐるみの場合もあります。
マウンティングをしていると、交尾をしたいのだと思われがちですが、性的なものでない理由から行うこともあります。
犬はいつからマウンティングをするようになるの?
犬がマウンティングを始めるのは、一般的に生後6ヶ月頃からといわれています。しかし、これには個体差があるので生後3ヶ月頃から始める犬もいます。
マウンティングをしない犬もいるの?
マウンティングをするのは、すべての犬とは限りません。マウンティングを全くしない犬もいますが、行わない犬は性格的におとなしい場合が多いようです。
犬がマウンティングをする5個の理由
遊んでほしくて興奮している
犬がマウンティングをするのには、いろいろな理由があります。飼い主さんや他の人にマウンティングをする時は、遊んでほしいからというのがひとつの理由です。
また、遊んでもらって嬉しくて興奮しているときにもマウンティング行為をすることもあります。大好きな人や犬に対してマウンティングする場合は、嬉しくて気持ちを抑え切れないため行うと考えられます。
上下関係の確認でマウンティングをする
犬は野生の頃、群れを作って暮らしていましたので、人間に飼われても家族の中で順位付けを行なっています。
家族の中の誰かにだけマウンティング行為をするときは、自分の上下関係を確認しているのです。マウンティングを行うことで自分の強さを誇示したり、マウンティングされて順位が変動することがあります。
犬の繁殖行動でマウンティングをする
去勢・避妊手術を行なっていない場合、発情期にメス犬がフェロモンを発するためオス犬が性的に興奮してマウンティング行為をすることがあります。
この場合、発情期のメスがそばにいることで行うので、もし発情期のメスがそばにいなければオス犬は繁殖行動としてのマウンティングは行いません。
オス同士で行うコミュニケーションの意味があるマウンティング
犬がオス同士でマウンティング行為を行う場合は、コミュニティの手段として行なっている場合があります。
上下関係の確認ではなく遊びたくて行っているので、どちらかがずっと乗りかかるわけではなく、上になったり下になったりしてマウンティングを行います。
クッションやおもちゃに行うマウンティングは支配欲
マウンティングは犬や人間だけが対象ではなく、犬が大好きなおもちゃやお気に入りのクッションなどに対して行うこともあります。これはお気に入りのおもちゃやクッションに対して独占欲があるため、マウンティング行為を行うのです。
ストレスで行うこともあり、環境の変化やスキンシップや運動不足など、犬にとってストレスに感じることがあるとマウンティング行為をする犬もいます。
メス犬でもマウンティングするの?
メス犬同士で行うマウンティングの場合
マウンティング行為を行うのはオス犬が多いのですが、実はメス犬もマウンティング行為を行います。メス犬が行うのは年2回ほどの生理中の時が多く、生理が終わればやらなくなる一時的なものがほとんどです。
メス犬がオス犬へ行うマウンティングの場合
生理現象でメス犬がマウンティングを行うと解説しましたが、中には気の強いメスが上下関係を確認するためにマウンティングを行う場合があります。
そして、ドッグランでは発情中のメスの利用を禁止しています。メスが発情中に発するフェロモンのニオイでオスがマウンティングを行うからです。
オスはフェロモンのニオイを嗅がなければマウンティングを行わないので、メスをオスの成犬に近づけないようにしなければなりません。望まない妊娠を避けるためにも注意しましょう。
犬のマウンティングをやめさせたほうがいい3つの理由
マウンティングが習慣化して外で他の犬に行なってしまう
犬のマウンティングがコミュニケーションのひとつだとしても、愛犬がマウンティング行為をするようになったらやめさたほうがいいでしょう。
犬を飼う人でもマウンティング行為に対して嫌悪感を持つ人が多いです。他の飼い主さんを不快にさせる他、相手の犬にケガをさせてしまう恐れもあります。
また、習慣化してしまうと家に遊びにきたお客さんにも行うことがあります。はしゃいでマウンティング行為をする場合は、しがみついて爪を立ててしまうことがあるので、マウンティング行為をしないようにしつけましょう。犬自身は悪いことをしている意識はないので、飼い主さんが止める必要があります。
マウンティングで皮膚が擦れて出血してしまう
ぬいぐるみやクッションでマウンティングする場合、布地によってはこすれると出血しやすいものがあります。陰部の皮膚はとてもデリケートですし、傷から細菌が入ってしまい感染症を引き起こす恐れもあるので、マウンティングをやめさせるようにしましょう。出血が止まらない場合は動物病院で診てもらいましょう。
飼い主との主従関係が逆転してしつけが困難になる
マウンティングの目的が家族内の上下関係を確認することだった場合、犬は自分が飼い主さんよりも上位にいるものだと勘違いしてしまっていることがあります。
そうなると、しつけの際に飼い主さんの言うことを聞かなくなったりするので、マウンティングをやめさせる必要があります。
犬のマウンティングをやめさせる5つの方法
犬がマウンティングをしてきたら無視をして相手にしない
犬がマウンティングをしてきたら相手にしないことが一番です。声をかけたり騒いだりすると飼い主さんが自分と遊んでくれていると勘違いしてしまいます。そうなると、飼い主さんが喜んでくれているのだと思ってエスカレートしてしまうことがあります。
大事なのは徹底的に無視することです。犬が自分にマウンティング行為を始めたら、足を振りほどいてその場を離れましょう。ずっと無視し続けるのではなく、約10分程おいて犬が落ち着いているのを確認できたら、そのあとは普段通り接します。それを続けることで、マウンティングしたら飼い主さんが遊んでくれないと理解してやらなくなります。
ただ、マウンティングが習慣化してしまっている場合、無視をしてもやめないことがあります。
その場合は、マウンティング行為を始めたらケージに入れて一人きりにさせます。この場合も10分程したらケージから出してあげます。これを繰り返すと、マウンティング行為をしたらケージに入れられてしまうとわかってやらなくなっていきます。
主従関係を分からせるようにしつける
犬が飼い主さんにマウンティング行為を行う場合、飼い主さんのことを下位に見ている可能性があります。マウンティング行為をさせないためには、主従関係をしっかり教え込まなければなりません。
しつけをしっかりするために、まずは「待て」「伏せ」などの基本的な命令を聞くか確認しましょう。飼い主さんの言うことを聞くようにしつければ主従関係ができているので、マウンティング行為をしなくなります。
マウンティングをしないように外ではリードを使う
外を散歩しているときや、ドッグランで他の犬にマウンティングしてまうときはリードを引っ張って止めましょう。その際のポイントは、リードを少し強めに引っ張ることです。
急にリードを強めに引っ張られることで犬がショックを受けます。マウンティング行為をしようとしたらこれを繰り返すことで、マウンティング行為をすると嫌なことがあると認識してやらなくなっていきます。
犬のマウンティング対象物を撤去する
犬のマウンティングの対象がぬいぐるみやクッションだったら、その対象となるものを見えない場所に片付けましょう。
犬が見える場所に置いてあると、それを見るだけで興奮してマウンティングにつながってしまうからです。いつもそばにあるとマウンティングが癖になってしまう恐れがあるので、癖がつく前に片付けるのがベストです。
クッションなどにマウンティングする分には問題はないだろうと思う飼い主さんがいますが、これを続けていればマウンティングすることが癖になり皮膚を傷つけたり、支配欲を強めていって問題行動に繋がることがあります。
しつけるときのポイントとして、飼い主さんへのマウンティング行為は禁止して、クッションなどには注意しないなどの矛盾がないようにすることが大切です。
去勢・避妊手術を行う
犬のマウンティング行為の対処方法として、去勢・避妊手術をする方法があります。大半の場合、手術をするとマウンティング行為をしなくなるのですが、マウンティングが癖になってしまっている場合は手術をしても治らない場合があります。その場合は、主従関係を確認させるためのしつけを行う必要があります。
犬のマウンティングをやめさせるには根気が必要!
犬のマウンティング行為は本能の行動なので、やめさせるためには飼い主さんの根気良いしつけが必要です。
もしどうしても上手くいかない場合は、ドッグトレーナーさんなどのプロの力を借りる方法もあります。飼い主さんがしつけの方法を学ぶこともできるので、トレーナーさんにサポートしてもらってもいいのではないでしょうか。
犬のマウンティングはドッグランや散歩の際にトラブルの原因になることがあるので、なるべく早い段階でやめさせましょう。